JPH0337854B2 - - Google Patents

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JPH0337854B2
JPH0337854B2 JP60123857A JP12385785A JPH0337854B2 JP H0337854 B2 JPH0337854 B2 JP H0337854B2 JP 60123857 A JP60123857 A JP 60123857A JP 12385785 A JP12385785 A JP 12385785A JP H0337854 B2 JPH0337854 B2 JP H0337854B2
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JP
Japan
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tcnq
electrolytic capacitor
salt
organic semiconductor
solvent
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JP60123857A
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Shigeru Uzawa
Hozumi Nakada
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RUBIKON KK
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RUBIKON KK
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Publication of JPH0337854B2 publication Critical patent/JPH0337854B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
[発明の技術分野] 本発明は電解コンデンサに係り、特に7,7,
8,8−テトラシアノキノジメタン塩に代表され
る有機半導体を電解質内に有した電解コンデンサ
に関する。 [発明の技術的背景とその問題点] 一般に、電解コンデンサはアルミニウム
(Al)、タンタル(Ta)のような弁金属を陽極と
し、その表面に形成した陽極酸化皮膜(以下酸化
皮膜という)を誘電体として用い、更にその酸化
皮膜上に電解質層を介在して陰極を対向配置した
構造とされている。このような電解コンデンサ
は、電解質として液体電解質(以下電解液とい
う)を用いたものと固体電解質を用いたものとに
大別され、何れも大容量化が可能であることから
種々の電子回路に使用されている。 電解コンデンサを評価する上での重要な特性
は、静電容量、tanδ及び漏れ電流である。静電容
量C、tanδは一般的に次式で表わされる。 C=K×(S/d)=K′×(S/V) ……(1) tanδ=ωCR=ωC(R1+R2) ……(2) 但し、K,K′は定数、Sは電極面積、dは酸
化皮膜厚さ、Vは酸化皮膜耐電圧、ωは角周波
数、Rは等価直列抵抗、R1は酸化皮膜に起因す
る抵抗、R2は電解質及び電極等に起因する抵抗
である。 ところで、小型で大容量の電解コンデンサを実
現するには、上記の(1)式で明らかなように、電極
面積Sを大きくし、酸化皮膜耐電圧Vをできる限
りコンデンサの定格電圧に近づけることが必要で
ある。ところが、酸化皮膜は本来完全なものでは
なく、皮膜内に多くの欠陥点を有し、更にコンデ
ンサの製造工程における機械的或は熱的ストレス
に起因した皮膜損傷部を有している。これら酸化
皮膜の欠陥部分はコンデンサの漏れ電流を増大さ
せ、不所望な耐電圧低下を引き起す。従つて、電
解質には酸化皮膜の欠陥部分を修復して漏れ電流
を低減し安定化させるための能力が必要でありこ
れがない場合には定格電圧に対して過剰の耐電圧
を有するような酸化皮膜を用いなくてはならな
