JP2795864B2 - 硬質被膜材料及びその製造方法 - Google Patents

硬質被膜材料及びその製造方法

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JP2795864B2
JP2795864B2 JP1009960A JP996089A JP2795864B2 JP 2795864 B2 JP2795864 B2 JP 2795864B2 JP 1009960 A JP1009960 A JP 1009960A JP 996089 A JP996089 A JP 996089A JP 2795864 B2 JP2795864 B2 JP 2795864B2
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、セラミックス基板表面若しくは金属基板表
面に被覆する高硬質被膜材料に関する。特に、特定組成
のTi−Ta−N系の三元遷移金属窒化物固溶体被膜材料及
びその製法に関する。
[従来の技術] 従来、切削工具や金型等の表面に種々の高硬質被膜を
コーティングした耐摩耗部材が知られ、これらの硬質被
膜材料と1例として、TiC、TiNを挙げることができる。
TiCの被膜材料は、ビッカース硬度約3200Hvと、一般
に高い融点と高い硬度を示す非酸化物系材料の中でも、
最も高い硬度を示す材料である。一方、TiNの被膜材料
のビッカース硬度は、TiCに劣るものの、靱性、熱伝導
率はTiCよりすぐれているために、例えばコーティング
工具として使用した場合に、硬質被膜のチッピングが発
生しにくい利点がある。
[発明が解決しようとする問題点] 然し乍ら、近年、耐摩耗性に対する要求は、産業の種
別を問わず多くの産業分野で益々強まってい、従来では
考えられなかった耐摩耗性を既存の部品や材料に付与で
きれば、設備、装置の寿命の長期化、エネルギー効率の
向上などが期待され、その経済的効果は、図り知れない
ものがある。
従って、本発明は、従来の公知の被膜材料の特性、特
に、硬度を更に改善することを目的とする。即ち、本発
明者らは、Ti−Ta−N系遷移金属窒化物固溶体被膜材料
について、その物性を詳細に研究し、これら3元系の特
定組成領域において、靱性を損なわずに、且つ、飛躍的
に硬度が高めた被膜材料を見出し、その知見に基づいて
本発明を完成するに至ったものである。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、上記の技術的な課題の解決のために、下記
の一般式:式:Ti1-x−Tax−N1-y(但し、0.2<x<0.
7、0<y≦0.6)を有する3元系遷移金属窒化物固溶体
が、硬度向上できることを見出したものである。更に、
その一般式:Ti1-x−Tax−N1-yにおけるx値が0.3〜0.6
であるものが好適である。そして、その3元系遷移金属
窒化物固溶体材料中には、酸素が1原子パーセント以下
とする不可避不純物を固溶しているものが好適である。
そして、その製法としては、一般式:Ti1-x−Tax−N1-y
系(但し、0.2<x<0.7、0<y≦0.6)の3元系遷移
金属窒化物固溶体からなる硬質被膜材料の製造方法にお
いて、チタン源としての金属チタン並びにタンタル源と
しての金属タンタルを、所望のTi/Ta比率の被膜が得ら
れるような面積比で対陰極として設置するか或いは、所
望のTi/Ta比率の被膜が得られるような割合のチタン源
並びにタンタル源としてのTi−Ta合金を対陰極として設
置し、キャリアガスに搬送される窒化反応ガスとしての
窒素ガス及び/或いはアンモニウムガスの流量及び/或
いは濃度を、所定範囲に制御し、基板温度を200℃〜700
℃に保持し、プラズマ電力を、200〜2000Wに、全ガス圧
を0.1〜100Paに保持して、スパッタリング処理により被
