JPH0327403Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はマツシユルームの栽培容器に関する。

（従来の技術） 一般に、マツシユルームの栽培は、一部の専用
業者によつて行われ、例えば畑地の堆肥などを利
用して栽培が行われている。また、最近では馬糞
等を用いた人工培養等も行われている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、マツシユルームの栽培はこのよ
うな一部専用業者によつて行われているのみで、
一般家庭において栽培することは現在まで全く行
われていなかつた。

本考案は係る実情に鑑み、一般家庭においても
マツシユルームを簡単に栽培できるマツシユルー
ムの栽培容器を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係るマツシユルームの栽培容器は、上
部が開口された箱体状の容器本体と、この容器本
体の内部に収納された菌床部と、前記容器本体の
上部開口部を閉塞する蓋体とからなり、前記菌床
部は、マツシユルームの菌糸が予め植付けられた
堆肥と、栽培開始時にこの堆肥の上に敷き詰める
植土とが分離されてなるものである。

（作用） 運搬時は、容器本体内に菌床部を収納し蓋体で
容器本体の開口部を閉塞することにより、運搬中
の振動や衝撃等から菌床部を保護する。また、栽
培時には、マツシユルームの菌糸が予め植付けら
れた堆肥の上に適当量の水を加えた植土を被せて
用いる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図は本考案に係るマツシユルームの栽培容
器の全体構成を示している。

同図において、マツシユルームの栽培容器は、
上部が開口された箱体状の容器本体１と、この容
器本体１の内部に収納されたマツシユルームの菌
糸が植付けられた菌床部２と、前記容器本体１の
上部開口部を閉塞する蓋体３とで構成されてい
る。また、栽培時においては、第２図に示すよう
に、蓋体３の上にシート状の遮光部材４を被覆し
て使用するものである。

前記容器本体１は、例えば発泡スチロール等に
よつて形成されており、奥行約300ｍ／ｍ、幅約
400ｍ／ｍ、高さ約160ｍ／ｍ程度の大きさの箱状
体となされている。この容器本体１の周壁１ａに
は全周に亘り一定の間隔を存して複数個の切込み
孔１ｂ…が形成されている。この複数個の切込み
孔１ｂ…は、周壁１ａの高さ方向の略中央部から
下端縁を経て底壁に達する略Ｌ字状に形成されて
おり、かつ周壁１ａの内部まで達するように貫通
形成されている。また、容器本体１の上縁１ｃの
内周部には蓋体３を嵌め合わせるための凸状段部
８が全周に亘つて形成され、この段部８の外周壁
に蓋体３を係合固定するための一対の切込溝８
ａ，８ｂが形成されている。

前記蓋体３は、前記容器本体１と同様発泡スチ
ロール等によつて下部が開口された箱体状に形成
されており、その形状も前記容器本体１と略同形
状になされている。このように形成された蓋体３
の周壁３ａの上部には全周に亘つて周壁３ａの内
部に達する横長の切込み孔３ｂ…が複数個形成さ
れている。この複数個の切込み孔３ｂ…は通気孔
を兼ねるとともに天壁３ｃ部分を除去するときの
切取部となるものである。ただし、この切込み孔
３ｂ…に代えてミシン目状の切込みを形成してい
てもよい。すなわち、栽培容器の運搬に際して
は、天壁３ｃを除去することなく容器本体１に蓋
体３を被着して内部に収納された菌床部２を運搬
中の振動や衝撃から保護し、栽培時に天壁３ｃを
除去して使用するものである。すなわち、天壁３
ｃを除去した後、この天壁開口部に遮光部材４を
被覆し、その周囲を輪ゴム等のバンド部材１０で
止めることにより太陽の直射光を確実に遮つた状
態で栽培を行うことができるのである。遮光部材
４としては、例えば黒色又は青色のビニール製品
等を用いればよい。なお、このように蓋体３を改
造することなく、線条物で形成した骨組みを容器
本体１の周縁部から立設して、この骨組に遮光部
材４をテント状に被せてもよい。また、蓋体３の
下縁内周部には前記容器本体１に形成された段部
８と嵌合するための切欠凹部９が全周に亘つて形
成され、この切欠凹部９の内周壁に段部８に形成
した前記の切込溝８ａ，８ｂと係合する一対の係
合爪９ａ，９ｂが内方に突出して形成されてい
る。この係合爪９ａ，９ｂの突出長さと切込溝８
ａ，８ｂの切欠き深さとは、蓋体３の弾性変形可
能な範囲内で強制的に係脱できる程度の長さ及び
深さとし、蓋体３の係脱を繰り返しても蓋体３が
破損しないように考慮されている。

