JPH0340073B2 - - Google Patents
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- JPH0340073B2 JPH0340073B2 JP56196623A JP19662381A JPH0340073B2 JP H0340073 B2 JPH0340073 B2 JP H0340073B2 JP 56196623 A JP56196623 A JP 56196623A JP 19662381 A JP19662381 A JP 19662381A JP H0340073 B2 JPH0340073 B2 JP H0340073B2
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Description
本発明は、電気化学的な酸化環元反応による電
気化学的着色物質の可逆な光学変化を利用したエ
レクトロクロミツク表示素子等の電気光学素子に
関し、特に電気化学的着色質としてヘキサシアノ
鉄酸鉄塩を用いた場合の電気化学的着・消色の機
構に関する。 近年、エレクトロニクス技術の進歩にともなつ
て、たとえば、腕時計、電卓等の小型携帯情報機
器の出力装置としての表示装置への需要が、非常
に高まつている。現在、そのような需要を満足す
る表示装置としては、液晶を用いたものがある。
液晶表示装置は、一応許容できる速さの応答、あ
る程度証明されつつある寿命等の長所を有するが
一般に表示が暗く、斜め方向からの視認性が悪い
視角依存性がある等、表示装置としては最も大切
な特性であるべき、みやすさ、美しさ等に欠ける
という無視できない短所がある。それら液晶表示
装置の持つ欠点を解決する新しい表示として、電
気化学的酸化環元によつて、ある種の物質が可逆
的な色調の変化を示す現象を利用した、エレクト
ロクロミツク表示装置の研究開発が活発に行われ
てきている。そのような電気化学発色物質として
は、従来ほ主として、r,r′−ジピリジルのアル
キル四級化物誘導体であるビオロゲン、あるいは
酸化タングステンを代表とする遷移金属酸化物等
が用いられている。 この発明は、上記と異り、従来知られていなか
つた新しい電気化学発色質である。ヘキサシアノ
鉄酸鉄塩を用いるエレクトロクロミツク表示装置
に関する。 従来の電気化学発色物質として、たとえば、ビ
オロゲンを用いる場合には、ビオロゲンを溶解た
電解液を電解環元した時、陰極表面に着色したビ
オロゲンラジカルが析出する(1)式の反応を利用し
ている。 このように電解液中から電極表面へ着色種が析
出する形の反応を用いる系では、表示の色調が、
電極面への析出物の量によつて定まるため、電極
の単位面積当りの電荷量を精密に制御しなければ
一定の色調を得られない欠点があり、また、有機
物質であるビオロゲン自体の化学的な安定性に欠
けるため、酸化環元の繰り返しによつて劣化し易
い欠点があつた。 また、従来の電気化学発色物質として、遷移金
属酸化物である酸化タングステンを用いる系で
は、電極表面に固定された酸化タングステンの層
に、電極からの電子、電解液中から金属イオンが
同時に注入される反応によつて生成するタングス
テンブロンズの着色、(2)式を利用している。 WO3+xLi+xe ―――→ ←――― −xeLixWO3 (2) (2)式の反応が電気化学的に可逆であるためには
(2)式においてx≦0.3でなければならず、x>0.3
では反応が不可逆となるため表示には使えない。
したがつて、そのような非化学量論的な反応を利
用する表示装置では、xの大きさが、可逆性を有
する範囲を超えないように、電解量を常に制御し
なければならないため、駆動が困難で実用に向か
ないという欠点があつた。 本発明では、上述した従来の電気化学的着色物
質にみられる種々の欠点を有しない、新しいすぐ
れた電気化学的着色物質として、ヘキサシアノ鉄
酸鉄塩を用いる。一般にヘキシアノ鉄鉄塩とは、
プルシアンブルーとして知られている青色顔料化
合物群の一部をなすものである。現在までにプル
シアンブルーという化合物群は大きく分けて、次
の不溶性プルシアンブルーと可溶性プルシアンブ
ルーの2つの化合物群に分類されている。 Fe()4〔Fe()CH6〕3……不溶性プル
シアンブルー(4) M+Fe()〔Fe()(CH)6〕……可溶性
プルシアンブルー(5) ここで、M+は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、
NH4 +等の1価カチオンをさす。 第1−a図と第1−b図に、それぞれ不溶性プ
ルシアンブルーと可溶性プルシアンブルーの結晶
構造を示す。第1図より明らかなように、不溶性
プルシアンブルーも可溶性プルシアンブルーも三
次元網目構造をもつ混合原子価錯体であり、シア
ノ基がFe()とFe()をブリツジした構造と
なつている。シアノ基のC原子がFe()に配位
し、シアノ基のN原子がFe()に配位してお
り、同一化合物中にその酸化数がFe()とFe
()のように異つて存在しており、これが混合
原子価錯体と言われる所以である。また、プルシ
アンブルー特有の美しい青色は、上述のように同
一化合物中に酸化数の異なる鉄原子が存在するこ
とによる混合原子価吸収帯によるものである。も
し、結晶中のすべてのFe()がFe()に環元
された場合には、結晶構造そのものには変化を生
じないが、青色は失なわれて無色に変化する。本
発明は、上述した混合原子価錯体中のFe()の
原子価を電気化学的酸化環元法により、三価と二
価に可逆的に変化させ、色調を変える原理に基づ
いており、反応は(6)もしくは(6)′式で示すことが
できる。 M+Fe()〔Fe()(CN)6〕+M++x− ―――→ ←――― −x−M+ 2Fe()〔Fe()(CN)6〕 (6) (青色) (
無色) Fe()4〔Fe()(CN)6〕3+4M++4e− ―――→ ←――― −4e−M+ 4Fe()4〔Fe()(CN)6〕3 (6)′ (青色) (
無色) ここで、M+はLi+、Na+、K+、Rb+、Cs+、
NH4 +等の一価カチオンを示す。 電気化学的着色物質としてヘキサシアノ鉄酸鉄
塩を用いるエレクトロクロミツク表示素子では、
予め、不溶性の三次元網目構造をもつ混合原子価
錯体を連続かつ均一な薄膜として、表示極表面に
固定されている層の電気化学的な反応による色調
の変化を利用するのであつて、前述したピオロゲ
ンのような液中からの析出と溶解の繰り返しを行
うのではない。そのため、色の濃度は、ヘキサシ
アノ鉄酸鉄塩の層の厚さで定まる一定濃度に常に
維持することができる。また、反応式(6)や(6)′で
明らかなように、酸化タングステンの反応(2)式の
ように反応が非化学量論的ではなく、化学量論的
な1電子もしくは4電子反応であるから、表示素
子を駆動する際に電解量を厳密に制御する必要は
なく、駆動が容易である。 また、プルシアンブルーとして知られる青色顔
料は、1704年に発見されて以来、塗料や印刷イン
クとして昔から広く実用に供されており、その化
学的な安定にも不安がない。ヘキサシアノ鉄酸鉄
塩を用いるこの発明は、上述のように、一定濃度
の色調での表示を容易に駆動でき、着色種の化学
的安定性については歴史的に証明されている美し
い紺青(プルシアンブルー)色のエレクトロクロ
