JPH033763Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、燃焼により高温の燃焼ガスを発生さ
せるパルス燃焼器の吸入弁装置に関する。

〔従来技術〕

この種のパルス燃焼器は、燃焼室の吸入側に燃
料ガス（以下単にガスという）と空気を吸入する
吸入弁装置を設けると共に燃焼室とテールパイプ
により共鳴系を構成し、短かい周期でガスが間欠
的に燃焼して生じた燃焼ガスは燃焼室とテールパ
イプの間を往復しながら全体としてテールパイプ
に向かつて流れるものである。ガスの燃焼にはガ
スよりも多量の空気を必要とするので、吸入弁装
置をガス吸入用のガス弁と空気吸入用の空気弁と
に分離したものにおいては、第３図および第４図
に示す如く、ガス弁５０を設けたガス通路２２の
周囲に環状の空気通路２６を設け、この空気通路
２６に、環状に配置された多数のスリツト２を有
する空気弁座１と、空気弁座１にスペーサ５を介
して固定されたバツクアツププレート３と、環状
のバルブプレート４からなる空気弁を設けてい
る。このバルブプレート４はガスの燃焼の周期で
空気弁座１とバツクアツププレート３の間を往復
動してスリツト２を開閉するものであるが、その
ストロークは1.2〜1.6mm程度が適正であり、これ
よりも大となるとバルブプレート４の追従性が悪
くなつて燃焼が不安定になり、このためバルブプ
レート４の劣化が早くなる。すなわちパルス燃焼
器に対する空気供給量は環状のバルブプレート４
の内外周の周長の和により制限されることにな
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このような従来技術においては、パルス燃焼器
の燃焼量を増大させるためにはバルブプレート４
の寸法を増大させて吸入空気量を多くしなければ
ならないが、この寸法の増大はバルブプレート４
の追従性を悪くして前述と同様に燃焼の不安定及
び劣化の問題を生じ、このためパルス燃焼器の燃
焼量の増大の障害となつていた。本考案は吸入弁
装置の構造を改良してこのような問題点を解決し
たものである。

〔問題点を解決するための手段〕

このために、本考案によるパルス燃焼器の吸入
弁装置は、第１図及び第２図に例示する如く、ガ
ス通路２２を形成するボス部２１及びこのボス部
から半径外向に延びて前記ガス通路２２を囲む環
状の空気通路２６を形成するフランジ部２５より
なる弁ケース本体２０と、燃焼室１１を形成する
ハウジング１０に固定され前記弁ケース本体２０
を前記フランジ部２５の外周縁において固定支持
して同弁ケース本体との間に前記燃焼室１１に連
通する混合室１６を形成する弁支持筒１２と、前
記ガス通路２２に設けられて前記混合室１６に向
かう流れのみを通過させるガス弁５０と、前記空
気通路２６に設けられて前記混合室１６に向かう
流れのみを通過させる空気弁３０を備えてなるパ
ルス燃焼器の吸入弁装置において、前記空気弁３
０は前記フランジ部２５に前記空気通路２６を横
切つて固定された環状の空気弁座３１と、この空
気弁座上に前記ガス通路２２を囲む円周３２に沿
つて配置された複数の弁ユニツト４０よりなり、
各弁ユニツト４０は前記空気弁座３１に全体とし
て円形となるように放射状に設けられた多数の吸
入孔４１と、この吸入孔に対応して前記空気弁座
３１に前記混合室１６側にスペーサ４４を介して
固定された前記円形よりやや大径のバツクアツプ
プレート４２と、前記空気弁座３１とバツクアツ
ププレート４２の間に往復動自在に前記スペーサ
４４により支持されて前記多数の吸入孔４１を開
閉する前記円形よりやや大径の薄いバルブプレー
ト４３からなることを特徴とするものである。

〔作用〕

ガス弁５０より吸入されたガスは、空気弁３０
の各弁ユニツト４０より吸入された空気と混合
し、燃焼室１１内に吸入されて燃焼して高温の燃
焼ガスを生じる。この燃焼は短かい周期で間欠的
に行われ、燃焼により燃焼室１１内の圧力が上昇
すれば各弁ユニツト４０のバルブプレート４３は
空気弁座３１に当接し、吸入孔４１を閉じて混合
室１６から空気通路２６への逆流を阻止し、燃焼
室１１内の圧力が低下すれば各バルブプレート４
３は空気弁座３１から離れて空気通路２６から混
合室１６内へ空気を導入する。

〔効果〕

かかる本考案は、前述の如く構成した複数の弁
ユニツトをガス通路を囲む環状の空気通路に円周
に沿つて配置したので、各弁ユニツトのバルブプ
レートは同寸法の空気通路に設けられた従来の１
個の環状のバルブプレートに比して小形となると
共に各弁ユニツトのバルブプレートの外周長の和
は従来の１個の環状のバルブプレートの内外周長
の和よりも大となる。従つて空気弁の吸入空気量
の増大とバルブプレートの追従性の向上という相
反する効果を同時に達成することができ、また吸
入空気量に比して吸入弁装置の外形寸法を小さく
することができる。

