JPH0329032Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は、アツパープレートにこれを上昇させ
る力を加えるカウンターバランサ装置を備えたプ
レス機に関し、特にばね力を利用するカウンター
バランサ装置を備えたプレス機に関する。

（従来技術） プレス機は、一般に、金型の上型を支持するス
ライドすなわちアツパープレートと、該アツパー
プレートを上下動させるための駆動源との間に配
置される各種の部材の連結部にクリアランスがあ
ると、プレス加工時にアツパープレートが一瞬停
止するいわゆる息つき現象を生じる。この息つき
現象を防止すべく、プレス機、特に高速および精
密加工が可能のダイイング型のプレス機には、ア
ツパープレートを上方へ移動させる力をアツパー
プレートに加えるカウンターバランサ装置が配置
されている。

この種のカウンターバランサ装置としては、ば
ねを利用したもの、シリンダ機構を利用したもの
等、種々提案され、実用に供されている。多くの
プレス機には、構造が簡単で、廉価であるという
理由から、プレス機のフレームを反力体とするば
ねを利用したカウンターバランサ装置が用いられ
ている。

一方、高速および精密加工が可能のダイイング
型のプレス機は、金型の着脱作業、修理作業、調
整作業等を容易に行なうことができるようにする
目的で、アツパープレートとボルスタとの間隔す
なわちダイハイトをプレス加工時の最大ダイハイ
トより大きくするためのダイハイト調整機構を備
えており、金型の着脱、修理、調整等の作業時
に、アツパープレートをプレス加工時の最大高さ
位置よりも高い位置に移動させることができる構
造になつている。

このような構造のプレス機に、そのフレームを
反力体とするばねを利用した前記のカウンターバ
ランサ装置を用いると、伸縮ストロークの小さい
ばねを備えたカウンターバランサ装置ではダイハ
イト調整機構を作動させたときにばねがカウンタ
ーバランサ装置から外れてしまい、これと逆に伸
縮ストロークの大きいばねを備えたカウンターバ
ランサ装置では装置が大型になり、カウンターバ
ランサ装置のための広いスペースをプレス機に必
要とする。

（考案の目的） 本考案は、最大伸縮ストロークの小さいばねを
用いることができ、ダイハイト調整機構を作動さ
せても前記ばねが外れず、小型で、廉価なカウン
ターバランサ装置とすることを目的とする。

（考案の構成） 本考案のプレス機は、フレームに支承されたボ
ルスタと、上下方向へ伸び、前記フレームに対し
上下動可能の複数の滑動軸と、前記ボルスタの高
さ位置より上方に配置され、前記滑動軸に取り付
けられたアツパープレートであつて前記滑動軸の
上下動にともなつて上下動されて前記ボルスタに
接近しこれから離れる方向へ変位されるアツパプ
レートと、前記滑動軸を上下方向へ移動させる駆
動機構と、前記滑動軸を上下方向へ移動させるダ
イハイト調整機構であつて前記駆動機構の駆動力
を前記滑動軸に伝達するダイハイト調整機構と、
前記アツパープレートを上昇させる力を前記アツ
パープレートに作用させるカウンターバランサ装
置とを含む。

本考案で用いるカウンターバランサ装置は、前
記カウンターバランサ装置は、前記滑動軸に連結
されかつ支持されたホルダと、該ホルダを上下方
向へ移動可能に貫通して伸び、下端部にベース部
材を有するロツドと、該ロツドの上端部に配置さ
れて前記ホルダを受ける受部材と、前記ベース部
材と前記ホルダとの間にあつて前記ロツドの周り
に配置され、前記ホルダと前記受部材とを相互に
接近させる力を前記ロツドおよび前記ホルダに作
用させるばねとを含む。

（考案の作用、効果） 本考案で用いるカウンターバランサ装置は、ベ
ース部材とホルダとの間にばねを配置し、ホルダ
および受部材を相互に接近させる力を前記ばねに
よりホルダおよびロツドに加えているため、ばね
がホルダおよびロツドから外れることがない。

従つて、本考案によれば、カウンターバランサ
装置のばねとして、ダイハイト調整機構を作動さ
せたときにカウンターバランサ装置がアツパープ
レートとともに移動してプレス機のフレームから
離れるような大きさの最大伸縮ストローク、たと
えばプレス加工時にクリアランスに起因するアツ
パープレートの息つき現象を防止し得る程度の最
大伸縮ストロークを有する小さいばねを用いるこ
とができ、カウンターバランサ装置が小型で廉価
になる。