ミツク表示素子を実現するものである。 本発明に用いられる電気化学着色物質であるヘ
キサシアノ鉄酸鉄塩は、従来より不溶性プルシア
ンブルーと称され、化学式Fe4〔Fe(CN)6〕3・
nH2Oで表わされているものをさす。ただし、上
の化学式中nは12〜14とされている。プルシアン
ブルーと呼ばれている化合物群は、大きく分け
て、不溶性プルシアンブルーと可溶性プルシアン
ブルーの2つに分類されていることは先に述べた
通りである。このように2種の化合物に分れる理
由はその合成法の違いにある。不溶性プルシアン
ブルーの合成は、フエロシアンイオンを含む水溶
液とそれよりも過剰の第二鉄イオンを含む溶液を
混合し、沈澱物として不溶性プルシアンブルーを
得る方法がある。一方、可溶性プルシアンブルー
を得る合成法には、ヘウロシアンイオンを含む水
溶液と第二鉄イオンを含む水溶液を等モルづつ混
合し、沈澱物として可溶性プルシアンブルーを得
る方法がある。本発明に用いるられる合成法は前
述の2つの方法とは異なり、表示極の表面で、直
接、電気化学的に合成したヘキサシアノ鉄酸鉄塩
を、密着した連続かつ均一な薄膜として電極に電
解析出させる方法である。この方法によつて、電
気化学的に可逆に色調変化の可能に表示極を実現
することができた。 次に、本発明で用いられるヘキサシアノ鉄酸鉄
塩が不溶性プルシアンブルーであることにより、
酸化・還元の機構が可溶性プルシアンブルーとは
異なることについて述べる。 第2図に、本発明によるヘキサシンアノ鉄酸鉄
塩を約2.5mc/cm2被覆したSnO2透明電極の
1MKCl中におけるサクリツクボルタモグラムを
示す。また、第3図に、同様な電極で電荷密度
10.5mc/cm2の+1.35V、+0.65Vと−0.2V vs.sec
における吸収スペクトルを示す。この電極は、+
0.6V vs.SCE付近で690nmに吸収ピークを持つス
ペクトルを与え青色に着色している。この690n
mに吸収ピークを持つスペクトルはコロルド状の
プルシアンブルーについて報告されているものに
よい一致を示している。−0.2V vs.SCE付近では
何も吸収は見られず透明であり、1.35V vs.SCE
付近では425nmに小さい吸収ピークが見られ、
電極はうす茶色に着色している。 第2図のサイクリツクボルタモグラムより、こ
の電極は、+0.2Vと+0.9V vs.SCE付近に2つの
ピークをもつ波が現われていることが分かる。
各々のピークについて、可溶性プルシアンブルー
と不溶性プルシアンブルーそれぞれの場合の電気
化学反応について考えてみる。 まず、+0.2V vs.SCE付近にピークを持つ波に
ついて、可溶性プルシアンブルーの場合と不溶性
プルシアンブルーの場合について、その電気化学
反応について比較する。 可溶性プルシアンブルーの場合: M+Fe()〔Fe()(CN)6〕+M++e− ―――→ ←――― −e−M+ 2Fe()〔Fe()(CN)6〕 ……(6) (青色) (
無色) 不溶性プルシアンブルーの場合: Fe()4〔Fe()(CN)6〕3+4M++4e− ―――→ ←――― −4e−M+ 4Fe()4(Fe()(CN)6〕3 ……(6)′ (青色) (
無色) ただし、ここでM+は、Li+、Na+、K+、Rb+、
Cs+やNH+ 4などの1価カチオンを示す。 以上、可溶性プルシアンブルーも不用性プルシ
アンブルーも、ともに電子と1価カチオンが被膜
中に同時に注入される電気化学反応である。 次に、+0.9V vs.SCE付近にピークを持つ波に
ついて、可溶性プルシアンブルーと不溶性プルシ
アンブルーの場合のそれぞれについて、それらの
電気化学反応を比較する。 可溶性プルシアンブルーの場合: M+Fe()〔Fe()(CN)6〕−M++e− ―――→ ←――― −e−Fe()(CN)6〕 ……(7) (青色) (
茶色) 不溶性プルシアンブルーの場合: Fe()4〔Fe()(CN)6〕3+3/l×l-
+4e− ―――→ ←――― −4−eFe()4〔Fe()(CN)6〕3・3/l×l-
……(7)′ (青色)
(茶色) ただし、ここでXl-はl価アニオンを示す。 (7)と(7)′式を比較すれば明らかなように、可溶
性プルシアンブルーではM+カチオンと電子が被
膜に出入する電気化学反応であるのに対し、不溶
性プルシアンブルーでは、Xl-アニオンと電子が
出入する反応である。以上をまとめると、+0.2V
付近でピークを持つ波と、+0.9V vs.SCE付近に
ピークを持つ波において、可溶性プルシアンブル
ーと不溶性プルシアンブルーとでは、2つの点で
大きな相違がある。その第一のものは、+0.9Vvs.
SCE付近にピークを持つ波が、可溶性プルシアン
ブルーではM+カチオンの出入する反応となるの
に対し、不溶性プルシアンブルーではXl-アニオ
ンの出入する電気化学反応である。その第二の相
違点は、+0.2Vと+0.9V vs.SCE付近にピークを
もつ波に関与する電子数の比である。可溶性プル
シアンブルーでは、その比が1:1となるのに対
し、不溶性プルシアンブルーでは、その比が4:
3となる。上述から明らかなように本発明に用い
るヘキサシアノ鉄酸鉄が可溶性プルシアンブルー
であるから不溶性プルシアンブルーであるかを明
らかにすることは、その電気化学反応を深く理解
し、エレクトロクロミツク表示素子として適切な
駆動を行う上で不可欠である。 以下実施例に基づいて説明するように、本発明
では、その組成を原子吸光分析や炎光分析を用い
明確に決定し、電気化学測定法を用いてその電気
化学的酸化環元の機構を新たに見いだし、適切な
駆動原理をヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極に与え
ることを大きな目的とする。 実施例 1 本実施例では、本発明に用いるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極の一般製法について述べる。 20ミリモル/リツトルのフエリシアン化カリウ
ム(K3Fe(CN)6)水溶液と、20ミリモル/リツ
トルの塩化第二鉄(FeCl3)水溶液で塩酸濃度を
0.2Nに調整されたものとを同容量混合し、茶褐
色透明溶液を作る。 この茶色褐透明溶液に、その表面に本発明に用
いるヘキサシアノ鉄酸鉄塩を被覆する表示極であ
る面積1cm2の白金板電極と、前記表示極に電流を
流すための面積約10cm2の白金板電極を浸漬する。
次に面積1cm2の白金板電極を10μAの電流で陰分
極し、約10分間定電流分解する。電解終了後この
茶褐色透明溶液から陰分極した面積1cm2の白金電
極を取り出したところ、その表面に連続かつ均一
な青色の不溶性固体膜が析出した。 実施例 2 本実施例では、本発明に用いるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩の組成について述べる。 ヘキサシアノ鉄酸鉄塩の被覆の方法は、実施例
1と同じである。ただし、被覆する電極は、面積
10cm2の白金板を用い、100μAの電流で10分間定電
流電解を行い、陰極である面積10cm2の白金極電極
上に、青色の不溶性固体膜を得て、これを分析の
試料とした。試料である不溶性固体膜を28%アン
モニア水で溶解後、1:1塩酸で中和し、100c.c.
