JPH03267361A - 硬質被膜とその製造方法 - Google Patents

硬質被膜とその製造方法

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JPH03267361A
JPH03267361A JP6579390A JP6579390A JPH03267361A JP H03267361 A JPH03267361 A JP H03267361A JP 6579390 A JP6579390 A JP 6579390A JP 6579390 A JP6579390 A JP 6579390A JP H03267361 A JPH03267361 A JP H03267361A
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film
gas
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ratio
hard
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JP6579390A
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Shinya Iwamoto
岩本 信也
Yoshihiko Murakami
嘉彦 村上
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Sumitomo Cement Co Ltd
Osaka University NUC
Original Assignee
Sumitomo Cement Co Ltd
Osaka University NUC
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、セラミックス基体表面や金属基体表面などに
被覆される硬質被膜に関し、詳しくは特定組成を有した
Ti−Zr−N系の三元系遷移金属窒化物固溶体からな
る被膜とその製造方法に関する。
「従来の技術」 近年、切削工具や金型などの表面にコーティングされる
耐摩耗性の材質として、種々の高硬質被膜が提供されて
おり、これら高硬質被膜としては、例えばT iC、T
 iNがある。
TiCは、高融点、高硬度を示す非酸化物系材料の中で
も最も高い硬度を示すものの一種であり、その被膜のビ
ッカース硬度は約3200Hvである。また、TiNは
、その被膜のビッカース硬度はTiCに劣るものの、靭
性、熱伝導率ではTiCより優れたものとなっている。
そして、これにより例えば、TiCの被膜を工具のコー
ティングに適用した場合、該コーテイング膜のチッピン
グが発生しにくいといった利点がある。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら、近時、上述した切削工具や金型表面への
コーティングに限らず、多くの技術分野においてコーテ
イング膜(被膜)の耐摩耗性に対する要求が強まってお
り、前記TiNやTiCなどを越える耐摩耗性を有した
材質の被膜の提供が望まれている。すなわち、従来の材
質のものでは得られなかった耐摩耗性を、既存の部品や
材料に付与できれば、設備、装置等の長寿命化、エネル
ギー効率の向上など、その経済的効果が図り知れないか
らである。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的と
するところは、従来公知の被膜に比べ、その特性、特に
硬度が優れた被膜を提供することにある。
「課題を解決するための手段」 本発明者らは、T i −Z r −N系遷移金属窒化
物固容体被膜について、その物性を詳細に研究し、これ
ら三元系の特定組成領域において靭性を損なわずに、か
つ飛躍的に硬度が上昇することを見いだし、本発明を完
成するに至った。
すなわち、本発明における請求項1記載の高硬買被膜で
は、Ti−Zr−N系の三元系遷移金属窒化物固溶体か
らなる被膜において、 前記三元系遷移金属窒化物固溶体が、 一般式、T i(1−x+Z r+g+N (+−y)
(ただし、Q<x<0.6,0≦y<0.5)で表され
る組成を有したことを前記課題の解決手段とした。
また、請求項4記載の発明の硬質被膜の製造方法では、
チタン源としての金属チタンとジルコニウム源としての
