JPH0341719Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、腎不全等の治療に用いる体外血液
回路の側注管に関するものである。

〔考案の背景〕

腎不全患者の治療に人工透析を適用する場合、
体外血液回路を用いる。第４図に示すように、体
外血液回路１０１は患者１０２の動脈から体外に
取り出した血液を、血液ポンプ１０３→ドリツプ
チヤンバー１０４（動脈側）→透析装置１０５→
ドリツプチヤンバー（静脈側）の順に送つて静脈
内に戻す導液チユーブ１０７からなつている。通
称Ｔ管と称される側注管１は採血や薬剤の注入、
流速計測のための気泡注入を行うために、この体
外血液回路１０１に取付けるものである。

この側注管は、両端が体外血液回路の導液チユ
ーブと連通する管主体の上壁に立管を設け、該立
管内に充填した液密充填材を頭部に開口を有する
キヤツプで封止したものである。該キヤツプの開
口から注射針を充填材に穿入して本管内の血液を
採取したり、薬剤を注入したりできるので、側注
管は体外血液回路を使用する治療行為になくては
ならないものである。

ところが、従来の側注管には透析の前後及び透
析中に採血や薬剤注入を繰り返すうちに、前記充
填材が注射器の針で穴だらけになり、液漏れや空
気流入を引き起こしてしまうという重大な問題点
があつた。これは、円筒状側管の直径が本管の内
径に制約されているため、キヤツプ開口の直径が
４mm程度と比較的小さく、注射針を刺し得る面積
が限定されているにもかかわらず、注射針の直径
が約１mmと太く、しかも注射針を穿入する回数が
多くなるのを治療上避けられないことによつてい
る。このため、体外血液回路に側注管を複数個取
付けるといつた方法も考えられるが、取付け部品
の点数が増えるために血液凝固反応の発生を引き
起こし易くする上、コスト上昇につながるなどの
問題点を有していた。

〔考案の目的〕

この考案は、上記の問題点を解消するためのも
ので、キヤツプ開口の注射針を刺し得る面積が広
く、しかも部品点数の少ない側注管を提供するこ
とを目的としている。

〔考案の構成〕

上記目的を達成するため、この考案は両端が体
外血液回路の導液チユーブと連通する管主体の上
壁に立管を設け、該立管内に充填した液密充填材
を頭部に開口を有するキヤツプで封止してなる側
注管において、前記立管の少なくとも内周を長円
にし、かつその長軸を挟む対向壁の少なくとも一
方に山形状リブを設けるように構成したものであ
る。

〔実施例〕

以下、この考案の側注管を添付図面に示す一実
施例によつて説明する。

第１図において、１は側注管本体、２は管主体
である。該管主体２は両端が体外血液回路１０１
の導液チユーブ１０７と連通させることにより、
体外血液回路１０１の一部をなす導液管である。

３は前記したように、管主体２内の血液を採血
したり薬剤を注入したりするための立管で、該立
管３は管主体２と一体に成形されたプラスチツク
管からなつている。該立管３の断面形状は、第２
図ａに示すように長軸を挟む側の対向壁中央部に
リブ４，４を有する長円となつており、その断面
積は従来の立管（断面形状が円であるもの）に比
しておよそ２倍となつている。該４リブ４，４の
断面形状は両側が該長円の円弧の一部をなす断面
山形であるが、その形状は滑らかな台形や瘤状で
あつてもよい。但し、該リブ４，４は立管３内に
充填材を圧入したときに、該充填材を圧縮して液
漏れを防止するためのものであるから、該充填材
を十分に押圧し得る高さと、空隙のでき難い滑ら
かな形状変化を有するものでなくてはならない。

３１は上記立管３の外側下方に周設された周リ
ブである。該周リブ３１は後述するキヤツプの溝
部と係合してキヤツプを固定するためのものであ
る。５は立管３内に圧入されて、その内部を液密
に密閉する充填材である。該充填材５はシリコー
ン製（またはゴム）で、上部が小判型の平板５
１、下部が長円柱５２で構成されている。該平板
５１は、その下面が前記立管３の上面と液密に接
して、前記管主体２内からの液漏れを防止する。
一方、長円柱５２は長辺側の側面が適度な傾斜を
有し、縦断面形状が台形となつている。このた
め、長円柱５２を前記立管３内に圧入する際、圧
入開始時は比較的小さな力で押し入れられるが、
圧入が進むと前記リブ４によつて両側を押圧され
て変形し、最終的には立管３内全体を液密に充填
するようになつている。

