JPH033129Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自走機体とこの自走機体の後側に連
結した接地フロート付き水田用作業装置との間
に、前記作業装置が前記自走機体に対して左右に
揺動することを許容する連結部を設けた水田作業
車に関する。

〔従来の技術〕

上記水田作業車は、自走機体が走行目標線に対
して若干左右に傾斜しても、フロートの接地によ
り、作業装置が走行目標線に極力沿つたままの状
態に在るように自走機体に対してこれの横側に位
置ずれ揺動するように構成されたものである。す
なわち、自走機体の若干の蛇行にかかわらず苗植
付け、播種、施肥等の作業条を極力直線状に維持
できるように配慮されたものである。

この種水田作業車において、接地フロートが土
塊に衝突する等作業装置に衝撃が加わつた際に装
着部分が破損しないように作業装置が自走機体に
対して大巾に横ずれ揺動しても、作業装置が元の
対自走機体位置に復元されるようになつたものと
して、従来、例えば特公昭55−19563号公報に示
されるものであつた。

すなわち、自走機体に対して作業装置と一体揺
動する部材と自走機体とにわたり、スプリングを
自走機体及び作業装置夫々の左右中心が合致する
ように作業装置を揺動付勢する状態に張設されて
いるのである。このものにあつては、作業装置が
揺動可能範囲内の如何なる位置に在つてもスプリ
ングが作用するものであり、次の如き不利があつ
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

すなわち、作業装置が自走機体に対して大巾に
横ずれしても両者の左右中心が一致する側に確実
に復元されるようにスプリングの付勢力を強く設
定すると、作業装置がこれと自走機体の左右中心
が一致する付近に在る状態でのスプリングの付勢
力も強くなり、すなわち、作業装置が中立位置付
近にて対自走機体揺動する際の抵抗が大になり、
自走機体が蛇行した時の作業装置のつれ回り横ず
れが生じ易くなつて、自走機体蛇行に起因する作
業条曲がりの抑制性能が低下した。逆に、機体蛇
行による作業条曲がりの抑制性能が高くなるよう
に、作業装置が中立位置付近で揺動する際の抵抗
が小になるように付勢力設定すると、作業装置が
大巾に位置ずれした状態でのスプリングの付勢力
が弱くなり、泥土の硬さによつては、位置ずれし
た作業装置の中立位置側への戻りが悪くなつて大
巾な作業条曲がりが生じることがあつた。

本考案の目的は、作業装置が衝突揺動した際の
中立位置側への復元、及び、自走機体が蛇行した
際の作業装置の対自走機体横ずれのいずれれをも
極力確実に得られるように改造することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案が特徴とするところは、冒記した水田作
業車において、前記自走機体及び作業装置夫々の
左右中心が一致する中立位置の側に前記作業装置
を揺動付勢するスプリングを、揺動可能範囲のう
ち前記中立位置を中間位置とした設定内側範囲部
分を除く外側範囲部分に前記作業装置が在る時に
のみ作用する状態で設けてあることにあり、その
作用及び効果は次のとおりである。

〔作用〕

作業装置が前記外側範囲部分にまで大巾に横ず
れすると、硬い泥土の抵抗にかかわらず前記内側
範囲部分の側に確実に復元されるように前記スプ
リングの付勢力を強く設定しても、自走機体が蛇
行した際にこれにもかかわらず作業条曲がりが生
じにくいように作業装置を対自走機体横ずれさせ
るところの前記内側範囲部分においては、作業装
置が前記スプリングによる抵抗の無い状態で対自
走機体揺動する。

〔考案の効果〕

作業装置が外側範囲部分に大巾に位置ずれして
も、かつ、たとえば泥土の抵抗が大であつても、
位置ずれ状態のままにならないように中立位置側
にスプリングの強い復元力によつて戻されるよう
に、しかも、自走機体が蛇行した際には、これに
もかかわらず走行目標線に極力沿う状態になるよ
うに、前記スプリングによつて抵抗されることな
く確実に作業装置が対自走機体横ずれするように
でき、自走機体の蛇行、及び、作業装置の破損抑
制のための揺動にかかわらず、かつ、泥土の硬さ
如何にかかわらず作業条曲がりが極力ない精度よ
い仕上りが得られるようになつた。