金属ジルコニウムとを、被膜中の所望する(Ti/Zr
)比率に対応した面積比を有する対陰極とし、かつ窒化
反応ガスとしての窒素ガスおよび/またはアンモニアガ
スの流量および濃度を、被膜中の所望する{N/ (T
i+Zr) 1比率に応じてこの所望する比率の被膜が
得られるように制御して反応に供し、基体温度を200
〜900°C、プラズマのパワーを200〜2000W
1全ガス圧を0.1〜100Paとして、スパッタリン
グ法により成膜することによって請求項1に記載した硬
質被膜を得ることを前記課題の解決手段とした。
請求項5記載の硬質被膜の製造方法では、チタン源およ
びジルコニウム源として、被膜中の所望する( T i
/ Z r)比率に対応した比率のT i −Z r合
金を対陰極とし、かつ窒化反応ガスとしての窒素ガスお
よび/またはアンモニアガスの流量および濃度を、被膜
中の所望する{N/ (T i+ Z r))比率に応
じてこの所望する比率の被膜が得られるように制御し、
基体温度を200〜900″C,プラズマのパワーを2
00〜2000W、全ガス圧を0.1〜100Paとし
て、スパッタリング法により成膜することによって請求
項1に記載した硬質被膜を得ることを前記課題の解決手
段とした。
請求項6記載の硬質被膜の製造方法では、前記一般式に
おける所望組成比に対応した組成比を有するT iN 
−Z rN系混合焼結体を対陰極とし、基体温度を20
0〜900℃、プラズマのパワーを200〜2000W
、全ガス圧を0.1〜100Paとして、スパッタリン
グ法により成膜することによって請求項1に記載した硬
質被膜を得ることを前記課題の解決手段とした。
請求項8記載の硬質被膜の製造方法では、チタン源とし
てハロゲン化チタンを、ジルコニウム源としてハロゲン
化ジルコニウムを、窒化反応ガスとして窒素ガスおよび
/またはアンモニアガスをそれぞれ用い、これらの流量
および/または濃度を、前記一般式における所望組成比
に対応するよう制御しつつ、キャリアガスで搬送して反
応に供すとともに、基体温度を200〜1200’C、
プラズマのパワーを150〜2000W、全ガス圧を1
〜500Paとして、プラズマCVD法により分解窒化
反応を生起せしめ、成膜することによって請求項1に記
載した硬質被膜を得ることを前記課題の解決手段とした
以下、本発明の詳細な説明する。
本発明における硬質被膜は、前記一般式によって表され
た、三元系(Ti−Zr  N系)遷移金属窒化物置容
体からなる被膜であり、より好ましい組成比としては、
前記一般式中のXの値が0.1以上0,5以下である組
成のものである。なぜなら、後述する実施例によって示
すように、前記Xの値が0.6以上の組成域においては
、析出膜中に金属Tiまたは金属Zrの一部析出が認め
られ、ビッカース硬度の急激な低下が認められるからで
ある。
このような組成からなる被膜は、詳細な実験結果より得
られたものである。すなわちこれらの実験は、その一部
を実施例1、実施例2および実施例3にて示すように、
前記一般式におけるXの値を0.1〜0.9まで、yの
値をO−0,9まで変化させて前記三元系遷移金属窒化
物固溶体の化学組成を変化させ、析出されて得られた膜
のビッカース硬度を測定したものである。そして、これ
ら実験結果より、前記Xの値がOを越えかつ0.6未満
で硬度の向上が見られ、特に0.1以上0.5以下で硬
度の向上が顕著となることを確認したことによって本発
明に至ったのである。
また、本発明に係る前記遷移金属窒化物固溶体からなる
硬質被膜には、原料の純度および反応装置内の残留酸素
によって不可避的に酸素が固溶することがあり、厳密な
定置分析によってこれを調べたところ、通常その固溶量
が全体の1原子1< −セント以下であることが判明し
た。
したがって、本発明の三元系遷移金属窒化物固溶体は、
厳密にはT 1z−x+Zrx {N、 O) (1−
y)(ただし、Q<x<0.6,0≦y<0.5であり
、かつ不可避不純物として酸素が1原子)く−セント以
下固溶している)となるが、本発明では便宜上酸素を除
いた一般式(請求項1に記載した一般式)でこれを表し
、この一般式中に不純物酸素を1原子パーセント以下固
溶したものも含まれるものとしている。ここで、後記す
る実施例3で示すように、請求項1に記載した組成域に
おいて、不可避不純物としての酸素が1原子ノ(−セン
