JPH0326673B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は感熱記録紙に関し、特に発色性その他
の記録適性にすぐれ、かつ発色画像が指紋等に対
し安定な感熱記録紙に関する。 （従来技術） フルオラン系無色染料とフエノール類、有機酸
との加熱発色反応を利用した感熱記録紙は特公昭
45−14039号公報等に発表され広く実用化されて
いる。これらの感熱記録紙は計測用記録計、コン
ピユーターおよび情報通信の端末機、フアクシミ
リ、乗車券自動券売機など広範囲な分野に応用さ
れている。これらの記録装置はサーマルヘツドや
熱ペンなどの熱素子を備えており、この素子の加
熱により発色して記録が得られる。最近では用途
の多様化と装置の高性能化が進められるに従い、
感熱記録紙に対する要求品質もより高度なものと
なつてきている。例えば、フアクシミリではA4
判の記録の従来数分かかつていたものが１分以内
に記録されている。このような現状において、感
熱記録紙の感度を向上する方法として、たとえば
ワツクス類（特開昭48−19231号）、含窒素化合物
類（特開昭49−34842号）、フタル酸エステル類
（特開昭57−116690号）などを添加使用すること
が提案されているが、発色感度、発色画像の安定
性、記録適性、地肌カブリ等、感熱記録紙に要求
される性能をバランスよく満足するものはまだ得
られていない。 感熱記録紙では、感熱記録層中に発色性物質と
フエノール化合物がそれぞれ微粒子状で分散され
て存在しているものが、加熱によつて両者の一成
分が溶解或いは両成分が共融して互いに密に接触
して発色すると考えられる。 米国特許1509375号には、このような目的に使
用する適当なフエノール化合物の例の１つとし
て、２，２−ビス（4′−ヒドロキシフエニル）プ
ロパン（BPA、融点156℃）が記載されており、
今日多く使用されている化合物であるが、前述の
ような熱溶融による発色のためにはかなりの高温
度（140〜150℃）にしなければ鮮明な発色は困難
である。このために感熱記録紙には感度向上剤と
して、前述のような化合物が使用されるが、これ
らのものは発色性化合物やフエノール化合物を溶
解しにくかつたり、昇華性であつたり熱溶融エネ
ルギーが大きかつたりして実用性に乏しい。 （発明の目的） 本発明の目的は、前述のような欠点を有せずし
て、実用的で広い用途に使用できる発色感度向上
剤を提供しようとすることである。 （発明の構成） 本発明は、少なくとも１種の無色ないし淡色の
発色性物質とフエノール化合物の少なくとも１種
とを感熱層中に含有する感熱記録紙において、下
記の式（）で表わされるアントリルエーテル誘
導体または式（）で表わされるアントリルエー
テル誘導体の少なくとも１種を含有することを特
徴とする感熱記録紙である。 ただし式（）においてR₁はアルキル基、ア
リール基およびアラキル基から選ばれた基を表わ
し、式（）においてR₁およびR₅はアルキル基
またはアラルキル基を表わすものとする。 本発明の構成について以下に詳説する。 （発色性物質） 本発明の発色性物質には、通常無色ないし淡色
のフルオラン系染料として知られているものが使
用し得る。特に限定されるものではないが、例え
ば下記のものが挙げられる。 ３−ジエチルアミノ−６−メチル−７−アニリノ
フルオラン（黒色） ３−（Ｎ−エチル−Ｐ−トルイデイノ）−６−メチ
ル−７−アニリノフルオラン（黒色） ３−ジエチルアミノ−６−メチル−７−（オルト、
パラ−ジメチルアニリノ）フルオラン（黒色） ８−３−（Ｎ−イソアミル−Ｎ−エチル）−６−メ
チル−７−アニリノフルオラン（黒色） ３−ピロリデイノ−６−メチル−７−アニリノフ
ルオラン（黒色） ３−ピペリデイノ−６−メチル−７−アニリノフ
ルオラン（黒色） ３−（Ｎ−シクロヘキシル−Ｎ−メチルアミノ）−
６−メチル−７−アニリノフルオラン（黒色） ３−ジエチルアミノ−７−（オルト−クロロアニ
リノ）フルオラン（黒色） ３−ジエチルアミノ−７−（メタ−トリフルオロ
メチルアニリノ）フルオラン（黒色） ３−ジエチルアミノ−６−メチル−クロロフルオ
ラン（赤色） ３−ジエチルアミノ−６−メチル−フルオラン
（赤色） ３−シクロヘキシルアミノ−６−クロロフルオラ
ン（橙色） （フエノール化合物） 一方フエノール化合物としては、その用途およ
び所要性能に応じて、種々選択できるが、具体的
には、２，２−ビス（4′−ヒドロキシフエニル）
プロパン（ビスフエノールＡ）、２，２−ビス
（4′−ヒドロキシフエニル）ペンタン、２，２−
ビス（4′−ヒドロキシ−3′，5′−ジクロロフエニ
ル）−プロパン、１，１−ビス（4′−ヒドロキシ
フエニル）シクロヘキサン、２，２−ビス（4′−
