JPH0340085B2 - - Google Patents

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JPH0340085B2
JPH0340085B2 JP5256787A JP5256787A JPH0340085B2 JP H0340085 B2 JPH0340085 B2 JP H0340085B2 JP 5256787 A JP5256787 A JP 5256787A JP 5256787 A JP5256787 A JP 5256787A JP H0340085 B2 JPH0340085 B2 JP H0340085B2
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saw
saw material
circular saw
press
tempering
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Description

【発明の詳細な説明】
a 産業上の利用分野 本発明は、鋸の製造工程において鋸素材を腰入
れ加工する方法に関するものである。 b 従来の技術 一般に、材料に力を加えると一定の変形を起こ
すが、加える力を徐々に増すとそれに応じて変形
量が大となる。ところが、材料の形状、力の加え
方によつては、その加える力がある大きさに達す
ると、それ迄の変形とは全然別異の変形に突然移
行する現象すなわち座屈現象が生じる。 丸鋸や帯鋸の場合、上述の如き座屈現象が熱応
力によつて起こることがある。なお、この座屈現
象が生じるメカニズムは次の如くである。 例えば丸鋸を用いて木材、木質材料(プラスチ
ツクを含む)等の被切断物を回転切削するときに
は、丸鋸の外周部に摩擦熱が発生するが、その際
に丸鋸の内周側部分に摩擦熱が全く発生しないた
め、丸鋸の外周部と内周部との間に比較的大きな
温度勾配を生じる。しかして、外周部に発生する
摩擦熱のために丸鋸の刃部近傍箇所は外周で伸び
ようとするが内周部の抵抗により伸びることがで
きないため、内周部に引張力が付与され、その反
作用として外周部に圧縮応力を生じることとな
る。従つて、丸鋸の外周部と内周部との間で膨脹
する割合が大きく異なり、外周部の膨脹に伴い外
周部に圧縮応力が発生すると共に内周部に引張応
力が発生し、その結果、丸鋸の外周部と内周部と
の間に応力勾配を生じる。 熱応力が大となつて丸鋸の外周部がある温度ま
で上昇すると、それまで平面的に伸び縮みしてい
たものが急に別の種類の変形(例えば、第12図
及び第13図に示す如く丸鋸aが皿のようにへこ
んだり、波形状になる変形)が生じる。このよう
な変形即ち座屈を生じると、丸鋸はもはや切削不
能となり、切削作業に支障を来たすことなる。 そこで、上述の如き摩擦熱による座屈の発生を
防止するために、丸鋸素材を腰入れ加工を行なう
ようにしている。この腰入れ加工は、丸鋸素材の
適当な円環状部分に塑性展伸加工を施すことによ
り行なわれ、これにより、鋸刃付近の外周部にお
いて周方向に引張内力が付与され、切削時に熱応
力として鋸刃外周部に生じる接線方向の圧縮応力
が打消されることとなつて座屈が効果的に防止さ
れる。なお、帯鋸の場合にも、帯鋸素材の刃部と
鋸背部との間の帯状領域を塑性展伸させて腰入れ
加工を施している。 ところで、この種の腰入れ方法としては、鋸素
材の板面を作業員がハンマーをもつてたたいて塑
性展伸加工を行なうハンマー打法や鋸素材の両面
に金属ローラをそれぞれ当てがつてこれら一対の
金属ローラで強力に挾持・押圧して塑性展伸加工
を行なうローラ加圧法が従来より広く行なわれて
いる。 c 発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上述のような従来の腰入れ方法
であるハンマー打法やローラ加圧法は次に述べる
ような大きな問題点があつた。 まず、ハンマー打法の場合には、ハンマーを用