（実施例） 以下、図面に示す本考案の実施例について説明
する。

第１図〜第３図に示すプレス機１０は、フレー
ム１２に支承された板状のボルスタ１４を含む。
ボルスタ１４は、フレーム１２のうち上下方向へ
伸びる支持部１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄの
上端部に取り付けられている。

ボルスタ１４にはその厚さ方向へ貫通する複数
（図示の例では４つ）の穴１６が設けられており、
該穴には滑動軸１８を上下動可能に支承するため
の軸受２０が配置されている。

各滑動軸１８の下部はボルトのような手段によ
りフレーム１２に固定された支持台２２を上下動
可能に貫通して伸びる。このため支持台２２に
は、滑動軸１８のための軸受２４が配置されてい
る。

各滑動軸１８の上端部は、板状のアツパープレ
ート２６をその厚さ方向へ貫通する穴を経てアツ
パープレート２６の上方へ突出する。アツパープ
レート２６は、滑動軸１８の前記上端部と螺合す
るナツト２８およびワツシヤ３０により滑動軸１
８に解除可能に固定されている。

プレス機１０は、また、滑動軸１８を上下動さ
せてアツパープレート２６を、これがボルスタ１
４に接近しこれから離れる方向へ移動させる駆動
機構３２を含む。駆動機構３２は、水平方向へ伸
びる回転軸３４を備える。

回転軸３４は、ボルスタ１４の下面から下方へ
平行に伸びる一対の支持壁３６およびフレーム１
２の支持部１２ｃ，１２ｄ，１２ｅに配置された
軸受３８，４０を貫通しており、軸受３８，４
０、支持壁３６およびボルスタ１４を介してフレ
ーム１２に支承されている。回転軸３４は、その
中心軸線の回りに回転可能ではあるが、軸受３８
の近傍に配置された複数のストツパ４２により前
記中心軸線の方向への移動を阻止されている。

回転軸３４にはクラツチを有するフライホイー
ル４４が配置されている。フライホイール４４に
は、モータのような回転源４６の回転が該回転源
に設けられたプーリ４８および該プーリとフライ
ホイール４４を連結するベルト５０を経て伝達さ
れる。回転源４６は、ボルト５２によりフレーム
１２に取り付けられた台５４に支承されている。

回転軸３４には両支持壁３６間の箇所にカム５
６が設けられており、該カムの下方には該カムの
外周面に接触するカムフオロア５８が配置されて
いる。カムフオロア５８は水平方向へ伸びる軸６
０に支承されており、軸６０は支持体６２に支承
されている。

支持体６２は、滑動軸１８が上下動可能に貫通
する軸受６４を有する。支持体６２は支持台２２
の複数（図示の例では４つ）のばね受け穴６５に
配置された圧縮コイルばね６６により常時上方へ
押圧されており、これによりカムフオロア５８は
常時カム５６の外周面に押圧されている。ばね受
け穴６５の下部は蓋６７により閉鎖されている。

駆動機構３２の回転源４６は、プレス機１０の
作動時すなわちプレス加工時に作動される。回転
源４６が回転されると、回転軸３４ひいてはカム
５６が回転されるため、カムフオロア５８はカム
５６の回転に伴なつてカム５６の外周面に接触し
つつ上下動され、それにより軸６０および支持体
６２は上下動される。

駆動機構３２の下方には、駆動機構３２と滑動
軸１８とを連結しかつ滑動軸１８を上下動させる
ためのダイハイト調整機構６８が配置されてい
る。ダイハイト調整機構６８は、油圧または空気
圧のピストンシリンダ装置７０を備える。

ピストンシリンダ装置７０は、支持台２２に配
置された軸受７２を上下動可能に貫通するシリン
ダ７４と、該シリンダ内に滑動可能に配置された
ピストン７６と、該ピストンに連結されたピスト
ンロツド７８とから成る。シリンダ７４は支持体
６２の下面にボルトのような連結部材により固定
され、ピストンロツド７８は連結体８０により滑
動軸１８の下端部に連結されている。

連結体８０は、ピストンロツド７８の先端部に
該先端部に螺合するナツト８２により固定されて
いると共に各滑動軸１８の下端部に該下端部に螺
合するナツト８４により固定されている。