ヒドロキシフエニル）ヘキサン、１，１−ビス
（4′−ヒドロキシフエニル）−プロパン、１，１−
ビス（4′−ヒドロキシフエニル）ブタン、２，６
−ジ−tert−ブチルフエノール、２−tert−ブチ
ル−ｐ−クレーゾール、２，５−ジ−tert−ブチ
ル−ｐ−クレゾール、ｐ−ヒドロキシ安息香酸メ
チル、ｐ−ヒドロキシ安息香酸エチル、ｐ−ヒド
ロキシ安息香酸ベンジル、ｐ−ヒドロキシ安息香
酸トリルメチル、ｐ−ヒドロキシ安息香酸フエネ
チル、ｐ−ヒドロキシ安息香酸フエニル等を挙げ
ることができるが、これらに限定されるものでは
ない。これらフエノール化合物１重量部に対し
て、たとえば、0.1〜２重量部のアントリルエー
テル誘導体が用いられる。 （アントリルエーテル誘導体） 本発明におけるアントリルエーテル誘導体を具
体的に例示すれば、１−イソアミルオキシ−アン
トラセン、１−フエニルオキシ−アントラセン、
１−トリルオキシ−アントラセン、１−ベンジル
オキシ−アントラセン、２−ベンジルオキシ−ア
ントラセン、１−ナフトキシ−アントラセン、２
−ナフトキシ−アントラセン、２，７−ジベンジ
ルオキシ−アントラセン、２，７−ジイソアミル
オキシ−アントラセンなどである。 （製造方法） 本発明の感熱記録紙は次の方法により得ること
ができる。すなわち、発色性化合物、フエノール
系化合物、アントリルエーテル誘導体を別個に適
当な濃度の結合剤を含む媒体中でボールミル等の
粉砕機を使用して数μｍ以下の粒子径に粉砕、分
散し、こうして得られた分散液を３者混合して一
液となし、これに必要に応じて充填剤、増白剤、
湿潤剤、滑剤、消泡剤等を添加したものを、適当
な支持体上に塗布、乾燥する。 充テン剤、増白剤、湿潤剤、滑剤、消泡剤およ
び支持体は、従来の感熱記録紙を製造するために
使用できるもののすべてを本発明でも使用でき
る。塗布方法および乾燥方法も従来の方法をその
まま使用することができる。 実施例 本発明をさらに理解しやすくするために、本発
明の好ましい実施例を下記に述べるが、本発明は
下記の実施例によつて制限を受けるものではな
い。なお実施例中の「部」は、すべて重量部であ
る。 実施例 １ Ａ液（染料分散液） ３−（Ｎ−シクロヘキシル−Ｎ−メチル−アミノ）
−６−メチル−７−アニリノフルオラン ２部 10重量％ポリビニルアルコール水溶液 ４部 水 ４部 Ｂ液 ２，２−ビス（4′−ヒドロキシフエニル）プロパ
ン ６部 ステアリン酸亜鉛 0.5部 ステアリン酸アミド 0.5部 10重量％ポリビニルアルコール水溶液 18部 Ｃ液 １−ベンジルオキシアントラセン ２部 10重量％ポリビニルアルコール水溶液 ４部 水 ４部 Ａ、Ｂ、Ｃの３液をそれぞれ別個のボールミルで
粒径１〜5μｍまで粉砕分散する。次いで下記の
割合で分散液を混合して塗液とする。 Ａ液 10部 Ｂ液 20部 Ｃ液 10部 炭酸カルシウム（50重量％水分散液） 17部 この塗液を50ｇ／m²の基紙の片面に固形物の塗布
量5.5ｇ／m²になるように、塗布、乾燥し、その
シートをスーパーカレンダーで平滑度が300〜500
秒になるように処理し、感熱記録紙を得た。評価
結果を後記の表−１に示す。 実施例 ２ 実施例１のＣ液に於て２−ベンジルオキシ−ア
ントラセンを用いて実施例１と同様に感熱記録紙
を得た。評価結果を表−１に示す。 実施例 ３ 実施例１のＣ液に於て２，７−ジベンジルオキ
シ−アントラセンを用いて実施例１と同様に感熱
記録紙を得た。評価結果を表−１に示す。 比較例 １ 実施例１のＣ液を添加せずに感熱記録紙を得
た。 評価結果を表−１に示す。

【表】

【表】 （発明の効果） 本発明の効果としては、次の諸点があげられ
る。 (1) 熱応答性が優れているために、高速度、高密
度の記録においても高濃度で鮮明な記録が得ら
れる。 (2) サーマルヘツドに対する粕付着やステイツキ
ングなどのトラブルが無く、記録適性が極めて
すぐれている。 (3) 地肌が白く、経時による着色がない。 (4) 発色画像の指紋、湿度、熱による退色が少な
い。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 少なくとも１種の無色ないし淡色の発色性物
   質とフエノール化合物の少なくとも１種とを感熱
   層中に含有する感熱記録紙において、下記の式
   （）で表わされるアントリルエーテル誘導体ま
   たは式（）で表わされるアントリルエーテル誘
   導体の少なくとも１種を含有することを特徴とす
   る感熱記録紙。 ただし式（）においてR₁はアルキル基、ア
   リール基およびアラルキル基から選ばれた基を表
   わし、式（）においてR₁およびR₅はアルキル
   基またはアラルキル基を表わすものとする。