にメスアツプして分析試料とした。分析は、カリ
ウムを炎光分析法で行い、鉄は原子吸光分析法を
用いた。 また、分析試料とは別のヘキサシアノ鉄酸鉄塩
被覆電気を用い、この電極をPH4.0に調整された
1MKCl水溶液中で、サイクリツクボルタモグラ
ムを観測し、+0.2V vs.SCE付近にピークを持ち
波の酸化環元に基づく電気量を求めた。 第1表に、以上炎光分析と原子吸光法により求
めたカリウム量と鉄の量を電荷量と組合わせて、
まとめた。さらに計算値とも比較した。
気化学的着色物質の可逆な光学変化を利用したエ
レクトロクロミツク表示素子等の電気光学素子に
関し、特に電気化学的着色質としてヘキサシアノ
鉄酸鉄塩を用いた場合の電気化学的着・消色の機
構に関する。 近年、エレクトロニクス技術の進歩にともなつ
て、たとえば、腕時計、電卓等の小型携帯情報機
器の出力装置としての表示装置への需要が、非常
に高まつている。現在、そのような需要を満足す
る表示装置としては、液晶を用いたものがある。
液晶表示装置は、一応許容できる速さの応答、あ
る程度証明されつつある寿命等の長所を有するが
一般に表示が暗く、斜め方向からの視認性が悪い
視角依存性がある等、表示装置としては最も大切
な特性であるべき、みやすさ、美しさ等に欠ける
という無視できない短所がある。それら液晶表示
装置の持つ欠点を解決する新しい表示として、電
気化学的酸化環元によつて、ある種の物質が可逆
的な色調の変化を示す現象を利用した、エレクト
ロクロミツク表示装置の研究開発が活発に行われ
てきている。そのような電気化学発色物質として
は、従来ほ主として、r,r′−ジピリジルのアル
キル四級化物誘導体であるビオロゲン、あるいは
酸化タングステンを代表とする遷移金属酸化物等
が用いられている。 この発明は、上記と異り、従来知られていなか
つた新しい電気化学発色質である。ヘキサシアノ
鉄酸鉄塩を用いるエレクトロクロミツク表示装置
に関する。 従来の電気化学発色物質として、たとえば、ビ
オロゲンを用いる場合には、ビオロゲンを溶解た
電解液を電解環元した時、陰極表面に着色したビ
オロゲンラジカルが析出する(1)式の反応を利用し
ている。 このように電解液中から電極表面へ着色種が析
出する形の反応を用いる系では、表示の色調が、
電極面への析出物の量によつて定まるため、電極
の単位面積当りの電荷量を精密に制御しなければ
一定の色調を得られない欠点があり、また、有機
物質であるビオロゲン自体の化学的な安定性に欠
けるため、酸化環元の繰り返しによつて劣化し易
い欠点があつた。 また、従来の電気化学発色物質として、遷移金
属酸化物である酸化タングステンを用いる系で
は、電極表面に固定された酸化タングステンの層
に、電極からの電子、電解液中から金属イオンが
同時に注入される反応によつて生成するタングス
テンブロンズの着色、(2)式を利用している。 WO3+xLi+xe ―――→ ←――― −xeLixWO3 (2) (2)式の反応が電気化学的に可逆であるためには
(2)式においてx≦0.3でなければならず、x>0.3
では反応が不可逆となるため表示には使えない。
したがつて、そのような非化学量論的な反応を利
用する表示装置では、xの大きさが、可逆性を有
する範囲を超えないように、電解量を常に制御し
なければならないため、駆動が困難で実用に向か
ないという欠点があつた。 本発明では、上述した従来の電気化学的着色物
質にみられる種々の欠点を有しない、新しいすぐ
れた電気化学的着色物質として、ヘキサシアノ鉄
酸鉄塩を用いる。一般にヘキシアノ鉄鉄塩とは、
プルシアンブルーとして知られている青色顔料化
合物群の一部をなすものである。現在までにプル
シアンブルーという化合物群は大きく分けて、次
の不溶性プルシアンブルーと可溶性プルシアンブ
ルーの2つの化合物群に分類されている。 Fe()4〔Fe()CH6〕3……不溶性プル
シアンブルー(4) M+Fe()〔Fe()(CH)6〕……可溶性
プルシアンブルー(5) ここで、M+は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、
NH4 +等の1価カチオンをさす。 第1−a図と第1−b図に、それぞれ不溶性プ
ルシアンブルーと可溶性プルシアンブルーの結晶
構造を示す。第1図より明らかなように、不溶性
プルシアンブルーも可溶性プルシアンブルーも三
次元網目構造をもつ混合原子価錯体であり、シア
ノ基がFe()とFe()をブリツジした構造と
なつている。シアノ基のC原子がFe()に配位
し、シアノ基のN原子がFe()に配位してお
り、同一化合物中にその酸化数がFe()とFe
()のように異つて存在しており、これが混合
原子価錯体と言われる所以である。また、プルシ
アンブルー特有の美しい青色は、上述のように同
一化合物中に酸化数の異なる鉄原子が存在するこ
とによる混合原子価吸収帯によるものである。も
し、結晶中のすべてのFe()がFe()に環元
された場合には、結晶構造そのものには変化を生
じないが、青色は失なわれて無色に変化する。本
発明は、上述した混合原子価錯体中のFe()の
原子価を電気化学的酸化環元法により、三価と二
価に可逆的に変化させ、色調を変える原理に基づ
いており、反応は(6)もしくは(6)′式で示すことが
できる。 M+Fe()〔Fe()(CN)6〕+M++x− ―――→ ←――― −x−M+ 2Fe()〔Fe()(CN)6〕 (6) (青色) (
無色) Fe()4〔Fe()(CN)6〕3+4M++4e− ―――→ ←――― −4e−M+ 4Fe()4〔Fe()(CN)6〕3 (6)′ (青色) (
無色) ここで、M+はLi+、Na+、K+、Rb+、Cs+、
NH4 +等の一価カチオンを示す。 電気化学的着色物質としてヘキサシアノ鉄酸鉄
塩を用いるエレクトロクロミツク表示素子では、
予め、不溶性の三次元網目構造をもつ混合原子価
錯体を連続かつ均一な薄膜として、表示極表面に
固定されている層の電気化学的な反応による色調
の変化を利用するのであつて、前述したピオロゲ
ンのような液中からの析出と溶解の繰り返しを行
うのではない。そのため、色の濃度は、ヘキサシ
アノ鉄酸鉄塩の層の厚さで定まる一定濃度に常に
維持することができる。また、反応式(6)や(6)′で
明らかなように、酸化タングステンの反応(2)式の
ように反応が非化学量論的ではなく、化学量論的
な1電子もしくは4電子反応であるから、表示素
子を駆動する際に電解量を厳密に制御する必要は
なく、駆動が容易である。 また、プルシアンブルーとして知られる青色顔
料は、1704年に発見されて以来、塗料や印刷イン
クとして昔から広く実用に供されており、その化
学的な安定にも不安がない。ヘキサシアノ鉄酸鉄
塩を用いるこの発明は、上述のように、一定濃度
の色調での表示を容易に駆動でき、着色種の化学
的安定性については歴史的に証明されている美し
い紺青(プルシアンブルー)色のエレクトロクロ
ミツク表示素子を実現するものである。 本発明に用いられる電気化学着色物質であるヘ
キサシアノ鉄酸鉄塩は、従来より不溶性プルシア
ンブルーと称され、化学式Fe4〔Fe(CN)6〕3・
