JPH0332890B2 - - Google Patents
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- JPH0332890B2 JPH0332890B2 JP59184439A JP18443984A JPH0332890B2 JP H0332890 B2 JPH0332890 B2 JP H0332890B2 JP 59184439 A JP59184439 A JP 59184439A JP 18443984 A JP18443984 A JP 18443984A JP H0332890 B2 JPH0332890 B2 JP H0332890B2
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Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
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- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
方向性けい素鋼板は主として変圧器その他の電
気磁気の鉄心として利用され、その磁化特性が優
れていること、とくに鉄損(W17/50で代表され
る)が低いことが要求されている。 このためには、第一に鋼板中に2次再結晶粒の
<001>粒方位を圧延方向に高度に揃えることが
必要であり、第二には、最終製品の鋼中に存在す
る不純物や析出物をできるだけ減少させる必要が
ある。かかる配慮の下に製造される方向性けい素
鋼板は、今日まで多くの改善努力によつて、その
鉄損値も年を追つて改善され、最近では板厚0.30
mmの製品でW17/50の値が1.05W/Kg、また0.23mm
の製品でW17/50の値が0.90W/Kgの低鉄損のもの
が得られている。 しかし、数年前のエネルギー危機を境にして、
電力損失のより少ない電気機器を求める傾向が一
段と強まり、それらの鉄芯材料として、さらに鉄
損の低い一方向性けい素鋼板が要請されるように
なつている。 ところで、方向性けい素鋼板の鉄損を下げる手
法としては、Si含有量を高める、2次再結晶粒を
細かくする、不純物含有量を低減する、そして
(110)〔001〕方位の2次再結晶粒をより高度に揃
えるなど、主に冶金学的方法が一般に知られてい
るが、これらの手法は、現行の生産手段の上から
はもはや限界に達していて、これ以上の改善は極
めて難しく、たとえ多少の改善が認められたとし
ても、その努力の割には鉄損改善の実効はわずか
となるに至つている。 また最近に至り、製品板の表面に圧延方向と直
角の向きに微小歪を導入し、磁区を細分化させる
ことによつて渦電流損を低減する方法が提案され
ているが、この方法では、製品板の形状、平均結
晶粒径および板厚などによつては、その効果が十
分に発揮されるとは限らないだけでなく、巻きト
ランス製造時などに必要なひずみ取り焼鈍を施し
た場合にはせつかく低下させた鉄損値が元に戻つ
てしまうところに致命的な欠陥を残していたので
ある。 (従来の技術) さらに上述した各改善策とは別に、製品板厚を
薄くすることが、鉄損低減に有効であることが知
られている。 しかしながら現実的には板厚を薄くすると、2
次再結晶粒が粗大化すと共に、2次再結晶にとつ
て不可欠なインヒビターが不安定になつて、かえ
つて磁気特性の劣化を招いていたのである。 この点、製品の2次粒径の粗大化の防止対策と
して、ダンロールを用いる方法(特開昭57−
73127号公報)や、フオルステライト被膜の厚み
を制御して鉄損を良好にする方法(特開昭57−
41326号公報)などが提案されている。 しかし、これらの薄層化による鉄損減少技術は
対象とする電磁機器に制約がある。すなわち方向
性けい素鋼を最も多く用いる変圧器の鉄心には積
み鉄心と巻き鉄心があり、大容量の変圧器におい
ては積み鉄心が用いられるのが一般的であるが、
とり分け積み鉄心用に薄手の材料を用いると組み
立ての工数の増大、ハンドリングよる劣化等でコ
ストアツプとなり実際にはエネルギーコストの高
い米国において0.23mm以上、我が国においてはそ
れ以上の厚みの製品しか積み鉄心用としては用い
られていない。 これ故に厚手の素材で良好な鉄損を有するもの
がむしろ望まれるわけである。この矛盾を解決す
る方法としては、特開昭59−41808号公報に開示
されている重ね合わせけい素鋼板を挙げることが