〔実施例〕

以下に、第１図及び第２図に示す実施例によ
り、本考案の説明をする。

第１図に示す如く、加熱槽１７内には燃焼室１
１を形成するハウジング１０（何れも一部分のみ
を示す）が設けられ、ハウジング１０一端の加熱
槽１７との取付壁１０ｂには開口１０ａが形成さ
れると共に、加熱槽１７の外壁を間に挟んで弁支
持筒１１の一端面がボルト等により固定され、ま
た弁支持筒１１の他端面には空気弁３０及びガス
弁５０を設けた弁ケース本体２０がボルト止めさ
れている。ハウジング１０の他端側には燃焼室１
１と共に共鳴室を形成し、かつ内部を通る高温の
燃焼ガスにより加熱槽１７内の液体を加熱するテ
ールパイプ（図示せず）が接続されている。ま
た、ハウジング１０の取付壁１０ｂには点火栓１
５が貫通して設けられ、その先端は燃焼室１１内
に位置している。

弁ケース本体２０は、第１図に示す如く、中心
部に設けられたボス部２１と、これにろう付け等
により固着されて半径外向にに延びるフランジ部
２５により構成されている。ボス部２１はその内
部に同軸にガス通路２２を形成し、フランジ部２
５はガス通路２２を囲む環状通路部２６ａと複数
の開口部２６ｂよりなる空気通路２６を形成して
いる。弁ケース本体２０はフランジ部２５の外周
縁において弁支持筒１２の他端面にボルト止めさ
れ、弁支持筒１２との間に混合室１６が形成され
ている。ガス通路２２及び空気通路２６は何れも
混合室１６に連通され、混合室１６は開口１０ａ
を介して燃焼室１１に連通されている。

空気通路２６には混合室１６に向かう流れのみ
を通過させる空気弁３０が設けられている。空気
弁３０は、第１図及び第２図に示す如く、弁ケー
ス本体２０の弁支持筒１２への取付面に空気通路
２６を横切つてねじ止めされた環状の空気弁座３
１と、この空気弁座３１に設けられた７個の弁ユ
ニツト４０により構成されている。各弁ユニツト
４０は、空気弁座３１に形成された吸入孔４１、
スペーサ４４を介して空気弁座３１に固定された
バツクアツププレート４２及びバルブプレート４
３よりなり、ガス通路２２を同軸に囲む円周３２
に沿つて等間隔に配置されている。先ず、空気弁
座３１には円周３２に沿つて７等分された位置に
それぞれ、全体として円形となるように放射状に
設けられた多数の吸入孔４１が形成され、また７
組の多数の吸入孔４１に対応して円形のバツクア
ツププレート４２が設けられている。各バツクア
ツププレート４２は各多数の吸入孔４１の中心に
配置されたスペーサ４４を介して小ねじ４５によ
り空気弁座３１の混合室１６側に固定され、その
外径は各多数の吸入孔４１の円形よりもやや大径
であり、また複数の小孔４２ａが設けられてい
る。バルブプレート４３は耐熱性繊維を耐熱性合
成樹脂により結合してなる薄くて可撓性のある布
材を円形に形成したものであり、中心に設けた孔
内にスペーサ４４が挿入されて空気弁座３１とバ
ツクアツププレート４２の間に往復自在に支持さ
れている。バルブプレート４３は、混合室１６側
が空気通路２６側よりも低圧の場合は吸入孔４１
を開いて混合室１６内に空気を導入し、逆に混合
室１６側の方が高圧となつた場合は空気弁座３１
に当接して吸入孔４１を閉じ、燃焼室１１内の燃
焼ガスが混合室１６を経て空気通路２６に逆流す
るのを阻止する。バルブプレート４３の外径は各
多数の吸入孔４１の円形よりもやや大径であり、
またバツクアツププレート４２の外径よりはやや
小径である。

第１図に示す如く、弁ケース本体２０のボス部
２１の混合室１６側にはカバー５５がねじ止め固
定され、ガス通路２２はカバー５５に形成された
複数の連通孔５５ａを介して混合室１６に連通さ
れている。ガス通路２２内にはガスクツシヨン室
６０の出口部材６１が嵌合されて押しねじ等によ
りボス部２１に固定され、出口部材６１には混合
室１６に向かう流れのみを通過させるガス弁５０
が設けられている。ガス弁５０は出口部材６１に
螺着されたガス弁座５１及び前記弁ユニツト４０
と同一構造の１組の弁ユニツト５２により構成さ
れている。弁ユニツト５２のバルブプレートは弁
ユニツト４０のバルブプレート４３と同時に作動
して供給口６２からガスクツシヨン室６０内に供
給されるガスを混合室１６内に導入し、また燃焼
室１１内の燃焼ガスが混合室１６を経てガスクツ
シヨン室６０内に逆流するのを阻止する。

図示は省略したが、加熱槽１７には弁支持筒１
２、弁ケース本体２０、ガスクツシヨン室６０及
び点火栓１５を覆う空気クツシヨン室が設けら
れ、この空気クツシヨン室にはブロワによりガス
圧と同程度の圧力の空気を供給するようになつて
いる。

