JPH0334739B2 - - Google Patents

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JPH0334739B2
JPH0334739B2 JP61301422A JP30142286A JPH0334739B2 JP H0334739 B2 JPH0334739 B2 JP H0334739B2 JP 61301422 A JP61301422 A JP 61301422A JP 30142286 A JP30142286 A JP 30142286A JP H0334739 B2 JPH0334739 B2 JP H0334739B2
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JP
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epoxy
group
heparin
compound
medical material
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Masanori Sakakibara
Masatomi Sasaki
Nobuyoshi Kashiwagi
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Terumo Corp
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Terumo Corp
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Priority to DE19873786927 priority patent/DE3786927T2/de
Priority to EP19870907978 priority patent/EP0336964B1/en
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Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は、抗血栓性医用材料およびその製造法
に関する。 更に詳しくは、本発明は、高分子化合物にヘパ
リンがエポキシ化合物を介して結合したものから
なる抗血栓性医用材料及びその製造法に関する。 本発明の抗血栓性医用材料は、高分子化合物に
結合したヘパリンの抗血液凝固活性が失なわれ
ず、かつ長期に亙つて安定であるため、血液と接
触する医用材料として特に有用である。 [従来の技術] ヘパリンを利用して医用材料に抗血栓性を与え
る方法が従来より知られている。例えば、特開昭
58−100053号公報に開示されているように共有結
合を形成させて医用材料とヘパリンを結合させる
方法がある。しかし、この方法によれば、ヘパリ
ン活性部位も共有結合に関する可能性があるため
ヘパリンの抗血液凝固活性が失なわれて血栓を発
生させる可能性があり望ましくない。また、特開
昭49−8583号及び特開昭49−44590号公報に開示
されているように、イオン結合によつてヘパリン
を結合させる方法も知られているが、医用材料と
ヘパリンとの結合が弱いため、ヘパリンが容易に
剥れやすく、長期にわたる使用には適さなかつ
た。 [発明が解決しようとする問題点] 本発明は、上記従来技術の問題点を解決せんと
するものであり、ヘパリンの抗血液凝固活性が低
下されず、しかもセルロース等の高分子化合物と
ヘパリンとの結合が強固な抗血栓性医用材料及び
その製造法を提供することを目的とする。 [問題点を解決するための手段] 上記の目的を達成するため、本発明は下記の構
成を有する。 1 エポキシ基と結合可能な官能基を有する高分
子化合物に、ヘパリンが2以上のエポキシ基を
有するエポキシ化合物を介して結合したものか
らなる抗血栓性医用材料であつて、前記ヘパリ
ン中に存在するアミノ基と前記エポキシ化合物
のエポキシ基とが結合しており、かつ前記高分
子化合物中のエポキシ基と結合可能な官能基と
前記エポキシ化合物のエポキシ基とが結合して
いることを特徴とする抗血栓性医用材料。 2 前記エポキシ基と結合可能な官能基は水酸
基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプ
ト基のうち少なくともいずれか1種である第1
項に記載の抗血栓性医用材料。 3 高分子化合物が、セルロース、キトサン、コ
ラーゲンまたはフイブロインであることを特徴
とする第1項に記載の抗血栓性医用材料。 4 エポキシ化合物がジグリシジル化合物である
ことを特徴とする第1項〜第3項のいずれか1
項に記載の抗血栓性医用材料。 5 ジグリシジル化合物が、1,4−ブタンジオ
ールジグリシジルエーテルであることを特徴と
する第4項に記載の抗血栓性医用材料。 6 エポキシ基と結合可能な官能基を有する高分
子化合物にヘパリンが2以上のエポキシ基を有
するエポキシ化合物を介して結合したものから
なる抗血栓性医用材料であつて、前記ヘパリン
中に存在するアミノ基と前記エポキシ化合物の
エポキシ基とが結合しており、かつ前記高分子
化合物中のエポキシ基と結合可能な官能基と前
記エポキシ化合物のエポキシ基とが結合してい
る抗血栓性医用材料を製造するにあたり、ヘパ
リンに存在するアミノ基と前記エポキシ化合物
に存在するエポキシ基との反応をPH7以上の水
性溶液中において実施する工程と、前記高分子
化合物に存在するエポキシ基と結合可能な官能
基と前記エポキシ化合物に存在するエポキシ基
との反応を水性溶液中で実施する工程を任意の
順序で行なうことを特徴とする抗血栓性医用材
料の製造法。 7 前記エポキシ基と結合可能な官能基は、酸
基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプ
ト基のうち少なくともいずれか1種である第6
項記載の抗血栓性医用材料の製造法。 8 エポキシ基と結合可能な官能基を有する高分
子化合物にヘパリンが2以上のエポキシ基を有
するエポキシ化合物を介して結合したものから
なる抗血栓性医用材料であつて、前記ヘパリン
中に存在するアミノ基と前記エポキシ化合物の
エポキシ基とが結合しており、かつ前記高分子
化合物中のエポキシ基と結合可能な官能基と前
記エポキシ化合物のエポキシ基とが結合してい
る抗血栓性医用材料を製造するにあたり、ヘパ
リンと2個以上のエポキシ基を有するエポキシ
化合物との反応生成物であつて、ヘパリンのア
ミノ基とエポキシ化合物のエポキシ基とが結合
し、かつ反応生成物中に未反応のエポキシ基が
残存しているヘパリン誘導体を水性溶液中で前
記高分子化合物と反応させることを特徴とする
抗血栓性医用材料の製造法。 9 前記エポキシ基と結合可能な官能基は、水酸
基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプ
ト基のうち少なくともいずれか1種である第8
項記載の抗血栓性医用材料の製造法。 10 水性溶液が緩衝溶液であることを特徴とする
第8項記載または第9項に記載の抗血栓性医用
材料の製造法。 11 緩衝溶液がリン酸系またはホウ酸系の水溶液
であることを特徴とする第10項に記載の抗血栓
性医用材料の製造法。 12 水性溶液が不活性親水性有機溶媒の含水溶液
である第8項に記載の抗血栓性医用材料の製造
法。 本発明に使用されるヘパリンと、抗血液凝固作
用を有するムコ多糖類の1種をいい、筋肉、肺、
脾蔵、肝蔵において多く存在し、血栓症等の治療
に使用されている。上記したように、各種の医用
材料にヘパリンを被覆して、該医用材料を生体に
用いた場合に血栓が生成するのを防止せんとする
試みが多くなされている。 本発明において使用されるエポキシ化合物は、
エポキシ基を2個以上有することを要し、好適な
例としてグリシジル化合物があげられ、1,4−
ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエー
テルジグリシジルエーテル及びポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテルが好ましく、特に
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルが
好ましい。 本発明において使用される高分子化合物は、好
ましくは水酸基、アミノ基、カルボキシル基およ
び、メルカプト基のうち少くともいずれか1種を
有するものである。このような高分子の例として
は、水酸基を有するものとしてセルロース、交叉
結合ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニル
アルコール共重合体、ハイドロキシエチルメタク
レート、アミノ基を有するものとしてキトサン、
フイブロイン、ポリビニルアミン、ポリアクリル
アミド、コラーゲン、カルボキシル基を有するも
のとしてポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キ
チンがあげられ、セルロースは特に好ましい。 本発明による抗血栓性医用材料を製造する方法
は、ヘパリンのアミノ基とエポキシ化合物のエポ
キシ基との反応を実施する工程と高分子中のエポ
キシ基と結合可能な官能基とエポキシ化合物のエ
ポキシ基との反応を実施する工程よりなる。まず
前者の工程について説明すると、ヘパリンとエポ
キシ化合物の水性溶液を合わせ、アルカリ性にし
て反応させる。この場合、ヘパリンとエポキシ化
合物との使用割合はモル比で約1:4〜1:10が
望ましい。反応液のPHは7以上とし、好ましくは
PH7〜12であり、更に好ましくはPH8〜10であ
る。PHが7未満であると、ヘパリン分子中のスル
ホアミノ基が破壊され、ヘパリンのもつ抗血栓性
が示されなくなるばかりでなく、エポキシ化合物
中のエポキシ基が開環してしまい、反応そのもの
や起こせなくなる可能性があり好ましくない。 反応は反応液が凝固しない温度以上150℃以下
の温度で実施される。150℃より高い温度ではヘ
パリン分子が崩壊してしまう可能性があり好まし
くない。 ここでPHおよび反応温度がともに高いと反応性
が高くなり過ぎてエポキシ基中に存在する全ての
エポキシ基がヘパリンと結合してしまい、高分子
医用材料との結合が不可能となるばかりでなく、
ヘパリン中のアミノ基以外の基との結合が生じる
ことによるヘパリンの力価の低下、またヘパリン
自体の分解が生じる可能性がある。従つてPHが高
い場合には反応温度を低くし、反応温度が高い場
合にはPHを下げて反応させる必要がある。 反応時間はPHや反応温度等の他の反応条件によ
つて異なるが一般に30分間ないし10日間である。
例えばPH9のとき、60℃で24時間、室温で4日間
反応させるのが適当である。 反応は水性溶液、即ち水、緩衝水溶液または不
活性親水性有機溶媒の含水溶液の存在下で実施さ
れる。好適には水酸化ナトリウムもしくは水酸化
カリウム水溶液、リン酸もしくはホウ酸系バツフ
ア溶液、テトラヒドロフラン系溶媒と水との混合
液(例えばテトラヒドロフラン:水=9:1)、
ジオキサン系溶媒と水との混合液(例えばジオキ
サン:水=3:1)等が使用される。このように
各反応条件を温和な条件とすることによりヘパリ
ンの抗血液凝固活性発現に直接関与しないアミノ
基のみをエポキシ基と反応させることができ、か
つエポキシ化合物に存在する全てのエポキシ基が
ヘパリンと結合するのを防止することができる。 次に、前記高分子化合物のエポキシ基と結合可
能な官能基とエポキシ化合物のエポキシ基との反
応または前記高分子化合物と、上記工程で得られ
たエポキシ化合物とヘパリンとの結合物(ヘパリ
ン誘導体)との反応は、該高分子化合物と該エポ
キシ化合物もしくはヘパリン誘導体をPH7以上の
水性溶液中で接触せしめることによつて実施され
る。エポキシ基とこれと結合可能な官能基との割
合は同数にするのが望ましい。ここに水性溶液と
は前述したものと同意義を有する。 高分子化合物中の官能基がアミノ基である場合
はエポキシ基との反応性が高いので反応液のPHは
7以上好ましくは7〜12、より好ましくは8〜10
である。高分子化合物中の官能基がアミノ基以外
である場合、即ち、水酸基、カルボキシル基また
はメルカプト基である場合はヘパリン誘導体中の
水酸基、カルボキシル基との反応性の差を出すた
めに高分子化合物を予めアルカリ化して活性化し
た後ヘパリン誘導体と反応させるのが望ましい。
即ち、上記高分子化合物をアルカリ水溶液中に浸
漬し、活性化したものをヘパリン誘導体溶液中に
浸漬し、反応させる。本反応において溶媒として
前述した不活性親水性有機溶媒の含水溶液を使用
することにより前記活性化高分子化合物から反応
溶液中へアルカリが拡散するのを抑制することが
でき、その活性を維持でできると同時に反応溶液
中のPHの上昇およびヘパリン活性の低下を防ぐこ
とができる。不活性の親水性有機溶媒としては、
ジオキサン、テトラヒドロフランが適当であり、
水との混合比は、ジオキサン:水=1:10〜4:
1、好ましくは2:1〜3:1、テトラヒドロフ