膜形成を行うことにより得られる。また、対陰極として
TiN/TaN系混合焼成体を使用し、所望組成を3元系遷移
金属窒化物固溶体の被膜材料となるように、TiN−TaN系
混合焼成体の組成比を調整するとともに、窒素源が不足
する場合は、窒素反応ガスとして窒素ガス及び/或いは
アンモニウムガスの流量及び/或いは濃度を更に、制御
して、基板温度を200℃〜700℃に保持して、プラズマ電
力を、200〜2000Wに保持し、全ガス圧を0.1〜100Paとし
て、スパッタリング法により被膜形成を行うことができ
る。更に、キャリアガスに搬送されるチタン源としての
ハロゲン化チタンガスの流量及び/或いは濃度を調整
し、キャリアガスに搬送されるタンタル源としてのハロ
ゲン化タンタルガスの流量及び濃度を調整し、その搬送
ガス中の窒化反応ガスとしての窒素ガス及び/或いはア
ンモニウムガスの流量及び/或いは濃度を調整して、所
望の組成のTi1-x−Tax−N1-y(但し0.2<x<0.7、0<
y≦0.6)の被膜材料が得られるようにすると共に、基
板温度を150℃〜700℃に保持し、プラズマ電力を150〜2
000Wに保持し、全ガス圧を、1〜500Paに保持し、プラ
ズマCVD(化学的蒸着法)処理により、分解窒化反応を
生起せしめることにより、高硬質の被膜材料が得られ
る。
本発明者らは、Ti−Ta−N系硬質被膜材料について、
その得られる硬度の向上を目的に、鋭意研究したとこ
ろ、組成比で、Ti1-x−TaxN1-y(但し、0.2<x<0.7、
yは0.6以下である)のTi−Ta−N系遷移金属窒化物固
溶体が、特にビッカース硬度が向上することを見出し
た。本発明は、この知見に基づいて、行なわれた。更
に、より好ましくは、上記xの値が、0.3〜0.6で硬質被
膜材料である。
尚、上記xの値が、0.7以上の組成範囲においては、
析出被膜材料中に、金属Ti及び/又は金属Taの一部析出
が認められ、ビッカース硬度の急激な低下が認められ
た。
即ち、組成のTi1-xTaxN1-yのTi−Ta−N系遷移金属窒
化物固溶体の組成比において、xの値を、0.1〜0.9に、
yの値で0〜0.9の範囲で変化させ、得られる被膜材料
のビッカース硬度を測定したところ、xの値が、0.2〜
0.7の範囲で特に硬度の向上が著しいことが認められ
た。
また、本発明による硬質遷移金属窒化物Ti−Ta−N系
の被膜材料には、原料の純度及び反応装置内の残留酸素
によって、不可避的に酸素が固溶することがあり、通
常、その固溶量は、1原子パーセント以下であること
が、厳密な定量分析の結果判明した。
即ち、組成のTi1-xTaxN1-y(但し、0.2<x<0.7、y
は0.6以下である)被膜材料となるように、Ti−Ta−N
系3元系遷移金属窒化物固溶体であり、且つ、酸素が1
原子パーセント以下、不可避不純物として固溶している
硬質被膜材料である。そして、組成のTi1-xTaxN1-y(但
し、0.2<x<0.7、yは0.6以下である)のTi−Ta−N
系硬質被膜材料では、高い硬度を示すことが判明した。
この酸素の固溶は、反応装置内に残留する酸素及び/又
はキャリアガスなどの中に残留する酸素に起因するもの
と考えられる。
このような硬質遷移金属窒化物固溶体被膜材料は、ス
パッタリング処理法又はプラズマCVD(化学的蒸着)法
によって製造することができ、他の類似のPVD法、例え
ば、イオンプレーテイング法によっても製造することが
できる。
本発明によるスパッタリング処理による1つの製造方
法は、チタン源として金属チタンを、タンタル源として
金属タンタルを利用し、所望のTi/Ta比率の被膜材料が
得られるように、面積比を調製して、対陰極(ターゲッ
ト)として設置することにより、或いは、所望のTi/Ta
比率になるような割合で、チタン源並びにタンタル源と
して、Ti−Ta合金を対陰極として用いることにより、窒