い。また、電極面積Sを大きくするために陽極体
表面は微細な凹凸を有する構造に設計されるのが
一般的である。しかし、電解質層がこの凹凸の全
表面にわたつて被覆されていなければ、有効な電
極面積Sの増大は図れず逆に特性低下の原因とな
る。 一方、コンデンサの損失分であるtanδを低下さ
せるには、上記(2)式に示す等価直列抵抗Rを小さ
くすることが必要である。等価直列抵抗Rの内、
酸化皮膜に起因する抵抗R1は酸化皮膜自体の性
質及び形成条件に依存するものであり、これを低
下させることは簡単ではない。また、高周波領域
における等価直列抵抗Rは電解質等に起因する抵
抗R2によつて支配されるため、この抵抗R2を小
さくすることができれば広い周波数領域にわたる
tanδの低下が可能となる。抵抗R2は電解質の電
導度に依存することは勿論であるが、電解質の形
成状態による影響も非常に大きい。 以上の観点から、電解コンデンサ用の電解質の
具備すべき条件は次の通りである。 酸化皮膜を修復形成(再化成)するに足りる
十分な陽極酸化性を有すること。 電解コンデンサの低抗成分に大きく影響する
電解質抵抗が低いこと。 酸化皮膜の全表面にわたつて物理的および電
気的に緻密に接着し得ること。(以下、この物
理的および電気的な接着度合を静電容量の具現
率で表わし、被覆率と称する。) ここで、従来の電解コンデンサについて説明す
る。 電解液を用いたコンデンサとしては、アルミニ
ウム電解コンデンサが一般的で、電解液としては
例えばエチレングリコール−有機酸塩からなる電
解液が使われている。陽極及び陰極には、表面積
拡大のため電気化学的に拡面処理(エツチング)
されたアルミニウム箔を用い、陽極箔にはコンデ
ンサの定格電圧の約1.5倍の耐電圧を有する酸化
皮膜が形成されている。陽極箔、陰極箔は両箔間
にセパレータ(隔離紙)を挟んで巻回され、上記
電解液は例えば真空含浸法により、上記セパレー
タに含浸することによつて酸化皮膜上及び陽、陰
極間に充填されている。このようなアルミニウム
電解コンデンサは、第3図に示すように高度にエ
ツチングされたアルミニウム陽極箔1上の酸化皮
膜2の微細な凹凸に対して電解液4の十分なる含
浸が可能で、酸化皮膜2の殆んど全表面を電解液
4で覆うことができる。このように酸化皮膜に対
する電解液の被覆率は90%以上と非常に高い上
に、また電解液の陽極酸化性が優れているので定
格電圧に対して過剰の耐電圧を有するような酸化
皮膜は不必要となる。従つて、コンデンサの小型
化および大容量化が可能である。しかし、電解液
の抵抗は比較的大きく、コンデンサのtanδを小さ
くするには限界がある。更に電導機構がイオン電
導であるため低温特性及び高周波特性に劣るとい
う欠点を有する。 一方、固体電解質を用いたコンデンサとして
は、タンタル固体電解コンデンサが広く知られて
おり、硝酸マンガン溶液の熱分解により形成した
二酸化マンガン(MnO2)を固体電解質として使
用している。陽極には、例えばタンタル粉末の成
型体を焼結した多孔質の陽極体を用い、その表面
に定格電圧の約5倍の耐電圧を有する酸化皮膜が
形成されている。上記MnO2の固体電解質層は、
硝酸マンガン溶液へ陽極体を浸漬し、約300℃で
熱分解する工程を数回以上繰り変すことによつて
形成され、電解質層の上にグラフアイト、銀ペー
スト、はんだから成る陰極層が設けられている。 上記固体電解質を用いた電解コンデンサは、
MnO2の電気抵抗が低く電子電導が主であるた
め、低温特性に優れた小型で信頼性のあるコンデ
ンサが得られる。しかし、MnO2層形成時の熱分
解工程における酸化皮膜の損傷が避けられない上
に、MnO2には陽極酸化性が殆んどない。従つ
て、これら皮膜の損傷や皮膜内に存在する欠陥部
に起因する漏れ電流の増大や耐電圧低下を防ぐた
めには、定格電圧に対して過剰の耐電圧を有する
酸化皮膜を用いても、更に熱分解の度に電解液に
よる陽極酸化を必要とするなど複雑な工程を要す
るという欠点がある。また、MnO2層の酸化皮膜
に対する被覆率は電解液に比べて著しく低いた