ラン:水=1:10〜10:1、好ましくは7:1〜
9:1である。アルカリ水溶液として水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムを用いるのが好ましく、
アルカリ濃度として、0.01%〜35%、好ましくは
0.1%〜10%である。 溶媒として緩衝液を使用する場合はリン酸系ま
たはホウ酸系の水溶液が望ましく、例えばリン酸
二水素カリウム(KH2PO4)−水酸化ナトリウム
(NaOH)系、ホウ酸(H3BO3)−塩化カリウム
(KCl)系、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)−
リン酸一水素二ナトリウム(Na2HPO4)系等が
好ましい。反応時のPHが7未満であるとヘパリン
の分解等が起こり、ヘパリンの活性が失われる。
反応時のPHが12より高くなると反応性が大とな
り、エポキシ化合物同士(またはヘパリン誘導体
同士)で反応し、高分子化合物と反応すべきエポ
キシ基が減少し、またはヘパリン活性が低下する
可能性があり好ましくない。反応温度は反応液が
凝固しない程度の温度以上で150℃以下の範囲で
ある。150℃より高い温度ではヘパリン誘導体が
崩壊してしまうため好ましくない。 反応時間は高分子化合物の種類や他の反応条件
によつて異なるが、およそ5分乃至10日間であ
る。 上記の2つの工程は、どちらを先に行なつても
よいが、先にヘパリン誘導体を調製し、その水溶
液中に高分子化合物を浸漬してヘパリン誘導体中
のアミノ基と高分子化合物中の水酸基等とを反応
させる方法は操作が簡単であり好ましい。浸漬以
外の方法であつてもよく、ヘパリン誘導体の水溶
液を高分子化合物の表面上に被覆し得る方法であ
ればよい。このようにして得られる本発明の抗血
栓性医用材料はエポキシ化合物を介して高分子化
合物にヘパリンが強固に結合しており、しかもそ
の結合は安定であるので人工血管や人工臓器(血
管内留置用カテーテル、血清過器、血漿分離
器)のような血液と接触する医療具用の材料とし
て好適に使用される。 [実施例] 以下、実施例によつて本発明をさらに具体的に
説明する。 実施例 1 ヘパリンナトリウム(188IU/mg)1.00グラム、
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
(Aldrich社製)0.018グラムを蒸留水10mlに溶解
した後に、0.1N水酸化ナトリウム水溶液によつ
て反応溶液をPH9に調整し、室温で4日間反応さ
せた。反応終了後、0.01N塩酸により中和し、次
いでエーテル抽出によつて過剰量の1,4−ブタ
ンジオールジグリシジルエーテルを除き、ヘパリ
ン誘導体(以下ヘパリンマクロマーとする)水溶
液を得た。 再生セルロースシート(ENKA社製)6cm2
0.5%水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、
次いで再生セルロースシート上に付着した水酸化
ナトリウム水溶液を拭きとつた後、上記によつて
合成されたヘパリンマクロマーの0.2%水溶液中
に浸漬した。所定時間浸漬の後水洗したヘパリン
固定再生セルロースシートを得た。ここで、使用
された反応溶液の水素イオン濃度を測定した。 実施例 2 再生セルロースシート(ENKA社製)6cm2
0.5%水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、
次いで再生セルロースシート上に付着した水酸化
ナトリウム水溶液を拭きとつた後、上記実施例1
と同様に合成されたヘパリンマクロマーを0.2%
含む、リン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム
緩衝液(PH8に調整)に浸漬した。所定時間浸漬
の後水洗しヘパリン固定再生セルロースシートを
得た。ここで、使用された反応溶液の水素イオン
濃度を測定した。 実施例 3 再生セルロースシート(ENKA社製)6cm2
0.5%水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、
次いで再生セルロースシート上に付着した水酸化
ナトリウム水溶液を拭きとつた後、ヘパリンマク
ロマーを0.2%含む、ホウ酸+塩化カリウム−水
酸化ナトリウム緩衝液(PH8に調整)に浸漬し
