JPH0334758B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この発明は、例えば、背広やズボン、スカート
等の洗濯物をドライクリーニングした場合、これ
ら洗濯物の乾燥、皺延ばし、および洗剤等のゾー
ルの回収を行なうような洗濯物の乾燥方法とその
装置に関する。

(ロ) 従来の技術 従来、洗濯物を乾燥処理する場合、例えば特開
昭58−97398号公報に記載のように、揮発性の洗
剤でドライクリーニングした後、筒状の回転ドラ
ムいわゆるタンブラ（tumbler）に洗濯物を投入
して、この回転ドラムを回転させながら、乾燥気
流を供給して乾燥させると、回転ドラム内で洗濯
物が絡み合つて、生地を痛め易いので、例えばカ
シミヤやアンゴラ等の高級品は回転ドラム式では
乾燥処理が行えないうえ、洗濯物から蒸発した揮
発性ゾールに引火して爆発する危険性もあつた。

また、上述の洗濯物を吊下げて乾燥させる装置
が実用化されているが、ゾールの回収のための冷
却手段として、冷凍サイクルにおける一般的なク
ーラを取付けているので、装置が高価となり、し
かも洗濯物に付いた皺を延ばす仕上げ機能と、乾
燥機能とを備えた装置は未だ実用化されておら
ず、乾燥装置とは別に皺延ばしのための仕上げ専
用の装置が必要となり、装置の設備費や、クリー
ニングコストが高くなる問題を有している。

さらに、この吊下げタイプの従来の乾燥機は、
乾燥室内の洗濯物に対し、外気を取り入れて加熱
乾燥させた熱気を勢い良く吹き付け、湿気を含ん
だ熱気を外部に放出するワンパス方式であるた
め、洗濯により膨潤した洗濯物はまず表地が乾燥
し、次に裏地が乾燥するというように、表地と裏
地の乾燥には時間的なずれが生じるうえ、表地と
裏地の材質が異なつているので、これを上述した
ように強い熱風で一気に乾燥すると、洗濯物が型
崩れを起す。

洗浄脱液脱水後一度型崩れが生じたまま乾燥さ
れた洗濯物は、洗濯時の繊維の膨潤による変形
や、乾燥時の熱による縮みや伸びの相違を無視し
て一気に乾燥しているので、仕上げ時にスチーム
を吹き付けても、或は入念に仕上げても容易に元
の形に復元しない大きな欠点がある。

(ハ) 発明の目的 この発明は、洗濯物を吊下げたまま乾燥するタ
イプであつて、危険性もなく、ほぼ完全にゾール
の回収ができ、これを再利用してクリーニングの
コストダウンを図り得ると共に、乾燥室内の気流
の含む湿度を徐々に低くし、洗濯物を濡れた状態
から徐々に乾燥する所謂、蒸し上げながら乾燥す
るようにして、洗濯物に型崩れを生じさせること
がなく、自然乾燥に近い状態で乾燥ができ、しか
も仕上げ機能を設けて、洗濯物に付いた皺も同時
に延ばすことができる洗濯物の乾燥方法とその装
置の提供を目的とする。

(ニ) 発明の構成 この発明の第１発明は、加熱手段で加熱した加
熱気流を、単一の乾燥室の上部より下部に気流温
度を徐々に低下させつつ循環させて、上記乾燥室
内に吊下げた洗濯物を徐々に乾燥すると共に、こ
の洗濯物より揮発したゾール及び湿気を上記乾燥
室外に設けた水冷式のゾール回収部で回収するゾ
ール回収乾燥工程と、該ゾール回収乾燥工程につ
いで、上記単一の乾燥室内に蒸気を供給して、洗
濯物に湿気を含ませる蒸し工程と、その後、上記
単一の乾燥室内への加熱気流の循環による下方へ
の気流で洗濯物を乾燥し、かつ洗濯物に下方への
張力を付与して、皺を延ばす乾燥仕上げ工程と、
該乾燥仕上げ工程についで、外気を上記乾燥室の
上部より下部に循環させて、洗濯物を冷却する冷
却工程とを備えた洗濯物の乾燥方法であることを
特徴とする。