ト以下では、本発明の被膜としての高硬質性が損なわれ
ないのはもちろんである。なお、前記酸素の被膜への固
溶は、反応装置内の残留酸素やキャリアガス中に不純物
として含有される酸素などが被膜中に混入するためと推
測される。
また、本発明の三元系遷移金属窒化物固溶体からなる硬
質被膜は、スパッタリング法またはプラズマCVD法に
よって製造することができ、類似の他のPVD法、例え
ばイオンブレーティング法によっても製造することが可
能である。
本発明の請求項4に記載したスパッタリング法による製
造方法では、チタン源としての金属チタンとジルコニウ
ム源としての金属ジルコニウムとを、形成する被膜が前
記一般式に示した範囲の所望のTi/Zr比率となるよ
うに、前記金属チタンと金属ジルコニウムとの面積比を
調整して対陰極(ターゲット)を形成し、この対陰極を
スパッタリング装置内に設置する。そして、窒化反応ガ
スとして窒素ガスおよびアンモニアガスの少なくとも一
種を用い、その流量および濃度の少なくとも一方を、形
成する被膜が前記一般式に示した範囲の所望の{N/ 
(T i +z r)l比率となるように制御して前記
スパッタリング装置内に導入し、反応に供す。この場合
に、形成する被膜が前記−般式に示した範囲の所望のi
N/ (T i+Z r)1比率となるように制御する
とは、窒化反応ガスの分圧と、スパッタリングのための
アルゴン等の不活性ガスの分圧とを、得られる被膜が前
記所望比率となるように制御することをいい、具体的に
は、予め簡単な実験などによって制御条件を経験的に求
めるものとする。また、他の反応条件(スパッタ条件)
としては、基体温度を200〜900℃、プラズマのパ
ワーを200〜2000W、全ガス圧を0.1〜100
Paとする。なお、成膜を行うための基体としては、板
状以外の形状ももちろん可能であり、よってこの製造方
法によれば、切削工具や金型など種々のものに硬質の被
膜を形成することができる。
請求項5に記載したスパッタリング法による製造方法が
前記請求項4記載の方法と異なるところは、前記した請
求項4記載の発明における対陰極(ターゲット)に代わ
って、形成する被膜が前記一般式に示した範囲の所望の
Ti/Zr比率となるように調整された比率のTi−Z
r合金を対陰極として用いる点である。なお、これら請
求項4および請求項5の製造方法で用いられる対陰極に
ついては、面積比あるいは合金の成分比を、形成する被
膜が前記一般式に示した範囲の所望のTi/Zr比率と
なるように調整すると述べたが、ここでいう調整とは、
必ずしも面積比、成分比を所望のTi/Zr比率に一致
させることを意味するものでなく、具体的には、予め簡
単な実験などによってこれら比率を経験的に求めるもの
とする。すなわち、通常のスパッタ条件では、TiとZ
rとの融点の違いなどにより、これら面積比や成分比が
そのまま形成される膜の組成比とならないからである。
また、請求項6.7に記載したスパッタリング法による
製造方法が前記請求項4記載の方法と異なるところは、
対陰極として、前記一般式における所望組成比に対応し
た組成比を有するT i N −ZrN系混合焼結体を
使用した点である。そして、この対陰極についても、前
述した対陰極の場合と同様にその組成比は、必ずしも所
望のTi/Zr比率に一致するものでなく、具体的には
、予め簡単な実験などによって混合焼結体の組成比を経
験的に求めるものとする。なお、混合焼結体中窒素が含
まれていることから、先の製造方法で行ったごとく別に
窒化反応ガスを導入することなく、所望する三元系の組
成比を有した被膜を得ることも可能であるが、所望する
組成比に対し窒素骨が不足する場合には、窒化反応ガス
としての窒素ガスおよびアンモニアガスの少なくとも一
種を、その流量および濃度を制御して導入してもよい。
これらスパッタリング法による製造方法においては、得
られる窒化物固溶体被膜の化学組成が、基体温度、全ガ
ス力、窒化反応ガスおよびスパッタリングガスの分圧、
対陰極(ターゲット)の組成によって左右されるのはも
ちろんであるが、これらの中でも特に窒化反応ガスおよ
びスパッタリングガスの分圧と、対陰極(ターゲット)
の組成とによって影響される度合いが高い。すなわち、
対陰極としては、その純度が成膜する被膜の純度とその
物性に特に大きな影響を及ぼすことから、できる限り高
