JPH0335345Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は各種の人工臓器装置に附随して使用さ
れる体液体外循環回路のドリツプチヤンバーに関
するものである。

（従来の技術） 人工腎臓や血漿交換装置には血液を体外循環さ
せるための回路が接続されており、その体外循環
回路の途中には血液中の気泡や異物を除去し、圧
力調整機構等を備えたドリツプチヤンバーが接続
されている。

こうしたドリツプチヤンバーは、一般に第４図
に示すごとく、軟質合成樹脂製の外筒部３５に、
血液導出チユーブ３１と共にメツシユフイルタ３
０を溶着し、上部に血液導入口３２や各種モニタ
ライン接続口３３を有するトラツプキヤツプ３４
を装着した構造となつている。しかし、このよう
なドリツプチヤンバーは、血液が血液導入口３２
からダイレクトに落下するため、チヤンバー内の
血液が飛散したり、その血液がチヤンバー内の上
部空気層と接触して凝血を起しやすいという問題
があつた。

このため、従来、第５図に示すごとく血液導入
口３２をトラツプキヤツプ３４の側部に設け、チ
ヤンバー内壁に沿わせて流入させるようにしたも
のも知られている。

（本考案が解決しようとする問題点） 一般に血液は、ドリツプチヤンバーに導入され
る前、ヘパリン等の抗凝固剤が注入され、ドリツ
プチヤンバー内での凝血を防いでいるが、術後の
患者や透析患者にとつては抗凝固剤の使用量をで
きるだけ少なくするのが望ましい。そのためには
抗凝固剤を有効に注入することが必要であり、具
体的にはドリツプチヤンバーへの血液の流入をチ
ヤンバー内の液面レベルより下方から行なうと、
チヤンバー内における血液と空気の接触面に抗凝
固剤の滞留部分を形成することができる。

しかしながら、前記第４図及び第５図に示した
ドリツプチヤンバーは、血液導入口がトラツプキ
ヤツプ３４に設けられているため、その血液導入
口の位置を任意に変えることはできない。そのた
め、血液はチヤンバー上部、即ち、液面レベルよ
り上部から流れ込み、液面レベル近くに乱流が生
じて抗凝固剤の滞留部分を形成することができな
い。

本考案は上記した欠点を解決するために工夫さ
れたものである。即ち、血液導入口をドリツプチ
ヤンバーの長さ方向の任意の位置に設けることが
できるような構造とし、該血液導入口を液面レベ
ルより下方に位置させることにより、液面レベル
に抗凝固剤の滞留層を形成し、抗凝固剤の有効活
用を図ると共に、ドリツプチヤンバー内での凝血
を防止することをその目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は実施例に対応する第１図に示すごと
く、液面レベル調整用ライン７及び圧測定用ライ
ン８が接続される上部キヤツプ１と、側部に体液
導入口３ａを有するリング３と、これら上部キヤ
ツプ１と導入口リング３の間に装着されるチヤン
バー上部筒体２と、前記体液導入口リング３に装
着され内部にフイルタ６と血液導出口５ａを有す
るチヤンバー下部筒体４とで構成するようにした
ものである。

（作用） 本考案によれば、前記チヤンバー上部筒体２
と、下部筒体４の長さを適当に変えることで、体
液導入口３ａを有するリング３の位置をドリツプ
チヤンバーの長さ方向に任意に変更することがで
き、液面レベルの下方から体液を導入することが
できる。

（実施例） 次に本考案の実施例を第１図及び第２図に従つ
て説明する。

これらの図面において、１０はドリツプチヤン
バー本体であり、このドリツプチヤンバー本体１
０は上部キヤツプ（トラツプキヤツプ）１、チヤ
ンバー上部筒体２、血液導入口リング３、チヤン
バー下部筒体４、及びフイルタ６が装着された下
部キヤツプ５とから構成されている。

前記上部キヤツプ１には液面レベル調整用ライ
ン７の接続口１ａ、及び圧測定用ライン８の接続
口１ｂが形成されている。また前記導入口リング
３の側部には血液導入口３ａが突設されており、
内面部には段部３ｂが形成されている。さらに、
前記下部キヤツプ５は全体が漏斗状となつてお
り、下部に血液導出口５ａが形成されると共に、
上周端には前記下部筒体の差込み溝５ｂが形成さ
れている。