６は充填材５による立管３の液密充填状態を保
持するためのキヤツプである。該キヤツプ６は前
記平板５１よりひと回り小さい略楕円の開口を有
しており、前記立管３の上方に被せて押圧する
と、平板５１の外周部を押圧して充填材５を封止
する。６１はキヤツプ６の内面に周設された溝
で、キヤツプ６を前記平板５１の弾性に抗して押
圧すると、前記周リブ３１と溝６１が係合して、
キヤツプ６を係止できるようになつている。ま
た、溶材等で接着してもよい。

なお、立管３の断面形状を３つの連なる円のよ
うな長円とし、その断面積が従来の約３倍となる
ようにしてもよい（第２図ｂ）。

次に、この考案の作用について述べる。

まず、充填材５を立管３内に押し込み、キヤツ
プ６で加圧しながら周リブ３１と溝６１を係合さ
せて充填材５を封止する。すると、リブ４，４は
充填材５を両側から押圧して、充填材５を２本の
円柱が連なつた形に変形させる。この時、立管３
の内壁及びリブ４，４からの押圧力は、第２図ａ
に示すように、２つの中心点のいずれかに向かう
から、充填材５は略均一な圧縮力を受けた状態に
なる。このため、充填材５に注射針を穿入した後
引き抜いても、穿入孔は充填材５の変形によつて
速やかに防ぐことができる。

次に、この状態にセツトされた側注管１を体外
血液回路１０１内に組み込み、管主体２を導液チ
ユーブに連通すると、管主体２には血液が流入し
て体外血液回路１０１の一部を構成する。キヤツ
プ６の開口から充填材５に注射針を穿入させれ
ば、管主体２内の血液を採取したり、逆に薬剤を
血液に注入したりすることができる。ここで、キ
ヤツプ６の開口の面積、即ち、注射針の穿入可能
な面積は、従来の円筒状立管（断面が円形）のキ
ヤツプの開口に比して約２倍となつており、耐久
性が向上し、針が穿入し易くなつている。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案は両端が体外血
液回路の導液チユーブと連通する管主体の上壁に
立管を設け、該立管内に充填した液密充填材を頭
部に開口を有するキヤツプで封止してなる側注管
において、前記立管の少なくとも内周を長円に
し、かつその長軸を挟む対向壁の少なくとも一方
に山形状リブを設けたことを特徴としているか
ら、立管内の充填材の上面及びキヤツプの開口の
面積を、従来の円筒形状立管の約２倍以上にする
ことができる。このため、注射針の穿入し易さが
格段に向上する。さらに、注射針の繰り返し穿入
によつて充填材が痛む度合が従来の半分となるか
ら、側注管としての機能寿命は２倍以上になる。
しかも、部品点数は従来の側注管と同じである
か、少なくなるので、血液凝固の可能性やコスト
は従来以下で済む。従つて、人工透析時の検査や
治療をキメ細かいものにすることができ、医療行
為の安全性向上と精度向上に寄与するという優れ
た効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は側注管の全体斜視図、第２図ａ，ｂは
側管部の横断面図、第３図は側注管の縦断面図、
第４図は体外血液回路の模式図である。 １……側注管、２……管主体、３……立管、４
……山形状リブ、５……充填材、６……キヤツ
プ、１０１……体外血液回路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 両端が体外血液回路の導液チユーブと連通す
   る管主体の上壁に立管を設け、該立管内に充填
   した液密充填材を頭部に開口を有するキヤツプ
   で封止してなる側注管において、前記立管の少
   なくとも内周を長円にし、かつその長軸を挟む
   対向壁の少なくとも一方に山形状リブを設けた
   ことを特徴とする側注管。 (2) 前記山形状リブが、前記長円の円弧と滑らか
   に連続しているものである実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の側注管。 (3) 前記山形状リブが、互いに対向して前記対向
   壁にそれぞれ設けられている実用新案登録請求
   の範囲第１項または第２項記載の側注管。