JPH044756Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、人工腎臓用血液回路、人工腎臓用血
液回路、その他の血液回路に使用するチエンバー
に関するものである。

〔従来の技術〕

人工腎臓用血液回路は、第５図示のように患者
の静脈から血液を抽出して透析装置へ導く動脈回
路１と、透析装置を経て透析された血液を患者の
静脈へ送り込む静脈回路２からなり、その使用に
際しては、通常動脈チエンバー本体３と、静脈チ
エンバー本体４とが、それらに取付けた吊り輪な
どの吊り下げ具５，６によつて透析装置、血液ポ
ンプ、ヘパリン注入機、患者などより上方の位置
に吊り下げられ、各チエンバー本体３，４に接続
されている血液流入チユーブ７，８と血液流出チ
ユーブ９，１０とが各チエンバー本体３，４から
垂れ下がつた状態で、血液流入チユーブ７が針１
１を介して患者の動脈へ接続され、血液流出チユ
ーブ８がコネクタ１３を介して透析装置の出口へ
接続され、血液流出チユーブ１０が針１４を介し
て患者の静脈へ接続される。

従来の人工腎臓用血液回路では、動脈チエンバ
ー本体、静脈チエンバー本体のうちそれらが吊り
下げられた時に上端になる端部（以下上端部とい
う）に血液流入チユーブがそれぞれ接続され、上
端部の反対側の端部（以下下端部という）に血液
流出チユーブがそれぞれ接続されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕 上記従来の人工腎臓用血液回路には、次のよう
な問題点があつた。

各チエンバー本体３，４の上端に接続してい
るチユーブ７，８には、各チエンバー３，４の
上端付近でＵターン部分１５，１６が形成さ
れ、各チエンバー本体３，４にそれらを引き下
げる方向の力が加わると、Ｕターン部分１５，
１６のチユーブ壁が折れ曲がつて、血液の流れ
を遮断するおそれがあるので、常にＵターン部
分１５，１６が折れ曲がらないように注意を払
う必要がある。

各チエンバー本体３，４内では、血液がチエ
ンバー上部の空気中を落下した後、濾過網１
７，１８を通過するため、血液中に気泡が混入
したり、濾過網１７，１８の上流側に泡立ちが
起こりやすく、また濾過網１７，１８の上流側
の気泡の一部が血液の流れによつて濾過網１
７，１８の網目から下流側へ押し流され、その
気泡が濾過網１７，１８で濾過された血液に混
入しやすい。

回路全体に充填されている血液の量、すなわ
ちプライミングボリユームが、各チユーブ７，
８のうち各チエンバー３，４本体の下端に対応
する部分から各チエンバー本体３，４の上端に
至る部分に充填されている血液の量だけ多くな
る。

回路の製作工程において、各チエンバー本体
３，４の上端にチユーブを接続する作業と下端
にチユーブを接続する作業を別々に行わなけれ
ばならないため、製作に手間がかかる。

各チエンバー本体３，４の上端と下端とから
チユーブが垂れ下がるため、チユーブの取り扱
いや操作が面倒である。

〔課題を解消するための手段〕

本考案は、人工腎臓用血液回路、人工腎臓用血
液回路、その他の血液回路において、チエンバー
本体の下端部に血液流入チユーブと血液流出チユ
ーブを接続することにより、上記従来の問題点を
解消しうる血液回路チエンバーを提供しようとす
るものである。

以下図面第１図ないし第３図にもとづいて本考
案を詳細に説明すると、１９は人工腎臓用血液回
路の動脈チエンバー本体で、下端には血液流入口
２０と血液流出口２１を設け、上端には吊り輪２
２と、レベル調整ライン２３とを設けてある。２
４はチエンバー本体１９内において血液流入口２
０と血液流出口２１にそれぞれ連通するように支
持した二重濾過器、２５は血液流入チユーブで、
一方の端部を血液流入口２０に接続し、他方の端
部には針２６′を取付けるためのシヤント継手２
６を接続し、チユーブ２５の途中には、血液ポン
プによつて押圧されるポンプ作用管２７、補液ラ
イン２８、ヘパリンライン２９、採血及び混注用
ゴム管３０をそれぞれ接続してある。３１は血液
流出チユーブで、一方の端部を血液流出口２１に
接続し、他方の端部には、透析装置の入口に接続
するためのコネクタ３２を接続してある。３３は
人工腎臓用血液回路の静脈チエンバー本体で、下
端には血液入口３４と血液流出口３５を設け、上
端には吊り輪３６と、レベル調整ライン３７と、
圧力モニターライン３８とを設けてある。３９は
チエンバー本体３３内において血液流入口３４と
血液流出口３５とにそれぞれ連通するように支持
した二重濾過器、４０は血液流入チユーブで、一
方の端部を血液流入口３４に接続し、他方の端部
には、透析装置の出口に接続するためのコネクタ
４１を接続してある。４２は血液流出チユーブ
で、一方の端部を血液流出口３５に接続し、他方
の端部には針４３′を取付けるためのシヤント継
手４３を接続してある。