た。所定時間浸漬の後、水洗しヘパリン固定再生
セルロースシートを得た。ここで、使用された反
応溶液の水素イオン濃度を測定した。 実施例 4 再生セルロースシート(ENKA社製)6cm2
0.5%水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、
次いで再生セルロースシート上に付着した水酸化
ナトリウム水溶液を拭きとつた後、ヘパリンマク
ロマーを0.2%を含む、ホウ酸+塩化カリウム−
水酸化ナトリウム緩衝液(PH9に調整)に浸漬し
た。所定時間浸漬の後、水洗しヘパリン固定再生
セルロースシートを得た。ここで、使用された反
応溶液の水素イオン濃度を測定した。 上記実施例1,2,3および4において測定さ
れた反応溶液の水素イオン濃度の経時変化を第1
図に示す。この結果より、反応溶液として緩衝溶
液を用いる場合(実施例2〜4)の反応溶液の水
素イオン濃度は、実施例1における反応溶液とし
て水溶液を用いる場合にくらべて反応開始時の反
応溶液の水素イオン濃度と大きな変化のないこと
が解る。その結果、ヘパリン活性の低下がより少
ない。 次に、反応溶液にアンチトロンビンを添加し
た後、一定過剰量のフアクターXaを反応させ、
残存するフアクターXa活性を、発色性合成気質
(s−2222)で定量することによりヘパリン活性
量を測定した。結果を第1表に示す。この結果よ
り、反応溶液中のヘパリン活性は失なわれていな
いことが解る。
【表】 次に、トルイジンブルーOによる染色法によつ
て実施例1及び2によつて得られたヘパリン固定
再生セルロースシートのヘパリン固定量を測定し
た結果を第2図に示す。この結果より、本発明に
よりヘパリンが結合された再生セルロースのヘパ
リン固定量は、6時間以後は殆んど一定であるこ
とが解る。 実施例 5 1 キトサンをギ酸に溶融し、1%キトサン溶液
を作製し、テフロン板上で、キヤステイング法
によりキトサンシートを作製した。 2 実施例1で合成されたヘパリンマクロマー
0.2%を含むリン酸緩衝液(リン酸二水素カリ
ウム−水酸化ナトリウム系:PH8に調整)10ml
中に、1)で作製したキトサンシート(表面
積:6cm2)を24時間浸漬した。 3 更に処理したキトサンシートを、リン酸緩衝
液(PH8に調整)にて十分に洗浄した。 比較例 1 1 実施例5の1)と同様にしてキトサンシート
を作製した。 2 ヘパリン0.2%を含むリン酸緩衝液(PH8に
調整)10ml中に1)で作製したキトサンシート
(表面積:6cm2)を24時間浸漬した。 3 実施例5の3)と同様にしてキトサンシート
処理品を作製した。 実施例5及び比較例1により作製したキトサン
シートのヘパリン固定量を、以下のトルイジンブ
ルーOを用いた染色法にて測定した。 1 各々キトサンシート(表面積:6cm2)を0.04
%トルイジンブルーO 55ml中に10分間浸漬す
る。 2 リン酸緩衝液(PH8に調整)を用いて十分に
洗浄する。 3 キトサンシートを、発色液(エタノール:
0.1N水酸化ナトリウム水溶液=4:1)50ml
に浸漬し、20〜30分後に530nmにて吸光度を測
定した。 注)0.1Nの塩酸の洗浄なし(従来法と異なる)
キトサンシート処理品のヘパリン量を、トルイ
ジンブルーOを用いた染色法による結果を、第
2表に示す。この結果、本発明によりキトサン
シートに、ヘパリンが結合している事が判る。
【表】 実施例 6 ヘパリンナトリウム(188IU/mg)1.00グラム、
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
(Aldrich社製)0.018グラムを蒸留水10mlに溶解
した後に、0.1N水酸化ナトリウム水溶液によつ
て反応溶液をPH9に調整し、室温で4日間反応さ
せた。反応終了後、0.01N塩酸により中和し、次
いでエーテル抽出によつて過剰量の1,4−ブタ
ンジオールジグリシジルエーテルを除き、ヘパリ
ン誘導体水溶液を得た。 再生セルロースシート(ENKA社製)250cm2
0.5%水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、
次いで再生セルロースシート上に付着した水酸化
ナトリウム水溶液を拭きとつた後、上記によつて
合成されたヘパリン誘導体の0.2%水溶液中、ジ
オキサン−水(3:1)溶液、およびテトラヒド