め、高価なタンタル多孔質陽極体の有効な利用が
できず、より一層の小型化や低価格化を図る上で
の欠点となつている。 更に、MnO2固体電解質の代りに高電導性の有
機半導体を固体電解質として利用する試みが提唱
され、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタ
ン(以下TCNQという)をアニオンとする
TCNQ塩を用いた固体電解コンデンサの研究が
進められている。TCNQ塩は10-2〜101Ωcmの低
抵抗を示す微粉末状の微細結晶であり、これをど
のようにして固体電解質層として形成するかが現
在まで議論の的であつた。 現在までに提案されているTCNQ塩を用いた
固体電解質の形成方法は大きく分けて2つに分類
される。まず、第1は例えば米国特許第3214648
号に開示されており、TCNQ塩を溶媒に溶解し
て、このTCNQ塩溶液を陽極体へ塗布後、溶媒
を飛散させて除去することによりTCNQ塩から
なる固体電解質層を形成する方法である。第2は
特開昭57−173928号公報及び特開昭58−17609号
公報において提案されている方法で、TCNQ塩
をその融点以上の高温で融解液化し、陽極体或は
巻回構造のコンデンサ素子に含浸後、冷却固化す
ることによりTCNQ塩からなる固体電解質層を
形成する方法である。しかし、上記何れの方法も
TCNQ塩の有する固体としての高い電子電導性
にのみ着目したものであり、コンデンサの電解質
としては未だ十分な特性が得られるに至つていな
い。即ち、電解質として必要な条件である陽極酸
化性と酸化皮膜に対する被覆性において、電解液
に比べると著しく劣ることが重要な問題となつて
いるのである。特に、陽極酸化性を電子電導性物
質に求めることは本来無理な問題である。 上記陽極酸化性と酸化皮膜に対する被覆性につ
いて具体的に説明する。陽極酸化性については、
酸化皮膜は前述したように内部に多数の欠陥部を
有しており、更に製造工程での酸化皮膜の損傷も
大きいため、TCNQ塩からなる固体電解質層を
形成後、製品として提供する前に皮膜欠陥部を修
復しておかないと、コンデンサの耐電圧低下及び
漏れ電流の増大により使用に耐え難いものとな
る。従つて、漏れ電流の低減と安定化のために一
般にエージングと称される安定化処理を行うこと
により、酸化皮膜の修復形成(再化成)を行うこ
とが必要である。エージングはコンデンサに直流
電圧を適当な時間印加することにより行われる
が、上述したようにTCNQ塩は電子電導性物質
であり陽極酸化性が乏しいために多くの場合には
MnO2を用いた従来の固体電解コンデンサと同様
に極めて長時間のエージング工程を必要とするば
かりか信頼性を得るためには、定格電圧に対して
過剰の耐電圧を有する酸化皮膜を用いなくてはな
らないことになる。 また、酸化皮膜に対する被覆性については、米
国特許第3214648号のような溶媒を用いる方法で
は、酸化皮膜の熱劣化を抑える目的のために125
℃以下という温度で処理する必要があつた。しか
し、このような温度ではTCNQ塩溶液中の
TCNQ塩濃度は高々10%と極めて低い値に制限
される。従つて、電解コンデンサ用の高度にエツ
チングされた電極或は多孔質焼結体の微細孔内部
にまでTCNQ塩の固体電解質層を形成すること
は全く不可能である。一方、特開昭57−173928号
公報及び特開昭58−17609号公報のような融解に
よる方法では、融解状態のTCNQ塩の粘度は陽
極体の微細孔内部まで浸透するに足りる程十分に
低くない上に、融点以上の高温によりTCNQ塩
に変質等を生じないように極めて短時間で含浸処
理を行うことが必要となる。従つて、第4図に示
すように高度にエツチングされたアルミニウム陽
極箔1上の酸化皮膜2に対してTCNQ塩固体電
解質層3を形成した場合、微細エツチング孔の深
部にはTCNQ塩固体電解質層3が形成されない
部分6が残り、十分な被覆率が得られない。この
ため、コンデンサの静電容量は所望静電容量の約
70%しか達成できないと共に、コンデンサの抵抗
成分が増大しtanδも十分に低い特性を得ることが