nH2Oで表わされているものをさす。ただし、上
の化学式中nは12〜14とされている。プルシアン
ブルーと呼ばれている化合物群は、大きく分け
て、不溶性プルシアンブルーと可溶性プルシアン
ブルーの2つに分類されていることは先に述べた
通りである。このように2種の化合物に分れる理
由はその合成法の違いにある。不溶性プルシアン
ブルーの合成は、フエロシアンイオンを含む水溶
液とそれよりも過剰の第二鉄イオンを含む溶液を
混合し、沈澱物として不溶性プルシアンブルーを
得る方法がある。一方、可溶性プルシアンブルー
を得る合成法には、ヘウロシアンイオンを含む水
溶液と第二鉄イオンを含む水溶液を等モルづつ混
合し、沈澱物として可溶性プルシアンブルーを得
る方法がある。本発明に用いるられる合成法は前
述の2つの方法とは異なり、表示極の表面で、直
接、電気化学的に合成したヘキサシアノ鉄酸鉄塩
を、密着した連続かつ均一な薄膜として電極に電
解析出させる方法である。この方法によつて、電
気化学的に可逆に色調変化の可能に表示極を実現
することができた。 次に、本発明で用いられるヘキサシアノ鉄酸鉄
塩が不溶性プルシアンブルーであることにより、
酸化・還元の機構が可溶性プルシアンブルーとは
異なることについて述べる。 第2図に、本発明によるヘキサシンアノ鉄酸鉄
塩を約2.5mc/cm2被覆したSnO2透明電極の
1MKCl中におけるサクリツクボルタモグラムを
示す。また、第3図に、同様な電極で電荷密度
10.5mc/cm2の+1.35V、+0.65Vと−0.2V vs.sec
における吸収スペクトルを示す。この電極は、+
0.6V vs.SCE付近で690nmに吸収ピークを持つス
ペクトルを与え青色に着色している。この690n
mに吸収ピークを持つスペクトルはコロルド状の
プルシアンブルーについて報告されているものに
よい一致を示している。−0.2V vs.SCE付近では
何も吸収は見られず透明であり、1.35V vs.SCE
付近では425nmに小さい吸収ピークが見られ、
電極はうす茶色に着色している。 第2図のサイクリツクボルタモグラムより、こ
の電極は、+0.2Vと+0.9V vs.SCE付近に2つの
ピークをもつ波が現われていることが分かる。
各々のピークについて、可溶性プルシアンブルー
と不溶性プルシアンブルーそれぞれの場合の電気
化学反応について考えてみる。 まず、+0.2V vs.SCE付近にピークを持つ波に
ついて、可溶性プルシアンブルーの場合と不溶性
プルシアンブルーの場合について、その電気化学
反応について比較する。 可溶性プルシアンブルーの場合: M+Fe()〔Fe()(CN)6〕+M++e− ―――→ ←――― −e−M+ 2Fe()〔Fe()(CN)6〕 ……(6) (青色) (
無色) 不溶性プルシアンブルーの場合: Fe()4〔Fe()(CN)6〕3+4M++4e− ―――→ ←――― −4e−M+ 4Fe()4(Fe()(CN)6〕3 ……(6)′ (青色) (
無色) ただし、ここでM+は、Li+、Na+、K+、Rb+、
Cs+やNH+ 4などの1価カチオンを示す。 以上、可溶性プルシアンブルーも不用性プルシ
アンブルーも、ともに電子と1価カチオンが被膜
中に同時に注入される電気化学反応である。 次に、+0.9V vs.SCE付近にピークを持つ波に
ついて、可溶性プルシアンブルーと不溶性プルシ
アンブルーの場合のそれぞれについて、それらの
電気化学反応を比較する。 可溶性プルシアンブルーの場合: M+Fe()〔Fe()(CN)6〕−M++e− ―――→ ←――― −e−Fe()(CN)6〕 ……(7) (青色) (
茶色) 不溶性プルシアンブルーの場合: Fe()4〔Fe()(CN)6〕3+3/l×l-
+4e− ―――→ ←――― −4−eFe()4〔Fe()(CN)6〕3・3/l×l-
……(7)′ (青色)
(茶色) ただし、ここでXl-はl価アニオンを示す。 (7)と(7)′式を比較すれば明らかなように、可溶
性プルシアンブルーではM+カチオンと電子が被
膜に出入する電気化学反応であるのに対し、不溶
性プルシアンブルーでは、Xl-アニオンと電子が
出入する反応である。以上をまとめると、+0.2V
付近でピークを持つ波と、+0.9V vs.SCE付近に
ピークを持つ波において、可溶性プルシアンブル
ーと不溶性プルシアンブルーとでは、2つの点で
大きな相違がある。その第一のものは、+0.9Vvs.
SCE付近にピークを持つ波が、可溶性プルシアン
ブルーではM+カチオンの出入する反応となるの
に対し、不溶性プルシアンブルーではXl-アニオ
ンの出入する電気化学反応である。その第二の相
違点は、+0.2Vと+0.9V vs.SCE付近にピークを
もつ波に関与する電子数の比である。可溶性プル
シアンブルーでは、その比が1:1となるのに対
し、不溶性プルシアンブルーでは、その比が4:
3となる。上述から明らかなように本発明に用い
るヘキサシアノ鉄酸鉄が可溶性プルシアンブルー
であるから不溶性プルシアンブルーであるかを明
らかにすることは、その電気化学反応を深く理解
し、エレクトロクロミツク表示素子として適切な
駆動を行う上で不可欠である。 以下実施例に基づいて説明するように、本発明
では、その組成を原子吸光分析や炎光分析を用い
明確に決定し、電気化学測定法を用いてその電気
化学的酸化環元の機構を新たに見いだし、適切な
駆動原理をヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極に与え
ることを大きな目的とする。 実施例 1 本実施例では、本発明に用いるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極の一般製法について述べる。 20ミリモル/リツトルのフエリシアン化カリウ
ム(K3Fe(CN)6)水溶液と、20ミリモル/リツ
トルの塩化第二鉄(FeCl3)水溶液で塩酸濃度を
0.2Nに調整されたものとを同容量混合し、茶褐
色透明溶液を作る。 この茶色褐透明溶液に、その表面に本発明に用
いるヘキサシアノ鉄酸鉄塩を被覆する表示極であ
る面積1cm2の白金板電極と、前記表示極に電流を
流すための面積約10cm2の白金板電極を浸漬する。
次に面積1cm2の白金板電極を10μAの電流で陰分
極し、約10分間定電流分解する。電解終了後この
茶褐色透明溶液から陰分極した面積1cm2の白金電
極を取り出したところ、その表面に連続かつ均一
な青色の不溶性固体膜が析出した。 実施例 2 本実施例では、本発明に用いるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩の組成について述べる。 ヘキサシアノ鉄酸鉄塩の被覆の方法は、実施例
1と同じである。ただし、被覆する電極は、面積
10cm2の白金板を用い、100μAの電流で10分間定電
流電解を行い、陰極である面積10cm2の白金極電極
上に、青色の不溶性固体膜を得て、これを分析の
試料とした。試料である不溶性固体膜を28%アン
モニア水で溶解後、1:1塩酸で中和し、100c.c.