ロフラン−水(9:1)溶液の各の溶液中(70
ml)に3日間浸漬した。再生セルロースを取り出
し反応溶液中の水素イオン濃度を測定した。(但
し、有機溶媒水系においては有機溶媒をエバポレ
ーターによる乾燥後、同量の蒸留水で希釈した) 実施例6によつて測定した反応溶液中の水素イ
オン温度の変化を第3表に示す。ジオキサン/水
系及びテトラヒドロフラン/水系の有機媒体を用
いた場合、水系に比して前記高分子化合物からの
アルカリの溶出を、抑制していることが判る。
【表】 実施例 7 再生セルロースシート(ENKA社製)250cm3
0.5%水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、
次いで再生セルロースシート上に付着した水酸化
ナトリウム水溶液を拭きとつた後、実施例6によ
つて合成されたヘパリン誘導体の0.2%水溶液中
及びジオキサン−水(3:1)溶液中に浸漬し
た。室温24時間浸漬の後水洗しヘパリン固定再生
セルロースシートを得た。 以上により得られたヘパリン固定再生セルロー
スシートのヘパリン固定量をトルイジンブルーO
を用いた染色法にて測定した。 1 セルロース片を試験管に取り、0.04%トルイ
ジンブルー液を入れ5分間放置する。 2 蒸留水10mlで2回デカンテーシヨン洗浄す
る。 3 0.1N塩酸5mlを加え、10分間放置し、デカ
ンテーシヨン後、再度同様に0.1N塩酸5mlの
処理を行なう。 4 蒸留水10mlを加え、10分間放置し、デカンテ
ーシヨン後、再度同様に蒸留水10mlの処理を行
なう。 5 セルロース片表面上の水滴を取り除き、上記
セルロース片6枚分を一本の試験管に取る。 6 更に、緩衝液(エタノールと0.1N水酸化ナ
トリウム水溶液4対1容量比)を入れ、20〜30
分後に530nmで吸光度を測定する。
【表】 この吸光度の測定結果を第4表に示した。第4
表より、反応溶液を水系から、有機溶媒/水系へ
と処理方法を代える事により、ヘパリン結合量の
著しい増加が認められる。 [発明の効果] 以上詳述したように、本発明によれば、水酸
基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプタン基
のようなエポキシ基と結合可能な官能基を有する
高分子化合物に、エポキシ化合物を介してヘパリ
ンが結合した抗血性材料であつて、ヘパリン中の
アミノ基とエポキシ化合物のエポキシ基が結合
し、かつ高分子化合物中の上記官能基とエポキシ
化合物のエポキシ基が結合している材料が得られ
る。この抗血栓性材料は、ヘパリンの抗血液凝固
活性が失なわれていないため、生体適合性があ
り、医用材料として極めて有利である。また、エ
ポキシ化合物を介してのヘパリンと高分子との結
合が強いため、生体内で容易にヘパリンが剥れる
こともなく、長期にわたる使用に対して耐え得る
安定性を有している。 さらに、本発明による上記抗血栓性材料の製造
法は、ヘパリンのアミノ基とエポキシ化合物のエ
ポキシ基との反応をPH7以上の水性溶液中におい
て反応液が凝固しない温度以上150℃以下の温度
で実施する工程と、前記高分子中の官能基とエポ
キシ化合物のエポキシ基との反応を水性溶液中で
実施する工程を任意の順序で行なうことよりな
る。本発明のこの製造法によれば高分子化合物に
ヘパリンが強く結合され、しかもヘパリンの抗血
液凝固活性が失なわれていない生体適合性を有す
る医用の抗血栓性材料を得ることができる。 本発明によれば、上記製造法において、先にヘ
パリンとエポキシ化合物とを反応させてヘパリン
誘導体を製造し、それと上記高分子化合物を反応
させることよりなる製造法をも提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に用いる反応溶液の水素イオ
ン濃度を示すグラフである。第2図は、本発明で
得られる抗血栓性材料のヘパリン固定再生セルロ
ースシートのトルイジンブルーOの染色量を示す
グラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 エポキシ基と結合可能な官能基を有する高分
    子化合物に、ヘパリンが2以上のエポキシ基を有
    するエポキシ化合物を介して結合したものからな
    る抗血栓性医用材料であつて、前記ヘパリン中に
    存在するアミノ基と前記エポキシ化合物のエポキ
