JPH034466Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はコイン製造用プレス機に係り、特に高
速運転時に発生する振動及び騒音の改善に関する
ものである。

［従来の技術］ 一般にコイン製造用プレス機としては特開昭50
−77972号公報記載のものが知られている。

第５図及び第６図に示すように、ケーシングａ
内にクランク軸ｂが設けられ、これを駆動するモ
ータｃがケーシングａ上に設けられている。更に
ケーシングａ内には、その定置部ｄに下端部を連
結されたトグル伝動装置ｅが設けられ、この装置
ｅの上端部が伝動要素ｆに連結されている。そし
て、上記クランク軸ｂとトグル伝動装置ｅとは連
結棒ｇで連結されている。

上記伝動要素ｆは全体として２部分に分割され
ており、下部ｈは軸受部材ｉ、案内部材ｊ及びプ
ツシユロツドｋから成り、上部ｌはベースプレー
トｍ、オスダイスプレートｎ及びオスダイス受け
部材ｏから成つている。そして、オスダイス受け
部材ｏにオスダイスｐが設けられている。

上記ベースプレートｍはツバｑを有し、このツ
バｑはケーシングａの中空部ｒ内に配置されてい
る。そしてベースプレートｍは、ツバｑが中空部
ｒ内を動く範囲だけ上下動でき、最下点に位置す
る時に上記オスダイスｐの上面がテーブルｓ上面
と一致するように設定されている。

オスダイスｐの上方にはこれに対するエゼクタ
ダイスｔが設けられ、更にエゼクタ装置ｕが設け
られている。

以上のように構成されたプレス機は次のように
機能する。モータｃが作動されると、クランク軸
ｂが回転し、連結棒ｑ及びトグル伝動装置ｅを介
して伝動要素ｆを上下動させる。これにより、オ
スダイスｐがエゼクタダイスｔに圧接され、プレ
ス作業を行なう。

［考案が解決しようとする問題点］ ところで以上のような構造のプレス機にあつて
は、伝動要素ｆの下部ｈの動きは第４図中破線
（一部実線）で示すようにほぼ正弦曲線を成す。
このため、オスダイスｐの上下動の最下点Ａ（オ
スダイスｐ上面がテーブルｓ上面に一致する点）
で、伝動要素ｆの上部ｌはそのベースプレートｍ
のツバｑが中空部ｒ内底部に位置して下部ｈと分
離する。そして、この上部ｌは実線で示すように
最下点Ａで下方への運動が停止する。

プレス機の運転が高速になつてくると、伝動要
素ｆの上下台が激しくなる。そして、この伝動要
素ｆは、その下部ｈの上昇時に、Ｂ点でプツシユ
ロツドＫがベースプレートｍを激しく突き上げ、
上部ｌの下降時に、Ｃ点でベースプレートｍのツ
バｑがケーシングａの中空部ｒ内底部に衝突す
る。このためこれらの衝突による振動及び騒音が
激しくなる。プレス機の運転が更に高速になる
と、コイン素材や伝動要素ｆの上部ｌに踊り或は
跳ね上がりが生じて安定した運動が不可能になる
という問題があつた。

本考案は上記事情を考濾してなされたもので、
その目的とするところは、振動及び騒音等が少な
く安定した高速運転が可能なコイン製造用プレス
機を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記問題点を解決するために本考案のコイン製
造用プレス機は、上側から支持されコインをプレ
スすると共にプレスされたコインをこれより突き
出すエゼクタダイスと、コインを下側からプレス
すべく上下動するオスダイスと、このオスダイス
を囲繞するように設けられオスダイスの上面の上
下動範囲最下点にその上面が位置されたテーブル
と、このテーブル上に設けられコイン素材を上記
オスダイス上に移送する送り装置と、上記オスダ
イスの下側に位置されこのオスダイスの上下動を
支持すべくこれと一体に設けられたプツシユロツ
ドと、このプツシユロツドの下端と本体固定側と
を連結しこのプツシユロツドを介してオスダイス
を上方へ押し上げるトグル伝動装置と、上記オス
ダイスが上記テーブル上面位置とプレス時の最上
点位置間を正確にしかもスムーズで連続的に上下
動するようにその外周形状を成形すると共に上記
トグル伝動装置に直付けしこれを直接駆動するカ
ムと、このカムの外周形状に上記トグル伝動装置
が追従できるようにこのトグル伝動装置を上記カ
ム側へ付勢するためのカウンタバランスとを備え
て構成したものである。