化反応ガスとして、窒素ガス及び/又はアンモニアガス
の分圧とスパッタリングのためにアルゴンガスなどの不
活性ガスの分圧を、調整し、所望のN/(Ti+Ta)比率の
硬質被膜材料が得られるように、条件を制御する。その
基板温度は、200〜700℃に保持し、プラズマパワーは、
200〜2000Wで用い、全ガス圧を0.1〜100Paにして、スパ
ッタリング法により、基板表面上に被膜形成する製造方
法である。
尚、本発明による製造方法において、窒化反応ガス又
は不活性ガスの分圧を制御することは、窒化反応ガス又
は不活性ガスの流量及び/又は濃度を調整することによ
って行なわれる。
また、他のスパッタリング法による製造においては、
対陰極としてTiN−TaN系混合焼結体を使用し、所望組成
のTi1-xTaxN1-y(但し、0.2<x<0.7、yは0.6以下で
ある)被膜材料となるように、TiN−TaN系混合焼成体の
組成比を調整し、且つ、窒素源が不足するならば、窒化
反応ガスとして、窒素ガス及び/又はアンモニアガスの
流量及び/又は濃度を調整して、スパッタリング処理を
行なう。スパッタリング条件としては、基板温度を200
〜700℃に保持し、プラズマパワーを200〜2000Wにし、
全ガス圧を0.1〜100Paとして、スパッタリング処理する
ことにより、本発明の硬質被膜材料が得られる。
尚、本製造方法において、窒化反応ガス又は不活性ガ
スの分圧を調整することは、窒化反応ガス又は不活性ガ
スの流量及び/又は濃度を調整することを意味するもの
である。
また、これらの2種類のスパッタリングによる製造方
法により製造される硬質被膜材料には、不可避不純物と
して、酸素が1原子パーセント以下に固溶されたもので
あり得る。
以下、この2種類のスパッタリング処理法による製造
方法を詳述する。
製造された窒化物固溶体被膜材料の化学組成は、基板
温度、全圧力、窒化反応ガス及びスパッタリングガスの
分圧、対陰極(ターゲット)の組成に依存する。それら
の中でも特に窒化反応ガス及びスパッタリングガスの分
圧、対陰極(ターゲット)の組成によって主に決定され
る。
本製造方法では、特に、対陰極(ターゲット)の純度
が、被膜形成材料の純度とその物性に直接影響を及ぼす
ものであり、対陰極(ターゲット)の純度はできるだけ
高純度のものが好ましく、通常99.9パーセント以上のも
のを使用する。
また、チャンバー中に導入する窒化反応ガスとして窒
素ガス及び/又はアンモニアガスを用い、スパッタリン
グのために不活性ガスとして利用するアルゴンガス等の
純度も同様に、99.99パーセント以上の高純度ガスを使
用することが好ましい。
導入ガスの全圧力は、特に限定されないが、通常、0.
1Paから50Paが好適である。0.1Pa未満では、被膜形成速
度が遅すぎ、50Paを超えると、形成される遷移金属窒化
物固溶体被膜材料の組織は、多孔質の状態を呈する。ま
た、プラズマパワーは、200〜2000Wの範囲が好適であ
る。200W未満の時は、非晶質であるので、高い強度が得
られず、不都合であり、2000Wを超えると、硬質遷移金
属窒化物固溶体被膜材料の逆スパッターが増加すること
により、被膜形成速度が飽和するので、2000Wを超える
プラズマパワーは必要としない。
更に、硬質遷移金属窒化物固溶体被膜材料を析出させ
る基板は、200〜700℃に加熱しておくことが必要であ
る。この理由は、200℃未満では析出被膜が非晶質であ
るので、高い強度が得られず、また、700℃を超える
と、形成被膜の結晶組織が粗大化したり、また、ヒータ
やチャンバー内壁の過熱により発生する不純物が形成被
膜材料に混入することにより、硬度の低下が認められる
からである。
本発明による硬質被膜材料の製造方法としては、他
に、プラズマCVD法が用いられる。即ち、キャリアガス
に搬送されるチタン源としてハロゲン化チタンガスを用
い、その流量及び/又は濃度を調整し、キャリアガスに
