JPH0347505Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は両軸受リールのクラツチ機構に関す
る。

（従来の技術） 両軸受リールのクラツチ機構として、スプール
軸の軸芯に沿つてピニオンギヤを摺動させ、それ
によつてスプール軸とピニオンギヤを係脱し、ス
プールへの動力伝達を断続するようにしたものは
特公昭55−28667号公報に提案のものがある。

この特公昭55−28667号公報に記載の構成は、
クラツチをOFFにする場合クラツチがOFFとな
らない箇所が生じないようにするため長さを異に
した２枚の掛止片を用いているもので、それによ
つて無死点クラツチを完成している。

しかしながら、上記発明にあつては構造が複雑
化すると共に、部品点数も多く、組立て製作に手
数を要し、コスト高となる等の不具合を有してい
る。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上述した如き従来の事情に鑑み、部品
点数が少なく、構造簡単で無死点クラツチを構成
することにある。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するための本考案の技術的手
段は、クラツチOFFに切換え保持するために、
クラツチ摺動板に形成した取付片に切換バネを介
して逆止め歯車と係脱するクラツチ爪を連結し、
そのクラツチ爪は基板上に揺動自在に軸支すると
共に、クラツチ爪に形成した当接片をクラツチ摺
動板の二股片先端と衝合自在とする。

（作用） 逆止め歯車に対して係脱するクラツチ爪を基板
上に揺動自在に軸支すると共に、そのクラツチ爪
の一端はクラツチ摺動板と切換バネで連結され、
クラツチ爪の他端は基板とに渉り切換バネのバネ
力よりも小さな引張バネが張設されているため、
クラツチ摺動板を押し下げると切換バネのバネ力
でクラツチ爪は逆止め歯車と噛合する方向に回動
付勢され、クラツチOFFの状態が維持される。

そして、クラツチONとする時はハンドルを正
回転方向に回動して逆止め歯車を同方向に回転さ
せるクラツチ爪は外方へ押し出され、そのクラツ
チ爪の揺動により当接片がクラツチ摺動板の二股
片に衝合してクラツチ摺動板を押し上げ、クラツ
チバネの弾発力で元の状態に復帰される。この
時、クラツチ爪は逆止め歯車と係合し得ない状態
に回動位置される。即ちクラツチ爪の揺動による
引張バネと切換バネの張力バランスの変化によつ
て係脱状態が切換わる。

又、クラツチ摺動板を押し下げてクラツチ
OFFとした時、クラツチ爪の係合爪部が逆止め
歯車の歯上面に乗り上げた場合にはハンドルを正
方向に回動して逆止め歯車を回転させることによ
り係合爪部は逆止め歯車と噛合し、クラツチ
OFF状態を維持すると共に、ハンドルの回動に
よつてクラツチONとなる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基いて説明す
ると、両軸受リールは所定の間隔をおいて対峙さ
せた左右の側枠Ａ，Ｂと、その左右の側枠Ａ，Ｂ
間に回転可能に横架軸承されるスプール１、及び
一方の側枠Ａ内に収納したスプール１の駆動機構
とその駆動経路を継続するクラツチ機構、更にそ
の駆動機構を作動するハンドル２とで構成されて
いる。

側枠Ａ内に設けられる駆動装置はハンドル２と
一体回転するメインギヤ３、そのメインギヤ３と
噛合すると共に、スプール１のスプール軸１ａと
係脱するピニオンギヤ４とで構成され、この駆動
経路を継続するクラツチ機構はピニオンギヤ４を
係着保持した摺動カム５、その摺動カム５をスプ
ール軸１ａの軸芯方向に沿つて摺動させるクラツ
チ摺動板６、クラツチ摺動板６の戻りを防止する
クラツチ爪７、クラツチ爪７をクラツチ摺動板６
のスライドによつて揺動させる切換バネ８と引張
バネ９、クラツチ爪７を回動させる逆止め歯車１
０、及びクラツチ摺動板６を元の状態（クラツチ
ON）に復帰させるクラツチバネ１１によつて構
成されている。