前記菌床部２は、マツシユルームの菌糸（図示
省略）が予め植付けられた堆肥５と、栽培開始時
にこの堆肥５の上に敷き詰める植土６とからなつ
ている。堆肥５は、米ぬか、鶏ふん、醸造豆（豆
かす）、及び麦わら等のいわゆる牛馬の寝わらを
混合したもので、約７日間低温殺菌して無菌状態
としたものである。図示は省略しているが、この
堆肥５の上層部分にマツシユルームの菌糸が植付
けられている。一方、植土６は泥炭ごけと10％の
石炭とを混合したものである。堆肥５は容器本体
１内において底壁から2/3程の高さまで敷き詰め
られ、その上に植土６を容器本体１の上縁近傍ま
で敷き詰めて使用される。また、運搬時は、マツ
シユルームの菌糸を植付けた堆肥５と植土６とを
分離し、植土６は別個のビニール袋（図示省略）
に収納した状態で容器本体１内に収納されてい
る。

上記構成からなるマツシユルームの栽培容器を
運搬するに際しては、上述したように、堆肥５と
植土６とを分離した状態で上下に積み重ねて容器
本体１内に収納し、この上に折りたたんだ遮光部
材４を載置し、この後蓋体３を容器本体１に被せ
て段部８に切欠凹部９を嵌め合わせ、切込溝８ａ
に係合爪９ａを係合して蓋体３を容器本体１に被
着する。この状態で運搬するものである。

次に、この栽培容器を用いてマツシユルームを
栽培する手順を説明する。

まず、植土６の入つたビニール袋に水を適当量
（750c.c.）加えてよく含ませた後、この植土６を予
め容器本体１内に敷き詰められている堆肥５の上
一面に柔らかく均一に被せる。この後、蓋体３の
天壁３ｃを切込み３ｂから除去し、除去された天
壁開口部に遮光部材４を被せてバンド部材１０で
止着した後、該蓋体３を容器本体１に被着して約
２週間の間ほぼ放置状態で栽培する。なお、この
間に、前記植土６に含ませた水分が無くならない
ように、毎日適当量の水（通常１日当り120c.c.）
を加えてやる。栽培場所としては、温室、流し台
の下、ガレージの中、あるいはリビングやコタツ
の中等が好適であり、直射日光を避けた日陰に置
く方がよい。また、最適気温としては、18℃〜25
℃程度が好ましい。このような条件で栽培する
と、約２週間後にはマツシユルームの収穫が可能
となる。

なお、本考案においては、栽培中は蓋体３の天
壁開口部を遮光部材４によつて被覆しているの
で、万一直射日光の当る場所に置いてもマツシユ
ルームの栽培が可能であり、また、栽培中におけ
る容器本体内へのゴキブリ等の侵入も防止できる
ので衛生的である。また、日光の当る場所に容器
本体１を置いて遮光部材４を用いて栽培すると、
容器本体１内の温度が上がり効率よいマツシユル
ームの発芽が得られる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案に係るマツシユル
ームの栽培容器によれば、マツシユルームの菌糸
が予め植付けられた堆肥と、栽培時にこの堆肥の
上に被せる植土とを分離して販売等に供している
ので、運搬、保管等に時間がかかつても不意にマ
ツシユルームが出てきたりしない。栽培開始時に
植土に適量の水を加えてよく含ませた後、堆肥に
均一に被せると約２週間でマツシユルームが効率
よく栽培できる。また、マツシユルームは植土の
上に出るから衛生的な収穫ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は容器
本体と蓋体とを分離した状態の斜視図、第２図は
栽培中の様子を示す栽培容器の中央縦断面図であ
る。 １……容器本体、２……菌床、３……蓋体、４
……遮光部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上部が開口された箱体状の容器本体と、この容
   器本体の内部に収納された菌床部と、前記容器本
   体の上部開口部を閉塞する蓋体とからなり、 前記菌床部は、マツシユルームの菌糸が予め植
   付けられた堆肥と、栽培開始時にこの堆肥の上に
   敷き詰める植土とが分離されてなることを特徴と
   するマツシユルームの栽培容器。