できない。 [発明の目的] 本発明の目的は上述した点にかんがみ、高電導
性と、優れた陽極酸化性と、酸化皮膜に対する高
い被覆性とを有した電解質層が形成され、安価で
特性の優れた電解コンデンサを提供することにあ
る。 [発明の概要] 本発明は、金属面に酸化皮膜が形成された陽極
体とこれに対向して配設される陰極体との間に介
在させる電解質を、99〜80重量%の有機半導体と
1〜20重量%の溶媒とから成る電導性混合物で形
成することを特徴とする電解コンデンサを提供す
るものである。 前記有機半導体としては、TCNQ又はその誘
導体からなる塩が利用できる。 前記溶媒としては、γ−ブチロラクトン、ジエ
チレングリコール−モノ−n−ブチルエーテル、
ベンジルアルコール、トリエチレングリコール、
およびグリタルニトリルの内1種か又は2種以上
を混合したものが利用できる。これらは沸点が
200℃以上であり、電導性混合物の溶解含浸時に
沸騰が生じないために選定された。また、前記溶
媒は、有機半導体を溶解する能力、およびコンデ
ンサ作製後の溶媒の変質等による特性変化が少な
いこと等を考慮して選定された。 [発明の実施例] 以下、本発明に係る電解コンデンサの実施例を
説明する。以下の実施例は、一般のアルミニウム
電解コンデンサに使用されている巻回構造のコン
デンサ素子に適用した場合について説明する。 まず、アルミニウム箔を電気化学的にエツチン
グ処理し、リン酸塩水溶液中にて陽極酸化して表
面に酸化皮膜を形成し、その後電極引出し用リー
ド線を取りつけてアルミニウム陽極箔を作成す
る。 一方、アルミニウム箔にエツチング処理を施し
た後、電極引出し用リード線を取り付けてアルミ
ニウム陰極箔を作成し、上記陽極箔と上記陰極箔
間にセパレータ紙を重ね合わせて巻回することに
より、コンデンサ素子を製作する。この場合、
25、V2.2μFの定格用のコンデンサ素子を製作す
る。 一方、電導性混合物電解質を形成するTCNQ
塩としては、N−n−ブチルイソキノリニウムと
TCNQから成る(N−n−ブチルイソキノリニ
ウム)+(TCNQ)-(TCNQ)塩を用い、溶媒はγ
−ブチロラクトンを用いる。 上記コンデンサ素子に(N−n−ブチルイソキ
ノリニウム)+(TCNQ)-(TCNQ)塩とγ−ブチ
ロラクトンからなる電導性混合物を電解質層とし
て形成し電解コンデンサを得る方法は次の通りで
ある。 まず、(N−n−ブチルイソキノリニウム)+
(TCNQ)-(TCNQ)塩にγ−ブチロラクトンを
添加した電導性混合物を調整する。この混合物状
態ではコンデンサ素子に対して十分な電解質を形
成することは非常に困難であるので、本実施例に
おいてはこれらの混合物をそれが完全に溶解する
温度まで加熱して高濃度のTCNQ塩溶液として
からコンデンサ素子内に含浸し、冷却することに
より再結晶したTCNQ塩とγ−ブチロラクトン
からなる電導性混合物電解質を形成する。含浸時
間は溶液の粘度により調整する必要があるが約15
秒〜50秒で可能である。 続いて、上記電導性混合物電解質層が形成され
たコンデンサ素子をアルミニウムケースに入れ、
開口部をブチルゴムとエポキシ樹脂を用いて密封
して電解コンデンサを製作した。 第1図は電導性混合物電解質形成後における陽
極箔近傍の状態を拡大して示している。この図に
示すように、電導性混合物電解質層7は、高度に
エツチングされたアルミニウム陽極箔1上の酸化
皮膜2に対して、TCNQ塩とγ−ブチロラクト
ンからなる高濃度TCNQ塩溶液としてコンデン
サ素子内に含浸した後冷却して形成される。電導
性混合物電解質層7は、再結晶したTCNQ塩3
と、TCNQ塩とγ−ブチロラクトンからなる溶
液5とから構成され、電子伝導性とイオン電導性
を有した電解質層となつている。この結果、
TCNQ塩を単独で融解する従来例に比べて粘性
が低下し微細エツチング孔の深部にまで含浸が可
能であり、酸化皮膜2に対して電解液と同等の被
覆率を有すると共に固体電解質並の電導性を示す
電導性混合物電解質層7が形成されることにな
る。 以上述べた第1実施例の電解コンデンサと比較