動脈チエンバー本体１９、静脈チエンバー本体
３３は、第２図及び第３図示のように筒体４５の
下端を液密に遮閉する端板４６に血液流入口４７
と血液流出口４８を設け、これらの外側端には、
血液流入チユーブ４９と血液流出チユーブ５０を
それぞれ接続し、端板４６の内面には、血液流入
口４７と血液流出口４８を取り囲む溝６２を設
け、この溝６２には、上枠６３と下枠６４の両端
を縦枠６５，６６でそれぞれ結合し、これらの枠
によつて囲まれた空間を左右に仕切る仕切壁６７
を設け、下枠６４において仕切壁６７の両側部分
には、血液流入口４７と血液流出口４８にそれぞ
れ連通する通孔６８，６９を設けてなる枠体７０
の左右両側開口部の全体を濾過網７１，７２で被
つてなる二重濾過器７３の下枠６４を嵌合固定し
て、二重濾過器７３を端板４６の内面から直立さ
せた構造を有するように構成する。

〔作用〕 動脈チエンバー本体１９と、静脈チエンバー本
体３３を吊り輪２２と３６によつて透析装置、血
液ポンプ、ヘパリン注入機及び患者よりも上方の
位置に吊り下げる。すると動脈チエンバー本体１
９の下端から血液流入チユーブ２５と血液流出チ
ユーブ３１が垂れ下がり、静脈チエンバー本体３
３の下端から血液流入チユーブ４０と血液流出チ
ユーブ４２が垂れ下がる。

この状態で、血液流入チユーブ２５を針２６′
を介して患者の静脈に接続し、血液流出チユーブ
３１をコネクタ３２を介して透析装置の入口に接
続することにより動脈回路を形成し、血液流入チ
ユーブ４０をコネクタ４１を介して透析装置の出
口に接続し、血液流出チユーブ４２を針４３′を
介して患者の静脈に接続することにより静脈回路
を形成する。そして血液ポンプによりポンプ作用
管２７を押圧すれば、患者の静脈から出た血液が
血液流入チユーブ２５を通つて動脈チエンバー本
体１９内へ下から流入し、二重濾過器２４を通過
して濾過され、この濾過された血液が動脈チエン
バー本体１９の下から流出し、血液流出チユーブ
３１を通つて透析装置へ送り込まれる。透析装置
で透析された血液は、血液流入チユーブ４０を通
つて静脈チエンバー本体３３内へ下から流入し、
二重濾過器３９を通過して濾過され、この濾過さ
れた血液が静脈チエンバー本体３３の下から流出
し、血液流出チユーブ４２を通つて患者の静脈へ
送り込まれる。

なお、動脈チエンバー本体１９、静脈チエンバ
ー本体３３のどちらも第２図示のように血液が血
液流入チユーブ４９、血液流入口４７、通孔６
８、二重濾過器７３の一方の空間７４、濾過網７
１の順に通過し、濾過網７１によつて濾過され筒
体４５内に流入し、次いで、筒体４５内から濾過
網７２，二重濾過器の他方の空間７５、通孔６
９、血液流出口４８、血液流出チューブ５０の順
に通過し、濾過網７２によつて濾過されて筒体４
５外へ流出する。

〔実施例〕

動脈チエンバー本体１９と、静脈チエンバー本
体３３は、第１図示のように互いに分離して別々
に吊り下げるように構成するほか、第４図示のよ
うに両チエンバー本体１９，３３を連結板７４で
連結し、連結板７４に吊り下げ用の透孔７５を穿
設したり、その他の吊り下げ具や吊り下げ部を設
けることもある。

上記実施例では、人工腎臓用血液回路のチエン
バーについて説明したが、本発明は、これに限定
されるものではなく、人工腎臓用血液回路、その
他の血液回路用のチエンバーとしても実施しう
る。チエンバー本体は回路に応じて１個又は複数
個を使用しうる。

〔考案の効果〕

本考案は、叙上のように構成したから、次のよ
うな効果を有する。

チエンバー本体内に設けた二重濾過器によつ
て、血液の流入口側と流出口側とで血液をそれ
ぞれ濾過する二重濾過ができ、従来の血液回路
用チエンバーに比し濾過性能を高めることがで
きる。

