JPH032646Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 この考案は、多数弁方式エンジンにおける吸排
気弁駆動装置に関するものである。

考案の技術的背景及びその問題点 従来、一つのシリンダに対して二個の吸気弁あ
るいは二個の排気弁を備えた多数弁方式エンジン
がある。このようなエンジンにおいては、吸気弁
同志又は排気弁同志を同じタイミングで開閉駆動
する必要があり、そのための手段として、
DOHC方式、ダブルロツカーアーム方式、変形
ロツカーアーム方式等により吸排気弁駆動装置が
採用されている。しかしながら、これらの吸排気
弁駆動装置には以下に述べる様々な欠点がある。

まず、DOHC方式のものは、二本のカムシヤ
フトを有し、一方のカムシヤフトに固定したカム
によつて一方の吸気弁（又は排気弁）を駆動し、
他方のカムシヤフトに固定したカムによつて他方
の吸気弁（又は排気弁）を駆動するものである。
したがつて、双方のカムシヤフトを同一のタイミ
ングで回転させなければならず、調整が困難であ
り高価なものとなるため、一部高性能エンジンに
のみ使用されている。

つぎに、ダブルロツカーアーム方式のものは、
各吸気弁（又は排気弁）ごとにロツカーアームが
設けられており、ロツカーアームの数が増加す
る。したがつて、ロツカーアームの取付けのため
に広い取付スペースが必要であり、一部大型エン
ジンにのみ使用されている。

また、変形ロツカーアーム方式のものは、ロツ
カーアームを例えばＹ字とし、一つのロツカーア
ームで二つの吸気弁（又は排気弁）を駆動するも
のであるが、双方の吸気弁（又は排気弁）のスト
ロークを同一にするためには、ロツカーアームの
回動支点から双方の吸気弁（又は排気弁）までの
距離を等しくしなければならない。したがつて、
吸気弁（又は排気弁）を設ける位置についての制
約が大きく、量産形エンジンにおいてはほとんど
実用化されていない。

考案の目的 この考案は、このような点に鑑みなされたもの
で、多数弁方式エンジンにおける構造が簡単で、
調整が容易であり、安価で、量産性のある吸排気
弁駆動装置を得ることを目的とする。

考案の概要 この考案は、同じ作用をする複数個の弁を互い
の弁軸を平行にして一方向に付勢して設け、前記
弁軸の先端にコネクタを固定的に連結し、このコ
ネクタの前記弁軸と逆側にそれらの弁軸と平行な
摺動軸を突出形成し、この摺動軸を固定的に設け
られたホルダに軸方向摺動自在に嵌合し、前記摺
動軸の端部にその摺動軸の軸心と直交する軸心を
もつて回動するカムを当接したものである。した
がつて、カムにより駆動されるコネクタは、その
摺動軸がホルダにより保持されているため、傾く
ことなく軸方向に往復移動し、これにより、その
コネクタに弁軸が連結された複数個の弁を安定し
た状態で駆動することができ、構造が簡単である
ため、安価で量産性があるものである。

考案の実施例 この考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。まず、シリンダヘツド１には弁である二個の
吸気弁２，３と一個の排気弁４とが保持され、い
わゆる三バルブ方式のエンジンが構成されてい
る。前記弁２，３，４の弁軸５の上端部には、リ
テーナ６とコツタ７とが固定され、リテーナ６と
シリンダヘツド１の上端面との間にはバルブスプ
リング８が圧縮状態で装着されている。さらに、
吸気弁２，３の弁軸５の先端部にはコネクタ２０
が固定的に連結され、このコネクタ２０は吸気弁
２，３と一体的に弁軸５の軸心方向にのみ移動自
在に設けられている。

ついで、前記コネクタ２０には、前記弁軸５と
逆方向に突出し端面２７が平坦に形成された摺動
軸２８が一体的に形成されており、この摺動軸２
８は固定的に設けられたホルダ２１に軸方向に摺
動自在に嵌合されている。

また、前記シリンダヘツド１の上面部には複数
個のブラケツト２２が直線上に配列され、ボルト
２３により固定されている。そして、これらのブ
ラケツト２２により前記摺動軸２８の軸心方向と
直交する方向に軸心を向けたカムシヤフト２４が
保持されている。このカムシヤフト２４には、前
記吸気弁２，３を開閉するためのカム２５と前記
排気弁４を開閉するためのカム２６とが固定的に
嵌合されている。そして、前記カム２５は前記コ
ネクタ２０の摺動軸２８の端面２７に当接されて
いる。

このような構成において、カムシヤフト２４が
軸心回りに回転し、カム２５，２６も一体的に回
転する。そして、カム２５の回転に応じたカム２
５と摺動軸２８の端面２７との当接によりコネク
タ２０と吸気弁２，３とが一体的に上下動し、吸
気孔１９が同時に開閉される。したがつて、ホル
ダ２１で保持されているコネクタ２０のその上下
動時に傾くことがなく、安定した状態で上下動
し、これにより、二つの吸気弁２，３の動きは全
く一致している。

考案の効果 この考案は上述のように、同じ作用をする複数
個の弁を互いの弁軸を平行にして一方向に付勢し
て設け、前記弁軸の先端にコネクタを固定的に連
結し、このコネクタの前記弁軸と逆側にそれらの
弁軸と平行な摺動軸を突出形成し、この摺動軸を
固定的に設けられたホルダに軸方向摺動自在に嵌
合し、前記摺動軸の端部にその摺動軸の軸心と直
交する軸心をもつて回動するカムを当接したの
で、カムにより駆動されるコネクタは、その摺動
軸がホルダにより保持されているため、傾くこと
なく軸方向に往復移動し、これにより、そのコネ
クタに弁軸が連結された複数個の弁を安定した状
態で駆動することができ、しかも、構造が簡単で
あるため、安価で量産性があると云う効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は縦断側面図、第２図はその平面図である。 ２，３……弁、５……弁軸、２０……コネク
タ、２１……ホルダ、２５……カム、２８……摺
動軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 同じ作用をする複数個の弁を互いの弁軸を平行
   にして一方向に付勢して設け、前記弁軸の先端に
   コネクタを固定的に連結し、このコネクタの前記
   弁軸と逆側にそれらの弁軸と平行な摺動軸を突出
   形成し、この摺動軸を固定的に設けられたホルダ
   に軸方向摺動自在に嵌合し、前記摺動軸の端部に
   その摺動軸の軸心と直交する軸心をもつて回動す
   るカムを当接したことを特徴とする吸排気弁駆動
   装置。