できる。 すなわち2枚以上の方向性けい素鋼板を熱膨張
係数が8.5×10-6/℃以下の低熱膨張性のガラス
フリツトの融着層を介し積層合体させることによ
つて得られる重ね合わせ方向性けい素鋼板がそれ
である。 しかしこの技術を実際の工程に適用するには
種々の難点がある。 第1に融着したガラスの接着層は曲げによつて
磁気特性が劣化することである。その原因を調査
したところ可撓性が劣るためであることがわかつ
た。 これはまた、コイリングなどの工業生産に一般
的であるプロセスをとりえないこと、ハンドリン
グ中に特性が劣化しやすいこと巻きコアなどの製
品に使用するとメリツトがなくなることなどの不
利益をもたらす。 第2にガラスフリツトの融着には熱間の圧下が
必要であるため、表面性状が著しく劣化すること
がある。また板に変形を与えないように高温で圧
下を加えるのはもちろん非常に困難である。 なおこのような融点を克服する方法として有機
ポリマーの接着剤の使用が考えられるわけである
が、通常有機ポリマーの使用は磁気特性の劣化を
もたらし、とくにトトランス形成時に必要なひず
み取り焼鈍によつて接着層が破壊されるなどの問
題が不可避である。 (発明が解決しようとする問題点) この発明は上述したところに従い、コイリング
やハンドリングによる特性の劣化がなく、そして
表面欠陥も少く、もとよりひずみ取り焼鈍にも耐
えうる接着ラミネート方向性けい素鋼板を提供す
ることを目的とする。この目的の達成により従来
困難であつた0.25mm以上のような厚手の板厚であ
りながら鉄損W17/500.90W/Kgのように著しく
低い方向性けい素鋼板を提供することが可能な
る。 (問題点を解決するための手段) この発明は、表面に絶縁性の被膜を有する複数
枚の方向性けい素鋼板を、ボロシロキサン樹脂を
主成分とする接着剤で積層接着して成る、接着ラ
ミネート方向性けい素鋼板である。 この発明は、方向性けい素鋼板の積層時におけ
る接着剤および接着層の性質が貼り合わせ材の特
性に及ぼす影響の綿密な検討の結果発明されたも
のであり、以下に述べられた新規事実に立脚す
る。 (1) 接着後の接着層が可とう性を有していない場
合コイリングその他のハンドリングで磁気特性
が劣化しやすいことが判明したこと。 すなわち可とう性を有していない接着層の場
合ある限度以上に曲げると接着層に細かいクラ
ツクが生じる。このクラツクは鋼板表面に対し
て不均質な応力を発生するため接着をする前の
素材の特性に比して鉄損が大幅に劣化すること
が研究の結果判明したのである。第1図は塗布
量10g/m2の塗布層を作り直径200φの曲げ加え
た後、塗布層に発生するひび/割れの有無の調
べることで定めた可とう性の良好な接着剤Aと
可とう性の悪い接着剤Bとを用いて接着前の素
材の磁気特性と曲げ後の磁気特性を比較したも
のである。 (2) 接着剤は500℃以上の焼鈍にて接着力が大幅
に劣化するものは、同時に磁気特性もひずみ取
り焼鈍後に大幅に劣化する。これは接着剤が焼
鈍により変質して不均質な応力を素材に対して
与えるためだと考えられる。第2図は500℃×
30分の焼鈍により接着力が1/2に劣化する接着
剤Cと劣化しない接着剤Aとを用いて積層した
貼り合わせ板の貼り合わせ後及び800℃×30分
のひずみ取り焼鈍後の特性を示している。 (3) 接着剤の乾燥にてはり合わせた後に素材表面
に圧縮応力を付与するものは貼り合わせ後の製
品の磁気特性が劣化する。第3図は接着層が素
材表面に付与する応力と貼り合わせ後の特性と
の比較を示した。図から判るように素材表面に
圧縮応力を付与するものは貼り合わせた後の特
性を劣化させている。従来使用された多くの有
機系接着剤が特性を劣化させるのはそのためで
ある。 第1図、第2図の予備実験に用いた接着剤の種
類は次のとおりである。 接着剤 A ボロシロキサン樹脂 接着剤 B 低融点ガラス 接着剤 C エポキシ樹脂 なお第3図における付与応力は、素材片面に接
着剤を塗布硬化した後の板の反り具合の変動から
算出した。 のようにして区分した。 この発明は上記の知見に基づいて開発されたも
ので、従来通常の技術では達成困難とされていた
0.25mm以上の板厚でW17/50の値が0.90W/Kg以下
を達成するけい素鋼板が実現される。 まずこの発明の素材について述べと、この発明
ではSiを2.0〜4.0%含有する一方向性けい素鋼用
素材を用いることが好ましい。 Siは鋼の電気抵抗を高めて鉄損を低減するのに
