JPH034118B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は原子力発電所等で廃棄された原子炉
（核分裂反応装置）の廃止措置工法に関するもの
である。

＜イ＞ 発明の目的 ［産業上の利用分野］ 原子力産業 ［従来の技術］ 原子炉中の核分裂反応により生じる熱エネルギ
ーを利用して発電する原子力発電所の建設が進ん
でいるが、原子力発電所の運転終了に伴い、廃棄
された原子炉の廃止措置が大きな課題となつてい
る。

現在、原子炉の廃止措置方法は、国際的に見て (1) 密閉管理方法 (2) 遮蔽による方法 (3) 解体撤去による方法 の三方法が存在し、これらの三方法の選択は諸条
件に応じて決定されている。

我が国の場合、国土が狭い等の理由から撤去後
の跡地利用を含め(3)の解体撤去による方法の研究
が進められている。

［本発明が解決しようとする問題点］ 上記(3)の廃止措置方法に関して次のような問題
が存在する。

<1> 解体によつて放射性廃棄物が大量に発生
し、人体および周囲の環境に与える影響が大き
い。

<2> 解体によつて発生する放射性廃棄物の処
理が必要になる。

<3> 解体作業以前にたくさんの施設に対して
除染が必要になる。

<4> 作業員の被爆に対しては特に十分な配慮
を必要とする。

<5> 解体作業を行う特殊機械の開発が必要で
ある。

［本発明の目的］ 本発明は以上のような問題を解決するために成
されたもので、原子炉の廃止措置作業中に放射性
廃棄物の発生を防止して、作業の安全性、廃棄物
の処理の安全性、環境への影響が少ない原子炉の
廃止措置工法を提供をすることを目的とする。

＜ロ＞ 発明の構成 ［問題点を解決するための手段］ 本発明は原子炉格納施設全体を解体せずに、原
子炉格納施設を支持する地盤を掘削排土すること
によつて原子炉格納施設を地中に所定の深さまで
沈設し、放射性廃棄物を収容した原子炉格納施設
内にコンクリート等を充填して放射性廃棄物を放
射能洩れを防止した状態で確実に封入した後、埋
戻しを行つて埋設する工法である。

以下図面を参照しながら本発明の廃止措置工法
について説明する。

(1) 支持地盤の掘削（立坑の構築） 第１図に於いて１は内部に原子炉２を収納す
るドーム型の原子炉格納施設である。

まず、原子炉格納施設を他の構造物と縁切り
した後、この原子炉格納施設１の基盤１１を支
持する地盤Ｇを開削するために、原子炉格納施
設１の基盤１１を貫通して支持地盤Ｇに到達す
る立坑３を複数本構築する。

次にこの立坑３を利用して基盤１１の下方を
掘削、排土してトンネル４を形成する。

このトンネル４は後述する刃先５を取り付け
るための空間であるから、基盤１１の周縁およ
び内側に開設する。

(2) 刃先の形成 次に基盤１１の下面の周縁およびこの周縁の
内側に鋼製等からなる刃先５を突設する。

基盤１１の周縁に突設した刃先５は、基盤１
１の輪郭形と等しいか、あるいはその輪郭形よ
りわずかに大きく形成する。

従つて、刃先５は、原子炉格納施設１の自重
によつて原子炉格納施設１が通過できる範囲を
確保しながら支持地盤Ｇに食い込む事になる。

(3) 沈設（第２図） さらに原子炉格納施設１の基盤１１を支持す
る地盤Ｇの全域を掘削し、掘削した掘削土は立
坑３から地上へ排出する。

その結果、基盤１１を支持していた支持基盤
Ｇを掘り下げる事によつて原子炉格納施設１は
自重によつて徐々に沈下していく。

沈下の際、支持地盤Ｇを平均して掘削して沈
下のバランスを保ちながら原子炉格納施設１を
所定の深さに到達するまで沈下させる。

また、原子炉格納施設１の沈下によつて、周
囲の地山が崩壊する心配があるので、原子炉格
納施設１の沈下と並行して開設孔内に土留め壁
６を構築して地山の崩壊に対処する。

(4) 着 底 設計深さに達したらドーム内を廃棄物収納庫
として利用する。

立坑３はそのために廃棄物搬入路として当分
の間使用する。

(5) 放射性廃棄物の封入（第３図） 廃棄物の収納庫としての利用が終了したら、
基盤１１の下面と支持地盤Ｇの間に発生するト
ンネル空間４１および原子炉格納施設１内にコ
ンクリート７等のグラウト材を充填して原子炉
２を完全に封入する。

このトンネル空間４１内および原子炉格納施
設１内にコンクリート７を注入するには、前記
沈下作業に使用していた立坑３を利用して行う
ことができる。

その結果、原子炉２は周囲の地盤とコンクリ
ート７によつて放射能もれを防止した状態で密
封される。

(6) 埋め戻し（第３図） コンクリート７で封入された原子炉格納施設
１の上方から掘削土等を投入して埋め戻しを行
う。

＜ハ＞ 発明の効果 本発明は以上説明したようになるから次のよう
な効果を期待する事ができる。

(1) 放射性廃棄物を収納する原子炉格納施設を解
体せずに処理できるので、放射性物質が外部に
放出される心配がまつたく無い。

(2) 立坑を用いて地下部分の掘削を行つて沈下さ
せるから既設の原子炉に於いても直ちに利用で
き汎用性が広い。

(3) 格納施設内にコンクリート等を注入して、地
中に埋設できるので、他の放射性廃棄物も同時
に封入することができる。

(4) 封入された放射性廃棄物は充填コンクリート
および、原子炉格納施設によつて包囲されてい
るので、相当大きい地震等の外力が作用して
も、これらのコンクリートが破損する心配がな
く、従つて、周囲に放射性廃棄物を漏出する危
険がなく、放射性廃棄物の封入の安全性が高
い。

(5) 放射性廃棄物を内蔵する原子炉格納施設を地
中に埋設するだけの作業であるから、特殊な作
業機械を必要とせず、既存の作業機械を使用す
ることができる。

(6) 原子炉格納施設を沈設した跡地は埋め戻しに
よつて、平地化できるので土地の有効利用を図
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明に係る廃止措置方法の一実施例
の説明図、第２図：原子炉格納施設の沈下状態の
説明図、第３図：埋め戻し状態の説明図。 １：原子炉格納施設、２：原子炉、３：立坑、
４：トンネル、５：刃先、６：土留め壁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 原子炉格納施設の基盤を貫通して立坑を開設
   し、 その立坑を利用して原子炉格納施設の周囲の底
   部に刃口を下向きに形成し、 原子炉格納施設を支持する地盤を掘削排土しな
   がら原子炉格納施設を所定の深さまで沈下させ、 原子炉格納施設内および基盤下方の空域内にコ
   ンクリートを充填して放射性廃棄物を封入した
   後、 原子炉格納施設が沈下した孔の埋め戻しを行
   い、 放射性廃棄物を原子炉格納施設内にコンクリー
   ト密封して地中に埋設した事を特徴とする、 原子炉の廃止措置工法。