以下、そのクラツチ機構を更に詳しく説明する
と、ピニオンギヤ４を一体的に係合支承した摺動
カム５はその左右両側を基板１２上に起設した支
持杆１３に上下動可能に嵌合され、且つその摺動
カム５上面と皿板１４との間にはコイルスプリン
グ１５が弾圧装着されて摺動カム５が常時下方へ
付勢、即ちピニオンギヤ４がスプール軸１ａと係
合する方向へ押圧付勢してある。

クラツチ摺動板６は金属平板を平面略Ｙ字形に
形成して直杆片６ｂの一側に二股片６ｃを分岐形
成し、直杆片６ｂの中程にはその長手方向に沿つ
て案内孔１６が開穿されて基板１２上に起立固定
してある案内孔１７に嵌合され、二股片６ｃには
適宜折り曲げて後方に至るに従い上向きに傾斜し
た突隆部２３が一体的に設けられると共に、二股
片６ｃは基板１２上に突設した案内部材１８ａ，
１８ｂ間に嵌合され、これによつてクラツチ摺動
板６の摺動方向が規制されており、更に基板１２
上に一端を係着したクラツチバネ１１の他端が係
着されてクラツチ摺動板６をクラツチONとする
方向に常時付勢するようになつている。

又、上記クラツチ摺動板６の二股片６ｃの外側
に取付片６ａが並列状となして一体に突出形成さ
れ、その取付片６ａの先部に切換バネ８を介して
クラツチ爪７が連結されている。

クラツチ爪７は金属平板を用いて平面略Ｌ字形
に形成され、その短辺７ａの側端外方に逆止め歯
車１０と係脱する係合爪部１８が一体に形成され
ると共に、該短辺７ａに沿つて長孔１９が開穿さ
れて基板１２に起立したピン２０に嵌合し、摺動
自在に支持される。

クラツチ爪７の短辺７ａにおける係合爪部１８
を形成した側と反対側には引張バネ９の一端が掛
着され、その引張バネ９の他端は基板１２に掛止
し、係合爪部１８を逆止め歯車１０より離反する
方向に付勢している。

更に、クラツチ爪７の短辺７ａと長辺７ｂとの
交叉部外面にはクラツチ摺動板６の二股片６ｃと
衝合してクラツチ摺動板６を押し上げる当接片２
１が折曲形成され、長辺７ｂの解放端と取付片６
ａとに渉つて切換バネ８が取付けられている。上
記切換バネ８と引張バネ９とのバネ力は切換バネ
８の方を引張バネ９よりも大なるように設定す
る。２２は逆止め爪で逆止め歯車１０と係合する
方向に押圧付勢されている。２４はクラツチ摺動
板６に取付けた操作ボタンである。

次にクラツチ機構のON、OFFについて説明す
ると、先ず第１図に図示せるクラツチONの状態
からクラツチOFFにする場合、クラツチ摺動板
６を押動すると二股片６ｃに形成した突隆部２３
がピニオンギヤ４を係着保持した摺動カム５をス
プール軸１ａの軸芯に沿つて上方へ押し上げ、ス
プール軸１ａとピニオンギヤ４の係合状態を解除
すると同時に、クラツチ摺動板６の取付片６ａに
切換バネ８で連結されたクラツチ爪７は該切換バ
ネ８の弾発力で係合爪部１８が逆止め歯車１０と
係合する方向に付勢され、クラツチ摺動板６の戻
りが阻止されてクラツチOFFの状態が維持され
る。（第３図参照） 上記のクラツチOFFをクラツチONに復帰させ
る時はハンドル２を正回転方向に回動し、逆止め
歯車１０を同方向（矢印方向）に回転させると、
逆止め歯車１０の歯部傾斜面がクラツチ爪７の係
合爪部１８に衝合して該クラツチ爪７を長孔１９
によつて当接片２１が二股片６ｃの先端を押し上
げる方向に揺動押し上げる。それによつてクラツ
チ爪７の係合爪部１８が逆止め歯車１０との係合
から外れると、該クラツチ爪７は切換バネ８の弾
発力及び引張バネ９の引張力によつて係合爪部１
８が逆止め歯車１０より離反した状態となる。

又、クラツチ爪７の揺動で押し上げられたクラ
ツチ摺動板６はクラツチバネ１１の弾発力によつ
て上方へ押し上げられてクラツチONの状態に戻
され、第２図の状態に復帰する。