極めて有効な元素であるが、2%より少ないとそ
の効果に乏しく、一方4%より多いと加工性が著
しく劣化して工業的規模での加工が事実上不可能
になるのでSi量は2.0〜4.0%の範囲が望ましい。 この発明において成分的には、上記したSiの他
は方向性けい素鋼として通常含有される元素を適
宜に添加することができるが、参考までにその代
表組織を示すと次のとおりである。 C≦0.06% Si:2.0〜4.0% Mn:0.01〜0.20% S、Se;単独あるいは複合で0.005〜0.1% Sb:0.005〜0.20% 残部Fe。 素材は絶縁性被膜をその表面に有していなけれ
ばならない。絶縁性がない時は積層の効果が全く
ない。 接着剤の選択に関しては貼り合わせた技術の成
否がかかつている。貼り合わせ面において均質、
均厚な接着層を形成すること、高温において変質
して磁気特性を劣化させないことが必要である。 500℃以上の焼鈍(望ましくは800℃以上)に耐
えうる接着剤であれば素材のせん断後のひずみ取
り焼鈍に耐えうるのでさらに良好な特性が得られ
る。 これらの接着層を形成するための接着剤として
はボロシロキサン樹脂を主成分とする接着剤(例
えばボロシロキサン樹脂、シリコーン樹脂および
無機質フイラーより成る接着剤など)が最適であ
ることが多くの実験の結果判明した。 そこでこの発明では、方向性けい素鋼板の接着
剤としてボロシロキサン樹脂を主成分とするもの
を用いることにしたのである。 ここにかかる接着の好適配合割合は、ボロシロ
キサン樹脂100重量部に対し、シリコーン樹脂50
〜100重量部、無機質フイラーとしてのカオリナ
イト10〜100重量部であり、また最適配合割合は、
ボロシロキサン樹脂100重量部+シリコーン樹脂
80重量部+無機質フイラー80重量部である。 なおシリコーン樹脂の代替としては、シリコー
ンアルキツド、シリコーンウレタンおよびシリコ
ーンポリエステルなどが、また無機質フイラーと
しては、上記したカオリナイトの他、アスベス
ト、タルクおよびアルミナなどが有利に適合す
る。 (実施例) 以上この発明の実施例を比較例と対比して説明
する。 Si:3.35%、Mn:0.06%、S+Se+Sb=0.05
%をインヒビターとして含有する方向性けい素鋼
スラブを熱間圧延した。 熱延鋼板は中間焼鈍を含む2回冷延法により
0.175mmの板厚として脱炭焼鈍を行なつた。 その後、該焼鈍板にMgOを主成分とする分離
剤を塗布し、2次再結晶を目的とする1200℃の焼
鈍を行なつた。 ついで得られたコイルから多数板の試験片をコ
イルの相隣接する位置から採取した。 これらの各試験片につき2枚1組で表1に示す
接着剤を塗布し、接着後、磁気特性等を比較し
た。この発明になる接着ラミネート鋼板の密着性
は非常に良かつた。
気磁気の鉄心として利用され、その磁化特性が優
れていること、とくに鉄損(W17/50で代表され
る)が低いことが要求されている。 このためには、第一に鋼板中に2次再結晶粒の
<001>粒方位を圧延方向に高度に揃えることが
必要であり、第二には、最終製品の鋼中に存在す
る不純物や析出物をできるだけ減少させる必要が
ある。かかる配慮の下に製造される方向性けい素
鋼板は、今日まで多くの改善努力によつて、その
鉄損値も年を追つて改善され、最近では板厚0.30
mmの製品でW17/50の値が1.05W/Kg、また0.23mm
の製品でW17/50の値が0.90W/Kgの低鉄損のもの
が得られている。 しかし、数年前のエネルギー危機を境にして、
電力損失のより少ない電気機器を求める傾向が一
段と強まり、それらの鉄芯材料として、さらに鉄
損の低い一方向性けい素鋼板が要請されるように
なつている。 ところで、方向性けい素鋼板の鉄損を下げる手
法としては、Si含有量を高める、2次再結晶粒を
細かくする、不純物含有量を低減する、そして
(110)〔001〕方位の2次再結晶粒をより高度に揃
えるなど、主に冶金学的方法が一般に知られてい
るが、これらの手法は、現行の生産手段の上から
はもはや限界に達していて、これ以上の改善は極
めて難しく、たとえ多少の改善が認められたとし
ても、その努力の割には鉄損改善の実効はわずか
となるに至つている。 また最近に至り、製品板の表面に圧延方向と直
角の向きに微小歪を導入し、磁区を細分化させる
ことによつて渦電流損を低減する方法が提案され
ているが、この方法では、製品板の形状、平均結
晶粒径および板厚などによつては、その効果が十
分に発揮されるとは限らないだけでなく、巻きト