〔実施例〕

第１２図に示すように、車輪式自走機体の後側
に油圧シリンダ１によつて上下に揺動操作するよ
うに構成したリンク機構２を介して、昇降操作可
能に苗植付装置３を連結すると共に、自走機体か
ら回転軸４を介して苗植付装置３に伝動するよう
に構成して、乗用型田植機を構成してある。

前記リンク機構２のトツプリンク２ａを支持ア
ーム５を介して、かつ、ロワーリンク２ｂを支持
アーム６を介して夫々取付け、かつ、油圧シリン
ダ１を枢着してある支柱７を、自走機体のメイン
フレーム８に固定された支持フレーム９に縦軸芯
Ｐ周りで回動可能に連結して、苗植付装置３が自
走機体に対して左右に揺動することを許容するた
めの連結部１０を構成し、自走機体の蛇行に起因
する苗植付け条の曲がりが抑制されるようにして
ある。すなわち、自走機体が走行目標線に対して
左右に傾斜しても、苗植付装置機体３ａの下部に
機体横方向に並列させて付設してある複数個の接
地フロート１１……の接地による抵抗により、走
行目標線に極力沿う状態に在るように苗植付装置
３が自走機体に対して揺動横ずれするようにして
ある。

第１図ないし第３図に示すように、前記縦軸芯
Ｐの左右両横側夫々において、前記メインフレー
ム８に連結具１２を介して連結したスプリングケ
ース１３と、前記ロワーリング支持アーム６に連
結具１４を介して一端側を連結し、かつ、他端側
を前記スプリングケース１３に出退自在に挿入し
たスプリング操作ロッド１５との間に、スプリン
グ１６ａ又は１６ｂを初期圧縮弾性変形を与えた
状態で介装してある。そして、苗植付装置３及び
自走機体夫々の左右中心が一致するところの中立
位置Ｎに苗植付装置３が在る状態において、前記
操作ロッド１５のスプリングケース１３への入り
込み長さを規制するように操作ロッド１５に付設
してあるストツパーナツト１７とスプリングケー
ス１３との当りによつて、前記連結具１４の支持
アーム挿通用長孔１４ａのほぼ中央にロワーリン
ク支持アーム６が位置するように構成して、第１
０図に示すように、揺動可能範囲Ｓのうち自走機
体及び苗植付装置３夫々の左右中心が一致すると
ころの中立位置Ｎを中間位置となる状態で設定し
てある内側範囲部分Ａにおいては、前記スプリン
グ１６ａ又は１６ｂによる抵抗のない状態で苗植
付装置３が揺動位置ずれするようにスプリング１
６ａ及び１６ｂが非作用状態になり、かつ、揺動
可能範囲Ｓのうち前記内側範囲部分Ａを除く２つ
の外側範囲部分Ｂ，Ｂにまで苗植付装置３が揺動
位置ずれした場合には、内側範囲部分Ａに復元す
るように中立位置Ｎの側に揺動付勢する作用状態
にスプリング１６ａ又は１６ｂがなるように構成
してある。

すなわち、内側範囲部分Ａに苗植付装置３が在
ると、前記長孔１４ａの作用によつていずれのス
プリング１６ａ，１６ｂをも作用しないのであ
る。そして、外側範囲部分Ｂにまで苗植付装置３
が揺動すると、ロワーリンク支持アーム６によつ
てスプリング操作ロツド１５がスプリングケース
１３から引き出され、スプリング１６ａ又は１６
ｂが圧縮変形されてスプリング操作ロツド１５を
介してロワーリンク支持アーム６を引き戻し操作
するものである。