純度のものが好ましく、通常は999パ一セント以上の
ものを使用する。また、スパッタリング装置のチャンバ
ー内に導入する、原料としての窒化反応ガス(窒素ガス
および/またはアンモニアガス)と、スパッタリンク用
不活性カスとしてのアルゴン等についても、前記対陰極
と同様の理由により、通常はその純度が99.99パ一
セント以上の高純度ガスを使用する。
これら導入ガスの全圧力としては、通常は0.1〜10
0Paの範囲とされる。すなわち、0.1Pa以下では
プラズマが発生しに(<、一方100Pa以上では形成
される遷移金属窒化物固溶体被膜の組織が多孔質な状態
を呈し、硬度の低下を招く恐れがあるからである。
プラズマのパワーについては、200W未満では形成さ
れる被膜の組織が多孔質となって高硬度が得られにくく
なり、2000Wを越えると高硬質遷移金属窒化物固溶
体被膜の逆のスパッタが増加することがら成膜速度が飽
和し、不経済となる。
したがって、前記製造方法において採用するプラズマの
パワー範囲としては、200〜2000Wとする。
遷移金属窒化物固溶体の被膜を析出させる基体としては
、当然耐熱性が高く融点も高いものが用いられ、例えば
セラミックス、金属が用いられる。
そして、反応に際しては、この基体を200〜900℃
に加熱しておくことが必要である。なぜなら、200°
C未満では析出膜が非晶質状となって高硬度が得られず
、また900″Cを越えると析出膜の結晶組織が粗大化
したり、あるいはヒータやチャンバー内壁の過熱によっ
て発生する不純物が析出膜に混入することにより、形成
する被膜に硬度の低下が認められるからである。
なお、これらのスパッタリング法による製造方法によっ
て形成される高硬質の被膜には、不可避不純物として酸
素が1原子パーセント以下固溶するのは前述したとおり
である。
本発明の請求項8に記載したプラズマCVD法による製
造方法では、チタン源として)・ロゲン化チタンを、ジ
ルコニウム源としてハロゲン化ジルコニウムを、窒化反
応ガスとして窒素ガスおよびアンモニアガスの少なくと
も一種をそれぞれ用い、これらの流量および濃度を、請
求項1に記載した一般式における所望組成比に対応する
よう制御しつつ、これらをキャリアガスでプラズマCV
D装置内に搬送して反応に供す。この場合に他の反応条
件としては、基体温度を200〜1200℃、プラズマ
のパワーを150〜2000W1全ガス圧を1〜500
Paとして、プラズマCVD法により分解窒化反応を生
起せLめ、成膜して高硬質の被膜を得る。なお、この製
造方法においても、各種ガスの流量および濃度を制御す
るとは、各種ガスの分圧を制御することをも意味するも
のである。
この製造方法をさらに詳しく説明すると、ハロゲン化チ
タンとしては、塩化チタン、フッ化チタン、臭化チタン
の単体あるいはこれらの混合物が用いられ、ハロゲン化
ジルコニウムとしては、塩化ジルコニウム、フッ化ジル
コニウム、臭化ジルコニウムの単体あるいはこれらの混
合物が用いられる。そして、これらのガスについては、
当然その純度が形成する被膜の純度に大きく影響するこ
とから、それぞれ純度99.5パ一セント以上のものを
使用するのが望ましい。
なお、チタン源(ハロゲン化チタン)として塩化チタン
を使用する場合には、塩化チタンは常温で既に十分な蒸
気圧があるので、これをキャリアガスと共に反応装置の
チャンバー内に直接導入することが可能である。一方、
ジルコニウム源()翫ロゲン化ジルコニウム)として塩
化ジルコニウム(Z rC12,)を使用する場合には
、塩化ジルコニウムは常温で固体であり、このままの状
態では反応装置内に直接導入できないため、塩化ジルコ
ニウム自身およびこれのチャンバーまでの供給路を、5
0〜200℃程度の範囲内で加熱しつつ、キャリアガス
と共に反応装置のチャンバー内に導入する必要がある。
このプラズマCVD法による製造方法においても、得ら
れる遷移金属窒化物固溶体被膜の化学組成は、基体温度
、全ガス圧、ガス流量および濃度等によって左右される
のはもちろんであるが、これらの中でも特にチタン源と
してのノ\ロゲン化チタンとジルコニウム源としてのハ
ロゲン化ジルコニウムとの流量および濃度によって影響
される度合いが高い。すなわち、反応装置のチャンバー
内へ導入するハロゲン化チタンガス、ノ\ロゲン化ジル
コニウムガス、さらに窒化反応ガスの流量および濃度を