ランス製造時などに必要なひずみ取り焼鈍を施し
た場合にはせつかく低下させた鉄損値が元に戻つ
てしまうところに致命的な欠陥を残していたので
ある。 (従来の技術) さらに上述した各改善策とは別に、製品板厚を
薄くすることが、鉄損低減に有効であることが知
られている。 しかしながら現実的には板厚を薄くすると、2
次再結晶粒が粗大化すと共に、2次再結晶にとつ
て不可欠なインヒビターが不安定になつて、かえ
つて磁気特性の劣化を招いていたのである。 この点、製品の2次粒径の粗大化の防止対策と
して、ダンロールを用いる方法(特開昭57−
73127号公報)や、フオルステライト被膜の厚み
を制御して鉄損を良好にする方法(特開昭57−
41326号公報)などが提案されている。 しかし、これらの薄層化による鉄損減少技術は
対象とする電磁機器に制約がある。すなわち方向
性けい素鋼を最も多く用いる変圧器の鉄心には積
み鉄心と巻き鉄心があり、大容量の変圧器におい
ては積み鉄心が用いられるのが一般的であるが、
とり分け積み鉄心用に薄手の材料を用いると組み
立ての工数の増大、ハンドリングよる劣化等でコ
ストアツプとなり実際にはエネルギーコストの高
い米国において0.23mm以上、我が国においてはそ
れ以上の厚みの製品しか積み鉄心用としては用い
られていない。 これ故に厚手の素材で良好な鉄損を有するもの
がむしろ望まれるわけである。この矛盾を解決す
る方法としては、特開昭59−41808号公報に開示
されている重ね合わせけい素鋼板を挙げることが
できる。 すなわち2枚以上の方向性けい素鋼板を熱膨張
係数が8.5×10-6/℃以下の低熱膨張性のガラス
フリツトの融着層を介し積層合体させることによ
つて得られる重ね合わせ方向性けい素鋼板がそれ
である。 しかしこの技術を実際の工程に適用するには
種々の難点がある。 第1に融着したガラスの接着層は曲げによつて
磁気特性が劣化することである。その原因を調査
したところ可撓性が劣るためであることがわかつ
た。 これはまた、コイリングなどの工業生産に一般
的であるプロセスをとりえないこと、ハンドリン
グ中に特性が劣化しやすいこと巻きコアなどの製
品に使用するとメリツトがなくなることなどの不
利益をもたらす。 第2にガラスフリツトの融着には熱間の圧下が
必要であるため、表面性状が著しく劣化すること
がある。また板に変形を与えないように高温で圧
下を加えるのはもちろん非常に困難である。 なおこのような融点を克服する方法として有機
ポリマーの接着剤の使用が考えられるわけである
が、通常有機ポリマーの使用は磁気特性の劣化を
もたらし、とくにトトランス形成時に必要なひず
み取り焼鈍によつて接着層が破壊されるなどの問
題が不可避である。 (発明が解決しようとする問題点) この発明は上述したところに従い、コイリング
やハンドリングによる特性の劣化がなく、そして
表面欠陥も少く、もとよりひずみ取り焼鈍にも耐
えうる接着ラミネート方向性けい素鋼板を提供す
ることを目的とする。この目的の達成により従来
困難であつた0.25mm以上のような厚手の板厚であ
りながら鉄損W17/500.90W/Kgのように著しく
低い方向性けい素鋼板を提供することが可能な
る。 (問題点を解決するための手段) この発明は、表面に絶縁性の被膜を有する複数
枚の方向性けい素鋼板を、ボロシロキサン樹脂を
主成分とする接着剤で積層接着して成る、接着ラ
ミネート方向性けい素鋼板である。 この発明は、方向性けい素鋼板の積層時におけ
る接着剤および接着層の性質が貼り合わせ材の特
性に及ぼす影響の綿密な検討の結果発明されたも
のであり、以下に述べられた新規事実に立脚す
る。 (1) 接着後の接着層が可とう性を有していない場
合コイリングその他のハンドリングで磁気特性
が劣化しやすいことが判明したこと。 すなわち可とう性を有していない接着層の場
合ある限度以上に曲げると接着層に細かいクラ
ツクが生じる。このクラツクは鋼板表面に対し
て不均質な応力を発生するため接着をする前の
素材の特性に比して鉄損が大幅に劣化すること
が研究の結果判明したのである。第1図は塗布
量10g/m2の塗布層を作り直径200φの曲げ加え
た後、塗布層に発生するひび/割れの有無の調
べることで定めた可とう性の良好な接着剤Aと
可とう性の悪い接着剤Bとを用いて接着前の素
材の磁気特性と曲げ後の磁気特性を比較したも
のである。 (2) 接着剤は500℃以上の焼鈍にて接着力が大幅
に劣化するものは、同時に磁気特性もひずみ取
り焼鈍後に大幅に劣化する。これは接着剤が焼