にメスアツプして分析試料とした。分析は、カリ
ウムを炎光分析法で行い、鉄は原子吸光分析法を
用いた。 また、分析試料とは別のヘキサシアノ鉄酸鉄塩
被覆電気を用い、この電極をPH4.0に調整された
1MKCl水溶液中で、サイクリツクボルタモグラ
ムを観測し、+0.2V vs.SCE付近にピークを持ち
波の酸化環元に基づく電気量を求めた。 第1表に、以上炎光分析と原子吸光法により求
めたカリウム量と鉄の量を電荷量と組合わせて、
まとめた。さらに計算値とも比較した。
【表】
以上、第1表から明らかなように、本発明で用
いる電解法により合成したヘキサシサノ鉄酸鉄塩
は、いわゆる“不溶性プルシアンブルー”で、そ
の組成は、Fe4〔Fe(CN)6〕3である。 実施例 3 本実施例では、本発明に用いるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極をエルクトロクロミツク素子とし
て用いる場合の電解質の最適PHについて述べる。 第4図に本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩被
覆電極の1MKCl中での0.2V vs.SCE付近にピー
クを持つ波のサイクリツクボルタモグラムを示
す。第4図中には、破線で0.2V vs.SCE付近にお
ける酸化環元に要する電気量をクーロンメーター
を用いて同時に記録してある。この破線で示す電
気量は、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩電極を0.6V〜−
0.2V vs.SCEの電位ステツプで、1Hzの駆動を行
つたときの各サイクルごとの電気量の推移を示し
ている。この電気量の推移を膜の安定性を評価す
る目安として、次の残膜率なる量を定義する。 残膜率(1)(%) =所定のサイクルで要した電気量/1回目のサイクル
で要した電気量×100 この残間率なる量を用いて、本発明にするヘキ
サシアノ鉄酸鉄塩被覆電極を駆動する際のPHの最
適値を求めた。実験は、1MKClの水溶液を用い、
この電解質のPHを塩酸を用いて種々変化させ105
サイクル後残膜率を調べた。その結果を第5図に
示す。第5図の実線は駆動による残膜率を、破線
は浸漬による残膜率のPHによる変化を示した。第
5図より明らかなように、本発明によるヘキサシ
アノ鉄酸鉄被覆電極を駆動するのには最適なPH領
域があり、そのPH領域は、3〜5の間にある。PH
5より、アルカリ側では膜の溶解により、PH3よ
り酸性側では、プロトンの被膜中への侵入によ
り、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極を安定に駆動
することはできない。 実施例 4 本実施例では、本発明に用いるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極をエレクトロクロミツク素子とし
て用いる場合の電解質中の最適カチオンの選択に
ついて述べる。 0.2Vvs.SCE付近にピークのある波は、カチオ
ンの被膜中への出入が関係あることを述べた。第
1図に示したように、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩は格
子定数10.2Åであり、非常にオープンな構造であ
り、どのようなカチオンでも自由に出入できそう
に見える。しかし、第6図に示すように、結晶を
構成する各原子の大きさを考慮すると、ボトルネ
ツクの大きさは、直径3.5Åとなる。この大きさ
が、被膜中に出入できるカチオンの種類を制限す
るものと思われる。 そこで、本実施例では種々のカチオンを持つ電
解質を用いて、カチオンの選択を行つた。ヘキサ
シアノ鉄酸鉄塩被膜電極の製法は実施例1と同様
であり、評価の方法は実施例3と同じ残膜率なる
量を用いた。用いた電解質は、アルカリ金属塩化
物であるLiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、アル
カリ土類塩化物であるBaCl2とアンモニウム塩と
してNH4Clを用いた。ただし、PHは実施例3の
結果より塩酸を用いて4.0に調節し、濃度は0.1N
としたそれぞれの電解質水溶液を用いた。結果
は、第7図に示しように、K+、Rb+、Cs+と
NH4 +イオンが安定に被膜の着消色を行えること
が分つた。 以上の結果に基づいて、第2表に、各イオンの
結晶イオン半径と水和イオン半径の一つの目安で
あるストークスイオン半径をまとめた。この結果
より明らかなように、安定に駆動できるカチオン
のストークス半径は、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩のボ
トルネツク半径である1.75Åと非常によい対応が
あつた。
いる電解法により合成したヘキサシサノ鉄酸鉄塩
は、いわゆる“不溶性プルシアンブルー”で、そ
の組成は、Fe4〔Fe(CN)6〕3である。 実施例 3 本実施例では、本発明に用いるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極をエルクトロクロミツク素子とし
て用いる場合の電解質の最適PHについて述べる。 第4図に本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩被
覆電極の1MKCl中での0.2V vs.SCE付近にピー
クを持つ波のサイクリツクボルタモグラムを示
す。第4図中には、破線で0.2V vs.SCE付近にお
ける酸化環元に要する電気量をクーロンメーター
を用いて同時に記録してある。この破線で示す電
気量は、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩電極を0.6V〜−
0.2V vs.SCEの電位ステツプで、1Hzの駆動を行
つたときの各サイクルごとの電気量の推移を示し
ている。この電気量の推移を膜の安定性を評価す
る目安として、次の残膜率なる量を定義する。 残膜率(1)(%) =所定のサイクルで要した電気量/1回目のサイクル
で要した電気量×100 この残間率なる量を用いて、本発明にするヘキ
サシアノ鉄酸鉄塩被覆電極を駆動する際のPHの最
適値を求めた。実験は、1MKClの水溶液を用い、
この電解質のPHを塩酸を用いて種々変化させ105
サイクル後残膜率を調べた。その結果を第5図に
示す。第5図の実線は駆動による残膜率を、破線
は浸漬による残膜率のPHによる変化を示した。第
5図より明らかなように、本発明によるヘキサシ
アノ鉄酸鉄被覆電極を駆動するのには最適なPH領
域があり、そのPH領域は、3〜5の間にある。PH
5より、アルカリ側では膜の溶解により、PH3よ
り酸性側では、プロトンの被膜中への侵入によ
り、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極を安定に駆動
することはできない。 実施例 4 本実施例では、本発明に用いるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極をエレクトロクロミツク素子とし
て用いる場合の電解質中の最適カチオンの選択に
ついて述べる。 0.2Vvs.SCE付近にピークのある波は、カチオ
ンの被膜中への出入が関係あることを述べた。第
1図に示したように、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩は格
子定数10.2Åであり、非常にオープンな構造であ
り、どのようなカチオンでも自由に出入できそう
に見える。しかし、第6図に示すように、結晶を
構成する各原子の大きさを考慮すると、ボトルネ
ツクの大きさは、直径3.5Åとなる。この大きさ
が、被膜中に出入できるカチオンの種類を制限す
るものと思われる。 そこで、本実施例では種々のカチオンを持つ電
解質を用いて、カチオンの選択を行つた。ヘキサ
シアノ鉄酸鉄塩被膜電極の製法は実施例1と同様
であり、評価の方法は実施例3と同じ残膜率なる
量を用いた。用いた電解質は、アルカリ金属塩化
物であるLiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、アル
カリ土類塩化物であるBaCl2とアンモニウム塩と
してNH4Clを用いた。ただし、PHは実施例3の
結果より塩酸を用いて4.0に調節し、濃度は0.1N