制御することにより、得られる析出膜の化学組成を所望
する組成に制御し得るのである。
窒化反応ガスとしては、窒素およびアンモニアガスのう
ち少なくとも一種を使用するが、これらについても当然
純度99.9パ一セント以上のものを用いるのが望まし
く、またキャリアガスとして使用するアルゴンやアルゴ
ン−水素混合ガスなどについても、同様に純度99,9
パ一セント以上のものを用いるのが望ましい。
これら導入ガスの全圧力としては、通常は1〜500P
a、好ましくはb O〜200 P aの範囲とされる
。すなわち、IPa未満ではプラズマが発生しにクク、
一方500Paを越えると、形成される被膜の組織が粗
大化して良好な被膜とならず、よって高い硬度の被膜が
得られなくなるからである。
遷移金属窒化物固溶体の被膜を析出させる基体にとして
は、スパッタリング法で行う場合と同様にセラミックス
、金属などが用いられる。そして、反応に際しては、微
細な結晶賀状の組織を有する被膜を形成するためには2
00〜1200℃の範囲で加熱する必要である。なぜな
ら、200℃未満では析出膜が非晶質状となって高硬度
が得られず、また1200℃を越えると析出膜の結晶組
織が粗大化したり、あるいはヒータやチャンバー内壁の
過熱によって発生する不純物が析出膜に混入することに
より、形成する被膜に硬度の低下が認められるからであ
る。
原料混合ガス(ハロゲン化チタンならびにハロゲン化ジ
ルコニウム)と反応ガス(窒素ガスおよび/またはアン
モニアガス)との間で分解窒化反応を起こさせるための
プラズマのパワーについては、150W未満であると形
成される被膜の組織が多孔質となって高硬度が得られに
(くなり、またパワーが高くなるにつれて緻密化するが
、2000Wを越えると遷移金属窒化物固溶体被膜の逆
のスパッタが増加することがら成膜速度が飽和し、不経
済となる。したがって、この製造方法において採用する
プラズマのパワー範囲としては、150W〜2000W
とする。
なお、この製造方法により製造される高硬質被膜にも、
不可避不純物として酸素が1原子パーセント以下固溶す
る場合があるのは前述の通りである。
「実施例」 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1) 請求項5記載の発明に基づいて、反応性スパッタリング
法により本発明の硬質被膜を製造した。
対陰極材(ターゲット)としては、TiとZrとの原子
比が6.5 : 3.5の合金(純度999パーセント
)を使用し、窒化反応ガスとしては窒素カス(純i99
.999パーセント)を、またスパッタリング用ガスと
してアルゴンガス(純度99999パーセント)をそれ
ぞれ用いた。そして、反応系における窒素ガスの分圧を
、以下の種々の圧力となるように調整し、窒素の比率が
異なる複数の三元系遷移金属窒化物固溶体被膜を作製し
た。
・窒素ガス分圧 0.45 Pa、 0.4 Pa、  0.39 Pa
、 0.38 Pa。
0.36Pa、0.32Pa、0.25Paまた、基板
(基体)としては5US316ステンレス鋼板を用い、
これの上に成膜を行った。なお、成膜に先だち、この基
板をトリクロロエチレンで1時間超音波洗浄して脱脂し
、その後水素プラズマで30分間表面をクリーニングし
て成膜に供した。
また、他の成膜条件は次のとおりである。
・プラズマ周波数:13.56MHz ・プラズマパワー;   I  KW ・基板温度   : 450℃ ・処理時間   : 120分 ・全圧力    ;  l  Pa このようにして得られた三元系遷移金属窒化物固溶体被
膜の化学組成を蛍光X線分析法により測定し、さらにこ
れら被膜(析出膜)のビッカース硬度をマイクロビッカ
ース硬度計で測定した。
得られた結果を、化学組成と硬度(Hv)との関係にま
とめて第1図に示す。
第1図に示した結果より、このようにして得られた被膜
中の(T i/ Z r)は(0,710,3)となり
、またこの比率において一般式 T i(1−(1+Z r+x+N x−y+ (ただ
しXが0.3)中のyの値が、0.1であるのが最適で
あるのが判明した。
(実施例2) 請求項8記載の発明に基づいて、RFプラズマCVD法
により本発明の硬質被膜を製造した。
チタン源としては塩化チタン(純度99.99パーセン
ト)を、またジルコニウム源としては塩化ジルコニウム