    シ基とが結合しており、かつ前記高分子化合物中
    のエポキシ基と結合可能な官能基と前記エポキシ
    化合物のエポキシ基とが結合していることを特徴
    とする抗血栓性医用材料。 2 前記エポキシ基と結合可能な官能基は水酸
    基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプト
    基のうち少なくともいずれか1種である特許請求
    の範囲第1項に記載の抗血栓性医用材料。 3 高分子化合物が、セルロース、キトサン、コ
    ラーゲンまたはフイブロインであることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項に記載の抗血栓性医用
    材料。 4 エポキシ化合物がジグリシジル化合物である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項〜第3項
    のいずれか1項に記載の抗血栓性医用材料。 5 ジグリシジル化合物が、1,4−ブタンジオ
    ールジグリシジルエーテルであることを特徴とす
    る特許請求の範囲第4項に記載の抗血栓性医用材
    料。 6 エポキシ基と結合可能な官能基を有する高分
    子化合物にヘパリンが2以上のエポキシ基を有す
    るエポキシ化合物を介して結合したものからなる
    抗血栓性医用材料であつて、前記ヘパリン中に存
    在するアミノ基と前記エポキシ化合物のエポキシ
    基とが結合しており、かつ前記高分子化合物中の
    エポキシ基と結合可能な官能基と前記エポキシ化
    合物のエポキシ基とが結合している抗血栓性医用
    材料を製造するにあたり、ヘパリンに存在するア
    ミノ基と前記エポキシ化合物に存在するエポキシ
    基との反応をPH7以上の水性溶液中において実施
    する工程と、前記高分子化合物に存在するエポキ
    シ基と結合可能な官能基と前記エポキシ化合物に
    存在するエポキシ基との反応を水性溶液中で実施
    する工程を任意の順序で行なうことを特徴とする
    抗血栓性医用材料の製造法。 7 前記エポキシ基と結合可能な官能基は、水酸
    基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプト
    基のうち少なくともいずれか1種である特許請求
    の範囲第6項記載の抗血栓性医用材料の製造法。 8 エポキシ基と結合可能な官能基を有する高分
    子化合物にヘパリンが2以上のエポキシ基を有す
    るエポキシ化合物を介して結合したものからなる
    抗血栓性医用材料であつて、前記ヘパリン中に存
    在するアミノ基と前記エポキシ化合物のエポキシ
    基とが結合しており、かつ前記高分子化合物中の
    エポキシ基と結合可能な官能基と前記エポキシ化
    合物のエポキシ基とが結合している抗血栓性医用
    材料を製造するにあたり、ヘパリンと2個以上の
    エポキシ基を有するエポキシ化合物との反応生成
    物であつて、ヘパリンのアミノ基とエポキシ化合
    物のエポキシ基とが結合し、かつ反応生成物中に
    未反応のエポキシ基が残存しているヘパリン誘導
    体を水性溶液中で前記高分子化合物と反応させる
    ことを特徴とする抗血栓性医用材料の製造法。 9 前記エポキシ基と結合可能な官能基は、水酸
    基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプト
    基のうち少なくともいずれか1種である特許請求
    の範囲第8項記載の抗血栓性医用材料の製造法。 10 水性溶液が緩衝溶液であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第8項記載または第9項に記載
    の抗血栓性医用材料の製造法。 11 緩衝溶液がリン酸系またはホウ酸系の水溶
    液であることを特徴とする特許請求の範囲第10
    項に記載の抗血栓性医用材料の製造法。 12 水性溶液が不活性親水性有機溶媒の含水溶
    液である特許請求の範囲第8項に記載の抗血栓性
    医用材料の製造法。
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