いて鋸素材をたたいて所定の腰入れ部に塑性展伸
加工を施す作業には多大の勘やコツを必要とし、
特に加工面の全面に亘つて均一な腰入れ強度とす
るためには長年の経験と熟練とを必要とするの
で、鋸の製作工程における省力化、自動化が困難
であつた。また、充分に熟練した者であつてもそ
の作業性が非常に悪く、均質な製品を得ることが
難しいため、良質の鋸を安価に量産することがで
きないのが実状である。 次に、ローラ加圧法の場合には、ハンマー打法
に比べて勘やコツを必要としないが、金属ローラ
を用いて腰入れ部に塑性展伸加工を施す際に、前
加工(鋸素材製造のためのロータリー研削等)の
精度の良否によつて影響を受け易く、腰入れの局
部的強弱を生じ易い。従つて、腰入強度が加工面
の全面に亘つて不均一となる場合が多いが、この
ような場合には、再三繰り返してローラ加圧を行
なうか、或いは既述のハンマー打法を併用するよ
うにしていた。このため、生産効率が極めて悪
く、しかも一定の加工条件下で均一な腰入強度を
得ることが困難であるといつた大きな問題点があ
つた。 本発明は、上述の如き実状に鑑みてなされたも
のであつて、その目的は、鋸の腰入れ加工を勘や
コツ等の熟練を全く必要とすることなく能率的に
行なうことができ、省力化並びに自動化が可能な
腰入れ方法を提供することにある。 d 問題点を解決するための手段 上述の問題点を解決するために、本発明に係る
鋸の腰入れ方法においては、鋸素材をプレス焼入
れしてプレス焼戻しを行なうに際し、所要の焼入
れ温度に加熱された前記鋸素材を冷却する時、或
いは所要の焼戻し温度に加熱された前記鋸素材を
冷却する時の少なくとも何れか一方の時に、前記
鋸素材のうち鋸刃部周辺の腰入れすべき所定部分
をその他の部分よりも先にプレスを開始すると共
にこれに遅延して他の部分をプレスすることによ
つて、前記所定部分とその他の部分の冷却速度を
異ならしめ、もつて前記所定部分に圧縮応力を発
生させて前記所定部分と前記鋸刃部との間の領域
に引張内力を発生せしめることにより腰入れ加工
を施すようにしている。 また、本発明に係る鋸の腰入れ装置において
は、加熱された鋸素材をプレス焼入れ又はプレス
焼戻しする金型のプレス面のうち、腰入れすべき
鋸素材の所定部分に対応する箇所に、その他の面
から僅かに突出する突出部を設け、プレス焼入れ
又はプレス焼戻し時に前記突出部が他の面より先
に前記鋸素材に当接され、この当接により冷却さ
れた部分が収縮されるのに伴つて前記鋸素材の他
の部分に前記金型の突出部以外の面が当接される
ように構成している。 以下、本発明の実施例に付き第1図〜第10図
を参照して説明する。 まず、第1図は本発明に係る腰入れ方法を実施
するために用いられる丸鋸素材処理装置1を示す
ものであつて、本装置1においては、丸鋸素材の
焼入れ加熱及び焼戻し加熱を連続炉2,3にて行
なうようにしている。第1図に示す如く、本装置
1は前段の焼入れ機構部4と後段の焼戻し機構部
5とをそれぞれ具備しており、前記焼入れ機構部
4は焼入れ加熱用連続炉2と、これに後続するロ
ーラコンベア6と、さらにこれに後続するプレス
焼入れ装置7とから構成されている。また、この
焼入れ機構部4に後続する焼戻し機構部5は、洗
浄装置8と、これに後続する焼戻し加熱用連続炉
3、ローラコンベア9及びプレス焼戻し装置10
とから構成されている。 上述のプレス焼入れ装置7及びプレス焼戻し装
置10は同一の構成のものであつて、第2図及び
第3図に示す如く、互いに対向する上金型12及
び下金型13を具備している。下金型13は基台
14の上部の固定盤14a上に載置固定され、上
金型12は基台14上に配設された枠体15の上
板16に上下動自在に取付けられると共に、加圧
シリンダ17にて上下方向に移動されるように構
成されている。さらに基台14内には昇降シリン
ダ18が配設されており、このシリンダ18の作
動ロツド19が第3図に明示するように固定盤1
4a及び下金型13の貫通孔20,21内に多少
の隙間をもつた状態で挿通配置されている。そし
