JPH0332338Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は超音波診断装置用として、特に体腔内
に挿入して使用する内視用超音波プローブに関す
る。

［従来の技術］ 振動子を励振して超音波パルスを発生させ、こ
れを生体内に送信して生体組織の音響インピーダ
ンスの差による反射エコーを同一の振動子で受信
し、生体組織の状態に関する情報を得る超音波診
断法が周知である。

しかし、振動子から放射される超音波は音源か
ら離れるにつれて弱まり、また生体組織による超
音波の吸収によつても減衰し、同一組織でも周波
数が高くなるに従い減衰が増加する。

従つて、体表上からの検査では深部組織の診断
に必要な十分な情報が得難く、分解能の向上にも
限界がある。

また、特に気体媒質は超音波を良く吸収し、例
えば空気は水の約1000倍の吸収度を有するため、
消化管に覆われた臓器や胸腔内臓器の場合には診
断はほとんど不可能である。

以上のような理由から、体腔内に超音波プロー
ブを挿入する非観血的方法で、診断対象により近
い所から必要な情報の得られる体腔内挿入用超音
波プローブを用いる超音波診断法は特に有用であ
る。

体腔内挿入用超音波プローブは従来様々な改良
がなされており、そのプローブには第３図に示さ
れるリニア振動子や電子セクタ振動子が一般的に
用いられている。

第３図は各振動子の形状とその視野幅を示すも
ので、まずリニア振動子の視野幅はWaと狭く、
視野幅をWiと広くするためには破線のように振
動子を大きくしなければならない。

しかし、振動子を大きくすると体腔内への挿入
が難しくなり、被検者に対する負担も大きくなる
うえ、振動子自体は柔軟性がないのでプローブ表
面と組織壁との接触が不十分なものになるという
欠点がある。

次に、電子セクタ振動子はリニア振動子よりも
小型でかつ広い視野幅Wmが得られるが、近距離
における視野幅Wbと狭く、プローブ周囲の観察
には不適当である。

また、超音波診断法に用いられる周波数は１〜
15MHz程度であり、微視的な組織変化や複雑な構
造を有する臓器などの検査においては分解能の優
れた高周波の超音波が必要とされるが、電子セク
タ振動子はセクタ走査する構造上振動子素子の大
きさが制限されるので高周波化が難しいという問
題点がある。

更に、体腔内は凹凸のある軟性組織から成る構
造を有するため、リニア振動子や電子セ クタ振
動子のように振動子面が平板である場合には接触
が不十分となり、組織壁との間に空気層が介在す
るなどの不都合が生じる場合がある。

本考案は前記従来の課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は体腔内に容易に挿入可能であ
り、近距離においても広い視野幅を持つと共に高
周波化の可能な超音波プローブを提供することに
ある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案は被検体の
体腔内に挿入される導管を先端部に超音波振動子
を設け、超音波振動子を細い短冊状の振動素子を
凸型形状に複数個配列して成るコンベツクスアレ
イ型とし、このコンベツクスアレイ型の超音波振
動子を、導管の先端部内において導管の軸方向に
対して先端方向へ所定角度傾斜して配置したこと
を特徴とするものである。

［実施例］ 以下、図面に基づいて本考案の好適な実施例を
説明する。

第１図は本考案による超音波プローブの平面図
であり、第２図はその断面図を示し、第３図は視
野幅の説明図である。

本考案によるコンベツクスアレイ振動子１０
は、長さ方向が挿入管である導管１４の中心軸に
対し第２図のように凸型形状とし、導管１４の中
心軸に対して第２図に示されるように傾斜角Φを
もつて導管先端部１２に固定される。

本考案の特徴的なことは、体腔内挿入用超音波
プローブの振動子をコンベツクスアレイ型とする
ことにより、小型でも広い視野幅の得られること
である。

すなわち、第３図から明らかなように、コンベ
ツクスアレイ振動子は小型でも十分な視野幅Wh
が得られ、特に近距離においては従来例に示され
る振動子よりも広い視野幅Wcが得られるので、
周囲の観察が容易である。

また、本考案の特徴的なことは、振動子をコン
ベツクスアレイ型こすることにより、体腔内への
挿入が容易であり、組織壁との十分な接触が可能
なことである。

すなわち、振動子面が凸型形状を有し、振動子
が導管の中心軸に対し傾斜角Φをもつて固定され
るために、体腔内への挿入がスムーズになると共
に柔軟性を有する組織壁との十分な接触が可能に
なる。

更に、本考案の特徴的なことは、振動子をコン
ベツクスアレイ型とすることにより、高周波化が
可能なことである。

すなわち、コンベツクスアレイ振動子は、電子
セクタ振動子のように振動素子の大きさが制限さ
れないので高周波化が可能であり、分解能の向上
と共に光フアイバーを利用した内視鏡方式では不
可能な浅部組織、例えば表面から見えない組織壁
の裏側などの微視的な組織変化の検査も可能であ
る。

また、複雑な構造を有する心臓などの診断には
特に高い分解能が要求されるが、本考案によれば
食道内にプローブを挿入し、含気肺を避けて超音
波を送受することが可能であると共に心臓の手術
の際にも情報の提供が可能である。

そして、卵巣などの検査をする場合にも、膣内
に本考案による超音波プローブを挿入することに
より、消化管臓器などを避けて卵巣により近い所
から超音波の送受が行われるので、分解能の優れ
た情報を得ることができる。

以上述べたように、本考案によれば、体腔内へ
の挿入が容易であり、広い視野幅が得られると共
に高周波化の可能な超音波プローブが得られる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案によれば、コンベ
ツクスアレイ型の超音波振動子を、導管の先端部
内において導管の軸方向に対して先端方向へ所定
角度傾斜して設けたので、生体組織との接触を増
加することなく、導管の側方向から先端側へ広い
視野を得ることができ、これにより先端方向への
視野を得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による体腔内挿入用超音波プロ
ーブの平面図、第２図はその断面図、第３図は振
動子の視野幅の比較説明図である。 １０……コンベツクスアレイ振動子、１２……
導管先端部、１４……導管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被検体の体腔内に挿入される導管の先端部に超
   音波振動子を設け、超音波振動子を細い短冊状の
   振動素子を凸型形状に複数個配列して成るコンベ
   ツクスアレイ型とし、この超音波振動子により体
   腔内から生体組織に超音波の送受が行われる体腔
   内挿入用超音波プローブにおいて、前記コンベツ
   クスアレイ型の超音波振動子を、前記導管の先端
   部内において導管の軸方向に対して先端方向へ所
   定角度傾斜して配置したことを特徴とする体腔内
   挿入用超音波プローブ。