JPH0326548Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案はCRT管面に図形、文字などをベク
トルスキヤンにより表示できると共に、TV画像
の表示（ラスタースキヤン）も行なえるようにし
たCRT表示装置に関する。

（従来の技術とその問題点） 電磁偏向型のCRTでは、図形などのシンボル
を表示する方式として図形などの線に沿つて電子
ビームを動かすベクトルスキヤンを適用する場
合、得られる画像の位置精度を確保するために、
従来より負帰還を施した偏向アンプを用いるのが
通例である。

ところが、このような構成のCRT表示装置を
用いてラスタースキヤンを行なつた場合、上記負
帰還の作用により応答ずれが生じて、画像の位置
精度が低下するという問題を有する。このこと
を、例えば第２図に示すように歪んだ画面１を上
記のCRT表示装置を用いてアークスキヤンによ
り表示する場合について説明すれば、以下の通り
である。

第２図の画面１において、水平方向の走査の振
幅は、画面１の上部に比べて下部の方が大きくな
る。そのため、負帰還を施した上記の偏向アンプ
に生じる遅れは、画面１の上部を走査するときと
下部を走査するときとで異なることになる。すな
わち、走査の振幅が大きい下部ほど遅れ量が大き
くなる。この遅れは、帰還抵抗にそのインダクタ
ンス分に比例した(1)式に示す量の電圧が遅れ量と
して発生することに起因するものである。

遅れ量＝Ｋ・Ｌ・dI／dt ＝Ｋ・Ｌ・振幅／帰引時間 …(1) ただし Ｋ：定数 Ｌ：帰還抵抗のインダクタンス （問題点を解決するための手段） この考案は、上記問題を解決するためになされ
たもので、ベクトルスキヤンの際の画像の位置精
度を確保するために負帰還型の偏向アンプを用い
たCRT表示装置において、ラスタースキヤンを
行なつた場合にも位置ずれのない精度の良い画像
が得られると共に、画像に歪みがある場合にこれ
を適宜補正することも可能なCRT表示装置を提
供することを目的とする。

この考案のCRT表示装置は、上記目的を達成
するために、偏向系に負帰還型の偏向アンプを用
いたCRT表示装置において、前記偏向アンプに
水平走査ノコギリ波の信号を与える水平走査ノコ
ギリ波発振回路と、この発振回路より上記ノコギ
リ波の信号を受けるラツチ回路を設け、このラツ
チ回路により１回の水平走査ごとにそのノコギリ
波の振幅に比例した電圧を出力し、これを前記偏
向アンプにオフセツト電圧として与えるように構
成して、負帰還の作用により偏向アンプに生じる
遅れを補正するようにしたものである。

（実施例） 第１図は、この考案の一実施例であるCRT表
示装置の水平偏向系を示す概念図である。

同図において、水平走査ノコギリ波発振回路２
は、ノコギリ波の水平走査信号を出力する回路で
あり、その次段には上記水平走査信号を受けこれ
を増幅する偏向アンプ３が設けられている。上記
偏向アンプ３の次段には水平偏向ヨーク４が接続
され、偏向アンプ３の増幅出力に応じて図示しな
い電子銃からの電子ビームを水平偏向するように
構成されている。また上記水平偏向ヨーク４には
帰還抵抗５が直列接続され、この帰還抵抗５の分
圧分を偏向アンプ３の入力側に帰還するように負
帰還回路６が形成されている。

一方、上記水平走査ノコギリ波発振回路２は、
別に形成されたノコギリ波スタート電圧ラツチ回
路７に接続されている。このノコギリ波スタート
電圧ラツチ回路７はサンプル・アンド・ホールド
回路からなり、各水平走査の始まりのタイミング
において上記水平走査ノコギリ波発振回路２より
出力されるアナログ量の水平走査ノコギリ波信号
を受け取り、その信号の振幅の絶対値（すなわち
走査振幅に対応）をサンプリングホールドして、
次の水平走査の１周期の間、上記振幅の絶対値に
比例した電圧を出力し続け、これをオフセツト電
圧として上記偏向アンプ３の前段に加えるように
構成されている。そしてこのオフセツト電圧が、
上述したように走査振幅に比例した値として負帰
還回路６より偏向アンプ３の入力側に帰還される
負帰還抵抗５のインダクタンス分の電圧を相殺す
るように、上記サンプル・アンド・ホールド回路
の特性を予め設定しておく。

なお、上記ノコギリ波スタート電圧ラツチ回路
７は、入力される水平走査信号のノコギリ波が
Ｄ／Ａ変換される前のデジタル量である場合に
は、各水平走査信号のはじまり毎にこの信号をラ
ツチして、そのデジタル量に応じた電圧をその水
平走査１週期の間出力し続けるように構成すれば
良い。

つぎに、この装置の動作を説明する。既述した
ように水平走査の振幅が大きくなると、これに比
例して帰還抵抗５のインダクタンス分による負帰
還量が増大し、この値が偏向アンプ３の応答遅れ
を増長させる。ところが、上記ノコギリ波スター
ト電圧ラツチ回路７より出力されるオフセツト電
圧を水平走査の振幅に比例した値であり、しかも
上記帰還抵抗５のインダクタンス分による遅れ量
と相殺し合うように設定されているため、上記遅
れ量が打ち消される。そのため、前述した第２図
のような歪んだ画面１をラスタースキヤンする場
合にも、水平走査の振幅の変化に起因する偏向ア
ンプ３の応答遅れの差は補正され、画面の表示位
置は正しくなる。

なお上記ノコギリ波スタート電圧ラツチ回路７
は、水平走査の振幅の変化に起因する画面の位置
ずれの補正に限らず、画像の歪みがある場合に
も、上記オフセツト電圧をその歪みの補正に適す
る値に調整することにより、画像のの歪みを補正
する手段として適用することも可能である。

（考案の効果） 以上のように、この考案のCRT表示装置によ
れば、ベクトルスキヤンの際の画像の位置精度を
確保するために用いられる負帰還を施した偏向ア
ンプが、ラスタースキヤンの場合の画像を位置ず
れさせるのを、ノコギリ波スタート電圧ラツチ回
路より得られるオフセツト電圧により補正して、
ベクトルスキヤンおよびラスタースキヤンの何れ
でも精度の良い画像を得ることができると共に、
画像に歪みが生じた場合に上記オフセツト電圧を
調整することによりその歪みを適宜補正すること
も可能となるという効果が得られる。

また、その構成にコイルを用いないものである
から、他の回路との間で誘導ノイズが影響し合う
のを回避するための対策も不要で、構成が簡単で
あるという効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例であるCRT表示
装置の水平偏向系を示す概念図、第２図は従来例
の問題点を説明するための説明図である。 ２……水平走査ノコギリ波発振回路、３……偏
向アンプ、６……負帰還回路、７……ノコギリ波
スタート電圧ラツチ回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 偏向系に負帰還型の偏向アンプを用いたCRT
   表示装置において、前記偏向アンプに水平走査ノ
   コギリ波の信号を与える水平走査ノコギリ波発振
   回路と、この発振回路より上記ノコギリ波の信号
   を受けその振幅に比例した電圧を得てこれを前記
   偏向アンプにオフセツト電圧として与えるラツチ
   回路とを備えたCRT表示装置。