て、上述の作動ロツド19の上端には丸鋸素材2
3の中心孔23aに嵌合する円柱状突部24と前
記中心孔23aの直径よりも大きい直径を有する
フランジ部25とを備えた載置台26が固着され
ている。なお、この作動ロツド19は前記固定盤
14aの貫通孔20内に装着されたシールドリン
グ27内に気密にかつ摺動自在に挿通されてい
る。 また、上金型12及び下金型13は互いに対向
する受け部材33,34を有しており、この受け
部材33,34には第3図及び第4図に示す如く
中央孔29,30及び円環状の突出部31,32
がそれぞれ形成されている。これらの突出部3
1,32は、腰入れすべき丸鋸素材23の円環状
領域に対応するように構成されており、受け部材
33,34のプレス面33a,34aよりも僅か
に(例えば0.1mm程度)突出している。また、こ
れらの受け部材33,34には、前記中央孔2
9,30から外周にまで放射状に延びる複数の溝
部35がそれぞれ設けられている。なお、前記突
出部31,32は互いに対向配置されており、丸
鋸素材23の腰入れ加工すべき所定部分Mがこれ
らの間に挾持されるように構成されている。 さらに、第3図に示す如く、固定盤14aには
冷却油供給用管路36が形成されており、図外の
冷却油槽からこの管路36及び前記貫通孔20,
21を順次介して冷却油が矢印Aで示すように流
れて前記溝部35に供給されるようになつてい
る。 次に、上述の如き構成の丸鋸素材処理装置1に
て円板状の丸鋸素材23を腰入れ加工する際の動
作に付き説明する。 まず、円板状の薄肉鋼板をプレス打抜きにて中
央孔23a及び鋸刃部23bを形成して成る丸鋸
素材23が脱炭防止のためRXガスを雰囲気とす
る焼入れ加熱用連続炉2の導入口2aに供給され
ると、丸鋸素材23は前記連続炉2内に導入され
て移動される間に、所要の焼入れ温度に加熱され
る。加熱終了後、この丸鋸素材23は前記連続炉
2の導出口2bから導出され、勾配のついたロー
ラコンベア6にてプレス焼入れ装置7の側へ搬送
される。 搬送された丸鋸素材23は、昇降シリンダ18
によつて第2図において一点鎖線で示す如き上方
位置に配置された載置台26上に乗せられる。す
なわち、丸鋸素材23の中央孔23a内に載置台
26の突部24が嵌合されてそのフランジ部25
上に丸鋸素材23が載置された状態となる。しか
る後、昇降シリンダ18が作動されて作動ロツド
19が下降されるのに伴い、丸鋸素材23が下金
型13上に載置され、前記載置台26は丸鋸素材
23から離れた位置まで下方に引つ込められる。
そして、その直後に加圧シリンダ17が作動され
て上金型12が丸鋸素材23に向けて下降され、
これにより丸鋸素材23が上金型12と下金型1
3との間に挾持されて加圧される。 この際の動作に付き詳述すると、まず、所要の
焼入れ温度に加熱された丸鋸素材23は下金型1
3の突出部32上に載置される。次いで上金型1
3が下降されると、上金型13の突出部31が初
めに丸鋸素材23の表面に当接する。そのため初
期には、第3図に示す如く、丸鋸素材23のうち
腰入れ加工すべき部分Mのみが上金型12及び下
金型13の突出部31,32にて挾持される一
方、丸鋸素材23の他の部分Nは上金型12及び
下金型13の受け部材33,34に当接されてい
ない状態となる。従つて、丸鋸素材23のうち腰
入れ加工すべき部分Mの熱が伝導作用により前記
突出部31,32に逃げることとなるため、当該
所定部分Mの冷却速度が他の部分Nの冷却速度よ
りも早くなる。その結果、丸鋸素材23内に発生
する残留応力が当該所定部分Mとその他の部分N
とで異なつた応力分布となり、当該所定部分Mに
は圧縮応力が付与される一方、他の部分Nのうち
当該所定部分Mと鋸刃部23bとの間の領域Pに
は周方向に引張内力が付与されることとなる。こ
れにより、丸鋸素材23が腰入れ加工される。 なお、当該所定部分Mが冷却されて収縮するの
に伴い、丸鋸素材23の他の部分Nが第5図に示
す如く受け部材33,34のプレス面33a,3