搬送されるタンタル源としてハロゲン化タンタルガスを
用い、その流量及び/又は濃度を調整する。そして、キ
ャリアガスに搬送される窒化反応ガスとして窒素ガス及
び/又はアンモニアガスを用い、その流量及び/又は濃
度を調整し、所望の組成のTi−Ta−N系の被膜材料を得
る。基板温度を400〜700℃に保持し、プラズマパワーを
150〜2000Wに保持し、全ガス圧を1〜500Paに、好まし
くは、50〜200Paにして、プラズマCVD処理を行い、分解
窒化反応を生起せしめる。
尚、本製造方法において、各種ガスの流量及び/又は
濃度を調整することは、各種ガスの分圧を制御すること
によって行なわれる。
ここで、ハロゲン化チタンとしては、塩化チタン、フ
ッ化チタン、臭化チタンの内少なくともいずれか1種又
は混合体を用いることができる。また、ハロゲン化タン
タルとしては、塩化タンタル、フッ化タンタル、臭化タ
ンタルのうちの少なくともいずれか1種又はその混合体
を使用することができる。ハロゲン化チタン並びにハロ
ゲン化タンタルの純度は、各々99.5パーセント以上のも
のを使用する。
尚、この方法により製造される硬質被膜材料には、不
可避不純物として酸素が1原子パーセント以下固溶され
ている。
以下、プラズマCVD法の具体的処理方法については、
以下の如くである。
例えば、チタン源としては、塩化チタンを、タンタル
源としては、塩化タンタル(TaCl6)を使用する場合
は、塩化チタンは、常温で既に十分な蒸気圧があるので
キャリアガスと共に反応装置のチャンバー内に導入し、
一方、塩化タンタルは、常温で固体であり、このままで
は反応装置内に導入できないため、50〜120℃の温度範
囲で塩化タンタル及び反応装置のチャンバーに導入す
る。窒化反応ガスとしては、窒素及び/又はアンモニア
ガス(純度は各々99.9パーセント以上)を使用し、キャ
リアガスとしては、アルゴンガス又はアルゴン−水素混
合ガス(純度は各々99.9パーセント以上)などを使用す
る。全ガス圧は、1〜500Pa、好ましくは、50〜200Paと
する。1Pa未満ではプラズマが発生しにくくなり、500Pa
を超えると被膜材料の組織が粗大化し、良好な被膜が得
られない。
製造される硬質遷移金属窒化物固溶体の化学組成は、
基板温度、全ガス圧、ガス流量及び/又は濃度等に依存
しているが、その中でも特にチタン源ガスの流量及び/
又は濃度によって決定される。即ち、反応装置内のチャ
ンバー内に導入されるハロゲン化チタンガス、ハロゲン
化タンタルガス、窒素及び/又は濃度を調整することに
より、析出被膜材料の化学組成が、所望の通りに、得ら
れる。一方、硬質遷移金属窒化物固溶体被膜材料を形成
させる基板は、セラミックス材料、金属材料等のものが
用いられ、400〜700℃の範囲に加熱されることが必要で
ある。即ち、加熱温度が400℃以下では、形成される被
膜は非晶質であり、硬度の向上が認められない。加熱温
度が700℃以上では、形成される被膜材料そ組織が、粗
大化したり、ヒータやチャンバー内壁が過熱されるため
に、その中に含有される不純物がガス化して、被膜材料
中に混入することにより、硬度の低下が見られる。従っ
て、微細な結晶質状組織が、形成される400〜700℃の範
囲温度に基板を加熱することが好適である。
更に、原料の混合ガス(即ち、ハロゲン化チタンガス
とハロゲン化タンタルガス)と反応ガス(即ち、窒素ガ
ス及び/又はアンモニアガス)との間で分解窒化反応を
生起させるプラズマパワーは、150〜2000Wの範囲が好適
である。即ち、150W未満では、形成される被膜材料の組
織が多孔質であり、パワーが高くなるにつれて、緻密化
するが、2000Wを超えると被膜材料の逆スパッタリング
が激しくなり、被膜形成速度が飽和するので、これ以上
のパワーは必要としない。
本発明により得られる硬質被膜材料は、更に、例え