(純度99.99パーセント)を使用した。また、窒化
反応ガスとしては窒素ガス(純i99.999パーセン
ト)と水素ガス(純度99.999パーセント)とを使
用し、さらに前記塩化チタンおよび塩化ジルコニウムの
キャリアガスとしてはアルゴンガス(純度99.999
パーセント)を使用した。そして、それぞれの全アルゴ
ン流量に対して、塩化チタンのキャリアガスであるアル
ゴンと、塩化ジルコニウムのキャリアガスであるアルゴ
ンとの流量比を、以下の種々の比率となるように調整し
、TiとZrとの比率が異なる複数の三元系遷移金属窒
化物固溶体被膜を作製した。
・流量比 10:0,9:1,8:2,7:3,5:5゜4;6,
3ニア また、基板(基体)としてはアルミナ板を用い、これの
上に成膜を行った。なお、成膜に先たち、この基板をト
リクロロエチレンで1時間超音波洗浄して脱脂し、その
後水素プラズマで30分間表面をクリーニングして成膜
に供した。
また、他の成膜条件は次のとおりである。
・プラズマ周波数;  13.56MHz・プラズマパ
ワー;1.5KW ・基板温度   : 700″C ・処理時間   ; 120分 ・全圧力    ;  100  Pa・水素ガス流量
 ;  260 cc/分・窒素ガス流量 ;   5
0 cc/分・Arガス流量 、   50cC/分こ
のようにして得られた三元系遷移金属窒化物固溶体被膜
の化学組成を、実施例1と同様に蛍光X線分析法により
測定し、さらにこれら被膜(析出膜)のビッカース硬度
をマイクロビッカース硬度計で測定した。
得られた結果を、化学組成と硬度(Hv)との関係にま
とめて第2図に示す。
第2図に示されるように、一般式 T i(1−x+Z xx+N z−y+ (ただしy
が011)中のXの値が、01〜0.5である組成比が
最適であることが判明した。
(実施例3) 請求項7記載の発明に基づいて、反応性スパッタリング
法により本発明の硬質被膜を製造した。
対陰極材(ターゲット)としては、TiとZrとの原子
比が6.5 : 3.5となるように調整されたT i
N −Z rN焼結体(純度99.9パーセント)を使
用し、窒化反応ガスとしては窒素ガス(純度99.99
9パーセント)を、またスパッタリング用ガスとしてア
ルゴンガス(純度99.999パーセント)をそれぞれ
用いた。そして、反応系における窒素ガスの分圧を、以
下の種々の圧力となるように調整し、窒素の比率が異な
る複数の三元系遷移金属窒化物固溶体被膜を作製した。
・窒素ガス分圧 0.45 Pa、  0.4 Pa、  0.39 P
a、  0.38 PaO,36Pa、 0.32 P
a、  0.25 Paまた、他の成膜条件については
実施例1と同一で行った。
得られた被膜(析出膜)中の酸素含有量を蛍光X線分析
法で定量分析したところ、析出膜中には、酸素が0.1
〜1.0原子パーセント固溶していることが判明した。
また、これら三元系遷移金属窒化物固溶体被膜の化学組
成およびビッカース硬度を調べたところ、実施例1にお
いて第1図に示した結果とほぼ同一となることが確認さ
れた。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明における請求項1ないし3
記載の発明の硬質被膜によれば、従来公知の硬質被膜に
比べてさらに高い硬度を有したものであるので、これを
切削工具や金型、さらには各種の設備や装置などに被覆
することにより、これらの長寿命化を図ることができる
また、請求項4ないし8記載の発明の硬質被膜の製造方
法によれば、前記請求項1ないし3記載の硬質被膜を容
易に、しかも所望する組成となるように確実に作製する
ことができ、よって近時多くの技術分野で強まっている
耐摩耗性に対する要望に応えることができ、また硬質被
膜が前述した効果を奏するものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図はいずれも本発明の硬質被膜とその
製造方法に係る図であって、第1図は実施例1において
得られた析出膜(硬質被膜)の組成比とビッカース硬度
との関係を示すグラフ、第2図は同じ〈実施例2におい
て得られた関係を示すグラフである。 第1区

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)Ti−Zr−N系の三元系遷移金属窒化物固溶体