4aにて挾持されるため、次の如くプレス焼入れ
がなされる。 まず、図外の冷却油槽から冷却油が固定盤14
aの管路36に供給され、第3図において矢印A
で示すようにこの管路36を介して貫通孔20,
21に供給される。このようにして供給された冷
却油はさらに、受け部材33,34の溝部35内
を外周側に向つて流動しながら丸鋸素材23を冷
却し、装置外部へ排出される。そして、排出され
た冷却油は図外の冷却油排出口を通つて前記冷却
油槽に返送されて再利用される。 焼入れ冷却が完了すると、冷却油の供給が停止
されると共に、上金型12が加圧シリンダ17に
て上方へ復動される。 次に、以上のようにして焼入れがなされた丸鋸
素材23は、図外の搬送機構により洗浄装置8に
送られ、焼入れ冷却時に丸鋸素材23の表面に付
着した冷却油が除去される。続いて丸鋸素材23
は図外の搬送機構により前記洗浄装置8から焼戻
し加熱用連続炉3の導入口3aに送られ、この連
続炉3内を移動する間に所要の焼戻し温度に加熱
される。加熱終了後、丸鋸素材23は連続炉3の
導出口3bから導出され、勾配のついたローラコ
ンベア9によつてプレス焼戻し装置10の側に搬
送される。そして、既述のプレス焼入れ装置7の
場合と同様の動作にて丸鋸素材23が焼戻し処理
されると共に腰入れ加工される。 次に、上述の丸鋸素材処理装置1を用いて腰入
れ加工を施した場合の利点を明確にするため、以
下に示すような実験を行なつた。 実験例 1 (1) 丸鋸素材 (a) 材 質 SKS5 (b) 外 径 305mm (c) 板 厚 2.2mm (2) 上金型及び下金型の突出部 (a) 上金型及び下金型の中心から106〜116mmの
箇所に10mm幅で形成 (b) 高さ 0.1mm程度 (3) 焼入れ及び焼戻し条件
【表】 このような条件の下で丸鋸素材の焼入れ・焼戻
し処理を行つた結果を表に示す。
【表】 また、第9図は、本実験により得られた丸鋸素
材23をロータリー研削した後にその表面の残留
応力を測定した結果を示すものである。この測定
結果から明らかなように、丸鋸素材23の半径R
に対する測定箇所の半径rの比が約0.72の箇所か
ら内周部分に圧縮応力(負の応力)が発生されて
おり、この反作用として、前記箇所から外周部分
には同方向に引張内力(正の応力)が発生されて
いることが確認された。 次に、既述の連続炉2,3に代えて高周波誘導
加熱式の丸鋸素材処理装置40を用いることによ
り、丸鋸素材23の焼入れ加熱及び焼戻し加熱を
高周波誘導作用にて行なうようにした実施例を第
6図〜第8図を参照して説明する。 第6図は上述の丸鋸素材処理装置40の構成を
示すものであつて、本装置40は、上金型41、
下金型42及び丸鋸素材取扱機構43を有するプ
レス装置44と、このプレス装置44の側部に配
置された冷却油槽45と、支持部材46を介して
高周波コイル47に所定の高周波電流を供給する
高周波変成器48と、この高周波コイル47及び
高周波変成器48を水平方向に移動させるための
移送手段49と、図外の高周波電源とをそれぞれ
具備している。 上述の上金型41及び下金型42のプレス面4
1a,42aには第6図において誇張して示すよ
うに丸鋸素材23の腰入れすべき部分に対応する
円環状の突出部50,51が設けられており、上
金型41は加圧シリンダ52にて上下方向に移動
されるようになつている。また、丸鋸素材取扱機
構43は、下金型42の中央孔54内に挿通配置
された載置台55と、この載置台55を上下方向
に移動するための昇降シリンダ56と、載置台5
5を回転駆動するインダクシヨンモータ57とか
ら構成されている。 一方、上述の高周波コイル47は、第7図に示
す如く、ほぼ半円状の上面板58a及び下面板5
8bと側面板58cとを有する平たい箱状体から
成り、二つに分割された上面板58aにはリード
部59a,59bが接続されている。なお、上面
板58a及び58bの中心箇所には丸鋸素材23
の中心孔23aに対応する半円状の切欠き60