ば、切削工具又は金型のような製品の被膜として有用で
あり、有効に用いることができる。
次に、本発明による硬質被膜材料の製造方法を具体的
に実施例により説明するが、本発明はそれらによって限
定されるものではない。
[実施例1] [反応スパッタリング法] 耐陰極材(ターゲット)として、TiとTaの原子比が、
2.5:7.5、5.5:5及び7.5:2.5の3種類の合金(純度99.9
パーセント)を使用し、各陰極に対して窒化反応ガスと
しての窒素ガス(純度99.999パーセント)の分圧を各々
0.4Pa、0.3Pa、0.25Pa、0.2Pa、0.15Pa、0.1Paと6例に
変化させて、実験した。スパッタリング用ガスとして、
アルゴンガス(純度99.999パーセント)を利用して、SU
S316ステンレス鋼板を基板として、その上に被膜形成し
た。この基板は、被膜形成に先だって、トリクロロエチ
レンで1時間超音波洗浄して、脱脂した後、水素プラズ
マで30分間表面をクリーニングして、以下の被膜形成処
理条件による反応スパッタリング処理に供した。その被
膜形成処理の条件は、次の通りであった。
プラズマ周波数:13.56MHz プラズマパワー:1kw 基板温度:450℃ 処理時間:120分間 全圧力:1Pa このようにして得られた本発明による硬質被膜材料Ti
−Ta−N系の窒化物の化学組成を、螢光X線分析法によ
り測定した。また、この析出被膜材料の硬度を、マイク
ロビッカース硬度計で測定した。その結果、化学組織と
硬度(Hv)の関係は、第1図に示す通りであった。但
し、図において、各測定した印●は、Nがモル比0.6以
上の組成のものであり、印○は、Nがモル比0.6以下の
ものであり、その付近に記した数字は、ビッカース硬度
(Hv)を示すものである。
[実施例2] [RFプラズマCVD法] チタン源として、塩化チタン(純度99.99パーセン
ト)を、タンタル源として塩化タンタル(純度99.99パ
ーセント)を使用した。塩化チタン並びに塩化タンタル
のキャリアガスとしてアルゴンガス(純度99.999パーセ
ント)を、反応ガスとして窒素ガス(99.999パーセン
ト)を使用して、アルミナ基板上にRFプラズマCVD法に
より被膜形成した。この基板は被膜形成に先だって、ト
リクロロルエチレンで1時間超音波洗浄して、脱脂した
後、水素プラズマで30分間表面をクリーニングして、被
膜形成処理した。この被膜形成条件は、次の通りであ
る。
プラズマ周波数:13.56MHz プラズマパワー:1.5kw 基板温度:600℃ 処理時間:120分間 全圧力:100Pa 水素ガス流量:260cc/分 窒素ガス流量は全アルゴン流量とともに、以下の6例
に変化させて、プラズマ処理した。
窒素(cc/分) 70 60 50 40 30 20 全アルゴン(cc/分)30 40 50 60 70 80 各々全アルゴン流量に対して、塩化チタンのキャリア
ガスであるアルゴンと、塩化タンタルのキャリアガスで
あるアルゴンとの流量比を、3:7、5:5、7:3の3つの場
合に変化させた。
このようにして得られた窒化物の化学組成を、螢光X
線分析法により測定した。また、この析出被膜の硬度
は、マイクロビッカース硬度計で測定した。その結果、
化学組成と硬度(Hv)の関係は、第2図に示すものであ
った。但し、図において、各測定した印●は、Nがモル
比0.6以上の組成のものであり、印○は、Nがモル比0.
以下のものであり、その付近に記した数字は、ビッカー
ス硬度(Hv)を示すものである。
[実施例3] [反応性スパッタリング法] 対陰極(ターゲット)として、組成比がTiN−TaN焼結
体(TiとTaの原子比が2.5:7.5、5:5、7.5:2.5の3種類
のもので、その純度は、99.9パーセント)を調製し、各
々対陰極に対して窒化反応ガスとしての窒素ガス(純度
99.999パーセント)の分圧をそれぞれ0.3Pa、0.2Pa、0.