この発明の第２発明は、上部に洗濯物を吊下げ
る吊下げ手段を備えた単一の乾燥室と、該乾燥室
内の上部より下部に気流を循環させる気流循環路
と、上記気流循環路内に設けられ、該気流循環路
を循環する気流を加熱する加熱手段と、前記気流
循環路の少なくとも一部に設けられ、気流中のゾ
ール及び湿気を回収する水冷式のゾール回収部
と、前記乾燥室内に設けられ、該乾燥室内に蒸気
を供給する蒸気供給手段とを備えた洗濯物の乾燥
装置であることを特徴とする。

(ホ) 発明の作用 この発明は、加熱手段で加熱した加熱気流を乾
燥室の上部より下部に循環させながら、乾燥室内
に吊下げた洗濯物を徐々に乾燥すると共に、洗濯
物より揮発したゾール及び湿気を水冷式のゾール
回収部で回収し、次に乾燥室内に蒸気を供給し
て、洗濯物に湿気を含ませ、この後、加熱気流の
循環による上方から下方への強力な加熱気流で洗
濯物に振動と下方への張力を付与して、皺を延ば
し、その後、外気を乾燥室に循環させて、洗濯物
を冷却する。

(ヘ) 発明の効果 この発明によれば、湿度が徐々に低減される加
熱気流を上方から下方へ循環されて、洗濯物を効
果的に乾燥すると共に、この乾燥工程中に洗濯物
から蒸発して加熱気流中に含まれるゾールと水分
とを完全に取り除き、ゾール回収部に回収するこ
とができる。

そして、乾燥された洗濯物は、徐々に湿度を低
下させる加熱気流の循環作用により、自然乾燥に
近い状態で乾燥するので、従来のこの種の吊下げ
タイプの乾燥機で乾燥した場合のように、洗濯物
に型崩れが生じ、この型崩れを直すために、スチ
ームアイロンで長時間仕上げ作業を行なう必要が
全くなく、乾燥された洗濯物に蒸気を与えて、湿
気を加える蒸し工程と、乾燥室内での加熱気流の
循環による乾燥仕上げ工程と、洗濯物を冷却する
冷却工程とにより一挙にアイロン仕上げ不要な状
態にまで仕上げることができる。

このように本発明の洗濯物の乾燥方法とその装
置では、ゾールをほぼ完全に回収して再利用を可
能とし、ランニングコストを大幅に低減できるう
え、洗濯物を型崩れなく、乾燥から仕上げまでを
単一の乾燥室内において一挙に行なうことがで
き、従来装置のような仕上げ専用機を不要とし
て、処理時間も大幅に短縮できるに至つた。

しかも、単一の乾燥室内において上述の乾燥、
蒸し、仕上げ、冷却の各処理を行なうことができ
るので、装置の大幅な小型化を図ることができ、
また洗濯物を吊下げた状態で上述の各処理を行な
うので、洗濯物相互が絡み合うことはない。

(ト) 発明の実施例 この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述
する。

図面は洗濯物の乾燥方法とその乾燥装置を示
し、第１図乃至第３図において、乾燥装置１は、
乾燥室２の上部より下部に、ヒータ３，４で加熱
した加熱気流Ａを除湿しながら前記乾燥室２の外
部に設けた気流循環路５を介して循環させ、乾燥
室２内に吊下げた洗濯物６を徐々に乾燥すると共
に、この洗濯物６より揮発した洗剤等のゾール及
び湿気を、気流循環路５の一部に設けた水冷式の
ゾール回収部７に導いて回収する。

