JPH0330256B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は、ジヤイロトロン空胴共振器に関する
ものである。特に、その外部Ｑ値を、以前可能で
あると信じられていた値よりも低く調節するため
の機構に関する。ここで用いられる語「ジヤイロ
トロン」は、ジヤイロ進行波管、ジヤイロトロン
発振器、ジヤイロクライストロン増幅器その他の
ような、サイクロトロン共振メーザの原理に依存
するデバイス群のうちの何れをも意味することに
する。

最も一般的な形状のジヤイロトロンは、通常完
全に軸対称であり、そして断熱電子銃を含む注入
装置、共振器、冷却壁が集電器として作用する出
力導波管、及び一組のソレノイドから成る。電子
光学系が配置されて、らせん軌跡内を移動しサイ
クロトロン周波数で回転する電子の管流を形成す
る。電子が磁場の増大する領域へと軸方向に移動
するにつれて、電子の回転速度が増大し、そして
電子のサイクロトロン回転のエネルギーは軸方向
運転の電子のエネルギーの数倍になる。

共振器は、普通の導波管のかなり長い切片であ
り、その実効長Ｌ（又は、空胴内部の磁場均一で
ある最大縦軸長さ）は、空胴共振器の自由空間波
長λよりも大体何倍も大きい。共振器は、その注
入装置側の端のところで絞りによつて境界づけら
れる。電子は、絞りを通つて共振器へ進入する。
共振器の反対側の端は、外部導波管への転換部分
である。第１図に示した簡単なプロフイールを有
する共振器が考案され、到達可能な最低Ｑ値は回
折限界の２倍をわずかに上回ることが報告され
た。

この結果はジヤイロトロン設計に臨界的制限を
もたらした。何故ならば、回折制限されたＱ値は
Qdiff＝4π（Ｌ／λ）²で与えられ、且つジヤイロト
ロン最大効率のためのＱの計算値はしばしば
Qdiffの２倍以下にあるからである。

発明の概要 本発明の一目的は、改良された効率を有するジ
ヤイロトロン空胴共振器を提供することである。

本発明の他の目的は、Ｑの回折限界値の２倍以
下にある、ジヤイロトロン空胴共振器の外部Ｑ値
を、獲得するために用いられ得る出力負荷機構を
提供することである。

これらの目的は、共振器と出力導波管との間の
転換部を滑らかにすることにより達成される。さ
らに詳細には、共振器と出力導波管との間の接合
部における絞りを除去し、且つ出力導波管の内方
壁のテーパー角度を以前の設計値よりも減少させ
ることにより、上記の目的が達成される。

好適実施例の説明 第２図を参照すると、本発明の特徴を組入れた
ジヤイロトロン空胴共振器１０が示されている。
より詳細には、共振器１０は、一様円形断面をも
つ内方壁１２及び対称軸線１３を有する普通の円
筒形導波管として示されている。上流端と呼び得
る一方の端において、共振器１０は絞り
（constric−tion）１５により境界づけられ、絞
り１５は窓１７を形成して電子ビームの入射を許
している。下流端と呼び得る反対側の端におい
て、共振器１０は、対称軸線１３に垂直な接合平
面３０を横切つて出力導波管２０に接続し直線的
に広がつている。出力導波管２０は、接合部３０
のところで軸線１３に関して局所円錐形状であり
且つ下流方向に向かつて徐々に断面が大きくなれ
ようなテーパー壁２５から成つている。共振器１
０と出力導波管２０との間の接触部、又は内方共
振器壁１２とテーパー壁２５との間の接触部は、
接合平面３０を横切つて極めて滑らかに作られて
いて、例えば出力放射の望ましくないモードへの
変換を防止している。言い換えれば、第１図ａ図
に示された設計とは異なり、共振器１０と出力導
波管２０との間の絞りがない。接合平面３０のと
ころでのテーパー壁２５と軸線１３との間の角度
をθとする。

第２図に示され上述された組合わせがジヤイロ
トロンの一成分として用いられるときには、マグ
ネトロン注入電子銃から成る電子注入装置が、例
えば、共振器１０の上流側に配置される。ソレノ
イド装置が電子路に沿つて磁場を創成し、それに
より、注入装置からの電子は窓１７を通つて共振
器１７へ進入するときに、らせん軌道で回転しそ
して軸線１３に沿つて全体として下流方向に移動
する。共振器１０を離れると、電子は、磁場の減
少領域に進入し、コレクター（図示せず）に到達
して集電される。テーパー壁２５の下流部分が、
コレクターとしても用いられ得る。或いは、出力
導波管２０が、共振器１０とコレクターとを橋わ
たしするための結合器として設計され得る。

