JPH0346752Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば使い捨てタイプの注射器等の
医療廃棄物やラツト等の実験動物の屍骸を加熱滅
菌し、さらにそれを粉砕する廃棄物加熱滅菌粉砕
装置に関する。

（従来の技術） 例えば病院では、使い捨てタイプの注射器、点
滴用容器等が大量に使われ、廃棄されているが、
それら廃棄物による病原菌の感染を防ぐため、滅
菌処理し、また、そのままでは嵩張り、埋立地等
に投棄できないので、その容積を小さくする必要
がある。

そこで上記廃棄物を焼却したり、薬剤によつて
滅菌処理した後、粉砕することが考えられる。

（考案が解決しようとする課題） 上記焼却法では、悪臭発生による環境汚染の問
題が生じる。そして薬剤処理法では、使用済薬剤
の処理が困難であり、また滅菌処理した廃棄物を
再回収し、それを粉砕機等で粉砕しなくてはなら
ず、手間がかかるという問題がある。

本考案は、上記従来の問題点に鑑み、環境を汚
染することなく大量の廃棄物を完全に加熱滅菌す
ることができると共に、その加熱滅菌した廃棄物
をただちに粉砕できるようした廃棄物加熱滅菌粉
砕装置を提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するための本考案の構成を、
実施例に対応する第１図〜第３図を用いて説明す
ると、本考案は、廃棄物Ａを加熱滅菌するための
複数の加熱滅菌室２ａを互いに独立して配列して
なる加熱滅菌装置２と、廃棄物Ａを粉砕するため
の粉砕装置３とを有し、上記各加熱滅菌室２ａの
廃棄物排出口１３に底板１２を開閉駆動可能に設
けられると共に、各加熱滅菌室２ａから排出され
た廃棄物Ａを前記粉砕装置３まで搬送する廃棄物
搬送コンベア４を設けたものである。

（作用） 各加熱滅菌室２ａ内に投入された廃棄物Ａを所
定時間加熱して滅菌処理した後、底板１２を開動
して上記各加熱滅菌室２ａから廃棄物Ａを排出
し、その排出された廃棄物Ａを廃棄物搬送コンベ
ア４により粉砕装置３まで搬送し、該粉砕装置３
では、廃棄物Ａを小さく粉砕し、その粉砕廃棄物
Ａをそのまま埋立地などに投棄できるようにす
る。

（実施例） 第４図は本考案の一実施例たる廃棄物加熱滅菌
粉砕装置の全体図であつて、矩形箱状の外装ケー
シング１内の上部に、廃棄物Ａ（第１図参照）を
加熱滅菌するめたの加熱滅菌装置２を設けると共
に、その下部に、上記加熱滅菌装置２から排出さ
れた廃棄物Ａを粉砕装置３（第１図参照）まで搬
送するための廃棄物搬送コンベア４を設けてい
る。また前記外装ケーシング１の開口部５にはス
ライド式のシヤツター６が開閉自在に設けられて
いる。

第１図〜第３図に示すように、前記加熱滅菌装
置２には、矩形箱状の断熱ボツクス８と、該ボツ
クス８内に縦横に配設した断熱仕切壁９とで複数
の加熱滅菌室２ａが互いに独立して前後二列形成
されている。１０は各加熱滅菌室２ａの廃棄物供
給口１１に枢着された断熱材からなる上蓋であつ
て、この実施例では、その上蓋１０の開閉操作を
簡素化するため、隣接する二つの廃棄物供給口１
１，１１を一つの上蓋１０で閉鎖するようにして
いるが、各廃棄物供給口１１にそれぞれ上蓋１０
を独立して枢着してもよい。１２は上記各加熱滅
菌室２ａの廃棄物排出口１３に枢着された断熱材
からなる底板であつて、電動シリンダ１４で開閉
駆動される。

