JPH0325581Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は釣用リール、詳しくは、釣糸を巻装す
るスプールをリールボデイに回転可能に支持する
と共に、このスプールの一端面と対向するドラツ
グワツシヤ及びドラツグデイスクをもつたドラツ
グ機構を設けた釣用リールに関する。

（従来の技術） 従来、此種リールにおける前記ドラツグワツシ
ヤは、特開昭58−146226号公報に記載されている
通り、前記スプールに対し回転可能に設けられて
いる。

所で、本考案出願人は、先に、前記スプールの
一端面内周側に、複数個の回り止めねじを周方向
に一定間隔を置いて取付けると共に、前記ドラツ
グワツシヤの内周部に、前記回り止めねじの頭部
に嵌合する複数個の凹欠部を周方向に配設し、こ
れら凹欠部の前記各回り止めねじ頭部への嵌合に
より前記ドラツグワツシヤを前記スプールの一端
面に回転不能で、かつ軸方向移動可能に保持する
一方、前記ドラツグワツシヤ及びドラツグデイス
クの軸方向外方を覆うカバー部と内ねじをもつ取
付筒部とから成るシールカバーを設けると共に、
前記スプールのフランジ外周部に、外周面にねじ
をもつた筒部を設けて、該筒部に前記シールカバ
ーの取付筒部を螺着したリールを提案した。（実
開昭61−80669号公報） （考案が解決しようとする問題点） 所が、前記ドラツグワツシヤは、比較的薄肉で
あるため、このドラツグワツシヤに前記凹欠部を
複数個設けると共に、ドラツグワツシヤの耐久性
が大きく低下する問題があつたし、又、複数個の
回り止めねじが必要であるため、組付作業性が悪
くなる問題もあつた。

本考案の目的は、前記シールカバーを螺着する
ことによつて、前記ドラツグワツシヤの回転を阻
止することができると共に、ドラツグワツシヤを
スプールの一端面に対し軸方向に変位させること
ができるようにするものである。

（問題点を解決するための手段） しかして、本考案は、リールボデイＡにスプー
ル５を回転可能に支持すると共に、このスプール
５の一端面と対向するドラツグワツシヤ６１及び
ドラツグデイスク６２をもつたドラツグ機構６を
設けた釣用リールであつて、前記ドラツグワツシ
ヤ６１及びドラツグデイスク６２の軸方向外方を
覆うカバー部４１と、前記スプール５への取付筒
部４２とをもつたシールカバー４０を設ける一
方、前記スプール５のフランジ外周部に、内ねじ
をもつた筒部５４を設けて、該筒部５４に前記シ
ールカバー４０の取付筒部４２を螺着すると共
に、この取付筒部４２に、前記ドラツグワツシヤ
６１を前記スプール５の一端面に押圧して保持す
る押圧部を設けたものである。

（作用） スプール５のフランジ外周面を伝つてリールボ
デイＡ内に浸入した水をシールカバーで遮ぎつ
て、前記ドラツグワツシヤ及びドラツグデイスク
が水に漏れるのを防止できると共に、前記シール
カバー４０を螺着するだけの簡単な操作で前記ド
ラツグワツシヤ６１の回転を阻止できると共に、
ドラツグワツシヤ６１の外周部を除いた内周側部
分をスプールに対し軸方向に変位させることがで
きるものである。

（実施例） 図示したリールは両軸受リールであつて、Ａは
所定間隔を置いて相対向する１対の第１、第２サ
イドフレーム１，２と、これらサイドフレーム
１，２を連結する複数個の連結体３とから成るリ
ールボデイであつて、このリールボデイＡのサイ
ドフレーム１，２間にスプール軸４を軸方向に変
位可能に支持し、該スプール軸４の中央部に円筒
状の胴部５１と該胴部５１の長さ方向両端から半
径方向外方に向つて突出する１対の第１、第２フ
ランジ５２，５３とから成るスプール５を、前記
スプール軸４に対し相対移動可能な１対の軸受
G₁，G₂を介して回転自由に支持するのであり、
又、前記リールボデイＡにおける釣竿への装着側
底面に取付脚Ｂを設けるのであ。

