JPH032484Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、無塵、無菌の環境下において物品の
貯蔵及び取出しを行うクリーンルーム内の空気を
清浄化する装置に関する。

従来の技術 最近、精密機器やLSI等の電子部品、医薬品等
の製造に際し、大気中の塵埃、汚染物質等の悪影
響を避けると共に、これらの物品の取扱時におけ
る発塵を抑止して、微量の粉塵、汚染物質さえも
存在させない環境下で作業することが要請され、
そのために一定の空間を清浄化するクリーンルー
ムの開発がなされている。

このようなクリーンルームは、外気をHEPA
フイルタのような高性能フイルタを透して導入し
た清浄化された空気によつて充たされていると共
に、クリーンルーム内での発塵原因を排除するた
め、例えば、特開昭60−31410号公報に開示され
ているように、回転棚駆動手段の如き可動部から
の発塵がクリーンルーム内に流入しないようなセ
パレートプレートで隔離すると共に、クリーンル
ーム内の気流をセパレートプレートを通して可動
部方向へ吹き出させ、更に、クリーンルーム内に
直接汚染外気が流入しないように、クリーンルー
ム内の回転棚に対する物品の搬出入口に開閉扉を
設けて、物品搬出入時のみに該扉を開放し、それ
以外は常時閉塞状態にしていた。

考案が解決しようとする問題点 上述した従来の技術においては、物品の搬出入
時には扉が開放されるため、仮に扉開放時間を極
力少くしたとしても汚染外気の流入を完全に排除
することは困難であつて、クリーンルーム内の空
気清浄度を低下させる一因となつていることは否
定できない。

そこで、本考案は、物品搬出入時においても汚
染外気がクリーンルーム内に流入しないようにし
たものである。

問題点を解決するための手段 本考案は、上下方向に無端循環する複数の回転
棚を収納したクリーンルームと、該ルームの背面
に高性能フイルタを介して隔設した送風室と、該
ルームの両側面に設けた隔壁を介して区画した前
記回転棚の循環駆動室と、該ルームの前面上半部
を覆う気流案内板と、該ルームの前記下半開放部
に設けた物品搬出入部と、該ルームの底面に設け
たフイルタ底板と、前記回転棚の最下位置と該フ
イルタ底板との間に配置して前記送風室に空気を
圧送するブロアと、を有し、該ブロアにより圧送
された空気は、クリーンルーム背面の高性能フイ
ルタを透して清浄化された空気となつてクリーン
ルーム内に圧送され、前記気流案内板に下向誘導
されてクリーンルーム前面下半開放部より吹き出
されることによつて、物品の搬出入部において常
に外部への吹き出し気流を形成させたものであ
る。

作 用 クリーンルームのフイルタ底板より吸込まれた
外気は、ブロアによつて送風室へ圧送され、高性
能フイルタを透つて清浄空気となつてクリーンル
ーム背面よりクリーンルーム内に圧送される。

クリーンルームで内では、清浄空気の流れは背
面より前面へ指向し、その一部はクリーンルーム
前面上半部の気流案内板に沿つて前面下半開放部
に向けて流下し、したがつて、クリーンルーム内
においては、クリーンルーム背面より前面への前
方気流と前面下半開放部へ向けての下降気流とが
形成され、更に前記ブロアによる送風室への圧送
流に誘引される下降気流が形成されるから、クリ
ーンルーム及び回転棚の循環駆動室で生成された
発塵等は、すべて下降流にこのつてクリーンルー
ム前面下半開放部より外部に排出されると共に、
回転棚の循環移動経路の最下位置より更に下方に
運ばれて、再びブロアにより高性能フイルタによ
り清浄化されてクリーンルーム内に供給される。

そして、物品の搬出入部はクリーンルームの前
面下半開放部に設けられているから、該搬出入部
には常に外方への吹き出し気流が形成される結
果、開閉扉を設けなくても、外気が物品の搬出入
部よりクリーンルーム内に流入するおそれはな
い。

実施例 第１図はクリーンルーム内の回転棚を示す側断
面図、第２図はクリーンルーム及び回転棚の循環
駆動室の正面図であつて、床上に設置されたボツ
クス状囲繞体１は、複数の回転棚２が上下方向に
無端循環するクリーンルーム３とクリーンルーム
３の両側に夫々隔壁４，４を介して設けた回転棚
循環駆動室５ａ，５ｂとを有し、一側の回転棚循
環駆動室５ａには上下方向に離隔した一対の鎖車
６ａ，６ｂに無端駆動チエーン７ａが懸回し、該
チエーン７ａには一定間隔をおいて回転棚２の基
端支持軸を吊持する吊持杆８の上端が回動自在に
取付けられ、該吊持杆８の下端は、回転棚２の基
端支持軸９の一端に固定されている。また、他側
の回転棚循環駆動室５ｂには、前記一対の鎖車６
ａ，６ａの取付け位置より前記吊持杆８の長さよ
り下方に位置する一対の上下に離間した鎖車６
ｂ，６ｂが取付けられ、該鎖車間には無端駆動チ
エーン７ｂが懸回され、該チエーン７ｂには前記
回転棚の基端支持軸９の他端が回動自在に取付け
られている。

