JPH0331493Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は鍋に入つた溶融金属の表面に浮遊して
いるスラグを除去するための鍋傾動装置に関す
る。

（従来の技術） 従来の鍋傾動装置については例えば実開昭59−
153057号公報に開示されている。例えば第５図に
示す従来の技術は、鍋トラニオン軸ａを支承した
傾転フレームｂを液圧シリンダーｃによりピンｄ
を中心に回動させる方式である。

次に、第６図に示す従来の技術は鍋ｅをクレー
ンの主巻きフツクｆで吊上げ、鍋ｅに取り付けら
れている傾転金具ｇに補巻きのフツクｈを引つ掛
け、該補巻きフツクｈを引き上げる方式である。
更に、第７図に示す従来の技術は傾動できるよう
支持させた鍋ｉに切欠部ｍを有する補強フレーム
ｊを設け、液圧シリンダーｋのロツド先端に、該
切欠部ｍに嵌り込んで引つ掛かるフツクｌを備え
てなり、液圧シリンダーｋの伸長操作でフツクｌ
が切欠部ｍに嵌つて鍋ｉを傾動させる方式であ
る。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、従来の技術の第５図、第７図のものは
以下に示す鍋本体の改造を必要とする。通常、一
工場に使用される鍋の数は10数個を必要とし、一
工場の鍋の改造費用は膨大なものとなる。

まず第５図のものはトラニオン軸ａに鍋傾動の
ためのねじりモーメントが働くので、トラニオン
軸ａを四角形とし断面を相当大きくする改造が必
要である。また、トラニオン軸ａと傾転フレーム
ｂとの接触面には鍋傾動時に相当大きな面圧が働
き、前記トラニオン軸ａと傾転フレームｂとの損
耗が著しい。

そのため、前記接触面の水平方向に隙間がで
き、鍋傾動時、その隙間分だけ鍋が移動し、非常
に危険である。

かつ、また、鍋が移動し停止する時の衝撃力は
大きく、本装置の各機器の破損事故が多発する。

さらに、液圧シリンダーｃには傾動用の出力よ
りはるかに大きい。鍋自重を支える力を必要と
し、液圧シリンダーｃ及びそれに使用する液圧ユ
ニツトが膨大なものとなり設備費高の問題が生じ
る。

さらに、トラニオン軸ａの重量がかなり増える
ため、鍋自重が重くなり、クレーン吊荷重の制限
による鍋内の溶融金属の量を減らし、工場の稼動
率を低減せざるを得ない場合が多い。

次に、第７図のものは切欠部ｍを有する補強フ
レームｊを鍋ｉに取り付ける鍋ｉの改造を必要と
する。

また、補強フレームｊの下面が水平にできない
ため、該補強フレームｊで鍋ｉを支持できない。

さらにフツクｌの補強フレームｊとの接触部に
ダストが堆積し、引つ掛かり不能となること、液
圧シリンダーｋの力点とフツクｌとの力点とがず
れているため、液圧シリンダーに曲げモーメント
が生じ、パツキン不良による油洩れやロツド破損
事故が生じること、また前記接触部の面圧が非常
に大きくなり、損耗がはげしく、接触部形状が維
持できないこと等の多くの問題点を有する。

第６図のものは、鍋の傾動操作中には、他のク
レーン作業ができない問題の他に、クレーン操
作、合図、フツク掛け等に人手を要するという問
題がある。

（問題点を解決するための手段） 本考案はかかる問題点を解決した鍋傾動装置で
あり、その要旨は、鍋１をトラニオン軸２を介
し、鍋受け台３で傾動可能に支持し、鍋のトラニ
オン軸２下部に鍋あずけフレーム４を固設し、該
鍋あずけフレーム４と係合可能なフツク９を一端
に有し、他端を傾動用シリンダー９と連結した傾
動用引掛けレバー５を揺動自在に設け、該傾動用
引掛けレバー５の中央近傍の下部に支持ローラー
７を配設し、該支持ローラー７を案内する案内レ
ール８を設けてなる鍋傾動装置である。

（作用） 本考案は、第１図および第２図に示す実施例装
置のように鍋あずけフレーム４に傾動用引掛けレ
バー５のフツク９をひつかけ、傾動用シリンダー
６を伸縮させ、傾動用引掛けレバー５を揺動させ
ることにより、鍋１をトラニオン軸２を中心に傾
動させる。なお、傾動用引掛けレバー５の揺動を
案内するため、該引掛けレバー５の中央近傍下部
に支持ローラー７と案内レール８を設けている。

