JPH0343280Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、屋内の壁や天井等に貼る壁紙、ま
たはふすま紙、装飾用加工紙など紙類の裏面に糊
を塗布するための紙用糊付機に関し、特に短く切
断された紙を１枚ずつ間欠的に送り込んで糊付け
するのに適したものである。

（従来の技術） 壁紙糊付機として、糊箱に取付けた糊付ローラ
の壁紙供給側に送り込みローラ（供給ローラ）
を、反対の送り出し側に押さえローラおよびなら
しローラを配設し、壁紙を送り込みローラの下
側、糊付ローラの上側、押さえローラの下側およ
びならしローラの上側へ順に通し、送り込みロー
ラと押さえローラによつて壁紙の裏面を糊付ロー
ラの上面に圧接し、壁紙を引出すことによつてそ
の裏面に糊付ローラ表面の糊を転写し、この糊を
ならしローラで均一な厚みにならすようにしたも
のが使用されている（例えば、実公昭59−25507
号公報参照）。そして、従来は、長尺の壁紙の糊
付け開始に際して仕掛けを容易にするため、糊箱
に糊付ローラおよびならしローラを取付け、糊箱
の前縁にヒンジ連結した上部枠に送り込みローラ
および押さえローラを取付け、この上部枠を上方
へ開いた状態で糊箱上の糊付ローラおよびならし
ローラの上に長尺の壁紙の先端部を乗せ、しかる
のち上部枠を閉じて壁紙の上に送り込みローラお
よび押さえローラを降ろすようにしていた。

（考案が解決しようとする問題点） 従来の壁紙糊付機は、送り込みローラおよび押
さえローラを取付けた上部枠を糊箱に対して開閉
自在に設けていたので、長尺の壁紙を糊付けする
場合はとも角、長さ２〜3mの短尺の壁紙を糊付
けする場合には、壁紙１枚ごとに上部枠の開閉が
必要になつて作業が面倒で、能率が低下すると共
に、壁紙の先端部に糊付けのされない部分が生
じ、この部分を手作業で修正しなければならない
という問題があつた。

この考案は、あらかじめ必要長さに切断された
短尺の壁紙、ふすま紙、装飾用加工紙等の紙類を
糊付けするに当り、１枚ごとに上部枠を開閉する
必要がなく、極めて能率的に糊付けを行なうこと
のできる紙用糊付機を提供する。

（問題点を解決するための手段） 糊付ローラの紙供給側に上下１対の供給ローラ
を、上記糊付ローラの紙送出し側に送出しガイド
ローラを、上記糊付ローラの上方に第１押さえロ
ーラを、この第１押さえローラの紙送出し側に第
２押さえローラをそれぞれ設け、これらのローラ
中の上部供給ローラ、糊付ローラ、送出しガイド
ローラ、第１押さえローラおよび第２押さえロー
ラの表面に被加工紙の幅よりも狭い間隔で複数本
の紐掛け溝をそれぞれ周方向に設け、上部供給ロ
ーラおよび第１押さえローラの紐掛け溝間、糊付
ローラおよび送出しガイドローラの紐掛け溝間、
並びに第１押さえローラおよび第２押さえローラ
の紐掛け溝間にそれぞれ無端の紐ベルトを巻掛
け、上下の紐ベルト間に被加工紙の通路を形成す
る。

（作用） 上下１対の供給ローラのニツプ部に壁紙その他
の紙を、その裏面を下に向けて供給すると、供給
ローラの回転によつて上記壁紙の先端が前送りさ
れ、この紙の先端が上部供給ローラおよび第１押
さえローラ間の紐ベルトによつて浮き上がりを押
さえられながら糊付ローラと第１押さえローラの
ニツプ部に送り込まれ、更に上下の紐ベルト間に
挟まれて前送りされ、このとき紙の裏面に糊付ロ
ーラ上の糊が転写され、この糊付けされた紙が紙
送出し側で第２押さえローラと送出し側ガイドロ
ーラとの間から取り出される。上記の紙が糊付ロ
ーラの上面に接し、その裏面に糊が付着して湿潤
すると、紙が上方へくれ上がろうとするが、糊付
けされた紙は上下の紐ベルト間に挟まれて運ばれ
るので、上記のまくれ上がりや下向きの垂れ下が
りが防止される。