前記サイドフレーム１，２には、前記スプール
５のフランジ外周面と対向する円環部１１，２１
をもつた内室１２，２１を設けて、前記スプール
５に巻装する釣糸が、前記第１、第２フランジ５
２，５３の外周面と円環部１１，２１との間の隙
間から前記内室１２，２２内に浸入するのを防ぐ
ようにする一方、前記内室１２，２２のうち、第
１サイドフレーム１の内室１２に、前記スプール
５の第１フランジ５２側端面と対向するドラツグ
ワツシヤ６１及びドラツグデイスク６２をもつた
ドラツグ機構６を設け、ハンドル７の回転による
駆動力を、前記ドラツグ機構６を介して前記スプ
ール５に伝える如く成している。

又、前記第１サイドフレーム１内には、前記ス
プール軸４の外周に挿嵌し、軸受G₃を介して前
記第１サイドフレーム１及びスプール軸４に対し
回転自由に支持するピニオンギヤ８１と、該ピニ
オンギヤ８１に噛合うマスターギヤ８２とをもつ
た駆動機構８を設けると共に、前記第１サイドフ
レーム１に、筒状の支持軸９を介して駆動軸１０
を回転自由に支持し、該駆動軸１０の第１サイド
フレーム１内への突入端に、前記マスターギヤ８
２を支持し、又、第１サイドフレーム１外側への
突出端に前記ハンドル７を固定し、該ハンドル７
の回転による駆動力を、前記マスターギヤ８２、
ピニオンギヤ８１、ドラツグデイスク６２、及び
ドラツグワツシヤ６１を介してスプール５に伝達
し、該スプール５を駆動するようにしており、
又、前記スプール軸４の一端を前記第１サイドフ
レーム１の外方に突出させて、該突出部外周に、
前記スプール軸４の軸方向への変位を操作するド
ラツグレバー２０を相対回転のみ可能に支持する
と共に、前記突出端部の軸端に前記ドラツグレバ
ー２０の取付体３０を取付け、これらドラツグレ
バー２０と取付体３０との間に、周方向に向かつ
て軸方向に変位するカム面をもつた１対の第１、
第２カム体３１，３２を設けて、前記ドラツグレ
バー２０の回転操作により前記取付体３０側の第
２カム体３２をドラツグレバー２０側の第１カム
体３１に対し軸方向に離反させて、前記スプール
軸４を第１図矢印方向に変位させると共に、この
スプール軸４の動きを、板ばね３３及び軸受G₂
を介してスプール５に伝え、該スプール５を前記
スプール軸４と共に第１サイドフレーム１側に変
位させて、前記ドラツグワツシヤ６１をドラツグ
デイスク６２に圧接し、この圧接による制動力に
よりスプール５のフリー回転に所定の抵抗を与え
るようにしている。

しかして、第１〜第３図に示した実施例では、
前記ドラツグワツシヤ６１を前記ドラツグデイス
ク６２より大径に形成すると共に、これらドラツ
グワツシヤ６１及びドラツグデイスク６２の軸方
向外方を覆う円板状のカバー部４１と、該カバー
部４１の外周部から軸方向内方に突出し、かつ外
周面にねじをもつた取付筒部４２とから成るシー
ルカバー４０を設ける一方、前記スプール５にお
ける第１フランジ５２の外周部に、軸方向外方に
延び、かつ内周面に内ねじ５４ａをもつた筒部５
４を設けて、該筒部５４の内ねじ５４ａに、前記
シールバー４０の取付筒部４２を螺着すると共
に、この取付筒部４２に、前記ドラツグワツシヤ
６１の外周部一側面に当接し、前記ドラツグワツ
シヤ６１を前記スプール５の一端面に押圧して保
持する押圧部４３を設けたのである。

以上の構成において、前記押圧部４３は、第３
図の如く断面Ｖ形に尖つた多数の突起から成り、
取付筒部４２端面の全周に亘つて連続して設けて
いる。尚、この押圧部４３は、環状或いは半円形
状であつてもよいのであつて、その形状は特に限
定されるものではない。