a,60bが形成されている。 次に、このような構成の装置40を用いて丸鋸
素材23を腰入れ加工する際の動作に付き述べ
る。 まず、丸鋸素材23の中央孔23aを載置台5
5に係合させることによつてこの載置台55上に
丸鋸素材23を載置固定する。なおこの場合、前
記載置台55は予め上金型41と下金型42との
間であつてかつ高周波コイル47と同じ高さ位置
に配置されるので、載置台55上に載置固定され
た丸鋸素材23は所定の加熱位置に配置されるこ
ととなる。 しかる後、高周波変成器48と共に高周波コイ
ル47が移送手段49によつてプレス装置44の
側へ水平移動されて前記上金型41と下金型42
との間に挿入される。これにより、第7図及び第
8図に明示する如く、丸鋸素材23のほぼ半分が
高周波コイル47の上面板58aと下面板58b
との間の中央に回転自在の状態で挿入配置され
る。 次いで、インダクシヨンモータ57が回転駆動
されるのに伴い、丸鋸素材23は載置台55と一
緒に回転駆動される。これと同時に、高周波電源
から高周波変成器48に高周波大電流が供給さ
れ、高周波コイル47には第7図において矢印B
で示すように高周波大電流が流される。なおこの
場合、高周波電源としては、丸鋸素材23の肉厚
に応じて、30kHz〜400kHzの周波数範囲で選択さ
れる。その結果、丸鋸素材23は各部均一に高周
波誘導加熱される。 そして、丸鋸素材23が所要の焼入れ温度に達
すると、高周波コイル47への高周波大電流の供
給が遮断されて加熱工程が終了され、この高周波
コイル47は移送手段49によつて高周波変成器
48と共に元の位置に復動されて上金型41と下
金型42との間から外れた位置に配置される。こ
れと同時に、丸鋸素材23の回転は停止されて昇
降シリンダ56により下降され、それにより丸鋸
素材23はその中央孔23aが下金型42の中央
孔54に対応した状態で下金型42の突出部51
上に載置される。 一方、高周波コイル47が上金型41と下金型
42との間から外れるのに同期して、上金型41
が加工シリンダ52にて下金型42へ向つて下降
され、これにより丸鋸素材23が上金型41と下
金型42との間で加圧される。この際、既述の実
施例の場合と同様に、所要の焼入れ温度に加熱さ
れた丸鋸素材23はまず初めに上金型41の突出
部50と下金型42の突出部51との間で挾持さ
れるため、その当接部分が早く冷却されて圧縮応
力が発生されることとなる。次いで、丸鋸素材2
3の当該部分が冷却されて収縮するのに伴い、そ
の他の部分が上金型41及び下金型42のプレス
面41a,42aに当接されてプレス状態とな
る。このような状態になると直ちに、冷却油槽4
5から冷却油が丸鋸素材23に供給され、この冷
却油によつて丸鋸素材23がプレス状態の下で急
速冷却されて焼入れされる。そして、この焼入れ
処理が完了すると、上金型41が加圧シリンダ5
2にて上方に復動され、焼入れされた丸鋸素材2
3が装置40から取外される。 この後、焼入れされた丸鋸素材23は洗浄装置
にて冷却油を除去された後に、後続の高周波誘導
加熱式の処理装置(既述の装置40と同様のも
の)にて前述と同様の動作にて焼戻し処理され
る。なお、高周波焼入れ条件と焼戻し条件とは異
なるが、焼入れ条件と焼戻し条件との相互関係に
応じて高周波電流の大きさや通電時間等は予め定
められたプログラムにて自動的に切換えられるよ
うになつている。 以上の如き一連の動作により、丸鋸素材23は
焼入れ、焼戻し処理を施されると同時に、その所
定部分に腰入れ加工が施される。 このような高周波誘導加熱方式による腰入れ方
法とその装置の利点を明確にするため、以下に示
すような実験を行つた。 実験例 2 実験例1と同寸法、同材質の丸鋸素材を表に
示す条件により処理した。
【表】 このような条件の下で丸鋸素材の焼入れ・焼戻
し処理を行なつた結果を表に示す。
【表】 この表から明らかなように、高周波誘導加熱
方式は短時間加熱であるが、焼入れ硬さ及び焼入
れ組織・焼戻し硬さ及び焼戻し組織共に連続炉方