（実施例） 図面において、１は糊箱、２は糊付ローラであ
り、この糊付ローラ２の軸２ａは、糊箱１の側壁
に固定された軸受（図示されていない）に回転自
在に支持され、下方の中間歯車３を含む伝動機構
を介してモータ駆動により反時計方向（矢印ａ方
向）に回転する。この糊付ローラ２は、アルミニ
ウム製で、表面に周方向の細い筋溝を多数本、密
に有し、かつ紐ベルト４ａ用の複数本の紐掛け溝
２ｂを等間隔に備えている。

上記糊付ローラ２の前面（図の右側）に位置す
るドクタローラ５は、偏心位置に支軸５ａを有
し、この支軸５ａに固定したドクタアーム６を回
すことにより糊付ローラ２との間の隙間量を調節
し、糊付ローラ２上の糊膜の厚さを加減するよう
になつている。

上記糊付ローラ２の頂部の前方、紙供給側に上
下１対の供給ローラ７，８が設けられる。上部ロ
ーラ７は、表面平滑なアルミニウム製ローラであ
り、上記糊付ローラ２と同様に紐ベルト４ｂ用の
複数本の紐掛け溝７ａを有し、糊付ローラ軸２ａ
上の歯車から一連の歯車９ａ，９ｂ，９ｃを介し
て駆動され、時計方向（矢印ｂ方向）に回転す
る。また、下部ローラ８は、表面がゴムで被覆さ
れたゴムローラであり、上部ローラ７に密接して
いる。

糊付ローラ２の後方、紙送出し側に位置する送
出しガイドローラ１０は、表面平滑なアルミニウ
ム製ローラであり、その表面に糊付ローラ２の紐
掛け溝２ｂに比べて約２倍の数の紐掛け溝１０ａ
を有し、その約半数の紐掛け溝１０ａおよび糊付
ローラ２の紐掛け溝２ｂ間に丸紐からなる無端の
第２紐ベルト４ａが巻掛けられる。

糊付ローラ２の上方後寄りに第１押さえローラ
１１が、またその後方、上記送出しガイドローラ
１０の上方前寄りに第２押さえローラ１２が、ま
たこの第２押さえローラ１２の後方、上記送出し
ガイドローラ１０の上方後寄りにならしローラ１
３がそれぞれ回転自在に支持される。上記の第１
押さえローラ１１、第２押さえローラ１２および
ならしローラ１３は、いずれも表面に軸方向の筋
溝を密に有するアルミニウム製ローラである。第
１押さえローラ１１は、上部供給ローラ７の紐掛
け溝７ａの約２倍の本数の紐掛け溝１１ａを有
し、これらの紐掛け溝７ａ，１１ａ間に無端の第
２紐ベルト４ｂが巻掛けられ、第１押さえローラ
１１の残りの紐掛け溝１１ａと第２押さえローラ
１２の紐掛け溝１２ａ間に無端の第３ベルト４ｃ
が巻掛けられ、送出しガイドローラ１０の残りの
紐掛け溝１０ａおよびならしローラ１３の紐掛け
溝１３ａ間に無端の第４紐ベルト４ｄが巻掛けら
れる。なお、第２押さえローラ１２は、第１押さ
えローラ１１よりも低い位置に設けられ、第３紐
ベルト４ｃが第２紐ベルト４ｂに対して下向きに
屈曲し、壁紙Ｓに糊付ローラ２に対する接触角度
を与えている。

そして、上下１対の供給ローラ７，８のニツプ
部前方に上面平滑なガイドプレート１４が設けら
れ、上部供給ローラ７、第１押さえローラ１１お
よび第２押さえローラ１２の上方にこれらを覆う
カバープレート１５が設けられる。なお、このカ
バープレート１５は、前方の紙供給側部分および
後方の紙送出し側部分がそれぞれ下方に曲げら
れ、その前縁１５ａがガイドプレート１４と若干
の隙間を保つて供給ローラ７，８のニツプ部前方
に位置し、その後縁１５ｂが第２押さえローラ１
２とならしローラ１３の中間を向いている。