次に、乾燥室２内に架設した蒸気噴射ノズル８
より蒸気を噴射して、洗濯物６に必要最小限の湿
気を含ませた後、加熱気流Ａの循環による下方へ
の気流で、洗濯物６に振動を与えながら、下方へ
の張力を付与して、皺を延ばした後に、外気を乾
燥室２内に循環させて、洗濯物６を冷却仕上げす
る構成である。

上述の乾燥室２には、第１図および第２図に示
すように、天井部に加熱気流Ａを乾燥室２内に供
給するための供給口２ａを開口し、下部の背面側
壁面の中央部に、加熱気流Ａを吸入する主吸入口
２ｂを開口し、この主吸入口２ｂの両側部に該主
吸入口２ｂの約1/2の大きさの副吸入口２ｃ，２
ｃをそれぞれ開口すると共に、前記主吸入口２ｂ
と、副吸入口２ｃ，２ｃにはそれぞれ独立した気
流循環路５ａ，５b.５ｃを設け、これら各気流循
環路５ａ，５ｂ，５ｃはそれぞれ乾燥室２の背部
から前記天井部の供給口２ａに連通されている。

そして前記両側部の気流循環路５ｂ，５ｃに
は、外気取入口２４，２４を設けて、エアシリン
ダ等の適宜手段でこの外気取入口２４，２４を開
閉する外気吸入ダンパ２５，２５がそれぞれ取付
けられている。

上述の供給口２ａには金網９を水平に架設し、
上部には気流の通過が可能なヒータ３を架設して
いる。

前述の副吸入口２ｃ，２ｃの吸入側前面には、
加熱気流Ａを再加熱するために、気流の通過が可
能なヒータ４，４をそれぞれ配設し、このヒータ
４，４の上部には、洗濯物６の落下を防止する金
網９が水平に架設されている。

なお、上述の乾燥室２の正面には、扉１０を開
閉自在に取り付けている。

前記両側の気流循環路５ｂ，５ｃの上部には、
加熱気流を循環させるためのフアン１１，１１が
設けられ、これらの各フアン１１，１１はモータ
等の駆動力で回転して、上部の供給口２ａより加
熱気流Ａを乾燥室２内に供給し、同時に、下部の
副吸入口２ｃ，２ｃより加熱気流Ａを吸引して、
乾燥室２の上部より下部に加熱気流Ａを循環させ
る。

他方、中央の気流循環路５ａの背面上部には、
ゾールと水分が除去された空気を機外へ放出する
と共に、冷却工程で加熱気流を外部へ放出するた
めの排出口２６を開口し、この排出口２６にはエ
アシリンダ等によつて開閉されるダンパ２７が枢
着されている。

前述のゾール回収部７は、第３図および第４図
に示すように、乾燥室２外部の主吸入口２ｂに接
続した吸入ダクト１２の上部に、円筒状に形成し
た分離室７ａを連通させている。

上述の吸入ダクト１２の内部には、乾燥室２内
の加熱気流Ａを吸引するためのフアン１３が設け
られ、このフアン１３は軸端に嵌合したプーリ１
４と、吸入ダクト１２上部に固定したモータ１５
のプーリ１６とにベルト１７を張架して、加熱気
流Ａを吸引する方向に回転する。

前述の分離室７ａ下部の開口部には、吸引した
加熱気流Ａを冷却するため、水道水を流通させる
ラジエータ１８が配設され、このラジエータ１８
の上部に設けられ、分離室７ａを構成する筒状フ
イルタ１９の内部には、周面に螺旋翼２０ａを設
けたスクリユ２０を回転可能に枢支し、このスク
リユ２０は分離室７ａの上部に固定したモータ２
１で螺旋方向とは逆方向に回転すべく構成してい
る。

なお、上述のラジエータ１８を通過して冷却さ
れた気流Ａは、ゾール分と水分とが除去されて、
ゾール回収部７で螺旋溝２０ｂ内を旋回しながら
上昇する時、筒状フイルタ１９との接触を繰返し
ながら気流とゾールおよび水が分離され、分離さ
れたゾールと水は側部に接続したパイプ２２を介
して回収され、気水分離機にかけて、ゾールを回
収する。