［作用］ 以上のように構成されたコイン製造用プレス機
にあつては、カムが回転させると、このカムと接
しているトグル伝動装置が駆動され、プツシユロ
ツドを上下動させる。そして、このプツシユロツ
ドに一体に設けられたオスダイスが上下動し、エ
ゼクタダイスと伴つてコインを連続的にプレスす
る。

この時、トグル伝動装置はカムに直付けされる
と共にカウンタバランスによつて付勢されている
ためカムの外周形状を正確に追従する。更に、オ
スダイスはプツシユロツドと一体に設けられてい
るためトグル伝動装置の動きを正確に伝える。そ
して、オスダイスは、カムの外周形状によりテー
ブル上面とプレス時の最上点とを最小限のストロ
ークで、しかもスムーズで連続的に上下動する。

以上により、本考案のプレス機は振動及び騒音
が少なく安定した高速運転が可能となる。

［実施例］ 以下に本考案の一実施例を添付図面に従つて説
明する。

第１図に示すようにケーシング１内にベルト車
２が設けられ、これにカム３が取り付けられてい
る。４は電動機であり、ベルト車２とベルト５で
連結されている。更にケーシング１内には一端を
本体固定側６に軸支され、他端をプツシユロツド
７に軸支されたトグル伝動装置８が設けられ、カ
ム３と間に何も介さず直に接するように構成され
ている。プツシユロツド７はその外周をケーシン
グ１に支持され、上下動自在に設けられている。
そして、このプツシユロツド７の上端にオスダイ
ス９が取り付けられている。トグル伝動装置８下
部には、本体固定側６に軸支された部分にブラケ
ツト１０が設けられ、このブラケツト１０と本体
固定側６との間にカウンタバランス１１が設けら
れている。これはカム３が高速で回転しても、ト
グル伝動装置８がカム３の外周形状を正確に追従
できるようにトグル伝動装置８をカム３側へ付勢
するためである。更にプツシユロツド７に設けら
れた係止穴１２にもカウンタバランス１３が設け
られる。このカウンタバランス１３は第２図に示
すようにロツド１４の両端に二つのシリンダ１
５，１６が取り付けられて構成されている。そし
て、このカウンタバランス１３のロツド１４がプ
ツシユロツド７の係止穴１２に係止されてボルト
１７で固定され、シリンダ１５，１６側がケーシ
ング１側に固定されることで、プツシユロツド７
を下方へ付勢し、結果的にトグル伝動装置８をカ
ム３側へ付勢する。

尚、カウンタバランス１１，１３に付勢力を生
じさせる手段として本実施例では油圧を利用して
いる。この油圧供給手段は、電動機４によつて駆
動される油ポンプ１８と、この油ポンプ１８と二
つのカウンタバランス１１，１３とを連通するパ
イプ（図示せず）と、油ポンプ１８からカウンタ
バランス１１，１３への油圧の供給をカム３の回
転に同期させて制御するチエツクバルブ等の制御
装置（図示せず）とから構成されている。

ケーシング１の上側には、上記オスダイス９を
囲繞するようにテーブル１９が設けられ、このテ
ーブル１９上に、オスダイス９の直上までコイン
素材を送る送り装置２０が設けられている。更
に、この送り装置２０に連通して、送り装置２０
へコイン素材を投入する投入管２１、この投入管
２１へ一定量のコイン素材を供給するパーツフイ
ーダ２２及びこのパーツフイーダ２２へコイン素
材を投入するホツパ２３が設けられている。尚、
上記送り装置２０はそのスプロケツト２４が上記
カム３のシヤフト２５にチエンイン２６で連結さ
れ、カム３と同期して駆動されるようになつてい
る。

上記トグル伝動装置８上方には、プレスフレー
ム２７がケーシング１と一体に設けられ、このフ
レーム２７内部に、プレスされたコインをテーブ
ル１９上に突き出すエゼクタ装置２８が設けられ
ている。このエゼクタ装置２８は主に、上記カム
３のシヤフト２５とチエイン２９で連結され、カ
ム３と同期して駆動されるエゼクタカム３０と、
エゼクタカム３０の外周形状に追従して上下動す
るローラ３１と、このローラ３１の上下動を伝え
るロツド３２と、ロツド３２に連結して設けられ
上記オスダイス９からの衝撃を緩衝する緩衝部材
３３とから構成されている。更に緩衝部材３３に
は、上記オスダイス９と伴つてコインをプレスす
るエゼクタダイス３４が設けられ、このエゼクタ
ダイス３４を囲繞して、プレス時にコインの周側
部を形成するリングツバ３５がプレスフレーム２
７側に固定して設けられている。尚、３６，３７
はテンシヨナである。