1Pa、0.05Pa、0.0Paの6例に変化させて、実験した。こ
れらの被膜形成条件は、実施例1と同じとした。このよ
うにして得られた被膜材料中には、酸素が0.1〜1.0原子
パーセント固溶していることが、厳密な螢光X線定量分
析による測定の結果判明した。
また、このようにして得た析出被膜のビッカース硬度
(Hv)は、実施例1のものと同じ程度であることが確認
された。
[発明の効果] 本発明による硬質被膜材料並びにその製法により、次
のような顕著な技術的効果が得られた。
第1に、従来公知の高硬質被膜材料の硬度を改善し、
高めることが可能になる。
第2に、最近の耐摩耗性に対する厳しい要求に応える
ことができ、設備、装置の長寿命化をもたらすことがで
きる。
第3に、更に、そのために、エネルギー効率の向上な
ど、その得られる経済的効果が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、スパッタリング反応法で被膜形成して得られ
た被膜材料の組成比と硬度(Hv)の関係を示すグラフで
ある。 第2図は、RFプラズマCVD法で被膜形成して得られた被
膜材料の組成比と硬度(Hv)の関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/00 - 16/56

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式: 式:Ti1-x−Tax−N1-y(但し、0.2<x<0.7、0<y≦
    0.6)を有する3元系遷移金属窒化物固溶体であること
    を特徴とする硬質被膜材料。
  2. 【請求項2】一般式、Ti1-x−Tax−N1-yにおけるx値
    が、0.3〜0.6であることを特徴とする請求項1に記載の
    硬質被膜材料。
  3. 【請求項3】酸素が1原子パーセント以下とする不可避
    不純物を固溶していることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の硬質被膜材料。
  4. 【請求項4】一般式:Ti1-x−Tax−N1-y系(但し、0.2<
    x<0.7、0<y≦0.6)の3元系遷移金属窒化物固溶体
    からなる硬質被膜材料の製造方法において、 チタン源としての金属チタン並びにタンタル源としての
    金属タンタルを、所望のTi/Ta比率の被膜が得られるよ
    うな面積比で対陰極として設置するか或いは、所望のTi
    /Ta比率の被膜が得られるような割合のチタン源並びに
    タンタル源としてのTi−Ta合金を対陰極として設置し、
    キャリアガスに搬送される窒化反応ガスとしての窒素ガ
    ス及び/或いはアンモニウムガスの流量及び/或いは濃
    度を、所定範囲に制御し、基板温度を200℃〜700℃に保
    持し、プラズマ電力を200〜2000Wに、全ガス圧を0.1〜1
    00Paに保持して、スパッタリング処理により被膜形成を
    行うことを特徴とする請求項1記載の硬質被膜材料の製
    造方法。
  5. 【請求項5】一般式:Ti1-x−Tax−N1-y系(但し、0.2<
    x<0.7、0<y≦0.6)の3元系遷移金属窒化物固溶体
    からなる硬質被膜材料の製造方法において、 対陰極としてTiN/TaN系混合焼成体を使用し、所望組成
    のTi1-x−Tax−N1-y(但し、0.2<x<0.7、0<y≦0.
    6)を有する3元系遷移金属窒化物固溶体の被膜材料と
    なるように、TiN−TaN系混合焼成体の組成比を調整する
    とともに、窒素源が不足する場合は、窒素反応ガスとし
    て窒素ガス及び/或いはアンモニウムガスの流量及び/
    或いは濃度を更に、制御して、基板温度を200℃〜700℃
    に保持して、プラズマ電力を200〜2000Wに保持し、全ガ
    ス圧を0.1〜100Paとして、スパッタリング法により被膜
    形成を行うことを特徴とする請求項1の硬質被膜材料の
    製造方法。
  6. 【請求項6】一般式:Ti1-x−Tax−N1-y系(但し、0.2<
    x<0.7、0<y≦0.6)の3元系遷移金属窒化物固溶体
    からなる硬質被膜材料の製造方法において、 キャリアガスに搬送されるチタン源としてのハロゲン化
    チタンガスの流量及び/或いは濃度を調整し、キャリア
    ガスに搬送されるタンタル源としてのハロゲン化タンタ
    ルガスの流量及び濃度を調整し、その搬送ガス中の窒化
    反応ガスとしての窒素ガス及び/或いはアンモニウムガ
    スの流量及び/或いは濃度を調整して、所望の組成のTi
    1-x−Tax−N1-y系(但し、0.2<x<0.7、0<y≦0.
    6)の被膜材料が得られるようにすると共に、基板温度
    を150℃〜700℃に保持し、プラズマ電力を150〜2000Wに
    保持し、全ガス圧を1〜500Paに保持し、プラズマCVD
    (化学的蒸着法)処理により、分解窒化反応を生起せし
    めることを特徴とする請求項1記載の硬質被膜材料の製
    造方法。
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