JPH0336211Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用交流発電機の回転子、特に爪型
ポールコアを備えるランデル型回転子におけるコ
イル引き出し線の固定構造の改良に関する。

従来、コイル引き出し線となるリード部はボビ
ンに固定されたインシユレータによつて保持され
た後、絶縁チユーブをかぶせた後、スリツプリン
グからの引き出し線と結線されている。

これでは、チユーブをかぶせる工程（引き出し
部２ケ所）が必要である。又、チユーブをかぶせ
た引き出し線は液状の絶縁処理だけでポールコア
に接着されており、高回転による遠心力、あるい
は大きな振動によつてこの接着がはがれ断線のお
それが有る。

本考案は上記問題点に鑑み、耐遠心力性能の優
れた車両用交流発電機の回転子を提供することを
目的とする。

このため一実施例では、インシユレータの一部
に溝部を持つたつば部を一体に成形し、この溝に
コイル引き出し部となるコイルのリード部を通す
ことにより、従来のチユーブを廃止して部品点数
を低減した。又、内部にコイル引き出し部を持つ
たつば部を、フアンとポールコア間に挾持、固着
しているため、引き出し部の断線が防止できるよ
うにしたものである。

以下一実施例を第１図から第４図を用いて説明
する。

コイル３のリード部３ａを保護するインシユレ
ータ１はコイルのリード端保持部１Ｋと導入部１
Ｊよりなる。リード端保持部１Ｋは頭部に概略Ｔ
字型の形状部１Ｎと底部１Ｇに円柱状突出部１ａ
を持ち、中間部にて導入部１Ｊと結合している。
導入部１Ｊは、リード端保持部１Ｋの中間部よ
り、つばとなつて出つ張つており、リード端保持
部１Ｋとの結合部付近では平板１Ｌになつている
が、それ以外の部分では、断面コの字状になつ
て、間に溝部１ｅを有している。またコの字形状
のうち、平板１Ｌからの継続面との対面は、リー
ド端保持部１Ｋに近い方は肉厚が薄く、遠い方は
肉厚が厚くなつており、境界部はテーパー形状部
１ｄになつている。更に、肉厚の薄い部分のうち
でも、リード端保持部１Ｋに近い部分１Ｍは断面
が平板１Ｌと結がつておらず、この部分の断面形
状は平行線状になつている。肉厚の厚い方の先端
にはスリツト１ｃがある。

金属製ボビン２は、図には全体を書いていない
が、円筒２Ｂの両端につば２Ａを持つており、こ
のつば２Ａには、ポールコア４の隣りあつた爪に
はさまれ、かつこの爪にはさまれる部分のポール
コア形状に合致するように、つばの一部を回転軸
方向に絞つた突出部２ａがコイルのリード部が出
る位置に対応して、２カ所あり、これに穴２ｂが
空けてある。ポールコア４には、側面４ｂにコイ
ルのリード部３の出る位置に対応して２カ所に溝
４ａが有る。フアン５は、鉄板のプレス加工によ
り製作し、外周部に羽根５ｂを、内周部にバーリ
ング部５ａを持つている。

インシユレータ１は円柱状突出部１ａを穴２ｂ
に挿入後、底部１ｇが突出部２ａ側面に接するま
で圧入し、機械圧着する。コイル３の巻き始め、
終わりの引き出し線となるリード部３ａは、Ｔ字
型の形状部１Ｎに巻きつけた後、平板１Ｌに乗つ
たまま、溝部１を通りスリツト１ｃより外部へ引
き出され、周知の如くスリツプリングからの引出
線へ導かれる。導入部１Ｊを溝４ａに格納した
後、テーパー形状部１ｄとバーリング部５ａとを
圧接させながらフアン５を側面４ｂに溶接、又は
ビス止め等により、固着する。