上で定義された角度θは、所望のＱ値を得るよ
うに調整される。小さい角度θが、低いＱ値をも
たらす。何故ならば、接合平面３０のところでの
導電壁における不連続性が、それだけ急変しない
からである。第３図を参照すると、第２図に示さ
れた型の共振器のθとＱとの関係を示していて、
縦座標はQdiff単位でのＱを表わし、横座標は角
度θを表わしている。曲線４１は、Ｌ／λ＝6.12
であり、TE₀₂円形電気モードで共振する共振器
に関するものである。この実験的に得られた曲線
は、以下の事を明白に示している。すなわち、θ
を充分に小さくすることによつて、回折制限値の
２倍よりも小さいＱ値が得られる。θは臨界角度
以下に減少されねばならず、臨界角度は、共振器
モードの選択及び共振器内方壁１２内の緩やかな
テーパーの形状に関係する他の要因に依存する。
しかしながら、Ｌが数種の波長であり、円形電気
共振器モードが選択されるところでは、θが約
10°〜15°よりも小さくされれば充分である。

これまでわずかな特定実施例によつて本発明を
記載してきたけれども、この記載は本発明を限定
するものと解釈すべきでなく単に例示的なもので
ある。例えば、第２図に図示された空胴共振器出
力導波管組合わせはジヤイロトロンの一要素であ
る必要はなく、空胴共振器１０の対称軸線１３に
垂直な断面は楕円、長方形又は正方形であつても
良く、又出力導波管２０のテーパー内方壁２５は
円錐形である必要はない（その場合θは、接合平
面３０のところでの導波管境界の傾斜の不連続性
を表わす。）。本発明の範囲は、特許請求の範囲に
よつて決定される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来技術の共振器プロフイールを示
している。第２図は、本発明のジヤイロトロン空
胴共振器のプロフイールを示している。第３図
は、出力導波管のＱ値とテーパー角度との代表的
な関係を表わしている。 〔主要符号の説明〕、１０……空胴共振器、１
２……内方壁、１３……対称軸線、１５……絞
り、１７……窓、２０……出力導波管、３０……
接合平面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 空胴共振器及び出力導波管から成る共振器要
   素であつて： 縦軸方向部分と8π（Ｌ／λ）²より小さなＱ値を
   もたらすための手段とを有し、Ｌは前記空胴共振
   器の前記縦軸方向に沿つた有効長であり、λ）²よ
   り小さなＱ値とを有し、Ｌは前記空胴共振器の前
   記方向に沿つた有効長であり、λは前記空胴共振
   器内部の空胴共振自由空間波長であり； 前記空間共振器は、前記縦軸方向に垂直な接合
   平面を横切つて前記出力導波管に連結し、直線的
   に広がり；且つ 前記出力導波管の内方壁の各部分は、前記縦軸
   方向に関して予め定められた最大角度よりも小さ
   な角度をなす； ことを特徴とする共振器要素。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載された共振器要
   素であつて： 前記出力導波管の前記接合平面に平行な断面の
   面積が、前記縦軸方向に単調に増加するところの
   共振器要素。 ３ 特許請求の範囲第１項に記載された共振器要
   素であつて： 前記の予め定められた最大角度20°よりも小さ
   いところの共振器要素。 ４ 特許請求の範囲第１項に記載された共振器要
   素であつて： 前記の予め定められた最大角度が10°よりも小
   さいところの共振器要素。 ５ 特許請求の範囲第１項に記載された共振要素
   であつて： 前記空間共振器が、前記縦軸方向に垂直な断面
   において一様な円形であるところの共振器要素。 ６ 特許請求の範囲第１項に記載された共振要素
   であつて： 前記出力導波管が円錐形状であるところの共振
   器要素。 ７ 特許請求の範囲第１項に記載された共振器要
   素であつて： 前記空間共振器が一様な楕円断面を有するとこ
   ろの共振器要素。 ８ 特許請求の範囲第１項に記載された共振要素
   であつて： ジヤイロトロンの一部をなす共振器要素。