又、前記シールカバー４０は、主として合成樹
脂により形成するのであつて、前記円板部４１の
中心部には貫通孔を設けている。又、この円板部
４１には、外周面から径方向外方に向つて突出す
る環状突起４４と、内周部外側面から軸方向外方
に突出し、かつ、その先端が径方向外方に向つて
屈曲する受水片４５とをそれぞれ設けている。
又、前記取付筒部４２に設けるねじは、前記スプ
ール５の正回転方向と同方向のねじ（左ねじ）に
して、スプール５のフリー回転に抵抗を与えと
き、シールカバー４０が緩むのを防ぐようにして
いる。

又、前記ドラツグワツシヤ６１は、主として薄
肉のフエノール樹脂板或いは薄肉金属板などの耐
熱性及び可撓性をもつた基材の両側面に、綿、麻
などの耐熱性繊維の織布を接着して形成するので
ある。

又、前記ドラツグデイスク６２は、前記スプー
ル軸４に対し軸方向移動不能で、かつ、回転自由
に支持する回転筒７０に保持するのであつて、前
記ドラツグデイスク６２の内周面に凹凸条６２ａ
を設けると共に、前記回転筒７０の一端部外周
に、前記凹凸条６２ａに嵌合する凹凸条７０ａ
と、該凹凸条７０ａを横切る環状溝７０ｂとを設
けて、前記ドラツグデイスク６２を前記凹凸条７
０ａ部分に嵌合して回転筒７０との相対回転を阻
止すると共に、前記環状溝７０ｂに止め輪７１を
嵌めて、ドラツグデイスク６２の軸方向内方への
移動を阻止し、かつ、このドラツグデイスク６２
の外側面と前記回転筒７０の中間部に設ける径大
部７０ｃとの間に板ばねから成る弾性体７２を介
装し、この弾性体７２により前記ドラツグデイス
ク６２の軸方向外方への移動を阻止している。

又、前記回転筒７０の一端は、軸受G₄を介し
て前記スプール軸４に回転自由に支持し、又、他
端は、前記ピニオンギヤ８１の端部に相対回転不
能に嵌合している。

尚、図中３４は前記軸受G₁，G₄間に介装して、
前記スプール軸４及びスプール５を第２サイドフ
レーム２側に復動させる戻しばねである。

本考案は以上の如く構成するもので、ドラツグ
ワツシヤ６１をスプール５に保持する場合、該ド
ラツグワツシヤ６１を前記スプール５の筒部５４
内に挿入して、その内側面をスプール５の一端面
に接触させると共に、ドラツグデイスク６２を回
転筒７０に取付けて、前記ドラツグワツシヤ６１
の外側面と対接させた状態で、シールカバー４０
の取付筒部４２を、前記筒部５４の内ねじ５４ａ
にねじ込むのであつて、このねじ込みにより、前
記取付筒部４２に設けた押圧部４３が、前記ドラ
ツグワツシヤ６１の外周部一側面に当接し、該外
周部がスプール５の一端面に押付けられて保持さ
れるのである。このため、ドラツグワツシヤ６１
の回転を阻止することができるのであり、又、こ
のドラツグワツシヤ６１の外周部のみを保持する
から、前記ドラツグワツシヤ６１は、外周部を除
いた内周側部分を軸方向に変位させることができ
るのである。従つて、ドラツグワツシヤ６１のス
プール５に対する滑りを防止できると共に、ドラ
ツグワツシヤ６１をドラツグデイスク６２に対し
全面接触させ易いのであり、それだけ大きな制動
力を得ることができるのである。

又、前記ドラツグワツシヤ６１には凹欠部を全
く設けないため、該ドラツグワツシヤ６１の前記
凹欠部による強度低下はないのである。

又、前記ドラツグデイスク６２は、弾性体７２
を介して軸方向外方への動きを阻止しているた
め、前記ドラツグワツシヤ６１をドラツグデイス
ク６２に圧接して、スプール５のフリー回転に抵
抗を与える場合、前記ドラツグワツシヤ６１及び
ドラツグデイスク６２の振動を前記弾性体７２に
より吸収することができるので、前記振動による
音鳴りを防止できるのである。即ち、前記ドラツ
グワツシヤ６１を軸方向に変位可能に保持し、前
記ドラツグデイスク６２をリールボデイＡ側に固
定すると、前記ドラツグワツシヤ６１が前記ドラ
ツグデイスク６２に軽く圧接されたとき、前記ド
ラツグワツシヤ６１が振動して音鳴りするのであ
るが、前記弾性体７２を設けて、前記振動を吸収
することにより、前記音鳴りを防止できるのであ
る。