上記カム３の外周形状は、プツシユロツド７に
固定されたオスダイス９の上面が、テーブル１９
の上面と、コイン素材を下側からプレスする時の
最上点との間を滑らかに上下動するように形成さ
れている。

次に本実施例の作用について述べる。

電動機４が駆動されるとカム３が回転し、トグ
ル伝動装置８が駆動される。これによりプツシユ
ロツド７が上下動する。一方、カム３に連結され
て上記プツシユロツド７の上下動に同期した送り
装置２０がコイン素材をオスダイス９上に移送す
る。次いで、プツシユロツド７が上方へ移動し、
オスダイス９がコイン素材を押し上げ、エゼクタ
ダイス３４に押圧してコインをプレス製造する。
そして、プレス製造されたコインはカム３に連結
されたエゼクタ装置２８によつてリングツバ３５
内から突き出され、送り装置２０により移送され
る。

この時、上記オスダイス９の上下動は、カム３
の外周形状によつて第３図のようにストローク曲
線が滑らかになり、「考案が解決しようとする問
題点」で説明した第４図中のＢ点及びＣ点のよう
な急激な変化がなくなる。このためオスダイス９
の上下動がスムーズになる。更にトグル伝動装置
８をカウンタバランス１１，１３で付勢してカム
３の外周形状を正確に追従できるようにしたの
で、オスダイス９は必要最小限のストロークを無
駄なく滑らかに上下動する。しかも、カム３をト
グル伝動装置８に直付けにしたので所定のストロ
ークを正確に上下動する。この結果、振動及び騒
音が低減し、更にコイン素材の踊りや跳ね上げが
なくなり、プレス機の安定した高速運転が可能と
なる。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば次のような効果を
発揮する。

オスダイスをプツシユロツドと一体に設けると
共にカムの外周形状を、オイダイスが最小限のス
トロークを無駄なく滑らかに上下動するように成
形し、更にトグル伝動装置をカムにより直に駆動
させ、トグル伝動装置がカムの外周形状を正確に
追従できるようにカウンタバランスによつて付勢
したので、振動及び騒音が低減し、更にコイン素
材の踊りや跳ね上げがなくなつて、プレス機の安
定した高速運動が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のコイン製造用プレス機を示す
側断面図、第２図はカウンタバランスを示す側面
図、第３図は本考案のコイン製造用プレス機のオ
スダイスの上下動を示すグラフ、第４図は従来の
コイン製造用プレス機のオスダイスの上下動を示
すグラフ、第５図は従来のコイン製造用プレス機
を示す側断面図、第６図は第５図の要部拡大図で
ある。 図中、３はカム、７はプツシユロツド、８はト
グル伝動装置、９はオスダイス、１１，１３はカ
ウンタバランス、１９はテーブル、２０は送り装
置、３４はエゼクタダイスである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上側から支持されコインをプレスすると共にプ
   レスされたコインをこれより突き出すエゼクタダ
   イスと、コインを下側からプレスすべく上下動す
   るオスダイスと、該オスダイスを囲繞するように
   設けられオスダイスの上面の上下動範囲最下点に
   その上面が位置されたテーブルと、該テーブル上
   に設けられコイン素材を上記オスダイス上に移送
   する送り装置と、上記オスダイスの下側に位置さ
   れこのオスダイスの上下動を支持すべくこれと一
   体に設けられたプツシユロツドと、該プツシユロ
   ツドの下端と本体固定側とを連結しこのプツシユ
   ロツドを介してオスダイスを上方へ押し上げるト
   グル伝動装置と、上記オスダイスが上記テーブル
   上面位置とプレス時の最上点位置間を正確にしか
   もスムーズで連続的に上下動するようにその外周
   形状を成形すると共に上記トグル伝動装置に直付
   けしこれを直接駆動するカムと、該カムの外周形
   状に上記トグル伝動装置が追従できるようにこの
   トグル伝動装置を上記カム側へ付勢するためのカ
   ウンタバランスとを備えたことを特徴とするコイ
   ン製造用プレス機。