前記フイルタ６はポリプロピレン、ポリエステ
ル、ナイロン等の合成繊維製のメツシユフイルタ
で、全体が釣鐘状となつており、下部には支持リ
ング６ａが設けられている。そしてこの支持リン
グ６ａが前記下部キヤツプ５の内径部に嵌入され
るものである。

本考案のドリツプチヤンバーは上記各部材を順
次組立てることにより製造される。即ち、前記上
部筒体２の上端に上部キヤツプ１をはめ、この上
部筒体２の下端に血液導入口リング３をはめ込
む。また該リング３の下端には下部筒体４の上端
をはめ込み、さらにこの下部筒体４の下端を前記
下部キヤツプ５の溝５ａに差込むものである。

前記血液導入リング３においては、上部筒体２
の下端と、下部筒体４の上端が段部３ｂまで挿入
され、血液導入口３ａを塞がないように配慮して
いる。また下部キヤツプ５には、フイルタ６をあ
らかじめ装着しておくことはいうまでもない。

これら各部材を固定するためには接着剤を使用
してもよいが、単なる嵌合方式とし、熱滅菌時の
ブロツキングを利用して固定するようにしてもよ
い。

なお、前記上下部キヤツプ１，５、上下部筒体
２，４、及び血液導入リング３の材質はポリ塩化
ビニル、ポリカーボネートその他生体適合性に優
れた合成樹脂とする。

上記ドリツプチヤンバーにおいては、インフユ
ージヨンポンプ等により抗凝固剤が注入された血
液がリング３の血液導入口３ａから導入され、下
部キヤツプ５のフイルタ６により濾過された後、
導出口５ａから流出する。この際ドリツプチヤン
バー内の血液レベルは液面レベル調整ライン７に
おいて、空気圧によりその高低が適宜調整され
る。また圧測定用ライン８に設けられた圧力計等
により動、静脈圧が常時監視される。

本考案では、前記チヤンバー上部筒体２及び下
部筒体４の長さを適宜選択することで、血液導入
口リング３の位置を任意の位置にセツトすること
ができる。したがつて、血液流量やチヤンバー容
量等に応じて、血液導入口３ａを血液レベルより
も下方になる位置に設けることが可能となる。

第３図はその一例であり、Ａは血液導入口をチ
ヤンバー長さ方向の上部にセツトした場合、Ｂは
中央部にセツトした場合、Ｃはフイルタ近くの下
部にセツトした場合を示している。

上記した各部材の構成は本考案の一例を示した
ものであり、図示した実施例に限定されるもので
はない。たとえばフイルタ６はチヤンバー下部筒
体４の下端部に溶着等により固定するようにして
もよい。

（考案の効果） 以上説明した本考案によれば、チヤンバー上部
筒体と下部筒体の長さを変化させることで、液体
導入口リングの位置を調整したより多くの規格チ
ヤンバーをつくることができる。したがつて、患
者や用途等に応じて変化する液面レベルに対応し
て、液体導入口が該液面レベルより下方となるよ
うなドリツプチヤンバーを準備することができ
る。そしてこのようなドリツプチヤンバーを使用
することにより、体液は液面レベルより下方から
流入するため、体液中に注入された抗凝固剤は常
に体液と空気の接触界面に滞留することになり、
少量の抗凝固剤を有効に活用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す断面概略図、第
２図は同じく分解図、第３図Ａ，Ｂ，Ｃは体液導
入口の位置を変化させた状態を示す断面概略図、
第４図は従来のドリツプチヤンバーの概略図、第
５図は同じく他の従来例を示た概略図である。 図中、１は上部キヤツプ、２はチヤンバー上部
筒体、３は血液導入口リング、４はチヤンバー下
部筒体、５は下部キヤツプ、６はフイルタであ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 体液体外循環回路に接続されるドリツプチヤン
   バーであつて、分岐ラインが接続される上部キヤ
   ツプと、側部に体液導入口を有するリングと、こ
   れら上部キヤツプと導入口リングの間に装着され
   るチヤンバー上部筒体と、前記体液導入口リング
   に装着され内部にフイルタと血液導出口を有する
   チヤンバー下部筒体とから成る医療用ドリツプチ
   ヤンバー。