次に空気弁座とバルブプレートにより空気流が
最も絞られる部分の通路面積を第１図及び第２図
に示す本実施例と第３図及び第４図に示す従来例
につき比較する。空気通路２６の寸法及びバルブ
プレート４３，４のストローク（1.5mm）は同一
とし、バルブプレート４３，４のその他の寸法は
次の通りとする。

本実施例 バルブプレート４３の個数：７個 各バルブプレート４３の外径：23.5mm バルブプレート４３内接円の径：40mm 絞り部分の通路面積：23.5π×1.5×７＝775mm² 従来例 （第３図及び第４図のもの） バルブプレート４の幅：23.5mm バルブプレート４の内径：40mm バルブプレート４の外径：87mm 絞り部分の通路面積：40π×1.5＋87π×1.5＝
589mm² 上述の如く、本実施例によれば、空気弁座３１
とバルブプレート４３により最も絞られる部分の
通路面積は約28％増大する。

次に、本実施例の作動につき説明すれば、混合
室１６内の圧力がガスクツシヨン室６０内の圧力
及び空気通路２６内の圧力より低い状態において
は、ガス及び空気はガス弁５０及び空気弁３０の
各弁ユニツト４０を経て混合室１６内に流入し、
混合されて開口１０ａより燃焼室１１内に導入さ
れる。この混合気は燃焼室１１内において点火栓
１５の火花により点火され、燃焼して高温の燃焼
ガスとなり、その圧力によりガス弁５０及び空気
弁３０を閉じてガス及び空気の流入を停止し、図
示しないテールパイプに流入して加熱槽１７内の
液体を加熱した後、大気中に排出される。これに
より燃焼室１１内は負圧となり、ガス弁５０及び
空気弁３０を開いて混合室１６を経て燃焼室１１
内に混合気を導入すると同時に、燃焼ガスの一部
は燃焼室１１とテールパイプよりなる共鳴系の作
用によりテールパイプから燃焼室１１内に逆流
し、その中の残り火により混合気は再び燃焼す
る。従つて点火栓１５は本パルス燃焼器の始動時
にのみ作動させればよい。このように前記共鳴系
の作動により燃焼は短い周期（例えば毎分100サ
イクル程度）で繰り返される。

空気弁３０を構成する各弁ユニツト４０の各バ
ルブプレート４３は第３図及び第４図に示す従来
のバルブプレート４に比して小形であるので追従
性は良くなる。従つて吸入空気量を更に増大させ
るためにバルブプレート４３のストロークを多少
増大させたり、あるいは周囲の条件により燃焼の
周期が短くなつたりしてもバツクアツププレート
４３の追従性が悪くなつて燃焼が不安定になつた
り、またこのためにバルブプレート４３の劣化が
早くなるおそれはない。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案によるパルス燃焼器
の吸入弁装置及びその周辺の構造を示し、第１図
は長手方向断面図、第２図は第１図の−断面
である。第３図及び第４図は従来技術の第１図及
び第２図に相当する断面図である。 符号の説明、１０……ハウジング、１１……燃
焼室、１２……弁支持筒、１６………混合室、２
０……弁ケース本体、２１……ボス部、２２……
ガス通路、２５……フランジ部、２６……空気通
路、３０……空気弁、３１……空気弁座、３２…
…円周、４０……弁ユニツト、４１……吸入孔、
４２……バツクアツププレート、４３……バルブ
プレート、４４……スペーサ、５０……ガス弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガス通路を形成するボス部及びこのボス部から
   半径外向に延びて前記ガス通路を囲む環状の空気
   通路を形成するフランジ部よりなる弁ケース本体
   と、燃焼室を形成するハウジングに固定され前記
   弁ケース本体を前記フランジ部の外周縁において
   固定支持して同弁ケース本体との間に前記燃焼室
   に連通する混合室を形成する弁支持筒と、前記ガ
   ス通路に設けられて前記混合室に向かう流れのみ
   を通過させるガス弁と、前記空気通路に設けられ
   て前記混合室に向かう流れのみ通過させる空気弁
   を備えてなるパルス燃焼器の吸入弁装置におい
   て、前記空気弁は前記フランジ部に前記空気通路
   を横切つて固定された環状の空気弁座と、この空
   気弁座上に前記ガス通路を囲む円周に沿つて配置
   された複数の弁ユニツトよりなり、各弁ユニツト
   は前記空気弁座に全体として円形となるように放
   射状に設けられた多数の吸入孔と、この吸入孔に
   対応して前記空気弁座に前記混合室側にスペーサ
   を介して固定された前記円形よりやや大径のバツ
   クアツププレートと、前記空気弁座とバツクアツ
   ププレートの間に往復動自在に前記スペーサによ
   り支持されて前記多数の吸入孔を開閉する前記円
   形よりやや大径の薄いバルブプレートからなるこ
   とを特徴とするパルス燃焼器の吸入弁装置。