するために、同一のコンデンサ素子を用いて(N
−n−ブチルイソキノリニウム)+(TCNQ)-
(TCNQ)塩を単独で250℃にて融解させて含浸
した後、同様に従来例の固体電解コンデンサを製
作した。更に、同一のコンデンサ素子を用いて78
重量%のエチレングリコールと12重量%のアジピ
ン散アンモニウムと10重量%の水からなる電解液
を含浸し、アルミニウムケースとブチルゴムによ
り密封した従来例のアルミニウム電解コンデンサ
を製作した。 続いて、上記本実施例及び従来例のコンデンサ
は、酸化皮膜の修復形成及び漏れ電流の低減と安
定化のためにエージングを行う。エージング時間
はアルミニウム電解コンデンサで通常行われてい
る条件である1時間に設定した。 第1表に本実施例の代表的な電解コンデンサと
上記従来例の固体電解コンデンサ及び上記従来例
のアルミニウム電解コンデンサの漏れ電流値を示
す。
【表】 第1表から明らかなように、従来例1の
TCNQ塩固体電解コンデンサに比較して、
TCNQ塩にγ−ブチロラクトンを添加した電解
コンデンサにおいては、漏れ電流が著しく改善さ
れることが判明した。特に、γ−ブチロラクトン
量が1〜50重量%の場合は溶解液を用いた従来の
アルミニウム電解コンデンサと同等の優れた陽極
酸化性を示す。 このように、電解質の陽極酸化性が優れていれ
ば、酸化皮膜の欠陥部を瞬時に修復することがで
きるため、酸化皮膜の耐電圧をコンデンサの定格
電圧に近づけることが可能となり前記(1)式によ
り、コンデンサの小型、大容量化が実現できる。
更に、従来の固体電解コンデンサを製造する時の
ように、固体電解質の形成のたびにコンデンサ素
子を電解液中で陽極酸化したり、あるいは固体電
解質の形成以前に酸化皮膜の修復形成を行う必要
がなく、工程の簡素化が可能となり、製品のコス
トダウンにつながる。一方、同一のエージングが
行われたにもかかわらず従来例のTCNQ塩固体
電解コンデンサの漏れ電流は非常に大きく、この
ままでは実用に供し得ない。漏れ電流はコンデン
サ特性を左右する大きな因子であり、漏れ電流が
大きかつたり、安定性に欠けたりすると、例えば
カツプリング用や時定数用コンデンサとしては満
足するものは得難い。従来例においてこの漏れ電
流を低減し安定化するためには、例えば48時間と
いう極めて長時間のエージング時間を要する。 第2図に、電導性混合物電解質中のγ−ブチロ
ラクトン量と20℃、120Hzにおける静電容量
[μF]及びtanδ[%]の関係を示す。γ−ブチロ
ラクトンを含有した本実施例の電解コンデンサは
TCNQ塩を固体電解質とした従来方法による固
体電解コンデンサと比較して静電容量が著しく大
きく、更にγ−ブチロラクトンが1〜20重量%の
ものはtanδについても低い値となつている。 第2表に本実施例の電解コンデンサと従来例に
よるTCNQ塩固体電解コンデンサおよび電解液
を用いたアルミニウム電解コンデンサについて具
体的な特性を挙げて説明する。
【表】 但し、上表では(N−n−ブチルイソキノリニ
ウム)+(TCNQ)-(TCNQ)塩を(N−nBuIQ)
TCNQ- 2と略記し、等価直列抵抗RをESRと略記
して示している。静電容量(μF)、tanδ(%)及
びESR(Ω)は何れも20℃、120Hzでの測定結果
である。 第2表から明らかなように、従来例1の
TCNQ塩固体電解コンデンサに比較して、実施
例1〜4は約25〜30%という著しい静電容量の増
大効果を有し、この点において本発明の電導性混
合物電解質は電解液と同等の特性である。 一方、tanδとESRは、従来例2の電解液を用
いた電解コンデンサに比べ格段に優れており、従
来例1のTCNQ塩固体電解コンデンサと比較し
ても非常に良好な特性を示している。 第3表に上記実施例の代表的なコンデンサの低
温特性を、第4表に高周波特性を示す。
【表】
【表】 但し、上表では静電容量(μF)、tanδ(%)は
20℃、120Hzでの測定値を示し、静電容量の変化
率△C(%)は−40℃、120Hzでの容量の20℃、
120Hzでの容量に対する変化割合を示している。 第3表に示したように、電導性混合物電解質を