又、海、川などの水中に投擲した釣糸の前記ス
プール５への巻装時、又は巻装後、該釣糸の表面
に付着した水が前記釣糸から離れて、前記スプー
ル５における第１フランジ５２の外周面を伝つて
隙間から内室１２側に浸入した場合、前記シール
カバー４０により、前記浸入水が前記ドラツグワ
ツシヤ６１及びドラツグデイスク６２にかゝるの
を防ぐことができるのである。又、前記シールカ
バー４０に前記環状突起４４及び受水片４５を設
けることにより、前記筒部５４の外周面を伝つて
内室１２側に浸入する浸入水が環状突起４４に衝
突して、それ以上の浸入が阻止され、前記環状突
起４４の側面及び前記筒部５４の外周面に沿つて
リールボデイＡの底部側に流れるのであり、又、
前記環状突起４４を乗越えた水があつた場合、こ
の越境水は、前記カバー部４１表面を伝つて受水
片４５の溝部に落込み、この溝部に沿つてリール
ボデイＡの底部側に流れるのである。

尚、本考案のリールは、スプール軸４を軸方向
に移動可能とした第１図に示す如き両軸受リール
の他、スプール軸を回転のみ自由に支持した一般
的な両軸受リールであつても同様に構成すること
ができるのである。

（考案の効果） 以上の如く本考案によれば、スプール５のフラ
ンジ外周部に設けた筒部５４の内ねじにシールカ
バー４０の取付筒部４２を螺着するだけの簡単な
操作で、ドラツグワツシヤ６１の外周部を前記ス
プール５の一端面に押圧して保持し、このドラツ
グワツシヤ６１のスプール５に対する回転を阻止
できると共に、前記ドラツグワツシヤ６１の外周
部を除いた内周側部分を軸方向に変位させ得るの
で、前記ドラツグワツシヤ６１のスプール５に対
する滑りを防ぎ、かつ、前記ドラツグワツシヤ６
１をドラツグデイスク６２に全面接触させて、制
動力を増大でき乍ら、しかも、前記ドラツグワツ
シヤ６１は、その外周部のみを押圧して保持する
のであるから、ドラツグワツシヤ６１の強度低下
がなく、耐久性を向上できるのであり、又、前記
シールカバー４０をねじ込むだけの簡単な操作で
前記ドラツグワツシヤ６１を保持できるから、組
付作業性を向上でき、それだけコストダウンを図
ることができるのである。

又、シールカバー４０を設けることにより、前
記ドラツグワツシヤ６１及びドラツグデイスク６
２に水がかゝるのを防止できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案リールの一実施例を示す拡大断
面図、第２図はシールカバーのみの側面図、第３
図はシールカバーのみの部分拡大斜視図である。 Ａ……リールボデイ、５……スプール、５４…
…筒部、６……ドラツグ機構、６１……ドラツグ
ワツシヤ、６２……ドラツグデイスク、４０……
シールカバー、４１……カバー部、４２……取付
筒部、４３……押圧部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リールボデイＡにスプール５を回転可能に支持
   すると共に、このスプール５の一端面と対向する
   ドラツグワツシヤ６１及びドラツグデイスク６２
   をもつたドラツグ機構６を設けた釣用リールであ
   つて、前記ドラツグワツシヤ６１及びドラツグデ
   イスク６２の軸方向外方を覆うカバー部４１と、
   前記スプール５への取付筒部４２とをもつたシー
   ルカバー４０を設ける一方、前記スプール５のフ
   ランジ外周部に、内ねじをもつた筒部５４を設け
   て、該筒部５４に前記シールカバー４０の取付筒
   部４２を螺着すると共に、この取付筒部４２に、
   前記ドラツグワツシヤ６１を前記スプール５の一
   端面に押圧して保持する押圧部を設けたことを特
   徴とする釣用リール。