JPH0349442B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

加熱調理器具の表面に離型性を付与し、付着し
た調理物の洗浄、除去を容易にする目的でフツ素
樹脂等の耐熱性樹脂皮膜を形成させることは公知
である。ところがステンレスはこの種の樹脂との
密着性が悪く、調理器具の使用中に剥離するので
前記のような樹脂皮膜を形成することができなか
つた。 そこで本発明者らは、ステンレス製の調理器
具、例えば煮鍋、焼鍋、保温鍋、蒸鍋等の内外表
面に、密着性、とくに耐熱密着性にすぐれ、硬
度、耐摩耗性、汚染物の離脱性等にすぐれた樹脂
皮膜を形成する方法について研究し、本発明に至
つた。 本発明は、JIS B0601によるRmaxが90〜30ミ
クロン、Rzが70〜20ミクロン、Raが10〜２ミク
ロンの範囲の表面粗さに粗面加工されたステンレ
ス製加熱調理器具の調理表面に、ポリエーテルサ
ルホンまたはポリエーテルサルホンとフツ素樹脂
とを含む耐熱性塗料を焼付けてなるステンレス製
加熱調理器具に関する。 一般にステンレス製の調理器具に耐熱性を必要
とする皮膜を形成するための塗料樹脂としては、
シリコーン系、フツ素樹脂系、ポリエステル系が
主であるが、ポリエーテルサルホン系は硬度があ
り、傷が入りにくく、かつ塗装作業が容易である
等の利点である。しかしポリエーテルサルホンは
ステンレスに対して耐熱密着性が悪く、実用に至
つていない。そこでこの点を改良する目的で多数
の実験を重ねた結果、ステンレス表面をブラスト
処理するか、またはラセン加工処理によつて一定
範囲の表面粗さに粗面加工することにより解決し
得ることが判明した。 この場合、粗面の断面形状か複雑なほど密着性
がよく、最大高さRmax、10点平均粗さRzおよ
び中心線の平均素さRaのそれぞれが一定範囲内
にあることが重要であることがわかつた。すなわ
ちRmaxは90〜30ミクロン、Rzは70〜20ミクロ
ン、Raは10〜２ミクロンの範囲にあることが重
要である。このためサンドブラストまたはシヨツ
トブラスト処理により、またはラセン仕上げ加工
により、塗料を塗布しようとする面を粗面加工す
る。 ポリエーテルサルホンとしては、例えばICI社
のVICTREX PES 5003P，200−Ｐ，300−Ｐ等
を使用するとこができる。 ポリエーテルサルホンとフツ素樹脂を併用して
もよく、フツ素樹脂としてはポリ四フツ化エチレ
ン、例えばICI社のフルオンＬ−170，Ｌ−171等
を使用することができる。 塗料は無機顔料その他と添加剤を含有すること
ができ、ハケ、スプレー、流し塗り等の方法で粗
面加工した表面に乾燥膜厚として10〜20ミクロン
の厚さに塗装される。その後例えば350〜400℃で
20分間程度焼付ける。このようにして形成された
皮膜は耐熱密着性、硬度、耐汚染性等の性能にお
いてすぐれている。 実施例 ポリエーテルサルホン樹脂13.5重量部、無機顔
料（石原産業製、二酸化チタンＲ−820）10.0重
量部、沈降防止剤0.5重量部、溶剤75.0重量部よ
りなる塗料を、第１表および第２表に示した表面
処理した18−８ Ni−Cr鋼板に平均膜厚15±5μ
に塗布し、380℃で20分間焼付けた。このように
して得られた試験片を250℃／100Hr加熱して塗
膜の密着性をテストした。結果を第１表および第
２表に示す。

【表】

【表】

【表】 なお、第２表においてポリ四フツ化エチレン樹
脂のパウダーを塗料組成物に対し20重量％以下含
有させても耐熱密着性は変化しなかつた。 ステンレス製フライパンに本発明によつて樹脂
加工し、実用テストを行つたところ、３ケ月使用
後も密着性、硬度、耐汚染性等に異常は発見され
なかつた。また、樹脂皮膜を有しない加熱したス
テンレス板上に水滴を落下させると激しく水滴が
飛散するが、フツ素樹脂を含有するポリエーテル
サルホン塗料を施したステンレス板ではこのよう
な現象がなく、調理の際火傷等の危険がなく、安
全である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ JIS B0601におけるRmaxが90〜30ミクロ
   ン、Rzが70〜20ミクロン、Raが10〜２ミクロン
   の範囲の表面粗さに粗面加工されたステンレス製
   加熱調理器具の調理表面に、ポリエーテルサルホ
   ンまたはポリエーテサルホンとフツ素樹脂とを含
   む耐熱塗料を焼付けてなるステンレス製加熱調理
   器具。 ２ 粗面加工がラセン仕上げ加工である第１項記
   載のステンレス製加熱調理器具。