用いた本発明実施例1〜4は低温での容量変化率
およびtanδにおいて、従来例2の電解液を用いた
電解コンデンサの特性をはるかに凌ぐものであ
り、従来例1のTCNQ塩固体電解コンデンサと
同等かそれ以上の特性を示している。これに対
し、比較例1〜5はγ−ブチロラクトンの量が適
当でないため、電解液を用いた電解コンデンサよ
りは良好な特性を示すものの、TCNQ塩固体電
解コンデンサよりは劣る特性となつている。
【表】 但し、上表では静電容量(μF)、tanδ(%)は
20℃、10KHzでの測定値を示し、静電容量の変化
率△C(%)は20℃、10KHzでの容量の20℃、120
Hzでの容量に対する変化割合を示している。ま
た、ESR(Ω)は20℃、100KHzにおける等価直列
抵抗値を示している。 第4表に示したように、γ−ブチロラクトン量
を1〜20重量%とした電導性混合物電解質を用い
た本発明実施例1〜4は高周波特性においても、
電解液を用いた従来の電解コンデンサやTCNQ
塩固体電解コンデンサよりも優れている。比較例
1〜5のようにγ−ブチロラクトン量が前記の範
囲からはずれると、TCNQ塩固体電解コンデン
サと同等かそれより劣る特性となつてしまう。 以上のように、本発明の電解コンデンサは(N
−n−ブチルイソキノリニウム)+(TCNQ)-
(TCNQ)塩を極めて高濃度の溶液状態で含浸す
ることにより電導性混合物電解質層を形成してい
るために、従来の固体電解コンデンサでは得るこ
とができなかつた高い被覆率が1回の含浸操作に
より達成できる。更に、この電導性混合物電解質
は電解液なみの陽極酸化性を示し、得られる本発
明電解コンデンサは固体電解コンデンサに近い低
温特性及び高周波特性を有するもので、固液体電
解コンデンサとも言うべきものである。但し、電
導性混合物電解質中のγ−ブチロラクトンはその
含有量が1重量%を下回る程度に極端に少ないと
陽極酸化性及び被覆率において不利であり、20重
量%を越えると第1図からも分る通り、TCNQ
塩とγ−ブチロラクトンからなる溶液が電導性混
合物電解質中に占める割合が多くなるために、イ
オン電導が主になる結果、低温特性及び高周波特
性が低下してくる。 次に、実施例1〜4とは違つた種々の電導性混
合物電解質を用いた実施例について説明する。こ
の実施例では前記実施例1〜4と同一のコンデン
サ素子を用いて同様な方法で電解コンデンサを製
作し、静電容量、tanδおよび漏れ電流の各特性を
測定した結果を第5表に示す。
【表】
【表】 但し、上表は20℃、120Hzでの測定値である。 第5表に示した電導性混合物電解質を用いたコ
ンデンサは、実施例1〜4と同等の特性を示し、
本発明の電解コンデンサが非常に優れたものであ
ることは明らかである。また、第5表中に示した
(キノリニウム)+(TCNQ)-(TCNQ)塩は高温に
加熱しても融解しなかつたり、融解と同時に分解
したりする性質があるため第1実施例の比較従来
例に示した融解による固体電解質の形成は困難と
されていたものであるが、溶媒添加によつて電解
質形成が可能となつた。更に、第5表中に示した
ように2−メチルTCNQ等のTCNQの誘導体を
アクセプタとする電導性有機半導体についても有
効な電解質を形成し得る。なお、トリエチレング
リコールを多量に含む電導性混合物を電解質とす
るコンデンサは低温特性が低下する傾向があるが
含有量を調整したりすることにより改良は容易で
ある。 尚、本発明の混合物電解質は高電導性を有する
有機半導体と溶媒で構成されていればよく、上記
実施例に挙げたものに限定されるものではない。
また、これらは1種類に依らず、2種類以上の有
機半導体及び溶媒を混合して使用することも可能
である。更に、電解質中には有機半導体とその溶
媒以外の物質を含ませた構成とすることも可能で
ある。また、コンデンサの素子構造についてもエ
ツチングで拡面処理された陽極体を用いたコンデ
ンサに限らず、焼結形の陽極体を用いたコンデン
サなどにも適用することが可能である。また、陽
極体についても、アルミニウムに限らず、タンタ