としたそれぞれの電解質水溶液を用いた。結果
は、第7図に示しように、K+、Rb+、Cs+と
NH4 +イオンが安定に被膜の着消色を行えること
が分つた。 以上の結果に基づいて、第2表に、各イオンの
結晶イオン半径と水和イオン半径の一つの目安で
あるストークスイオン半径をまとめた。この結果
より明らかなように、安定に駆動できるカチオン
のストークス半径は、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩のボ
トルネツク半径である1.75Åと非常によい対応が
あつた。
【表】
実施例 5
本実施例は、サイクリツクボルタモグラムにお
いて、0.9VVSSCE付近にピークを持つ波がヘキサ
シアノ鉄酸鉄塩被覆中へのカチオンの出入に基づ
く電気化学反応ではないことを示し、さらに、
0.2VVSSCE付近に波形ピークを持つ電極反応の電
気量と、0.9VVSSCE付近での電極反応における電
気量とを比較することによつて、0.9VVSSCEでの
電気化学反応が不溶性プルシアンブルー層へのア
ニオンの出入に基づいていることを明らかにす
る。 第8図は、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極のサ
イクリツクボルタモグラフを示す。図の(1)は
1M・KCL中での0.2VVSSCE付近の安定なサイク
リツクボルタモグラムを示しており、これは実施
例4で説明したように、K+イオンの出入による
電極反応である。図の(2)及び(3)は、1M・NaCl中
でのサイクリツクボルタモグラムを示しており、
(2)は0.9VVSSCE付近の電極反応が安定で可逆的で
あることを表わし、(3)は0.2VVSSCE付近の電極反
応が1回の電位走査で不可逆的な被膜の破壊を引
き起こすことを表わしている。(3)反応は先述した
ように、電極被膜へのカチオンの出入に基づいて
おり、ここでは、Na+イオンのストークス半径が
プリシアンブルー結晶各子のボルトネツク半径よ
り大きいために電極被覆の破壊を引き起こしたの
である。(2)反応がそのような不可逆正を示してい
ないことは、この反応がNa+イオンの出入に基づ
く電極反応ではないことを表わしている。したが
つて、0.9VVSSCE付近のピークを持つサイクリツ
クボルタモグラムで表わされる電気化学反応は、
プリシアンブルー被膜へのカチオンの出入りに基
づくものではなく、おそらく、アニオンの出入り
に基づくものである。 次に第9図は酸化スズ透明電極上に形成したヘ
キサシアノ鉄酸鉄塩被膜の0.1N KBF4電解液中
でのサイクリツクボルタグラムを実線で示し、電
極反応量を表わす電気量変化を電極電流の積分値
として測定して図の破線で示す。 第9図において、Q1は0.2VVSSCE付近のピーク
を持つ電極反応の量を表わす電気量であり、これ
は反応式(6)又は(6)′による反応量を表わすもので
ある。Q2は0.9VVSSCE付近にピークを持つ電極反
応の量を表わす電気量であり、これは、前記第8
図を用いて行つた推定に基づいて、電極膜へのア
ニオンの出入りによるものと仮定すれば、反応式
(7)または(7′)による反応量を表わす筈である。
いて、0.9VVSSCE付近にピークを持つ波がヘキサ
シアノ鉄酸鉄塩被覆中へのカチオンの出入に基づ
く電気化学反応ではないことを示し、さらに、
0.2VVSSCE付近に波形ピークを持つ電極反応の電
気量と、0.9VVSSCE付近での電極反応における電
気量とを比較することによつて、0.9VVSSCEでの
電気化学反応が不溶性プルシアンブルー層へのア
ニオンの出入に基づいていることを明らかにす
る。 第8図は、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極のサ
イクリツクボルタモグラフを示す。図の(1)は
1M・KCL中での0.2VVSSCE付近の安定なサイク
リツクボルタモグラムを示しており、これは実施
例4で説明したように、K+イオンの出入による
電極反応である。図の(2)及び(3)は、1M・NaCl中
でのサイクリツクボルタモグラムを示しており、
(2)は0.9VVSSCE付近の電極反応が安定で可逆的で
あることを表わし、(3)は0.2VVSSCE付近の電極反
応が1回の電位走査で不可逆的な被膜の破壊を引
き起こすことを表わしている。(3)反応は先述した
ように、電極被膜へのカチオンの出入に基づいて
おり、ここでは、Na+イオンのストークス半径が
プリシアンブルー結晶各子のボルトネツク半径よ
り大きいために電極被覆の破壊を引き起こしたの
である。(2)反応がそのような不可逆正を示してい
ないことは、この反応がNa+イオンの出入に基づ
く電極反応ではないことを表わしている。したが
つて、0.9VVSSCE付近のピークを持つサイクリツ
クボルタモグラムで表わされる電気化学反応は、
プリシアンブルー被膜へのカチオンの出入りに基
づくものではなく、おそらく、アニオンの出入り
に基づくものである。 次に第9図は酸化スズ透明電極上に形成したヘ
キサシアノ鉄酸鉄塩被膜の0.1N KBF4電解液中
でのサイクリツクボルタグラムを実線で示し、電
極反応量を表わす電気量変化を電極電流の積分値
として測定して図の破線で示す。 第9図において、Q1は0.2VVSSCE付近のピーク
を持つ電極反応の量を表わす電気量であり、これ
は反応式(6)又は(6)′による反応量を表わすもので
ある。Q2は0.9VVSSCE付近にピークを持つ電極反
応の量を表わす電気量であり、これは、前記第8
図を用いて行つた推定に基づいて、電極膜へのア
ニオンの出入りによるものと仮定すれば、反応式
(7)または(7′)による反応量を表わす筈である。
【表】
第9図によつて実例されたQ1とQ2との比と、
電極膜が不溶性プルシアンブルー(Fe4〓〔Fe〓
(CN)6〕3)の場合に反応式(6′)と(7′)とから
計算される反応量比、および可溶性プルシアンブ
ルー(KFe〓Fe〓(CN)6)の場合に反応式(6)と(7)
から計算される反応量比とを比較して、第3表に
示した。この結果から、電極膜が不溶性プルシア
ンブルー膜であれば、サイクリツクボルタモグラ
ム上で0.9VVSSCE付近にピーク波を持つ電極反応
がアニオンに関わる反応であると結論して、合理
的に説明できることが明らかである。 実施例 6 本実施例では、実施例5の結果を考慮し、電解
質中のアニオンの最適な選択を行う。 ヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極の製法は実施例
1と同様であり、アニオンの評価の方法は、実施
例3と同じ残膜率を用いる。しかし、1.0V vs.
SCEを越える電位では、電解質によつては残余電
流の影響が大きく、電気量を用いた残膜率では正
確な比較ができない。そこで、次のように残膜率
(2)を用い電解質アニオンの評価の指標とした。す
なわち、0.9V vs.SCE付近での波のピーク電流の
比を用いる。 残膜率(2)〔%〕 =所定のサイクル後のピーク電流/1回目のサイクル
でのピーク電流×100 評価に用いた電位ステツプ波形は、0.6Vとし
4V vs.SCEで、1Hzの周期をもつ駆動波形であ
る。用いた電解質は、KCl、KF、KPF6、
KNO3、KClO4、CH3、K2SO4とKBF4である。 第10図に、103サイクルまでの各アニオンを
用いた場合の、0.9V vs.SCE付近にピークをもつ
波の残膜率(2)を示す。 また、第4表に、アニオンの種々とストークス
イオン半径を示した。
電極膜が不溶性プルシアンブルー(Fe4〓〔Fe〓
(CN)6〕3)の場合に反応式(6′)と(7′)とから
計算される反応量比、および可溶性プルシアンブ
ルー(KFe〓Fe〓(CN)6)の場合に反応式(6)と(7)
から計算される反応量比とを比較して、第3表に
示した。この結果から、電極膜が不溶性プルシア
ンブルー膜であれば、サイクリツクボルタモグラ
ム上で0.9VVSSCE付近にピーク波を持つ電極反応
がアニオンに関わる反応であると結論して、合理
的に説明できることが明らかである。 実施例 6 本実施例では、実施例5の結果を考慮し、電解
質中のアニオンの最適な選択を行う。 ヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極の製法は実施例
1と同様であり、アニオンの評価の方法は、実施
例3と同じ残膜率を用いる。しかし、1.0V vs.