そしてラジエータ１８で水冷され、かつゾール
が分離され、除湿された空気は、分離室７ａの上
部に接続したダクト２３を介して前記排出口２６
から機外へ放出される。

前述の蒸気噴射ノズル８は、第１図にも示すよ
うに、乾燥室２内の供給口２ａの下部と、乾燥室
２内の下部に水平に架設した金網９の上部とに、
乾燥室２内の壁面に沿つて２本づつ平行に架設し
ている。

このように構成した乾燥装置１で洗濯物６を乾
燥する場合、第１図に示すように、洗濯物６をハ
ンガ２８に掛けて、このハンガ２８を乾燥室２の
上部に水平に架設した吊下げ棒２９に吊下げた
後、扉１０を閉じて乾燥室２を密閉する。

この後、乾燥室２の上部と下部との両ヒータ
３，４に通電して、上部両側のフアン１１，１１
を回転させて、湿気を含んだままの加熱気流Ａを
乾燥室２の上部より下部に噴出させると共に、下
部両側の副吸入口２ｃ，２ｃからヒータ４，４で
加熱された空気を吸引して循環させ、乾燥室２内
を90度前後に加熱して洗濯物６を徐々に乾燥す
る。

同時に、気流吸引用のフアン１３を回転して、
下部の主吸入口２ｂより吸引するゾールおよび水
分を含んだ加熱気流Ａをラジエータ１８で急速に
水冷して、加熱気流Ａ中のゾールおよび湿気を液
化すると共に、ゾール回収部７内のスクリユ２０
を螺旋方向とは逆方向に回転させて、螺旋溝２０
ｂの総延長を長くし、筒状フイルタ１９内の螺旋
溝２０ｂに沿つて気流を旋回上昇させながら、筒
状フイルタ１９の内周面に吹き付けるようにし
て、気体とゾールとを分離し、分離したゾールと
水を分離室７ａの底部から回収用のパイプ２２よ
り吸引し回収する。

一方、ゾールが分離され、かつ除湿された空気
は、ダクト２３を通つて上昇し、上部の気流循環
路５を介して再び乾燥室２の上方から吹出され
る。

そして乾燥室２内の気流の約半分は副吸入口２
ｃ，２ｃからヒータ４，４で加熱循環しながら、
他の約半分は主吸入口２ｂより吸引されてゾール
回収部７で分離作用を受けて乾燥室２内に放出
し、この気流循環により乾燥室２内を流通する加
熱気流Ａの湿度を徐々に低下させる。

加熱気流Ａの湿度の低下と共に、洗濯物６は自
然乾燥に近い状態で次第に乾燥し、最後に完全に
乾燥し気流中のゾールもほぼ完全に吸収される。

その後、第１図に示すように気流循環路５に設
けたダンパ２５，２５を開いて外気を導入し、か
つゾール回収部７上方のダクト２３を第３図に仮
想線で示すようにダンパ２７で閉鎖し、排出口２
６を開いてゾールが分離され、かつ除湿された空
気を機外に放出する。

上述した洗濯物６の乾燥とゾールの回収に要す
る時間は約10分程度である。

次に両側部の外気吸入ダンパ２５，２５及び中
央のダンパ２７を閉鎖し、乾燥室２内を密封状態
にして上下の蒸気噴射ノズル８，８より蒸気を洗
濯物６に向けて噴射し、ヒータ３，４の温度を低
くしながら室内の温度を60度前後まで低下させ、
同時にフアン１１，１３を約30秒間停止した状態
で洗濯物６の蒸し処理を行なう。

その後、フアン１１，１３を回転させ、ダンパ
２５，２７を何れも閉鎖して、外気導入を停止
し、乾燥室２内に上方から下方への気流で蒸気を
むらなく循環させ、洗濯物６に万遍なく蒸気を作
用させるスチーム循環を約30秒間行なう。