ル等の弁金属を使用した構成も可能であり、陰極
体についても他の金属を使用した構成も可能であ
る。 更に、上記実施例ではコンデンサ素子を混合物
溶液中に浸漬して含浸することにより混合物電解
質層を形成しているが、本発明はこれに限らず、
陽極体に混合物溶液を塗布することにより形成し
てもよい。 [発明の効果] 以上述べたように本発明の電解コンデンサは、
酸化皮膜が形成された陽極体と、これに対向して
配置された陰極体間に形成される電解質が有機半
導体と溶媒とから構成される電導性混合物である
ため、この混合物電解質の持つ非常に高い被覆性
と顕著な陽極酸化性により、小型かつ大容量化が
実現できる。更に、有機半導体の高電導性を維持
するために、優れた低温特性及び高周波特性を実
現できる。従つて、従来の電解液を用いた電解コ
ンデンサと固体電解質を用いた固体電解コンデン
サの双方の利点を併せ持つ信頼性の高い優れた電
解コンデンサが可能となる。また、現在非常に高
価であるTCNQ塩等の有機半導体の使用量を、
溶媒添加により少なくして特性の向上を図れ、コ
スト的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例を示す電解コンデ
ンサにおける陽極箔近傍の状態を拡大した断面
図、第2図は第1実施例におけるγ−ブチロラク
トン量に対する静電容量及びtanδの関係を示すグ
ラフ、第3図は従来の電解液を用いた電解コンデ
ンサにおける陽極箔近傍の状態を拡大して示す断
面図、第4図は従来のTCNQ塩固体電解質を用
いた固体電解コンデンサにおける陽極箔近傍の状
態を拡大して示す断面図である。 1……アルミニウム陽極箔、2……酸化皮膜、
3……TCNQ塩、5……TCNQ塩とγ−ブチロ
ラクトンからなる溶液、7……電導性混合物電解
質層。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 金属面に酸化皮膜が形成された陽極体とこれ
    に対向して配設される陰極体との間に介在させる
    電解質を、99〜80重量%の有機半導体と1〜20重
    量%の溶媒とから成る電導性混合物で形成するこ
    とを特徴とする電解コンデンサ。 2 前記有機半導体は、7,7,8,8−テトラ
    シアノキノジメタン又はその誘導体からなる塩で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の電解コンデンサ。 3 前記有機半導体は、キノリニウムあるいはN
    位をn−プロピル基で置換したキノリニウムをカ
    チオンとし、7,7,8,8−テトラシアノキノ
    ジメタンをアニオンとする7,7,8,8−テト
    ラシアノキノジメタン塩であることを特徴とする
    特許請求の範囲第1項又は第2項記載の電解コン
    デンサ。 4 前記有機半導体は、N位をn−ブチル基又は
    isoブチル基で置換したイソキノリニウムをカチ
    オンとし、7,7,8,8−テトラシアノキノジ
    メタンをアニオンとする7,7,8,8−テトラ
    シアノキノジメタン塩であることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項又は第2項記載の電解コンデ
    ンサ。 5 前記有機半導体は、N位をメチル基で置換し
    たキノリニウムをカチオンとし、2−メチル−
    7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンをア
    ニオンとする塩であることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項又は第2項記載の電解コンデンサ。 6 前記有機半導体は、キノリニウムあるいはN
    位をn−プロピル基で置換したキノリニウムをカ
    チオンとし7,7,8,8−テトラシアノキノジ
    メタンをアニオンとする7,7,8,8−テトラ
    シアノキノジメタン塩、N位をn−ブチル基又は