SCEを越える電位では、電解質によつては残余電
流の影響が大きく、電気量を用いた残膜率では正
確な比較ができない。そこで、次のように残膜率
(2)を用い電解質アニオンの評価の指標とした。す
なわち、0.9V vs.SCE付近での波のピーク電流の
比を用いる。 残膜率(2)〔%〕 =所定のサイクル後のピーク電流/1回目のサイクル
でのピーク電流×100 評価に用いた電位ステツプ波形は、0.6Vとし
4V vs.SCEで、1Hzの周期をもつ駆動波形であ
る。用いた電解質は、KCl、KF、KPF6、
KNO3、KClO4、CH3、K2SO4とKBF4である。 第10図に、103サイクルまでの各アニオンを
用いた場合の、0.9V vs.SCE付近にピークをもつ
波の残膜率(2)を示す。 また、第4表に、アニオンの種々とストークス
イオン半径を示した。
【表】
以上、第9図と第4表より明らかなように、本
発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極を安定
に駆動できるアニオンは、カチオンの場合と同様
に、そのストークスイオン半径とヘキサシアノ鉄
酸鉄塩結晶格子のボトルネツクの大きさとから、
合理的に選択することができた。 実施例 7 本実施例では、本発明によるヘキサシアノ鉄酸
鉄塩被覆電極を青色と無色の間の着消色を繰返し
た後の組成分析の結果による新しい発見に基づ
き、着消色のさらに厳密なる原理を提供すること
を目的とする。 方法は、実施例2と同様であるが、組成の分析
を、電解成膜直後と1MKCl水溶液中で着消色の
サイクルを数回行つた後の両方について行つた。
発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極を安定
に駆動できるアニオンは、カチオンの場合と同様
に、そのストークスイオン半径とヘキサシアノ鉄
酸鉄塩結晶格子のボトルネツクの大きさとから、
合理的に選択することができた。 実施例 7 本実施例では、本発明によるヘキサシアノ鉄酸
鉄塩被覆電極を青色と無色の間の着消色を繰返し
た後の組成分析の結果による新しい発見に基づ
き、着消色のさらに厳密なる原理を提供すること
を目的とする。 方法は、実施例2と同様であるが、組成の分析
を、電解成膜直後と1MKCl水溶液中で着消色の
サイクルを数回行つた後の両方について行つた。
【表】
第5表より明らかなように、数サイクルの着消
色を行つた後に、青色の状態での分析値を成膜直
後の青色状態での分析値と比較すると、被覆中の
カリウム含有量がふえていることが分かる。これ
より次の式で示すように、消色時に被膜中へカリ
ウムイオンと電子が同時に注入されるが、さらに
着色方向に駆動する際、カリウムイオンと電子が
被膜中から出て行く過程と、アニオンである塩素
イオンが注入され電子が出て行くという過程もあ
ることが分かる。 これをより一般的な電気化学的反応式で表わせ
ば、(9)式のようになる。 M+ nF〓○− 4〔F〓○− (CN)6〕3・m/lXl-+xM+ −(4−X/l)×-l4e− ―――→ ←――― −4e−M+ (n+x)F〓○− 4〔F〓○− (CN)6〕3・(m+x−4/l)l- (9) ただし、(9)式中M+、Xl-、m、とxは次の意味
をもつ。 M+:1価カチオンK+、Rb+、Cs+やNH4 +等 Xl-:l価アニオンBF- 4、SO2- 4やClO4 -等 m:1、2、3、4もしくは5 l:1もしくは2 x:出入するカチオンの数 また、プルシアンブルー格子中に8つの副格子
があることなどから、次の制限が、m、lとxに
かせられ、3つの不等式を同時に満足する必要が
ある。 0≦(l+1)m/l≦8 0≦(l+1)(m+x)−4/l≦8 0≦(m+x+4)/l 実施例 8 本実施例では、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極
のサイクリツクボルタモグラムで、0.9Vvs.SCE
付近にピークを持つ波について、実施例7と同様
の検討を作つた結果より、青色と茶色の間の新し
い着消色の原理を明らかにできた。 すなわち、0.9V付近にピークをもつ波の酸化
環元の機構の一般的な表現は(10)式で表わすことが
できる。 M+ nFe〓4〔F〓○− (CN)6〕3・m/lXl-+yXl- −(3−ly)M+3e− ―――→ ←――― −3e−M+(m+ly−3)F〓○− 4〔F〓○− (CN)6〕3・(m+ly/l)Xl- (10) ただし、(10)式中M+、Xl-、mとyは次の意味を
持つ。 M+:1価カチオンK+、Rb+、Cs+やNH+ 4等 Xl-:l価アニオンBF- 4、SO2- 4やClO- 4等 m:1、2、3、4もしくは5 l:1もしくは2 y:出入するアニオンの数 以上、実施例1〜実施例8までに述べた本発明
の重要さを簡単にまとめれば、次のようである。
すなわち、本発明により合成したヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極は、不溶性プルシアンブルーと呼
ばれる混合原子価錯体であり、さらに非常にオー
プンな三次元網目構造をもつため、良好なエレク
トロクロミズム特性を安定に示すことができる。
さらに、厳密なる研究により、その着消色の完全
なる機構を明らかにできたことにより、電解質の
カチオンとアニオンの合理的なる選択を行えた。
そのため、応用上多くの用途を広く開くことがで
き、その工業的価値はきわめて大なるものであ
る。
色を行つた後に、青色の状態での分析値を成膜直
後の青色状態での分析値と比較すると、被覆中の
カリウム含有量がふえていることが分かる。これ
より次の式で示すように、消色時に被膜中へカリ
ウムイオンと電子が同時に注入されるが、さらに
着色方向に駆動する際、カリウムイオンと電子が
被膜中から出て行く過程と、アニオンである塩素
イオンが注入され電子が出て行くという過程もあ
ることが分かる。 これをより一般的な電気化学的反応式で表わせ
ば、(9)式のようになる。 M+ nF〓○− 4〔F〓○− (CN)6〕3・m/lXl-+xM+ −(4−X/l)×-l4e− ―――→ ←――― −4e−M+ (n+x)F〓○− 4〔F〓○− (CN)6〕3・(m+x−4/l)l- (9) ただし、(9)式中M+、Xl-、m、とxは次の意味
をもつ。 M+:1価カチオンK+、Rb+、Cs+やNH4 +等 Xl-:l価アニオンBF- 4、SO2- 4やClO4 -等 m:1、2、3、4もしくは5 l:1もしくは2 x:出入するカチオンの数 また、プルシアンブルー格子中に8つの副格子
があることなどから、次の制限が、m、lとxに
かせられ、3つの不等式を同時に満足する必要が
ある。 0≦(l+1)m/l≦8 0≦(l+1)(m+x)−4/l≦8 0≦(m+x+4)/l 実施例 8 本実施例では、ヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電極
のサイクリツクボルタモグラムで、0.9Vvs.SCE
付近にピークを持つ波について、実施例7と同様
の検討を作つた結果より、青色と茶色の間の新し
い着消色の原理を明らかにできた。 すなわち、0.9V付近にピークをもつ波の酸化
環元の機構の一般的な表現は(10)式で表わすことが
できる。 M+ nFe〓4〔F〓○− (CN)6〕3・m/lXl-+yXl- −(3−ly)M+3e− ―――→ ←――― −3e−M+(m+ly−3)F〓○− 4〔F〓○− (CN)6〕3・(m+ly/l)Xl- (10) ただし、(10)式中M+、Xl-、mとyは次の意味を
持つ。 M+:1価カチオンK+、Rb+、Cs+やNH+ 4等 Xl-:l価アニオンBF- 4、SO2- 4やClO- 4等 m:1、2、3、4もしくは5 l:1もしくは2 y:出入するアニオンの数 以上、実施例1〜実施例8までに述べた本発明
の重要さを簡単にまとめれば、次のようである。
すなわち、本発明により合成したヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極は、不溶性プルシアンブルーと呼
ばれる混合原子価錯体であり、さらに非常にオー
プンな三次元網目構造をもつため、良好なエレク
トロクロミズム特性を安定に示すことができる。
さらに、厳密なる研究により、その着消色の完全
なる機構を明らかにできたことにより、電解質の
カチオンとアニオンの合理的なる選択を行えた。
そのため、応用上多くの用途を広く開くことがで
き、その工業的価値はきわめて大なるものであ
る。
第1−aは、不溶性プルシアンブルーの結晶格
子、第1−b図は、可溶性プルシアンブルーの結
晶格子を示す。図中、●はFe()を、○はFe
()を示しており、シアノ基のC原子はFe()
に、N原子はFe()にそれぞれ結合している。
また、簡単のため結晶中の水分子は省略してあ
る。第2図は、本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄
塩を約2.5mC/cm2被覆したSnO2電極の1MKOl中
でのサイリツクボルタモグラムを示す。第3図
は、本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩を約10.5
mC/cm2被覆したSnO2透明電極の、1.35V、
0.65Vと−0.2V vs.SCEにおける吸収スペクトル
を示す。第4図は、本発明によるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極の0.2V付近にピークのあるサイ
クリツクボルタモグラムと、この波の酸化環元に
要する電気量の積分値を破線で示した。図中1は
1サイクル目を、104は104サイクル後のものを示
す。第5図は、本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄
塩被覆電極の各PHにおける残膜率を示している。
図中、実線は105サイクル後の残膜率を示し、破
線は、同様の電極の約24時間浸漬後の残膜率を示
す。第6図は、プルシアンブルーのボトルネツク
の大きさを示す。第7図は、カチオンの種類によ
る残膜率のサイクル数に対する変化を示す。第8
図は、本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電
極のサイクリツクボルタモグラムを示しており、
1は1MKCl中、2と3は1M NaCl中のものであ
る。第9図は本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩
被覆電極の0.1NKBF4中でのリサイクリツクボル
タモグラムを示しており、図中、Q1は0.2V vs.