（実施例） 以下本考案を図示の実施例装置により説明す
る。

第１図〜第４図は本考案の実施例装置を示すも
ので、鍋１にトラニオン軸２が固着されており、
該両側のトラニオン軸２はベース上に立脚された
鍋受け台３上に天井クレーン等により運搬され乗
載されるようになつている。

トラニオン軸２下部の鍋あずけフレーム４にひ
つかかるフツク９を有する傾動用引つ掛けレバー
５を設け、該レバー５の他端は固定部に設置した
傾動用シリンダー６と連結し、該傾動用シリンダ
ー６の伸長操作で、該レバー５のフツク９が鍋あ
ずけフレーム４に引つ掛かり接触しながら鍋１を
トラニオン軸２を中心に傾動できるようにしてい
る。なお、前記鍋あずけフレーム４は従来通りの
形状とし、改装を必要としない。

傾動中、引掛けレバー５が鍋あずけフレーム４
から外れることを防止するために該レバー５に設
けた支持ローラー７のつば１０が、固定側に設置
した案内レール８によりガイドされるようにす
る。第４図は上記の状態を示す。

上記構成において鍋１の傾動を行う場合は、第
１図のように傾動用シリンダー６を最も短縮させ
ておいて、鍋１を鍋受け台３上に乗載させる。か
かる状態で傾動用シリンダー６を伸長操作すると
まず引つ掛けレバー５に付属した支持ローラー７
が案内レール８上を移動し、やがて該レバー５の
フツク９が鍋あずけフレーム４の一端と引つ掛か
り、また該フレーム４の他端とも接触する。この
時支持ローラー７は案内レール８から浮き上が
る。すなわちこの時からレバー５は鍋１と一体と
なりトラニオン軸２を中心に傾動する。

第２図は傾動用シリンダー６のストロークエン
ドで鍋１が最大に傾動した状態を示す。

排滓作業のために、傾動動作は次のように行
う。最初は適当な排滓可能な角度まで一気に傾動
し停止する。その後は、数回に分けて傾動し停止
しその都度停止する。各停止位置毎にドラツガー
（図示せず）によりスラグの排滓を行う。

鍋１内のスラグの除去が終了すると、傾動用シ
リンダー６を短縮すれば、鍋１は重力により回動
復帰する。

尚、本考案は前記実施例に示したもののみに限
定されるものではなく、例えば製鉄設備以外の冶
金設備にも使用できること、液圧シリンダー及び
引つ掛けレバーを２コずつセツトとすること、そ
の他本考案の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更
を加え得ること等は勿論である。

（考案の効果） 以上実施例で述べた通り、本考案は、 (a) 一工場の多数の鍋の改造が不要で、膨大な改
造費用を必要としないこと。

(b) 鍋と傾動装置との接続、切離しに人手を要し
ないこと。

(c) 構造が簡単で故障が少ないこと。

(d) 改造による鍋の重量アツプがないため、限ら
れたクレーン吊荷重の制限において、鍋内の溶
融金属の量を減らしたり、工場の稼動率を低減
させることがないこと。

(e) てこの原理を利用するため小さな力で動作が
可能であること。

等本考案の効果は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例鍋傾動装置の正面図、第
２図は第１図の作動説明図、第３図は第１図の平
面図、第４図は第２図のＡ−Ａ矢視図、第５図、
第６図、第７図は従来技術の説明図である。 １……鍋、２……トラニオン軸、３……鍋受け
台、４……鍋あずけフレーム、５……傾動用引掛
けレバー、６……傾動用シリンダー、７……支持
ローラー、８……案内レール、９……フツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鍋をトラニオン軸を介し、鍋受け台で傾動可能
   に支持し、鍋のトラニオン軸下部に鍋あずけフレ
   ームを固設し、該鍋あずけフレームと係合可能な
   フツクを一端に有し、他端を傾動用シリンダーと
   連結した傾動用引掛けレバーを揺動自在に設け、
   該傾動用引掛けレバーの中央近傍の下部に支持ロ
   ーラーを配設し、該支持ローラーを案内する案内
   レールを設けてなることを特徴とする鍋傾動装
   置。