式による場合と殆んど差異がなかつた。また、オ
ーステナイト結晶粒度は短時間加熱であるため、
焼入れ温度が連続炉方式の場合よりも高いにも拘
らず微細であり、機械的強度の点でより好ましい
ものが得られた。なお、本例の場合には焼戻し時
の加熱温度が連続炉方式の場合よりも高いため、
丸鋸使用時に発生する摩擦熱に充分対応できる。 また、第10図は、本実験により得られた丸鋸
素材23をロータリー研削した後にその表面の残
留応力を測定した結果を示すものである。この測
定結果から明らかなように、r/Rが約0.74の箇
所から内径部分に圧縮応力が発生されており、こ
の反作用として、その箇所から外周部分には周方
向に充分な引張内力が発生されていることが確認
された。 このようにして得られた丸鋸素材23をアサリ
出し加工して鋸刃部23bへ超硬合金製のチツプ
刃をろう付けした後、切削試験を行つたところ良
好な結果が得られた。すなわち、当該丸鋸は、熱
処理加工のみで、ハンマー打法或いはロール加圧
法等による機械的に外力による腰入れを施工して
いないにも拘わらず、熱座屈という異常現象は認
められず、その上に耐久性についても従来のハン
マー打法或いはロール加圧法等の機械的外力によ
る腰入れ加工品と同様であつた。 以上、本発明の実施例に付き述べたが、本発明
は既述の実施例に限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基いて各種の変更が可能であ
る。 例えば、焼入れ加熱を連続炉によつて行ない焼
戻し加熱を高周波誘導加熱によつて行なうように
してもよく、またその逆に焼入れ加熱を高周波誘
導加熱により行ない、焼戻し加熱を連続炉で行な
うようにしてもよい。 また、既述の実施例では何れも被加工物として
丸鋸素材を用いたが、これに限らず、帯鋸素材を
焼入れ・焼戻し並びに腰入れ加工する場合にも本
発明に係る腰入れ方法及び腰入れ装置を適用し得
ることは言う迄もない。 また、焼入れ・焼戻し条件は既述の例に限定さ
れず、必要に応じて変更可能であり、プレス加圧
力、加圧時間、冷却時間等を調整することによつ
て、腰入れ強度の調整を行なうことができる。 また、既述の実施例では何れも、プレス焼入れ
時及びプレス焼戻し時の両方において腰入れ部分
に上下金型の突出部を当接させて早く冷却させる
ようにしているが、プレス焼入れ時またはプレス
焼戻し時の何れか一方の時にのみこのような操作
を行なうようにしてもよい。さらに、前記突出部
は上下金型の双方に設ける必要は必ずしもなく、
上金型又は下金型の何れか一方にのみ突出部を設
けるようにしてもよい。 e 発明の効果 以上の如く、本発明に係る腰入れ方法は、鋸素
材の焼入れ冷却時或いは焼戻し冷却時の少なくと
も一方において、鋸素材のうち腰入れすべき所定
部分をその他の部分よりも先にプレスすることに
よつてこれら両部分での冷却速度を異ならしめて
前記所定部分に圧縮応力が生ぜしめ、もつて前記
所定部分と鋸刃部との間の領域に引張内力を発生
せしめるようにしているので、従来のハンマー打
法あるいはロール圧延法を用いた場合と同様若し
くはそれ以上の良好な腰入れ加工が施された鋸素
材を得ることができる。しかも、本発明に係る腰
入れ方法は、従来のハンマー打法の場合のような
熟練を全く要することなく、また従来のロール加
圧法の場合のような複数回に亘るロール加工操作
の繰り返しを行なうことなく一回の操作により簡
単に実施することができるため、腰入れ加工の自
動化を容易に図ることができる。 さらに、本発明によれば、従来は焼入れ・焼戻
し工程後に独立して行つていた腰入れ加工を焼入
れ・焼戻し工程において同時に行うことができる
ため、工程数を一工程削減でき、省力化を図るこ
とができる。 また、腰入れ装置は、金型に僅かな高さの突出
部を形成しただけの簡素な構成であり、コンパク
トに設計できるため、大きな装置面積を要しない
という利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第5図は本発明の第1実施例を説明す