前記各加熱滅菌室２ａ内には、廃棄物Ａを加熱
滅菌するための一対のパネル状ヒータ１５，１５
が内壁面に沿つて対向配置されると共に、そのヒ
ータ１５，１５に廃棄物Ａが接触するのを防止す
るために接触防止枠１６が廃棄物供給口１１と廃
棄物排出口１３との間に設けられている。上記接
触防止枠１６の表面は、加熱滅菌室２ａ内の最高
温度（1000℃程度）に耐える耐熱性と、加熱によ
つて粘着性を増大した合成樹脂製廃棄物Ａでも容
易に剥離できる非粘着性とを有する被膜材料（例
えばシリコンゴム）でコーテイングされている。
なお前記底板１２の上面も同じ被膜材料でコーテ
イングされている。前記ヒータ１５としては、発
熱体としてニクロム線を用いた通常のヒータでも
よいが、廃棄物Ａの性状に応じて遠赤外線ヒータ
または近赤外線ヒータを用いることが好ましい。
例えば使用済み注射器等の医療廃棄物Ａを滅菌処
理する場合には、中間の空気層を加熱することな
く、廃棄物Ａを直接的に効率よくほぼ均等に加熱
することができる遠赤外線ヒータ用い、またラツ
ト等の実験動物の屍骸Ａを処理する場合には、
960℃程度まで高温加熱して水分を蒸発させ、粉
砕しやすいように乾燥することができる近赤外線
ヒータを用いることが好ましい。

第１図に示すように、１８は冷却フアンであつ
て、該フアン１８により給気ダクト１９を介して
前列側の加熱滅菌室２ａ内に供給された冷却空気
は、第２図および第３図に示すように、前記仕切
壁９に貫設した通気孔２０を介して後列側の加熱
滅菌室２ａ内にも流入し、各加熱滅菌室２ａ内で
加熱滅菌されることによつて軟化または液化した
廃棄物Ａを冷却して粉砕しやすいように硬化させ
る。また冷却後の空気は排気ダクト２１を介して
外装ケーシング１外に排出される。

第１図に示すように、前記粉砕装置３は、上部
に廃棄物投入口２４を有すると共に、下部に粉砕
排出口２５を有する円筒部２６と、該円筒部２６
を貫通して、その刃先がその円筒部２６内に突出
する一対の固定刃２７と、上記円筒部２６内に同
心状に配置され、駆動モータにより矢印方向へ回
転する回転駆動軸２８と、該回転駆動軸２８から
放射状に延びる複数の回転翼２９の先端部に上記
各固定刃２７に対向して固定した回転刃３０とか
ら構成され、外装ケーシング１の高さを低くする
ため、地下室２３内に配設されている。そして上
記廃棄物投入口２４から円筒部２６内に投入した
廃棄物Ａは回転駆動する回転刃３０と、それに対
向する固定刃２７とで粉砕され、その粉砕廃棄物
Ａは粉砕物排出口２５に配設したフイルタ３１を
通つて集塵ホツパー３２に一旦溜められた後、排
塵ダクト３３を介して排塵フアン３４により吸い
上げられ、地下の集塵箱３５に回収される。

第１図に示すように、前記廃棄物搬送コンベア
４として、この実施例では、スプロケツトホイー
ル３６間に巻回した一対のチエン３７，３７と、
該両チエン３７，３７間に架設した鋼製スラツト
３８と、該スラツト３８を矢印方向へ走行させる
ための減速機付き駆動モータ３９とからなるスラ
ツトコンベアが用いられ、高温状態の廃棄物Ａを
搬送し得るようになつている。なお第１図中、４
０は加熱滅菌装置を支持する機枠、４１は粉砕装
置３の廃棄物投入口２４に設けられた集塵カバー
である。