上記の構造において、糊箱１に糊液Ｗを入れ、
下方のモータを駆動すると、糊付ローラ２が矢印
ａ方向に回転し、糊付ローラ２からの歯車伝動に
よつて上部供給ローラ７が矢印ｂ方向に回転し、
上部供給ローラ７からの紐ベルト伝動によつて第
１押さえローラ１１および第２押さえローラ１２
がそれぞれ矢印ｃ方向に回転し、糊付ローラ２か
らの紐ベルト伝動によつて送出しガイドローラ１
０およびならしローラ１３がそれぞれ矢印ｄ方向
に回転する。そして、ガイドプレート１４の上面
に沿つて壁紙Ｓを矢印ｐ方向に摺動させてガイド
プレート１４とカバープレト１５の前縁１５ａ間
の隙間に挿入すると、壁紙Ｓの先端が上下の供給
ローラ７，８にニツプされて前方へ送られ、糊付
ローラ２の上面、第１紐ベルト４ａと第３紐ベル
ト４ｃとの間、第２押さえローラ１２と第４紐ベ
ルト４ｄとの間、およびならしローラ１３とカバ
ープレート１５の後縁１５ｂとの間を順に通つて
取り出され、その間に壁紙Ｓの裏面が糊付ローラ
２によつて糊付けされ、ならしローラ１３によつ
てならされる。

この実施例は、第１押さえローラ１１を上部供
給ローラ７から紐ベルト４ｃを介して駆動するの
で、この紐ベルト４ｃによつて壁紙Ｓの浮き上が
りが有効に防止される。また、送り出しガイドロ
ーラ１０の上方後寄りにならしローラ１３を設
け、これを紐ベルト４ｄで駆動したので、壁紙Ｓ
が上向きに方向を円滑に変えて壁紙Ｓの糊付面が
均一にならされる。この場合は、糊付ローラ２、
送出しガイドローラ１０およびならしローラ１３
の周速度を供給ローラ７，８、第１押さえローラ
１１および第２押さえローラ１２の周速度に比べ
て若干大きく、例えば供給ローラ７の周速度を
9.1m／分、糊付ローラ２およびならしローラ１
３の周速度を12m／分に設定すると、糊塗布面の
ならしが一層有効に行なわれる。また、この実施
例は、上方にカバープレート１５を設け、壁紙Ｓ
の送出部上方に湾曲部を形成したので、糊付けさ
れた壁紙を上記の湾曲部が曲げて矢印Ｑで示すよ
うに前方の供給側に引出すことができ、そのため
糊付機の手前の供給側に立つた作業員が壁紙を供
給し、糊付けされた壁紙Ｓを手前に引取ることが
できる。

（考案の効果） この考案は、供給ローラのニツプ部に壁紙その
他紙類を入れると、この紙がその浮き上がりと紐
ベルトで押さえられながら自動的に糊付ローラ上
面に運ばれて糊付けされ、第１押さえローラおよ
び第２押さえローラに巻掛けられた紐ベルトと、
糊付ローラおよび送出しガイドローラに巻掛けら
れた紐ベルトとの間を、これらに案内されて前送
りされ、その端部から送り出されるので、糊付け
された紙が円滑に取り出され、短尺の紙を極めて
能率よく糊付けすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例の縦断面図である。 １……糊箱、２……糊付ローラ、２ｂ，７ａ，
１０ａ，１１ａ，１２ａ，１３ａ……紐掛け溝、
４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ……紐ベルト、５……ド
クタローラ、７，８……供給ローラ、１０……送
出し側ガイドローラ、１１……第１押さえロー
ラ、１２……第２押さえローラ、１３……ならし
ローラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 糊付ローラの紙供給側に上下１対の供給ローラ
   を、上記糊付ローラの紙送出し側に送出しガイド
   ローラを、上記ローラ糊付の上方に第１押さえロ
   ーラを、この第１押さえローラの紙送出し側に第
   ２押さえローラをそれぞれ設け、これらのローラ
   中の上部供給ローラ、糊付ローラ、送出しガイド
   ローラ、第１押さえローラおよび第２押さえロー
   ラの表面に被加工紙の幅よりも狭い間隔で複数本
   の紐掛け溝をそれぞれ周方向に設け、上部供給ロ
   ーラおよび第１押さえローラの紐掛け溝間、糊付
   ローラおよび送出しガイドローラの紐掛け溝間、
   並びに第１押さえローラおよび第２押さえローラ
   の紐掛け溝間にそれぞれ無端の紐ベルトを巻掛
   け、上下の紐ベルト間に被加工紙の通路を形成し
   たことを特徴とする紙用糊付機。