JPH034967Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はビデオテープレコーダ（以下単に
「VTR」という。）用ダブルギヤツプ消去ヘツド
に係り、更に詳細には全面消去ヘツド等、コイ
ル、フロントコア、バツクコア等から成るヘツド
本体のまわりに樹脂を成形して成るもので、成形
の際の位置ぎめの基準として樹脂製のキヤツプを
使用するVTR用磁気ヘツドであつて、そのキヤ
ツプに１ないし２個以上の通孔を設けることによ
つて、フロントコアとバツクコアとの接着の確実
化を図り、インピーダンスの低下を防いだVTR
用ダブルギヤツプ消去ヘツドに関する。

VTR用磁気ヘツドであつて、全面消去ヘツド
として用いられるものは、第１図（分解斜視図）
に示すようなヘツド本体を有している。すなわち
同図において、ヘツド本体１はフロントコア２、
バツクコア３、コイル４等から成つている。フロ
ントコア２はチヤンネル状をしたサイドコア２Ａ
の内側底面に設けられた溝部２Ｂに板状のセンタ
ーゴア２Ｃをギヤツプスペーサ２Ｄを介して取付
け固定して成つており、その断面はＥ字状をなし
ている。コイル４は角筒状のボビン部４Ａ、ボビ
ン部４Ａと一体的に成形されている端子固定部４
Ｂ、ボビン部４Ａに巻回されている巻線４Ｃから
成つており、端子固定部には端子ピン５が立設さ
れている。またバツクコア３は矩形板状をなして
いる。フロントコア２のセンターコア２Ｃをコイ
ルボビン４Ａの通孔４Ｄに挿通し、センターコア
２Ｃ、サイドコア２Ａの開放端縁にバツクコア３
を取付け固定することによつてヘツド本体１が組
立てられている。

このヘツド本体１を上型１１Ａ、下型１１Ｂと
から成る金型１１で形成された空間１２中に取付
け、その外側に樹脂を成形することによつてダブ
ルギヤツプ消去ヘツドが製造されている。（第２
図参照）。

従来このヘツド本体１のフロントコア２とバツ
クコア３とを樹脂成形に先立つて取付け固定する
には接着剤がよく用いらてており、接着の確実を
図るためには接着剤塗布後両コアを所定の養生時
間だけ圧着しておく必要があり、そのために治具
を使用していたが、治具の着脱等作業が厄介であ
つた。したがつて従来また第３図イ（分解斜視
図）、ロ（分解斜視図）および第４図（斜視図）
に示すような樹脂製のキヤツプを用いる方法が採
用されていた。すなわち、両図において、ポリプ
ロピレン等の樹脂製のキヤツプ６は一端面を欠い
た箱状をしており、その内側寸法はバツクコア３
の外形寸法に対して僅少の締め代を有するように
加工されている。従つて第３図イに示すように端
面を欠いた部分からバツクコア３をキヤツプ６に
挿入すれば、キヤツプ６とバツクコア３とは固定
される。これを反転し、フロントコア２をコイル
４に挿入した後、フロントコア２の開放端縁２Ｅ
に接着剤を塗布し、バツクコア３の面を該開放端
縁２Ｅに圧着すれば、フロントコア２の開放端縁
部の外形寸法がバツクコア３の外形寸法と殆ど同
一であり、キヤツプ６の内側寸法との間に僅少の
締め代があるため、キヤツプ６とフロントコア２
とはしつかり固定される（第３図ロ参照）。この
ようにして組立てられたヘツド本体１は第４図に
示すような外観を有しており、キヤツプ６を装着
したまま、第２図に示したと同様に金型１１中に
取付けられその外側に樹脂を形成して、製品ダブ
ルギヤツプ消去ヘツドとなる。

この従来の方法は治具の着脱の手間を省くこと
ができ、またフロントコア２とバツクコア３との
位置ぎめを正確に行なうことができるため、
VTR用ダブルギヤツプ消去ヘツドの原価低減、
性能向上に大いに役立つていた。しかしながら、
一方この方法には次のような欠点があつた。すな
わち以上例示したような構成を持つVTR用ダブ
ルギヤツプ消去ヘツドにあつては、フロントコア
２とバツクコア３との接着の良否が製品の性能に
大きな影響を有しており、接着が不確実であると
きはダブルギヤツプ消去ヘツドのインピーダンス
が低下し性能不良の原因と成る。この接着の良否
は、従来の経験によれば、接着剤による接着の良
否によることなく、ヘツド本体の外側に成形され
た樹脂の固定作用によつていることが判明してい
る。キヤツプ６は以上述べたようにフロントコア
とバツクコアとの固定の役割を有しているためき
わめて弾力性に富む材料を使用する必要がある。
ところで、前記した従来の方法にあつては樹脂は
キヤツプ６の外側に成形され、そのバツクコア３
に対する固定作用はキヤツプ６を介して行なわれ
ている。したがつてバツクコア３はキヤツプ６に
弾性変形を与えながらキヤツプ６内で若干移動
し、それがVTR用ダブルギヤツプ消去ヘツドの
インビーダンスの低下、性能不良の原因となるお
それがある。

本考案は従来のVTR用ダブルギヤツプ消去ヘ
ツドの以上述べた欠点を解消し、フロントコアと
バツクコアとの接着作業が容易で原価を低減し、
しかもインピーダンス低下のおそれのないVTR
用ダブルギヤツプ消去ヘツドを提供することを目
的としている。

本考案はキヤツプに１個または２個以上の通孔
を設け、樹脂の成形に際しては樹脂が直線バツク
コアに接して成形されるようにすることにより、
前記した目的を達成している。