廃棄物Ａの加熱滅菌および粉砕の要領について
説明すると、第１図および第２図に実線で示すよ
うに、廃棄物Ａを入れた紙袋４２を各加熱滅菌室
２ａ内に投入し、所定のプログラムに従つてタイ
マー制御により、所定時間（例えば40分）加熱す
る。ここで例えば使用済み注射器等の医療廃棄物
Ａを滅菌処理する場合には、遠赤外線ヒータ１５
を用いることによつて、該廃棄物Ａが400℃程度
に加熱されて溶解し、それに付着する病原菌が完
全に死滅する。また例えばラツト等の実験動物の
屍骸Ａを処分する場合には、近赤外線ヒータ１５
を用いることによつて、それを960℃程度に加熱
して水分を蒸発させ、粉砕しやすいように乾燥す
ることができる。廃棄物Ａの加熱温度は熱電対な
どの温度検知器により検知され、所定温度範囲に
コントロールされる。

所定の加熱滅菌時間が経過すると、タイマー制
御によりヒータ１５への通電を停止し、冷却フア
ン１８を作動させて廃棄物Ａを冷却する。

廃棄物Ａの温度が設定値（例えば約70℃）まで
低下すると、その温度検知信号により電動シリン
ダ１４が作動し、底板１２を開動させて、第１図
および第２図に仮想線で示すように、各加熱滅菌
室２ａ内の廃棄物Ａが廃棄物搬送コンベア４上に
排出される。

該コンベア４により粉砕装置３内に投入された
廃棄物Ａは、回転刃３０と固定刃２７とで５分以
内に簡単に粉砕され、この粉砕廃棄物Ａは排塵フ
アン３４により吸い上げられて集塵箱３５に回収
される。

（考案の効果） 本考案によれば、加熱滅菌装置に複数の加熱滅
菌室を設けているので、大量の廃棄物を一度に加
熱滅菌処理することができる。またその大量の廃
棄物を各加熱滅菌室内に分散供給するようにして
いるから、廃棄物を少量ずつ加熱滅菌しているの
と同じ状態となり、廃棄物が大量であるにもかか
わらず、それをほぼ均等に加熱して完全に滅菌す
ることができる。

さらに加熱滅菌された廃棄物は廃棄物搬送コン
ベアにより粉砕装置に送られて粉砕されるように
なつているから、廃棄物の滅菌から粉砕までを連
続して効率的におこなうことができる。

そして上記加熱滅菌装置では、廃棄物を加熱し
て軟化または溶解させるだけで、焼却しないか
ら、悪臭などが発生せず、環境を悪化させること
がなく、また粉砕装置では、廃棄物を小さく粉砕
することから、その粉砕廃棄物をそのまま埋立地
などに投棄することができ、処理が容易であると
いう利点がある。

さらにまた本考案の実施例に示すように、廃棄
物加熱滅菌用ヒータとして遠赤外線ヒータを用い
た場合には、中間の空気層を加熱することなく、
使用済注射器等の医療廃棄物を直接的に効率よく
ほぼ均等に加熱することができ、また上記ヒータ
として近赤外線ヒータを用いた場合には、ラツト
等の実験動物の屍骸を960℃程度に加熱して水分
を蒸発させ、粉砕しやすいように乾燥して処理す
るため、衛生的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例たる廃棄物加熱滅菌
粉砕装置の縦断面図、第２図は同横断面図、第３
図は同水平断面図、第４図は同斜視図である。 ２……加熱滅菌装置、２ａ……加熱滅菌室、３
……粉砕装置、４……廃棄物搬送コンベア、１２
……底板、１３……廃棄物排出口、Ａ……廃棄
物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 廃棄物を加熱滅菌するための複数の加熱滅菌室
   を互いに独立して配列してなる加熱滅菌装置と、
   廃棄物を粉砕するための粉砕装置とを有し、上記
   各加熱滅菌室の廃棄物排出口に底板を開閉駆動可
   能に設けると共に、各加熱滅菌室から排出された
   廃棄物を前記粉砕装置まで搬送する廃棄物搬送コ
   ンベアを設けてなる廃棄物加熱滅菌粉砕装置。