この実施例のインシユレータ１のリード端保持
部１Ｋはボビンのつば２Ａに設けられた突出部２
ａに圧入され、背面はコイル３に押さえられてい
るため、抜けの心配がない。コイル引き出し線３
ａはインシユレータの導入部１Ｊの溝部１ｅを通
過後、、外部と結線されるため従来の絶縁チユー
ブを廃止できる。インシユレータの導入部１Ｊは
フアンとポールコアによつて挟持され、フアンの
バーリング部５ａとインシユレータのテーパー形
状扮１ｄが圧接されている為インシユレータの耐
遠心性、耐振動性が高まり、コイルのリード部３
ａの断線が防止できる。溝付きでない部分１Ｍは
フアン側面に当り、リード部３ａの浮き上りによ
るフアン５とのアースを防止している。平板１Ｌ
はコの字状でなく、平板であるため、無理なくた
わませることができ、組付けが楽である。

次にその他の実施例について述べる。第５図の
如くインシユレータの溝部１ｅの中間についたて
１ｆを設けて溝を２分割にすることにより、コイ
ルの巻き始め、巻き終わり部に同一のインシユレ
ータを使用でき、しかも第５図のように引き出し
線を通すことにより、引き出し線に張力を与える
ことができ、引き出し線のたるみを防止できる。

又、上記一実施例ではポールコアに溝を造り、
リード導入部１Ｊを格納したが、フアンの方にコ
イルリードの出る位置に対応した位置に、２カ所
打ち出しを設け、この中にリード導入部を格納し
ても、同じ効果を得られる。

以上述べたように本考案においては次の効果を
有する。

コイルのリード部を保護するインシユレータの
リード端保持部１Ｋはボビン２に固定され、また
導入部１Ｊはポールコア４とフアン５によつて挟
持されているため、外部振動に対してコイルのリ
ード部の断線が防止でき耐遠心性能の良好な回転
子が得られる。

また、コイルのリード部をそのままスリツプリ
ングの引出線まで導くため、この引出線との接続
が一箇所ですむと共に、リード部に沿つて導入部
を設けることで、細いリード部を用いてもリード
部に対し遠心方向の力の作用で、リード部が振れ
るのを防止でき、断線を確実に防ぐことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案回転子の一実施例を示す部分拡
大断面図、第２図は第１図のインシユレータの斜
視図、第３図はボビン打ち出し部を示す斜視図、
第４図はポールコア溝部を示す斜視図であり、第
１図から第４図は一実施例を示す。第５図Ａ，
Ｂ，Ｃはその他の実施例を示すインシユレータの
一部正面図と背面図と平面図である。 ４……ポールコア、２……ボビン、２ａ……突
出部、２Ａ……つば、３……コイル、５……フア
ン、１Ｋ……リード端保持部、３ａ……コイルの
リード部、１ｅ……溝部、１Ｊ……導入部、１…
…インシユレータ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 互いの磁極爪が噛合うように組合わせて回転軸
   に結合された一対のポールコアと、前記磁極爪の
   内側でこの一対のポールコア間に固定された金属
   製ボビンと、このボビンに巻装されスリツプリン
   グに結線されるコイルと、前記ポールコアの側面
   に固着されたフアンを有する回転子において、 前記ボビンのつば部は前記コイルの巻始め、巻
   終わりのリード部に対応した位置に前記ポールコ
   アの隣接する爪部にはさまれ、かつこの爪部には
   さまれる部分のポールコア形状に合致するよう
   に、前記つば部の一部を前記回転軸方向に絞つた
   突出部を有し、 前記コイルの巻き始め、巻終わりのリード線を
   巻きつけて保持し、前記ボビンの前記突出部に固
   着されるリード端保持部と、前記リード線巻きつ
   け後のリード部を前記スリツプリングからの引出
   線まで導くために一部に溝部を有する導入部とを
   一体に電気絶縁材により成形したインシユレータ
   を備え、 該インシユレータの前記リード端保持部を前記
   ボビンの前記突出部に機械的に圧着固定し、前記
   導入部を前記ポールコアとフアンの間に挟持した
   ことを特徴とする車両用交流発電機の回転子。