〔別実施例〕

第４図、第６図及び第７図は苗植付装置３を前
記中立位置Ｎの側に付勢するスプリング構成の別
実施例を示す。

第４図に示すものにあつては、前記縦軸芯Ｐの
左右両側夫々において、第５図に示すように、ロ
ワーリンク支持アーム６にこれを挿通させた長孔
１８ａを有した連結金具１８を介して一端側を連
結したスプリング操作具１９と、この操作具１９
の他端側の長孔１９ａに挿入した状態で自走機体
メインフレーム８に連結したスプリング取付ピン
２０とにわたつてスプリング１６ａ又は１６ｂを
初期伸張弾性変形を付与した状態で張設してあ
り、第１０図に示すように、内側範囲部分Ａに苗
植付装置３が在ると、長孔１８ａの作用によりス
プリング１６ａ及び１６ｂの夫々が非作用状態に
なり、外側範囲部分Ｂに苗植付装置３が揺動する
と、スプリング操作具１９が苗植付装置３の側に
引張り操作され、スプリング１６ａ又は１６ｂが
伸張されて苗植付装置３を揺動付勢する作用状態
になるようにしてある。

そして、第６図に示すものにあつて、前記縦軸
芯Ｐの左右両横側夫々において、板バネ１６ａ又
は１６ｂを、取付具２１を介して自走機体メイン
フレーム８に固定すると共に、外側範囲部分Ｂに
苗植付装置３が揺動した時にのみ一方のロワーリ
ンク２ｂの端部が接当して曲げ変形されるように
してある。

そして、第７図に示すものにあつては、前記縦
軸芯Ｐの左右両横側夫々において、第９図に示す
ように、ロワーリンク支持アーム６と、自走機体
フレーム８に固定されたスプリング取付具２２と
にわたつてスプリング１６ａ又は１６ｂを架設す
ると共に、これらスプリング１６ａ，１６ｂとロ
ワーリンク支持アーム６との間に、内側範囲部分
Ａにおいて苗植付装置３が揺動する際にスプリン
グ１６ａ，１６ｂとロワーリンク支持アーム６と
が相対移動してスプリング１６ａ，１６ｂが作用
しないようにするための融通２３を設けてある。
又、第７図に示すものにあつては、縦軸芯Ｐの左
右両横側夫々において、苗植付装置３が内側範囲
部分Ａに存る場合でもこれを中立位置Ｎに付勢す
るように作用させるスプリング２４ａ又は２４ｂ
をも第８図に示す如く取付けてあり、第１１図に
示すように、内側範囲部分Ａにおいてはスプリン
グ２４ａ，２４ｂによつてのみ復元付勢され、外
側範囲部分Ｂにおいては、スプリング１６ａ，１
６ｂとスプリング２４ａ，２４ｂとの合力によつ
て復元付勢されるようにしてある。しかしなが
ら、内側範囲部分Ａにおいては、スプリング１６
ａ又は１６ｂが揺動抵抗にならない点においては
他の実施構成と相違ないのである。

本考案は、苗植え作業の他の播種作業や施肥作
業等の各種水田作業を行うための作業車にも適用
でき、苗植付装置３を水田用作業装置３と総称す
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る水田作業車実施例を示し、
第１図は苗植付製置連結部の平面図、第２図はス
プリング配設部の平面図、第３図はスプリング取
付部の一部切欠き側面図、第４図、第６図及び第
７図は別実施付勢機構の平面図、第５図、第８図
及び第９図は別実施付勢機構の一部切欠き側面
図、第１０図は揺動ストロークとスプリング作用
との関係の説明図、第１１図は別実施付勢機構に
おける揺動ストロークとスプリング作用との関係
の説明図、第１２図は乗用田植機全体の側面図で
ある。 ３……水田用作業装置、１０……連結部、１１
……接地フロート、１６ａ，１６ｂ……スプリン
グ、Ｎ……中立位置、Ｓ……揺動可能範囲、Ａ…
…内側範囲部分、Ｂ……外側範囲部分。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自走機体とこの自走機体の後側に連結した接地
   フロート１１付き水田用作業装置３との間に、前
   記作業装置３が前記自走機体に対して左右に揺動
   することを許容する連結部１０を設けた水田作業
   車であつて、前記自走機体及び作業装置３夫々の
   左右中心が一致する中立位置Ｎの側に前記作業装
   置３を揺動付勢するスプリング１６ａ１６ｂを、
   揺動可能範囲Ｓのうち前記中立位置Ｎを中間位置
   とした設定内側範囲部分Ａを除く外側範囲部分Ｂ
   に前記作業装置３が在る時にのみ作用する状態で
   設けてある水田作業車。