るためのものであつて、第1図は連続炉を加熱手
段として用いた丸鋸素材処理装置の構成図、第2
図はプレス焼入れ装置(プレス焼戻し装置)の一
部を切欠いて示す正面図、第3図はプレス焼入れ
装置の要部断面図、第4図はプレス焼入れ装置の
下金型の斜視図、第5図はプレス焼入れ装置の要
部拡大断面図、第6図〜第8図は本発明の第2実
施例を説明するためのものであつて、第6図は高
周波誘導加熱式の丸鋸素材処理装置の正面図、第
7図は高周波コイルの斜視図、第8図は第7図に
おける−線断面図、第9図は第1図の処理装
置を用いて腰入れ加工した丸鋸素材の残留応力測
定結果を示すグラフ、第10図は第6図の処理装
置を用いて腰入れ加工した丸鋸素材の残留応力測
定結果を示すグラフ、第11図及び第12図は丸
鋸の座屈状態をそれぞれ示す断面図である。 1……丸鋸素材処理装置、2……焼入れ加熱用
の連続炉、3……焼戻し加熱用の連続炉、7……
プレス焼入れ装置、10……プレス焼戻し装置、
12……上金型、13……下金型、23……丸鋸
素材、23a……中心孔、23b……鋸刃部、3
1,32……突出部、33,34……受け部材、
35……溝部、36……冷却油供給用管路、40
……丸鋸素材処理装置、41……上金型、42…
…下金型、41a,42a……プレス面、44…
…プレス装置、47……高周波コイル、50,5
1……突出部、M……丸鋸素材23の腰入れ加工
すべき所定部分、N……丸鋸素材23の所定部分
M以外の部分、P……丸鋸素材23の所定部分M
と鋸刃部23bとの間の領域。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 鋸素材をプレス焼入れしてプレス焼戻しを行
    なうに際し、所要の焼入れ温度に加熱された前記
    鋸素材を冷却する時、或いは所要の焼戻し温度に
    加熱された前記鋸素材を冷却する時の少なくとも
    何れか一方の時に、前記鋸素材のうち鋸刃部周辺
    の腰入れすべき所定部分をその他の部分よりも先
    にプレスを開始すると共にこれに遅延して他の部
    分をプレスすることによつて、前記所定部分とそ
    の他の部分の冷却速度を異ならしめ、もつて前記
    所定部分に圧縮応力を発生させて前記所定部分と
    前記鋸刃部との間の領域に引張内力を発生せしめ
    ることにより腰入れ加工を施すようにしたことを
    特徴とする鋸の腰入れ方法。 2 前記鋸素材の加熱を連続炉にて行なうように
    したことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記
    載の鋸の腰入れ方法。 3 前記鋸素材の加熱を高周波誘導加熱により行
    なうようにしたことを特徴とする特許請求の範囲
    第1項に記載の鋸の腰入れ方法。 4 前記鋸素材が丸鋸素材又は帯鋸素材であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の鋸
    の腰入れ方法。 5 加熱された鋸素材をプレス焼入れ又はプレス
    焼戻しする金型のプレス面のうち、腰入れすべき
    鋸素材の所定部分に対応する箇所に、その他の面
    から僅かに突出する突出部を設け、プレス焼入れ
    又はプレス焼戻し時に前記突出部が他の面より先
    に前記鋸素材に当接され、この当接により冷却さ
    れた部分が収縮されるのに伴つて前記鋸素材の他
    の部分に前記金型の突出部以外の面が当接される
    ように構成したことを特徴とする鋸の腰入れ装
    置。 6 前記鋸素材が丸鋸素材又は帯鋸素材であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第5項記載の鋸の
    腰入れ装置。
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