鈍により変質して不均質な応力を素材に対して
与えるためだと考えられる。第2図は500℃×
30分の焼鈍により接着力が1/2に劣化する接着
剤Cと劣化しない接着剤Aとを用いて積層した
貼り合わせ板の貼り合わせ後及び800℃×30分
のひずみ取り焼鈍後の特性を示している。 (3) 接着剤の乾燥にてはり合わせた後に素材表面
に圧縮応力を付与するものは貼り合わせ後の製
品の磁気特性が劣化する。第3図は接着層が素
材表面に付与する応力と貼り合わせ後の特性と
の比較を示した。図から判るように素材表面に
圧縮応力を付与するものは貼り合わせた後の特
性を劣化させている。従来使用された多くの有
機系接着剤が特性を劣化させるのはそのためで
ある。 第1図、第2図の予備実験に用いた接着剤の種
類は次のとおりである。 接着剤 A ボロシロキサン樹脂 接着剤 B 低融点ガラス 接着剤 C エポキシ樹脂 なお第3図における付与応力は、素材片面に接
着剤を塗布硬化した後の板の反り具合の変動から
算出した。 のようにして区分した。 この発明は上記の知見に基づいて開発されたも
ので、従来通常の技術では達成困難とされていた
0.25mm以上の板厚でW17/50の値が0.90W/Kg以下
を達成するけい素鋼板が実現される。 まずこの発明の素材について述べと、この発明
ではSiを2.0〜4.0%含有する一方向性けい素鋼用
素材を用いることが好ましい。 Siは鋼の電気抵抗を高めて鉄損を低減するのに
極めて有効な元素であるが、2%より少ないとそ
の効果に乏しく、一方4%より多いと加工性が著
しく劣化して工業的規模での加工が事実上不可能
になるのでSi量は2.0〜4.0%の範囲が望ましい。 この発明において成分的には、上記したSiの他
は方向性けい素鋼として通常含有される元素を適
宜に添加することができるが、参考までにその代
表組織を示すと次のとおりである。 C≦0.06% Si:2.0〜4.0% Mn:0.01〜0.20% S、Se;単独あるいは複合で0.005〜0.1% Sb:0.005〜0.20% 残部Fe。 素材は絶縁性被膜をその表面に有していなけれ
ばならない。絶縁性がない時は積層の効果が全く
ない。 接着剤の選択に関しては貼り合わせた技術の成
否がかかつている。貼り合わせ面において均質、
均厚な接着層を形成すること、高温において変質
して磁気特性を劣化させないことが必要である。 500℃以上の焼鈍(望ましくは800℃以上)に耐
えうる接着剤であれば素材のせん断後のひずみ取
り焼鈍に耐えうるのでさらに良好な特性が得られ
る。 これらの接着層を形成するための接着剤として
はボロシロキサン樹脂を主成分とする接着剤(例
えばボロシロキサン樹脂、シリコーン樹脂および
無機質フイラーより成る接着剤など)が最適であ
ることが多くの実験の結果判明した。 そこでこの発明では、方向性けい素鋼板の接着
剤としてボロシロキサン樹脂を主成分とするもの
を用いることにしたのである。 ここにかかる接着の好適配合割合は、ボロシロ
キサン樹脂100重量部に対し、シリコーン樹脂50
〜100重量部、無機質フイラーとしてのカオリナ
イト10〜100重量部であり、また最適配合割合は、
ボロシロキサン樹脂100重量部+シリコーン樹脂
80重量部+無機質フイラー80重量部である。 なおシリコーン樹脂の代替としては、シリコー
ンアルキツド、シリコーンウレタンおよびシリコ
ーンポリエステルなどが、また無機質フイラーと
しては、上記したカオリナイトの他、アスベス
ト、タルクおよびアルミナなどが有利に適合す
る。 (実施例) 以上この発明の実施例を比較例と対比して説明
する。 Si:3.35%、Mn:0.06%、S+Se+Sb=0.05
%をインヒビターとして含有する方向性けい素鋼
スラブを熱間圧延した。 熱延鋼板は中間焼鈍を含む2回冷延法により
0.175mmの板厚として脱炭焼鈍を行なつた。 その後、該焼鈍板にMgOを主成分とする分離
剤を塗布し、2次再結晶を目的とする1200℃の焼
鈍を行なつた。 ついで得られたコイルから多数板の試験片をコ
イルの相隣接する位置から採取した。 これらの各試験片につき2枚1組で表1に示す
接着剤を塗布し、接着後、磁気特性等を比較し
た。この発明になる接着ラミネート鋼板の密着性
は非常に良かつた。
【表】
(発明の効果)
この発明により、積層接着によつて厚手にして
工程生産に有利な、しかも著しく低鉄損の方向性
けい素鋼板として有用性顕著である。
工程生産に有利な、しかも著しく低鉄損の方向性