    からなる被膜において、 前記三元系遷移金属窒化物固溶体が、 一般式、Ti_(_1_−_x_)Zr_(_x_)N
    _(_1_−_y_)(ただし、0<x<0.6,0≦
    y<0.5)で表される組成を有したことを特徴とする
    硬質被膜。
  2. (2)請求項1記載の硬質被膜において、 前記一般式におけるxが、0.1以上でありかつ0.5
    未満であることを特徴とする硬質被膜。
  3. (3)請求項1又は2記載の硬質被膜において、固溶す
    る不可避不純物中の酸素が、該硬質被膜中の1原子パー
    セント以下であることを特徴とする硬質被膜。
  4. (4)一般式、Ti_(_1_−_x_)Zr_(_x
    _)N_(_1_−_y_)(ただし、0<x<0.6
    ,0≦y<0.5)で表される硬質被膜の製造方法であ
    って、 チタン源としての金属チタンとジルコニウム源としての
    金属ジルコニウムとを、被膜中の所望する(Ti/Zr
    )比率に対応した面積比を有する対陰極とし、かつ窒化
    反応ガスとしての窒素ガスおよび/またはアンモニアガ
    スの流量および濃度を、被膜中の所望する{N/(Ti
    +Zr)}比率に応じてこの所望する比率の被膜が得ら
    れるように制御して反応に供し、基体温度を200〜9
    00℃、プラズマのパワーを200〜2000W、全ガ
    ス圧を0.1〜100Paとして、スパッタリング法に
    より成膜することを特徴とする硬質被膜の製造方法。
  5. (5)一般式、Ti_(_1_−_x_)Zr_(_x
    _)N_(_1_−_y_)(ただし、0<x<0.6
    ,0≦y<0.5)で表される硬質被膜の製造方法であ
    って、 チタン源およびジルコニウム源として、被膜中の所望す
    る(Ti/Zr)比率に対応した比率のTi−Zr合金
    を対陰極とし、かつ窒化反応ガスとしての窒素ガスおよ
    び/またはアンモニアガスの流量および濃度を、被膜中
    の所望する{N/(Ti+Zr)}比率に応じてこの所
    望する比率の被膜が得られるように制御し、基体温度を
    200〜900℃プラズマのパワーを200〜2000
    W、全ガス圧を0.1〜100Paとして、スパッタリ
    ング法により成膜することを特徴とする硬質被膜の製造
    方法。
  6. (6)一般式、Ti_(_1_−_x_)Zr_(_x
    _)N_(_1_−_y_)(ただし、0<x<0.6
    ,0≦y<0.5)で表される硬質被膜の製造方法であ
    って、 前記一般式における所望組成比に対応した組成比を有す
    るTiN−ZrN系混合焼結体を対陰極とし、基体温度
    を200〜900℃、プラズマのパワーを200〜20
    00W、全ガス圧を0.1〜100Paとして、スパッ
    タリング法により成膜することを特徴とする硬質被膜の
    製造方法。
  7. (7)請求項6記載の硬質被膜の製造方法において、 窒化反応ガスとしての窒素ガスおよび/またはアンモニ
    アガスを、被膜中における所望する組成比に対し不足す
    る窒素分を補うようにその流量および/または濃度を制
    御して反応に供し、成膜することを特徴とする硬質被膜
    の製造方法。
  8. (8)一般式、Ti_(_1_−_x_)Zr_(_x
    _)N_(_1_−_y_)(ただし、0<x<0.6
    ,0≦y<0.5)で表される硬質被膜の製造方法であ
    って、 チタン源としてハロゲン化チタンを、ジルコニウム源と
    してハロゲン化ジルコニウムを、窒化反応ガスとして窒
    素ガスおよび/またはアンモニアガスをそれぞれ用い、
    これらの流量および/または濃度を、前記一般式におけ
    る所望組成比に対応するよう制御しつつ、キャリアガス
    で搬送して反応に供すとともに、基体温度を200〜1
    200℃、プラズマのパワーを150〜2000W、全
    ガス圧を1〜500Paとして、プラズマCVD法によ
    り分解窒化反応を生起せしめ、成膜することを特徴とす
    る硬質被膜の製造方法。
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