二重濾過器は、上枠と下枠の両端を縦枠でそ
れぞれ結合し、これらの枠によつて囲まれた空
間を左右に仕切る仕切壁を設け、下枠のうち仕
切壁の両側部分には、血液流入口と血液流出口
にそれぞれ通過する通孔を設けた枠体の左右両
側開口部の全面に濾過網を張設してなるから、
濾過網が常に平面状に支持される。そのため、
血液に少し凝固が生じる場合でも、濾過網が血
液の流入口、流出口をふさぐように変形するの
を防止でき、また濾過網の網面に血液中の気泡
をはさみ込んで滞留させたり、残血を生じさせ
たりするような狭い空隙が形成されることがな
く、血液の流入時に全ての気泡をチエンバー本
体内の上部空間へ送り込め、また血液の回収時
に全ての血液を回収できる。

二重濾過器の左右両側開口部が下枠から上枠
にかけて大きく開口するから、チエンバー本体
内の血液の流れを良くし、二重濾過器の根元付
近での血液の滞留及び血液凝固を防止できる。

チエンバー本体、例えば動脈チエンバー本
体、静脈チエンバー本体を吊り下げた状態にお
いて、血液流入チユーブが血液流出チユーブと
ともに各チエンバー本体の下端から垂れ下がる
ようになり、従来のように各チエンバー本体の
上端付近で血液流入チユーブのチユーブ壁が折
れるおそれは皆無になる。

チエンバー本体内では、血液が下から入つて
下から出るため、気泡の混入や泡立ちを防ぐこ
とができ、また濾過網で濾過された血液に気泡
が混入するのを防ぐことができる。

従来のように血液流入チユーブをチエンバー
本体の上端に接続する場合に比し、チユーブの
長さを短縮できるため、プライニングボリユー
ムを減らすことができる。

チエンバー本体の下端端板に設けた溝に二重
濾過器の下枠を嵌合固定することにより、二重
濾過器を直立に支持でき、チエンバー本体内へ
二重濾過器を設置する作業が簡単に行えるし、
血液流入チユーブ、血液流出チユーブ、濾過網
を筒体の下端に熱融着しなくて済み、それらの
取付けに熟練を要さないから、血液回路用チエ
ンバーを量産化できる。また血液回路の製作工
程において、チエンバー本体の下端側だけでチ
ユーブの接続作業が簡単に行え、血液回路の製
作の手間が省けるから、製作能率を向上させ
て、血液回路を量産化ができる。

チエンバー本体の下端のみからチユーブが垂
れ下がるため、チユーブの取扱いや操作が容易
になる。

血液流入チユーブと血液流出チユーブの接続
を逆にしても使用可能であり、接続間違いは皆
無になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る血液回路用チエンバーを
組み込んだ人工腎臓用血液回路の説明図、第２図
は本考案の一実施例の要部の縦断面図、第３図は
第２図のＢ−Ｂ線断面図、第４図は本発明の別の
実施例を示す図、第５図は従来の人工腎臓用血液
回路の説明図である。 １９……動脈チエンバー本体、２４……二重濾
過器、２５……血液流入チユーブ、３１……血液
流出チユーブ、３３……静脈チエンバー本体、３
９……二重濾過器、４０……血液流入チユーブ、
４２……血液流出チユーブ、４５……筒体、４６
……端板、４７……血液流入口、４８……血液流
出口、６２……溝、６３……上枠、６４……下
枠、６５，６６……縦枠、６７……仕切壁、６
８，６９……通孔、７０……枠体、７１，７２…
…濾過網、７３……二重濾過器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) チエンバー本体の下端部に血液流入チユーブ
   と血液流出チユーブを接続する血液回路用チエ
   ンバーにおいて、筒体の下端を液密に遮閉する
   端板に血液流入チユーブを接続する血液流入口
   と血液流出チユーブを接続する血液流出口とを
   設け、上記端板の内面には、上記血液流入口と
   上記血液流出口を取り囲む溝を設け、この溝に
   は、上枠と下枠の両端を縦枠でそれぞれ結合
   し、これらの枠によつて囲まれた空間を左右に
   仕切る仕切壁を設け、上記下枠のうち上記仕切
   壁の両側部分には、上記血液流入口と上記血液
   流出口にそれぞれ連通する通孔を設けた枠体の
   左右両側開口部の全面に濾過網を張設してなる
   二重濾過器の下枠を嵌合固定させて上記二重濾
   過器を上記端板の内面から直立させてなる血液
   回路用チエンバー。 (2) 血液回路用チエンバーが、人工腎臓用血液回
   路の動脈チエンバーと静脈チエンバーとからな
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の血液回
   路用チエンバー。