けい素鋼板として有用性顕著である。
第1図は接着の可とう性の良否と鉄損特性差の
比較グラフ、第2図はひずみ取り焼鈍に至る工程
推移の依存性の比較ぐらふでありまた、第3図は
応力状態の影響を示すグラフである。
比較グラフ、第2図はひずみ取り焼鈍に至る工程
推移の依存性の比較ぐらふでありまた、第3図は
応力状態の影響を示すグラフである。
Claims (1)
- 1 表面に絶縁性の被膜を有する複数枚の方向性
けい素鋼板を、ボロシロキサン樹脂を主成分とす
る接着剤で積層接着して成る、接着ラミネート方
向性けい素鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18443984A JPS6163004A (ja) | 1984-09-05 | 1984-09-05 | 接着ラミネート方向性けい素鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18443984A JPS6163004A (ja) | 1984-09-05 | 1984-09-05 | 接着ラミネート方向性けい素鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6163004A JPS6163004A (ja) | 1986-04-01 |
JPH0332890B2 true JPH0332890B2 (ja) | 1991-05-15 |
Family
ID=16153170
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18443984A Granted JPS6163004A (ja) | 1984-09-05 | 1984-09-05 | 接着ラミネート方向性けい素鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6163004A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10454352B1 (en) * | 2016-05-02 | 2019-10-22 | Williams International Co., L.L.C. | Method of producing a laminated magnetic core |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101040022B (zh) * | 2004-10-18 | 2012-12-12 | 新日本制铁株式会社 | 耐热粘合性绝缘涂层,具有此种涂层的电工钢板,使用此种电工钢板的磁芯及其制备方法 |
JP2007221869A (ja) * | 2006-02-15 | 2007-08-30 | Hitachi Metals Ltd | 積層体 |
DE102006017762B4 (de) * | 2006-04-12 | 2010-07-08 | Siemens Ag | Verfahren zum Laminieren eines Elektrobandes für Transformatorenkerne |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5185423A (ja) * | 1975-01-24 | 1976-07-27 | Shihen Tech Corp | Sekisotetsushinnoseisakuhoho |
JPS5941808A (ja) * | 1982-08-31 | 1984-03-08 | Kawasaki Steel Corp | 重ね合わせ方向性珪素鋼板 |
-
1984
- 1984-09-05 JP JP18443984A patent/JPS6163004A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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Publication number | Publication date |
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JPS6163004A (ja) | 1986-04-01 |
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