連結体８０のピストンロツド７８に対し対称の
２箇所には、カウンターバランサ装置１００が設
けられている。

カウンターバランサ装置９０は、その１つを第
４図に示すように、筒状のホルダ１０２と、該ホ
ルダの中空部を上下方向へ移動可能に貫通するロ
ツド１０４と、該ロツドの周りに配置されたばね
１０６とを有する。

ホルダ１０２は、前記中空部の一端に雌ねじ部
１０８を有する筒部材１１０と、雌ねじ部１０８
に螺合された雄ねじ部材１１２と、該雄ねじ部材
のねじ部に螺合され、該雄ねじ部材を筒部材１１
０に解除可能に固定するナツト１１４とから成
る。

筒部材１１８は、連結体８０を上下方向に貫通
して伸び、また雄ねじ部材１１２が上方となる姿
勢に連結体８０に溶接されている。雄ねじ部材１
１２には、上下方向へ貫通する穴１１６が形成さ
れている。

ロツド１０４は、雄ねじ部材１１２の穴を貫通
して伸びており、また下端にベース部材１１８を
固定している。ロツド１０４の上端部には、雄ね
じ部材１１２の上端を受けるための受部材１２０
がナツト１２２により取り外し可能に取り付けら
れている。

ばね１０６は、圧縮コイルばねであり、ベース
部材１１８と雄ねじ部材１１２との間に配置され
ている。このため、ホルダ１０２とロツド１０４
とには、雄ねじ部材１１２と受部材１２０とを相
互に接近させるばね力が加えられている。

ダイハイト調整機構６８のシリンダ７４の駆動
機構３２の側の圧力室には、所定圧力の流体が常
時供給されている。このため、ピストンロツド７
８はピストン７６のストローク分だけ下方へ突出
されており、滑動軸１８およびアツパープレート
２６はピストン７６のストローク分だけ下方へ移
動されている。

この状態において、カウンターバランサ装置１
００のばね１０６は、アツパープレート２６、滑
動軸１８、連結体８０等の重量により撓まされ、
これにより第４図Ａに示すように、雄ねじ部材１
１２と受部材１２０とは離されている。

プレス加工時、ボルスタ１４には金型の下型８
６が配置され、アツパープレート２６には前記金
型の上型８８が配置される。この状態で回転源４
６によりカム５６が回転される。

これにより、カムフオロア５８、軸６０および
支持体６２が上下動されるため、ダイハイト調整
機構６８はピストンロツド７８がピストン７６の
ストローク分だけ下方へ突出された状態で、カム
フオロア５８の上下動のストローク分だけ上下動
され、この上下動は滑動軸１８を経てアツパープ
レート２６に伝えられる。

また、カウンターバランサ装置１００のホルダ
１０２は、ベース部材１１８がフレーム１２の底
板１２ｆに接触した状態で、前記ストローク分だ
けロツド１０４に対し上下移動される。このとき
のばね１０６の最大伸縮ストロークは雄ねじ部材
１１２と受部材１２０間の間隔内であり、このた
め雄ねじ部材１１２と受部材１２０とは接触しな
い。

プレス加工時、ばね１０６がホルダ１０２を介
して連結体８０を常時押し上げているため、滑動
軸１８とアツパープレート２６との間、滑動軸１
８と連結体８０との間、連結体８０とピストンロ
ツド７８との間にクリアランスがあつても、該ク
リアランスに起因するアツパープレート２６の息
つき現象は生じない。

金型の着脱時、保守点検時には、カムフオロア
５８が上死点に位置された状態で、シリンダ７２
の上方側の圧力室から流体が排出されてシリンダ
７２の下方側の圧力室に所定圧力の流体が供給さ
れる。

これにより、ピストン７６が上昇され、ピスト
ンロツド７８がピストン７６のストローク分だけ
速やかに上昇され、滑動軸１８およびアツパープ
レート２６がピストン７６のストローク分だけ上
昇されるため、アツパープレート２６とボルスタ
１４との間隔は、カムフオロア５８のストローク
分の外にピストン７６のストローク分だけ速やか
に上昇される。このため、金型の着脱作業、保守
点検作業が容易になり、金型の着脱作業、保守点
検作業を迅速に行なうことができる。