この時、モータ２１によるスクリユ２０の回転
は停止する。

次にダンパ２５，２７を閉鎖したままヒータ
３，４の一方を停止して更に温度を低くし、フア
ン１１，１３を回転させて乾燥室２の上部より下
部に加熱気流Ａを、高速で約30秒間循環させ、洗
濯物６を乾燥しながら左右の振動と下方への吸引
張力を作用させ、生地に付いた皺を延ばす乾燥仕
上げ処理を行なう。

最後に両ダンパ２５，２７を開放して、外気取
入口２４，２４から外気を取入れながら乾燥室２
内を冷却し、洗濯物６を急冷すると同時に、前記
排出口２６から内部の熱気を機外へ放出する冷却
処理を約１分間行なう。

この冷却処理によつて、延ばした皺が洗濯物６
に残ることを防止して、仕上げ状態が定着でき、
上述したゾール回収乾燥工程と、上記蒸し工程、
仕上げ工程および冷却工程の全工程を約14分間の
短時間で行なうことができ、従来装置と比較して
約倍の速さで、しかも乾燥は、初め湿気を含ませ
た加熱循環気流によつて行ない、徐々に加熱気流
中の湿度を除去して自然乾燥に近い状態で行なう
ので、洗濯物には型崩れが生じず、従つて、仕上
げ機を用いずに洗濯物６をアイロンの殆んど不要
な状態にまで完全な処理が行なえる。

上記実施例では、洗剤としてゾールを用いるド
ライクリーニングの場合について説明したが、勿
論本発明は水洗いの乾燥用にも適しており、この
場合はゾール回収部７は水分を取除く作用のみを
行なう。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例を示し、第１図は洗
濯物乾燥装置の側面図、第２図は同乾燥装置の正
面図、第３図は同乾燥装置の一部を中央部分で破
断して示す側面図、第４図は同乾燥装置の背面図
である。 Ａ…加熱気流、１…乾燥装置、２…乾燥室、
３，４…ヒータ（加熱手段）、５…気流循環路、
６…洗濯物、７…ゾール回収部、８…蒸気噴射ノ
ズル、２９…吊下げ手段。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 加熱手段３，４で加熱した加熱気流Ａを、単
   一の乾燥室２の上部より下部に気流温度を徐々に
   低下させつつ循環させて、上記乾燥室２内に吊下
   げた洗濯物６を徐々に乾燥すると共に、この洗濯
   物６より揮発したゾール及び湿気を上記乾燥室２
   外に設けた水冷式のゾール回収部７で回収するゾ
   ール回収乾燥工程と、 該ゾール回収乾燥工程についで、上記単一の乾燥
   室２内に蒸気を供給して、洗濯物６に湿気を含ま
   せる蒸し工程と、 その後、上記単一の乾燥室２内への加熱気流Ａの
   循環による下方への気流で洗濯物６を乾燥し、か
   つ洗濯物６に下方への張力を付与して、皺を延ば
   す乾燥仕上げ工程と、 該乾燥仕上げ工程についで、外気を上記乾燥室２
   の上部より下部に循環させて、洗濯物６を冷却す
   る冷却工程とを備えた 洗濯物の乾燥方法。 ２ 上部に洗濯物６を吊下げる吊下げ手段２９を
   備えた単一の乾燥室２と、該乾燥室２内の上部よ
   り下部に気流Ａを循環させる気流循環路５と、上
   記気流循環路５内に設けられ、該気流循環路５を
   循環する気流Ａを加熱する加熱手段３，４と、 前記気流循環路５の少なくとも一部に設けられ、
   気流Ａ中のゾール及び湿気を回収する水冷式のゾ
   ール回収部７と、前記乾燥室２内に設けられ、該
   乾燥室２内に蒸気を供給する蒸気供給手段８とを
   備えた 洗濯物の乾燥装置。