又、クラツチ摺動板６を押動した時、クラツチ
爪７の係合爪部１８が逆止め歯車１０の歯部に乗
り上げた場合でも、該クラツチ爪７とクラツチ摺
動板６は切換バネで連結されているため、クラツ
チ摺動板６の押動は阻害されることなく行なわれ
てピニオンギヤ４はスプール軸１ａとの係合より
外され、クラツチOFFとなるが、クラツチ爪７
の係合爪部１８は逆止め歯車１０と係合していな
いため、クラツチ摺動板６の押動力を解除すると
クラツチバネ１１及び切換バネ８の弾発力でクラ
ツチ摺動板６は押し上げられてクラツチONの状
態に復帰されることになる。

しかしながら、上述のクラツチ摺動板６を押動
してピニオンギヤ４をスプール軸１ａとの係合よ
り外した時、クラツチ爪７の係合爪部１８が逆止
め歯車１０の歯部に乗り上つていても、ハンドル
２を正回転方向に僅か回動すると、逆止め歯車１
０は矢印方向に回転して係合爪部１８の乗り上げ
状態が解除されると共に、切換バネ８と引張バネ
９のバネ力の差によつてクラツチ爪７が矢印方向
に揺動され、係合爪部１８は逆止め歯車１０と係
合して第３図の如きクラツチOFFの状態が形成
維持される。尚、クラツチONへ戻す時は前述し
たと同様、ハンドルを正回転方向に回動すること
によつて可能である。

（考案の効果） 本考案の両軸受リールのクラツチ機構は以上詳
述した如く、クラツチ摺動板の先に逆止め歯車と
係脱するクラツチ爪を切換バネで連結すると共
に、そのクラツチ爪は更に切換バネのバネ力より
も弱い引張バネで揺動自在に取付けたものである
から、クラツチ摺動板を押動した時クラツチ爪の
係合爪部が逆止め歯車の歯部上に乗り上げた場合
でも、該クラツチ摺動板とクラツチ爪は切換バネ
で連結されているため、ピニオンギヤをスプール
軸との係合より外すクラツチ摺動板の摺動は何等
阻害されることなく行なわれ、クラツチOFFに
することが出来る。

しかも、クラツチ爪の係合爪部が逆止め歯車の
歯部に乗り上げた時はハンドルの正方向回動で逆
止め歯車が回転し、且つ切換バネと引張バネとの
バネ力の差でクラツチ爪が揺動されて係合爪部が
逆止め歯車と係合してクラツチOFFの状態維持
が確立される。

従つて、逆止め歯車と逆止め爪、或いはクラツ
チ爪との係合状態に関係なく、クラツチOFFに
することが出来るクラツチ機構を提供することが
出来る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は一部
切欠正面図、第２図は皿板を切欠して示すクラツ
チONの状態の側面図、第３図はクラツチOFFと
した状態の同側面図、第４図は逆止め歯車の歯部
上に逆止め爪が乗り上げた状態でクラツチOFF
とした同側面図、第５図は第２図の５−５線に沿
える拡大断面図である。 図中、１ａ：スプール軸、４：ピニオンギヤ、
５：摺動カム、６：クラツチ摺動板、７：クラツ
チ爪、８：切換バネ、９：引張バネ、１０：逆止
め歯車、１２：基板、１３：支持杆。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スプール軸に係脱するピニオンギヤを支持した
   摺動カムの左右両側を基板上に起立固着した支持
   杆に上下弾発動自在に取付け、その摺動カムの下
   面と基板との間に、前記摺動カムを軸芯方向に沿
   つて摺動させる突隆部を有したクラツチ摺動板を
   弾発摺動自在に取付けると共に、クラツチ摺動板
   の二股片と並列状となして取付片を一体に突出形
   成し、更に基板上には平面略Ｌ字形をなし一側部
   に逆止め歯車と係脱する係合爪部及び二股片先端
   と衝合する当接片を有したクラツチ爪を摺動自在
   に支持し、そのクラツチ爪の一端とクラツチ摺動
   板の取付片とを切換バネで連結し、クラツチ爪の
   他端は基板に一端を掛着した引張バネに掛合する
   と共に、切換バネのバネ力を引張バネよりも大な
   らしめたクラツチ機構。