JPH0331885Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、弁座、グランドパツキン等のパツキ
ン部分にこれらパツキンをシールする方向に付勢
する押圧部材を有するボールバルブに関するもの
である。

従来の技術 従来のボールバルブでは、弁体と弁箱との間を
シールする弁座や、弁棒と弁箱との間をシールす
るグランドパツキンに金属あるいは合成樹脂を使
用していることが多い。しかし、この構成のボー
ルバルブを温度変化の大きい条件下で使用すれ
ば、温度が上昇した場合には弁座やグランドパツ
キン及び他の構成部品が熱膨張して体積が増大
し、弁体や弁棒との接触面圧力が大きくなり、回
転不能となつたり、無理に回転させると接触部分
が摩耗したり、損傷することがあつた。また反対
に、温度が下降した場合には弁座やグランドパツ
キン及び他の構成部品が収縮してしまうので接触
面圧力が下がり、確実なシールができなかつた。

これを解決するために、温度変化による弊害を
軽減するために弁座、グランドパツキン等を押圧
部材によつて付勢し、接触面圧力を保つようにし
た構成がある。

考案が解決しようとする問題点 上記のような押圧部材を用いる構成では、押圧
部材の反発力は温度変化に関係なく一定であるの
で、１つの押圧部材によつて弁座やグランドパツ
キンその他の構成部品の熱による膨張、収縮によ
る接触面圧力の変化に適切に対応することができ
ない。

本考案は上記問題点を解決するもので、温度条
件が変化しても適正な接触面圧力を保ち、確実な
シールをすると共に、弁座やグランドパツキンが
不要に摩耗・破損することがないボールバルブを
提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案のボールバルブは上記問題点を解決する
ために、弁箱と、この弁箱内に収納され、流体通
路を開閉する弁体と、この弁体と連結して弁体を
回転させる弁棒とを備えると共に、流体をシール
するパツキン及びこのパツキンに接触面圧力を付
勢する押圧部材を有し、前記押圧部材は一定温度
以上になれば反発力が減少し、一定温度以下にな
れば反発力が増大する形状記憶合金を用いるとい
う構成とした。

作 用 弁箱内には弁体が回転によつて流体通路を開閉
できるように収納されており、弁体の回転は弁棒
によつて操作される。ボールバルブの流体をシー
ルする部分にはパツキンが設けられ、このパツキ
ンの接触面圧力を維持してシール効果を高めるた
めに押圧部材によつて付勢されている。この押圧
部材は形状記憶合金で構成され、一定温度以上に
なれば反発力が減少し、一定温度以下になれば反
発力が増大するように設定されている。従つて、
ボールバルブの温度が上昇して弁座、グランドパ
ツキン等の構成部品が膨張した場合には押圧部材
の反発力が減少するので、過度の付勢は行なわれ
ず、弁座、グランドパツキン等のシール部分の摩
耗・損傷もなく、温度が下降して前記構成部品が
収縮した場合には押圧部材の反発力が増大するの
で、より強い付勢が行なわれ、適正なシール効果
を期待できる。

実施例 以下、本考案の一実施例を添付図面に従つて説
明する。

第１図中、１は弁箱で、流体通路１を開閉する
弁体２が収納されている。３は弁棒で、弁体２と
連結し、レバーあるいは操作機（図示せず）によ
つて弁体２を回転させる。４，５はそれぞれ弁座
で、弁座背面が弁箱１に当接し、弁体２を支持し
つつ、流体が外部へ漏れないようシールしてい
る。６は押圧部材で、弁座５を弁体２側へ付勢し
ている。７は座金で、押圧部材６が弁座５に適切
に当たるようにする。８はグランドパツキンで、
弁箱１と弁棒３との間をシールしている。グラン
ドパツキン８は押圧部材９によつて付勢されてお
り、適正なシール効果を発揮できる。本考案の押
圧部材６，９は共に、形状記憶合金によつて構成
し、ボールバルブの温度が当初設定した一定温度
以上になれば反発力が減少し、一定温度以下にな
れば反発力が増大するような２方向に機能するよ
うに設定している。この機能を発揮させるには、
通常は温度により押圧部材長さを伸長、縮少させ
ることによるが、例えば、コイル形状自体を変化
させることも自由である。形状記憶合金の材質と
しては、一般のNi−Ti合金、Cu−Zn−Al合金
等、形状記憶合金として用いられる材質であり、
かつ温度条件付与が比較的容易な材質であればよ
い。

第２図は、第１図のボールバルブの弁座５及び
押圧部材６の部分を拡大したところ、第３図は、
第１図のボールバルブのグランドパツキン８及び
押圧部材９の部分を拡大したところを示す。１１
は座金で、押圧部材９がグランドパツキン８に適
切に当たるようにしている。尚、押圧部材６，９
の形状は、本実施例ではコイル状としたが、例え
ば第４図イ，ロに示すように波形のワツシヤ状の
押圧部材１２とし、温度によつて波の高さを変化
させることによつて反発力をかえることもでき
る。

また、形状記憶合金の押圧部材を用いる部分は
上記実施例に限定されず、一般にシール部分等に
押圧部材を用いて付勢している部分ならば、実施
例同様の条件で構成することができる。

考案の効果 本考案は上記のような構成としたので、ボール
バルブを温度変化の大きい条件下においた場合に
も、温度上昇によつて一定温度以上となれば押圧
部材の反発力が減少し、弁座、グランドパツキン
等の構成部品が熱膨張した分だけシール部分の押
圧部材による付勢力が弱まるので適正な接触面圧
力を維持でき、これらの変形や摩耗・損傷を防止
することができる。また反対に温度降下によつて
一定温度以下となれば押圧部材の反発力が増大
し、前記構成部品が収縮して遊びが生じた分だけ
付勢力が強まるので、適正な接触面圧力を維持す
ることができ、確実なシールをすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図、第３図は同要部断面図、第４図は押圧部材の
他実施例を示し、イは平面図、ロは半截断面図で
ある。 １……弁箱、２……弁体、３……弁棒、４，５
…弁座、６，９…押圧部材、８……グランドパツ
キン、１０……流体通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 弁箱と、この弁箱内に収納され、流体通路を
   開閉する弁体と、この弁体と連結して弁体を回
   転させる弁棒とを備えると共に、流体をシール
   するパツキン及びこのパツキンに接触面圧力を
   付勢する押圧部材を有し、前記押圧部材は一定
   温度以上になれば反発力が減少し、一定温度以
   下になれば反発力が増大する形状記憶合金を用
   いたことを特徴とするボールバルブ。 (2) 流体をシールするパツキンとして、弁箱と弁
   体とをシールする弁座とし、この弁座を弁体方
   向に付勢する押圧部材に形状記憶合金を用いた
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のボールバ
   ルブ。 (3) 流体をシールするパツキンとして、弁箱と弁
   棒とをシールするグランドパツキンとし、この
   グランドパツキンを付勢する押圧部材に形状記
   憶合金を用いた実用新案登録請求の範囲第１項
   記載のボールバルブ。