JPH0340992Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、クラツク上に固定する座金にパイプ
を植立させた接着剤注入用のパイプに関するもの
で、コンクリート建築物等に発生したクラツクに
接着剤を注入して補修する際に用いるものであ
る。

（従来技術とその問題点） 一般に、この種の注入パイプ１は、第３図に示
したように、短管２の下端にドーナツ形の座金３
を一体に取付けたものが用いられている。そして
これをクラツク上に固定するに際しては、座金の
下面にパテ状接着剤５を塗布し注入パイプ１をク
ラツク６に押圧することによつて行われている。

しかしながら、この注入パイプに接着剤充填器
のノズルを連結して接着剤を注入していくと、注
入圧が異常に上昇したり、注入ができなかつたり
する不都合があつた。

その原因は、座金の下面に塗布したパテ状接着
剤が注入パイプの流路を狭少にしたり、閉塞した
りするためである。

即ち、座金の下面に塗布されたパテ状接着剤
は、座金の下面が面一になつているために、注入
パイプをクラツク面に押圧すると、均一な押圧力
を受けて半径方向で移動する。パテ状接着剤が中
心部へ移行してしまうと、短管２の内径が大旨
10φ位の細さであるために、短管２の内側にはみ
出した接着剤がクラツク６の開口部を小さくした
り、場合によつてはこれを閉塞してしまうのであ
る。

注入接着剤の流路が小さくなると、接着剤はク
ラツク内へは極めて速いスピードで進入すること
になり、接着剤がクラツクの表面を走つてクラツ
クの細部にまで充填されず、補修後の躯体の強度
を十分なものとすることができなくなるし、クラ
ツクの開口部が閉塞してしまつた場合には、接着
剤の注入が不可能になることは言うまでもない。

（技術課題） 本考案は、クラツク上に固定する座金にパイプ
を植立させた接着剤注入用のパイプにおいて、注
入パイプをクラツク面に押圧する際に、座金の下
面に塗布した接着剤のはみ出しを外周縁に促すよ
うにすることを課題としたものである。

（技術的手段） この技術課題を解決するための技術的手段は、 (イ) 座金の下面を外周縁に向かつて高く傾斜さ
せ、 (ロ) 座金の下面に複数個の脚片を突設させるこ
と、 である。

（技術的手段の作用） この技術的手段によれば、座金の下面にパテ状
の接着剤を塗布して注入パイプをクラツク面に押
圧すると、座金の下面が外周縁に向かつて高く傾
斜しているために、パテ状接着剤が中心部側へ移
動しようとする際に生じる抵抗は、外周縁側へ移
動しようとする際に生じる抵抗より大きくなる。

座金の下面には、脚片が突設されているために
座金は水平状態を維持でき、パテ状接着剤にかか
る圧力がアンバランスになつて、上記の抵抗に変
化が生じることもない。

従つて、注入パイプをクラツク面に押圧する際
に、座金の下面に塗布した接着剤のはみ出しを外
周縁に促すことができる訳である。

（考案の効果） その結果、注入パイプとクラツクとの接着剤の
流路が狭まつたり閉塞したりすることがなくな
り、接着剤の注入を円滑に行うことができるよう
になる。

また、座金の下面には、脚片が突設してあるた
めに、パテ状接着剤の塗布量の把握が極めて容易
となり、多めに塗布するのを防止し、余分なパテ
状接着剤が不用意にはみ出すことを防止できる利
点がある。

また、座金が外周縁側へ高く傾斜しているた
め、先に注入パイプをクラツク面に位置させた
後、接着剤注入ガン等を用いてパテ状接着剤を座
金とクラツク面との間に圧入して注入パイプを固
定することもできる利点がある。

（実施例） 次に、上記技術的手段の具体例を図面を用いて
説明する。

第１図は、注入パイプ１１を直管１２とその下
端に一体に形成した座金１３とから成り、座金１
３の下面を外周部１４に向かつて高くしたもので
ある。

座金１３の外周部の下面には、脚片１７，１７
が座金と一体に形成して、直管１２がクラツク面
１６に対して直角となるようにしてある。

接着剤１５を座金１３の直管１２下端と外周部
１４との中間部辺りに同心円状に厚肉に塗布し、
クラツク面１６に押圧すると、図示の状態で接着
剤１５がはみ出すことになる。

第２図は、上記実施例の直管に代えて下向きの
ラツパ状管２２となし、管体２２の下部の断面積
を上部の断面積より大きくして外周縁２４に向か
つて高く傾斜させた座金２３を一体に形成した注
入パイプである。

このように、管体２２の下端部を広く構成する
ことによつて、若干の接着剤２５が中心部側へは
み出しても、クラツク２６への接着剤の注入に何
ら影響を及ぼすことがなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例でクラツク面に固定し
た状態の注入パイプの断面図、第２図は他の実施
例における注入パイプの断面図、第３図は従来の
注入パイプの断面図である。 １２，２２……管体、１３，２３……座金、１
５，２５……接着剤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラツク上に固定する座金にパイプを植立させ
   た接着剤注入用のパイプにおいて、座金の下面を
   外周縁に向かつて高く傾斜させると共に下面に複
   数個の脚片を突設させた接着剤注入パイプ。