SCE付近にピークを持つ波の酸化環元に要した電
気量を示し、Q2は0.9V vs.SCE付近にピークを持
つ波の酸化環元に要した電気量を示している。第
10図は、アニオンの種類による残膜率のサイク
ル数に対する変化を示している。
子、第1−b図は、可溶性プルシアンブルーの結
晶格子を示す。図中、●はFe()を、○はFe
()を示しており、シアノ基のC原子はFe()
に、N原子はFe()にそれぞれ結合している。
また、簡単のため結晶中の水分子は省略してあ
る。第2図は、本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄
塩を約2.5mC/cm2被覆したSnO2電極の1MKOl中
でのサイリツクボルタモグラムを示す。第3図
は、本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩を約10.5
mC/cm2被覆したSnO2透明電極の、1.35V、
0.65Vと−0.2V vs.SCEにおける吸収スペクトル
を示す。第4図は、本発明によるヘキサシアノ鉄
酸鉄塩被覆電極の0.2V付近にピークのあるサイ
クリツクボルタモグラムと、この波の酸化環元に
要する電気量の積分値を破線で示した。図中1は
1サイクル目を、104は104サイクル後のものを示
す。第5図は、本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄
塩被覆電極の各PHにおける残膜率を示している。
図中、実線は105サイクル後の残膜率を示し、破
線は、同様の電極の約24時間浸漬後の残膜率を示
す。第6図は、プルシアンブルーのボトルネツク
の大きさを示す。第7図は、カチオンの種類によ
る残膜率のサイクル数に対する変化を示す。第8
図は、本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩被覆電
極のサイクリツクボルタモグラムを示しており、
1は1MKCl中、2と3は1M NaCl中のものであ
る。第9図は本発明によるヘキサシアノ鉄酸鉄塩
被覆電極の0.1NKBF4中でのリサイクリツクボル
タモグラムを示しており、図中、Q1は0.2V vs.
SCE付近にピークを持つ波の酸化環元に要した電
気量を示し、Q2は0.9V vs.SCE付近にピークを持
つ波の酸化環元に要した電気量を示している。第
10図は、アニオンの種類による残膜率のサイク
ル数に対する変化を示している。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 電気化学的着色物質の層で被覆された第1の
電極と、この第1の電極に対向して設けられた第
2の電極と、前記第1及び第2の電極の両方に接
して設けられた電解質とによつて構成されてお
り、電気化学的に可逆な酸化環元反応によつて、
前記第1の電極の色調を変化させる電気光学素子
であつて、前記第1の電極を被覆している電気化
学的着色物質の層は、第一の色調を表示する基底
状態において組成式(1)で表わされ、第二の色調を
表示する環元状態において組成式(2)で表わされ、
第三の色調を表示する酸化状態においては組成式
(3)で表わされるヘキサシアノ鉄酸鉄を組成中に含
む複塩の層を用いている電気光学素子。 イ 基底状態における組成式 M+ nFe4〓〔Fe〓(CN)6〕3・m/lXl-・nH2O (1) ロ 環元状態における組成式 M+ (n+x)Fe4〓〔Fe〓(CN)6〕3(m+x
−4/l)Xl-・nH2O(2) ハ 酸化状態における組成 M+ (n+ly-3)〓Fe4〔Fe〓(CN)6〕3(m
+ly/l)Xl-・nH2O(3) ここで、組成式(1)、(2)および(3)において M+は1価のカチオン Xl-はl価のカチオン lは1または2 mは5以下の正の整数 nは0または正の整数 xおよびyは任意の正の整数を表わすが、た
だし、l、m、xおよびyは、次の不等式(4)、
(5)、(6)、(7)および(8)をすべて満足するものであ
る。 0≦(l+1)m≦8l (4) 0≦(l+1)(m+x)−4≦8l (5) 0≦m+x−4 (6) 0≦(l+1)(m+ly)−3l≦8l (7) 0≦ly−3 (8) 2 前記特許請求の範囲第1項で用いられる1価
のカチオン、M+は、カリウムイオン、ルビジウ
ムイオン、セシウムイオンまたはアンモニウムイ
オンである、電気光学素子。 3 前記特許請求の範囲第1項もしくは第2項で
用いられるアニオン、Xl-は、l=1のとき、塩
素イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、四フツ
化ほう酸イオン、または六フツ化リン酸イオンで
あるか、あるいはl=2のとき、硫酸イオン、ま
たは炭酸イオンである、電気光学素子。
Priority Applications (7)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP56196623A JPS5898380A (ja) | 1981-12-07 | 1981-12-07 | 電気光学素子 |
| AU83096/82A AU8309682A (en) | 1981-05-26 | 1982-04-28 | Electrochromic display device |
| US06/381,800 US4498739A (en) | 1981-05-26 | 1982-05-25 | Electrochromic display devices using iron(III) hexacyanoferrate(II) salt |
| DE8282302687T DE3272553D1 (en) | 1981-05-26 | 1982-05-25 | Electrochromic display device |
| EP82302687A EP0068635B1 (en) | 1981-05-26 | 1982-05-25 | Electrochromic display device |
| BR8203034A BR8203034A (pt) | 1981-05-26 | 1982-05-25 | Dispositivo de exibicao eletrocronico |
| KR1019820002321A KR830010396A (ko) | 1981-05-26 | 1982-05-26 | 전기화학 표시소자 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP56196623A JPS5898380A (ja) | 1981-12-07 | 1981-12-07 | 電気光学素子 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS5898380A JPS5898380A (ja) | 1983-06-11 |
| JPH0340073B2 true JPH0340073B2 (ja) | 1991-06-17 |
Family
ID=16360831
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP56196623A Granted JPS5898380A (ja) | 1981-05-26 | 1981-12-07 | 電気光学素子 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS5898380A (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6087316A (ja) * | 1983-10-20 | 1985-05-17 | Nissan Motor Co Ltd | エレクトロクロミツク素子 |
| US6117568A (en) * | 1995-03-10 | 2000-09-12 | Kanagawa Academy Of Science And Technology | Cyanochromium-complex-based magnetic material |
| JP4889015B2 (ja) * | 2006-08-16 | 2012-02-29 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | センサ用電極体、それを用いたセンサ及びセンシングシステム、並びにセンサ用電極体の製造方法 |
| JP5641363B2 (ja) * | 2009-04-30 | 2014-12-17 | 国立大学法人 筑波大学 | 不揮発性エレクトロクロミック素子およびカチオンの移動を制御する方法 |
| JP2011180469A (ja) * | 2010-03-03 | 2011-09-15 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | プルシアンブルー型金属錯体ナノ粒子を具備する電気化学素子、これを用いたエレクトロクロミック素子及び二次電池 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5943071B2 (ja) * | 1981-03-24 | 1984-10-19 | 日産自動車株式会社 | エレクトロクロミツク表示素子 |
-
1981
- 1981-12-07 JP JP56196623A patent/JPS5898380A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS5898380A (ja) | 1983-06-11 |
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