JPH0333889Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、金属板を円形カツプ状に成形すると
共に中心部にセパレーター本体が貫通する孔を設
けたコンクリート型枠セパレーター用座金に関す
るものである。

（従来の技術及びその問題点） 上記のようなカツプ形座金を嵌着したコンクリ
ート型枠用セパレーターは大量に消費されるもの
であるから、カツプ形座金を構成する金属板の板
厚を薄くすることの経済的効果は非常に大きい。
従つて、薄板を使用して構成しても十分な強度を
有し、安全に使用することの出来るカツプ形座金
が要求されるわけであるが、同時にこの種の座金
に於いては、この座金の大径側周縁部が型枠板に
不当に食い込むことが避けられ、そして使用後に
於ける座金除去跡にはセメントモルタルを容易に
脱落しないように充填接着させ易いことも要求さ
れる。

従来のこの種のカツプ形座金としては、周壁板
を内側に褶曲密着させたリブを有するものが知ら
れているが、軸方向の圧縮強度を増大させる効果
は有つても、このリブの外端部は重なつた２枚の
板の切断面が露出しており、この板の切断面が型
枠板に当接することになるので、型枠締結時に前
記リブの外端部を含めて座金の大径側周縁部が型
枠板に食い込むことになり、型枠板を所期の位置
に精度良く位置決めすることが出来なくなる。し
かもこのようなリブでは、座金除去跡はカツプ形
の単純な凹部となるだけであるから、この座金除
去跡に充填されるセメントモルタルの接着強度を
増大させるような効果は期待出来ない。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記のような従来の問題点を解決し得
るカツプ形座金を提案するものであつて、その特
徴は、金属板を円形カツプ状に成形し且つ中心部
にセパレーター本体が貫通する孔を設けたカツプ
形座金であつて、周壁に周方向複数本の凹入溝形
リブを放射状に成形し、各凹入溝形リブは、前記
中心孔の周辺位置から遠ざけるに従つて深さを漸
増させ、最深部にはこのカツプ形座金の大径側周
縁部から軸心に対し略直角内方に連続する扁平板
部を有せしめた点にある。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を添付の例示図に基づ
いて説明する。１は棒状のセパレーター本体であ
り、両端には型枠締め付け金具との連結部２が設
けられ、この本体１の端部から所定距離内方の位
置には小径の折り溝部３が形成され、当該折り溝
部３の先端側に隣接して膨径つば状の座金ストツ
パー４が一体に形成されている。前記連結部２
は、セパレーター本体１を転造加工して形成した
雄ねじ軸部から成るものを示したが、本体端部に
一体成形した膨径頭部から成るものでも良い。
又、座金ストツパー４は、前記連結部２と同様に
転造加工により形成された、全周にわたつて突出
するつば状のものを示したが、部分的に突出する
ものでも良く、その成形方法も限定されない。

５はカツプ形座金であり、ストツパー４と連結
部２との間でセパレーター本体１に嵌着されてい
る。この座金５は、薄い金属板、例えば厚さ0.6
mm又はこれに近い薄鉄板からプレス加工で成形さ
れた円形カツプ状のもので、その大径側周縁部６
は板切断面が座金軸心５ａに対して略直交する横
外方に指向するように湾曲され、中心にはセパレ
ーター本体１が貫通する孔７が設けられ、周壁に
は座金軸心５ａと平行で座金内側に突曲する複数
本（図では４本）の凹入溝形リブ８が放射状に形
成されている。このリブ８は、前記中心孔７の周
辺位置から遠ざかるに従つて深さが漸増し、最深
部には前記大径側周縁部６から軸心に対し略直角
内方に連続する扁平板部９を有する。

前記中心孔７の周縁部１０は、当該周縁板部１
０ａをこのカツプ形座金５の内側（外側でも良
い）に折り返して二重構造としている。

上記のようなカツプ形座金５を備えたセパレー
ターの使用方法は従来のものと同様であり、型枠
解体後には、カツプ形座金５の内部から突出して
いるセパレーター本体１の先端部を横方向に反復
曲げ運動させて前記折り溝部３から折り、前記カ
ツプ形座金５と共に除去する。そしてこの座金除
去跡に形成された凹部にセメントモルタル等の充
填材を詰めてコンクリート表面を平滑に仕上げ
る。

尚、カツプ形座金５は、連結部２や座金ストツ
パー４を転造成形する前、若しくは座金ストツパ
ー４のみを転造成形した状態に於いてセパレータ
ー本体１に嵌合し、この後で連結部２及び座金ス
トツパー４、若しくは連結部２を転造成形するこ
とにより、セパレーター本体１にセツトし得る。
勿論、折り返し二重構造の中心孔周縁部１０の厚
さが十分薄ければ、雄ねじ軸状の連結部２に対し
て座金５を螺合させて、この連結部２と座金スト
ツパー４との間の軸部に嵌着することも可能であ
るし、中心孔７の内周にねじ切り加工を施してお
いて同様にセツトすることも可能である。

（考案の作用及び効果） 以上のように実施し得る本考案のカツプ形座金
によれば、従来のものよりも十分に薄い板厚の金
属板を使用してカツプ形座金を構成することによ
つてコストダウンを図つても、放射状の凹入溝形
リブの存在によりカツプ形座金の軸方向の圧縮強
度を十分大ならしめ得るものであるが、本考案最
大大の作用効果は次のような点にある。

即ち、セパレーター本体の座金ストツパーから
受ける軸方向押圧力を各凹入溝形リブによつて型
枠板に伝達することになるが、この凹入溝形リブ
の型枠板に当接する端面は、座金大径側周縁部か
ら軸方向に対し略直角内方に連続する扁平板部９
の外側面であつて、比較的広い面積を有し且つ周
辺は凹入溝形リブの側面に連続するので滑らかで
ある。従つてこの凹入溝形リブの存在により、座
金全体としての型枠板当接面積が大幅に増大し、
しかも型枠板に食い込み難い型枠板当接面となる
から、型枠締結時に座金が型枠板に食い込む恐れ
が無くなる。換言すれば、座金の大径側周縁部に
幅広の型枠板当接フランジ部を連設する必要がな
くなり、材料の節減にも役立つ。

更に、前記のような凹入溝形リブは、コンクリ
ート壁築造後の座金除去跡凹部の周面に放射状の
突条を形成することになり、当該座金除去跡凹部
の表面積が増大し、充填されるセメントモルタル
の接着強度を増大させる効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案座金の使用状態を示す一部縦断
側面図、第２図はカツプ形座金の一部切り欠き背
面図である。 １……セパレーター本体、２……連結部、３…
…折り溝部、４……座金ストツパー、５……カツ
プ形座金、６……大径側周縁部、７……中心孔、
８……凹入溝形リブ、９……扁平板部、１０……
中心孔周縁部、１０ａ……折り返し周縁板部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属板を円形カツプ状に成形し且つ中心部にセ
   パレーター本体が貫通する孔を設けたカツプ形座
   金であつて、周壁に周方向複数本の凹入溝形リブ
   を放射状に成形し、各凹入溝形リブは、前記中心
   孔の周辺位置から遠ざかるに従つて深さを漸増さ
   せ、最深部にはこのカツプ形座金の大径側周縁部
   から軸心に対し略直角内方に連続する扁平板部を
   有せしめたことを特徴とするコンクリート型枠セ
   パレーター用座金。