ピストンロツド７８の上昇時、カウンターバラ
ンサ装置１００は、連結体８０と共に上昇され
る。このとき、カウンターバランサ装置１００
は、第４図Ｂに示すように雄ねじ部材１１２と受
部材１２０とが接触するまで、ばね１０６に力に
よりホルダ１０２がロツド１０４に対して上昇さ
れ、その後第４図Ｄに示すように全体が持ち上げ
られる。

このため、カウンターバランサ装置１００によ
れば、プレス加工時にクリアランスに起因するア
ツパープレート２６の息つき現象を防止し得る程
度の最大伸縮ストロークを有する小さいばねを用
いることができ、カウンターバランサ装置および
プレス機が小型で廉価になる。

上記のプレス機１０によれば、アツパープレー
ト２６をフレーム１２に対し上下動可能に支承さ
れた複数の滑動軸１８に支承させ、滑動軸１８を
直線移動させてアツパープレート２６を移動させ
る駆動機構３２およびダイハイト調整機構６８を
ボルスタ１４の下方に配置したため、プレス機の
重心が低く、したがつて駆動機構３２およびまた
はダイハイト調整機構６８をボルスタの上方に配
置したプレス機に比べ加工時のプレス機の揺れが
少なく、プレス機が安定であり、高速かつ精密加
工をすることができる。

また、上記のプレス機１０によれば、アツパー
プレート２６を移動させるための駆動機構３２お
よびダイハイト調整機構６８をボルスタ１４の下
方に配置し、ダイハイト調整機構６８を駆動機構
３２とアツパープレート２６の間に配置したた
め、駆動機構３２およびまたはダイハイト調整機
構６８をボルスタの上方に配置したプレス機に比
べ構造が簡単になり、小型になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のプレス機の一実施例を示す断
面図、第２図は第１の２−２線に沿つて得た断面
図、第３図は第１図の３−３線に沿つて得た断面
図、第４図Ａ，Ｂ，Ｃはカウンターバランサ装置
およびその作動を説明するための断面図である。 １０……プレス機、１２……フレーム、１４…
…ボルスタ、１８……滑動軸、２６……アツパー
プレート、３２……駆動機構、６８……ダイハイ
ト調整機構、１００……カウンターバランサ装
置、１０２……ホルダ、１０４……ロツド、１０
６……ばね、１０８……雌ねじ部、１１０……筒
部材、１１２……雄ねじ部材、１１４……ナツ
ト、１１６……穴、１１８……ベース部材、１２
０……受部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) フレームに支承されたボルスタと、上下方向
   へ伸び、前記フレームに対し上下動可能の複数
   の滑動軸と、前記ボルスタの高さ位置より上方
   に配置され、前記滑動軸に取り付けられたアツ
   パプレートであつて前記滑動軸の上下動にとも
   なつて上下動されて前記ボルスタに接近しこれ
   から離れる方向へ変位されるアツパプレート
   と、前記滑動軸を上下方向へ移動させる駆動機
   構と、前記滑動軸を上下方向へ移動させるダイ
   ハイト調整機構であつて前記駆動機構の駆動力
   を前記滑動軸に伝達するダイハイト調整機構
   と、前記アツパープレートを上昇させる力を前
   記アツパープレートに作用させるカウンターバ
   ランサ装置とを含み、 前記カウンターバランサ装置は、前記滑動軸
   に連結されかつ支持されたホルダと、該ホルダ
   を上下方向へ移動可能に貫通して伸び、下端部
   にベース部材を有するロツドと、該ロツドの上
   端部に配置されて前記ホルダを受ける受部材
   と、前記ベース部材と前記ホルダとの間にあつ
   て前記ロツドの周りに配置され、前記ホルダと
   前記受部材とを相互に接近させる力を前記ロツ
   ドおよび前記ホルダに作用させるばねとを含
   む、プレス機。 (2) 前記ホルダは、前記受部材の側の端部に雌ね
   じ部を有する筒部材と、該雌ねじ部に螺合さ
   れ、前記ロツドが貫通するための穴を有する雄
   ねじ部材と、該雄ねじ部材を前記筒部材に解除
   可能に固定するナツトとを備える、実用新案登
   録請求の範囲第(1)項に記載のプレス機。 (3) 前記ばねは、その一端が前記ベース部材に接
   触し、他端が前記雄ねじ部材に接触する圧縮コ
   イルばねである、実用新案登録請求の範囲第(2)
   項に記載のプレス機。