以下図面に基いて本考案の実施例について説明
する。第５図は本考案に係るVTR用ダブルギヤ
ツプ消去ヘツドに用いるキヤツプを示した図で、
イは平面図、ロは正面図である。同図においてキ
ヤツプ６は従来例と同様一の端面を欠いた箱状を
しており、その箱の底面には１個または２個以上
（図示のものは２個）の通孔６Ａが設けられてい
る。

第６図は本考案に係るVTR用ダブルギヤツプ
消去ヘツドを従来のものと比較図示した要部の断
面図であり、イは従来のもの、ロは本考案に係る
ものである。また第７図は本考案に係るVTR用
ダブルギヤツプ消去ヘツドのヘツド本体を従来の
ものと比較図示したもので、イは従来のものの分
解斜視図、ロは本考案に係るものの分解斜視図、
ハは本考案に係るヘツド本体のコイルを拡大図示
したもので、斜め下方から見た斜視図である。

両図において、本考案に係るVTR用ダブルギ
ヤツプ消去ヘツド２１のキヤツプ６には通孔６Ａ
が設けてあるため、その通孔部には樹脂１３が充
填された形と成つており、バツクコア３はこの通
孔部において、キヤツプ６を介することなく、直
接に成形された樹脂１３によつて固定されている
（第６図参照）。

またキヤツプ６の内側の幅寸法６Ｂと、バツク
コア３の外形幅寸法３Ａおよびフロントコアのバ
ツクコア取付け部の外形幅寸法２Ｆとを比較する
と、３Ａ，２Ｆの方が６Ｂに較べ僅かに大きく、
キヤツプ６の欠けた端面６Ｃからバツクコア３を
挿入した場合、およびフロントコア２のバツクコ
ア取付け部を挿入してかぶせた場合には、締め代
があるためにキヤツプ６とバツクコア３、フロン
トコア２とは固定される（第７図ロ参照）。

以上述べたキヤツプの通孔部に形成された樹脂
と、キヤツプとバツクコア、フロントコアの取付
け部の締め代の両者の作用によつて、バツクコア
３が移動したりしてフロントコア２との接着不良
を起こし、インピーダンスの低下を生ずるおそれ
はない。

端子ピン５はＬ字状をなし、その曲り部分がコ
イルボビンの端子固定部４Ｂに嵌着されており、
その一端５Ａにはコイル巻線の端末がからげられ
ている。端子ピンの他端５Ｂは外部に対する配線
の端末となつている（第７図ハ参照）。

本考案の実施例では主として全面消去ヘツドと
して使用されるVTR用ダブルギヤツプ消去ヘツ
ドについて述べているが、必ずしもこれに限るこ
となく、フロントコアにバツクコアの取付固定し
たヘツド本体を有し、その外側に樹脂を成形する
型のVTR用磁気ヘツドに対しても本考案が有効
に実施できることは明らかである。

本考案は以上述べたたようにVTR用ダブルギ
ヤツプ消去ヘツドの組立て作業を容易化してその
原価を低減すると同時にインピーダンス低下等の
性能不良を防ぐという優れた効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は全面消去ヘツドとして用いるVTR用
ダブルギヤツプ消去ヘツド本体を示した分解斜視
図、第２図はヘツド本体の外側に樹脂を成形する
状況を示した図、第３図イはバツクコアをキヤツ
プに挿入する状況を示した分解斜視図、ロは樹脂
製キヤツプを用いたヘツド本体の組立て状況を示
した分解斜視図、第４図はそのヘツド本体の外観
を示した斜視図、第５図は本考案に係るVTR用
ダブルギヤツプ消去ヘツドに用いられるキヤツプ
を示した図で、イは正面図、ロは正面図、第６図
は本考案に係るVTR用ダブルギヤツプ消去ヘツ
ドの要部を従来のものと比較して示した断面図
で、イは従来のもの、ロは本考案に係るもの、第
７図は本考案に係るVTR用ダブルギヤツプ消去
ヘツドのヘツド本体を従来のものと比較図示した
もので、イは従来のもの、ロは本考案に係るも
の、ハは本考案に係るヘツド本体のコイルを拡大
図示したもので、斜め下方から見た斜視図であ
る。 １……ヘツド本体、２……フロントコア、２Ａ
……サイドコア、２Ｂ……溝部、２Ｃ……センタ
ーコア、２Ｄ……ギヤツプスペーサ、２Ｅ……開
放端縁、２Ｆ……幅寸法、３……バツクコア、３
Ａ……幅寸法、４……コイル、４Ａ……ボビン
部、４Ｂ……端子固定部、４Ｃ……巻線、４Ｄ…
…通孔、５……端子ピン、５Ａ……一端、５Ｂ…
…他端、６……キヤツプ、６Ａ……通孔、６Ｂ…
…幅寸法、６Ｃ……欠けた端面、１１……金型、
１１Ａ……上型、１１Ｂ……下型、１２……空
間、１３……樹脂、２１……VTR用ダブルギヤ
ツプ消去ヘツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コイルと、該コイルに挿通されたセンターコア
   と、該センターコアに接合しているサイドコアと
   から成るフロントコアと、該フロントコアの前記
   接合部の反対側の面に取付けられているバツクコ
   アと、該バツクコアおよびフロントコアのバツク
   コア取付け部を覆い、その内側寸法が前記バツク
   コアおよびフロントコアのバツクコア取付け部の
   外形寸法に対して若干の締め代を持ちかつ一の端
   部を欠いた箱状の形状を持つ樹脂製のキヤツプと
   の外側に樹脂を形成して成るビデオテープレコー
   ダ用ダブルギヤツプ消去ヘツドにおいて、前記樹
   脂製のキヤツプに１個または２個以上の通孔を設
   けたことを特徴とするビデオテープレコーダ用ダ
   ブルギヤツプ消去ヘツド。