    isoブチル基で置換したイソキノリニウムをカチ
    オンとし7,7,8,8−テトラシアノキノジメ
    タンをアニオンとする7,7,8,8−テトラジ
    アノキノジメタン塩、N位をメチル基で置換した
    キノリニウムをカチオンとし2−メチル−7,
    7,8,8−テトラシアノキノジメタンをアニオ
    ンとする塩の内2種類以上を混合したものである
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2
    項記載の電解コンデンサ。 7 前記溶媒は、γ−ブチロラクトン、ジエチレ
    ングリコール−モノ−n−ブチルエーテル、ベン
    ジルアルコール、トリエチレングリコール、グリ
    タルニトリルの内1種か又は2種以上を混合した
    ものであることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の電解コンデンサ。 8 前記電導性混合物は、前記有機半導体を(N
    −n−ブチルイソキノリニウム)+(TCNQ)-
    (TCNQ)塩とし前記溶媒をγ−ブチロラクトン
    とする混合物であることを特徴とする特許請求の
    範囲第1項、第2項、第4項又は第7項記載の電
    解コンデンサ。 9 前記電導性混合物は、前記有機半導体を(N
    −n−ブチルイソキノリニウム)+(TCNQ)-
    (TCNQ)塩とし前記溶媒をジエチレングリコー
    ル−モノ−n−ブチルエーテルとする混合物であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項、第2
    項、第4項又は第7項記載の電解コンデンサ。 10 前記電導性混合物は、前記有機半導体を
    (N−n−ブチルイソキノリニウム)+(TCNQ)-
    (TCNQ)塩とし前記溶媒をグルタルニトリルと
    する混合物であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項、第2項、第4項又は第7項記載の電解
    コンデンサ。 11 前記電導性混合物は、前記有機半導体を
    (N−isoブチルイソキノリニウム)+(TCNQ)-
    (TCNQ)塩とし前記溶媒をトリエチレングリコ
    ールとする混合物であることを特徴とする特許請
    求の範囲第1項、第2項、第4項又は第7項記載
    の電解コンデンサ。 12 前記電導性混合物は、前記有機半導体を
    (N−isoブチルイソキノリニウム)+(TCNQ)-
    (TCNQ)塩とし前記溶媒をベンジルアルコール
    とする混合物であることを特徴とする特許請求の
    範囲第1項、第2項、第4項又は第7項記載の電
    解コンデンサ。 13 前記電導性混合物は、前記有機半導体を
    (N−n−プロピルキノリニウム)+(TCNQ)-
    (TCNQ)塩とし前記溶媒をγ−ブチロラクトン
    とする混合物であることを特徴とする特許請求の
    範囲第1項、第2項、第3項又は第7項記載の電
    解コンデンサ。 14 前記電導性混合物は、前記有機半導体を
    (キノリニウム)+(TCNQ)-(TCNQ)塩とし前記
    溶媒をγ−ブチロラクトンとする混合物であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項、第2項、
    第3項又は第7項記載の電解コンデンサ。 15 前記電導性混合物は、前記有機半導体を
    (N−メチルキノリニウム)+(2−メチル
    TCNQ)-(2−メチルTCNQ)塩とし前記溶媒を
    γ−ブチロラクトンとする混合物であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項、第2項、第5項
    又は第7項記載の電解コンデンサ。
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