そして、前記夫々の隔壁４，４には、前記基端
支持軸９の両端を挿通すると共に、該両端の上下
方向に無端循環する移動軌跡に沿つた環状スリツ
ト（図示せず）が設けられている。

また、前記一側の回転棚循環駆動室５ａには、
他側の回転棚循環駆動室５ｂに設けた一対の鎖車
６ｂ，６ｂの対向位置に回転棚の取付けピツチに
等しいピツチの凹部を円周上に設けた拘束円板１
０，１０が回転自在に取付けられ、該凹部は前記
回転棚の基端支持軸９の吊持杆８に固着した端部
に取付けたガイドローラ１１を支承する。

更にまた、該ガイドローラ１１は、上下方向の
直線移動経路において隔壁４の環状スリツトに沿
つて設けた案内レール（図示せず）に案内され
る。

したがつて、無端駆動チエーン７ａ，７ｂが同
方向に循環運行すると、両側室の一対の鎖車の取
付け高さが吊持杆の長さだけずれていることによ
り、回転棚２は水平状態を維持し且つ拘束円板１
０，１０並びにガイドローラ１１によつて、無端
駆動チエーン７ａに直接取付けられていない基端
支持軸９の一端である吊持端の遊動が阻止され、
更に、回転棚２は基端支持軸９により片持支持さ
れているから、吊持杆８には案内レール（図示せ
ず）にガイドローラ１１を常時押接するモーメン
トが作用しているので、回転棚２は揺動すること
なくクリーンルーム内を上下方向に無端循環し、
また、隔壁４，４に環状スリツトを設けることに
より、回転棚循環駆動室５ａ，５ｂ内の一対の鎖
車６ａ，６ａ，６ｂ，６ｂ及び駆動チエーン７
ａ，７ｂはクリーンルーム３内の回転棚２を支障
なく循環駆動することができると共に、該環状ス
リツト以外においては、発塵要因の多い可動部分
を有する回転棚循環駆動室５ａ，５ｂとクリーン
ルーム３とを完全に隔離することができる。

クリーンルーム３の前面上半部には気流案内板
１２が覆設され、前面下半部は開放されていると
共に、気流案内板１２の下端位置の隔壁４，４の
一部を回転棚２に載置する物品Ａの側面が露出す
る程度のコ字形に切除して、物品の搬出入部１３
を設ける。

また、回転棚の最下位置の下方にブロア１４の
駆動手段１５を設け、ブロア１４の吹き出し口を
クリーンルーム３内の背面部に高性能フイルタ１
６を隔壁として形成した送風室１７に向け、クリ
ーンルーム３の底面にフイルタ底板１８を設けた
から、クリーンルーム３内に流下したクリーンエ
アの一部、循環駆動室を流下したエア、及び前記
フイルタ底板１８を透して流入したエアは、ブロ
ア１４によつて送風室１７内に圧送され、高性能
フイルタ１６を透して清浄化されてクリーンルー
ム３に圧送される。

したがつて、高性能フイルタを透してクリーン
ルーム３背面より圧送されたクリーンエアは、気
流案内板１２に沿つてクリーンルーム内を下降層
流となつて流下し、前面下半開放部より外部へ吹
き出されると共に、下降層流の一部は、隔壁の環
状スリツトより回転棚循環駆動室５ａ，５ｂ内に
吹き出し、該駆動室５ａ，５ｂ内を下降してブロ
ア１４により吸引されるから、回転棚循環駆動室
５ａ，５ｂ内で発塵があつても、該室内の汚染空
気が環状スリツトからクリーンルーム３内に流入
するおそれはなく、また、物品搬出入部１３にお
ける物品の搬出入作業中においても、クリーンル
ーム３内のクリーンエアが外部へ吹き出す雰囲気
中で物品の出し入れが行われるので、クリーンル
ーム３内に塵埃又は汚染物質等を含む外気が流入
することはない。

また、回転棚循環駆動室５ａ，５ｂ内の圧力も
ブロア１４の影響を受けて低下するので、クリー
ンルーム３内のクリーンエアの一部は、環状スリ
ツトより回転棚循環駆動室５ａ，５ｂ内に容易に
流入して流下するから、回転棚駆動室５ａ，５ｂ
内で発生する塵埃、その他の汚染物質がクリーン
ルーム３内に侵入することなくクリーンルーム３
内に常にクリーンエアの下降層流によつて充たさ
れる。

考案の効果 本考案は、ブロアを回転棚の最下位置とクリー
ンルームのフイルタ底板との間に設け、該ブロア
によりフイルタ底板を透して浄化された吸気をク
リーンルーム背面より高性能フイルタを透してク
リーンルーム内に清浄空気として強制送気し、該
送気はクリーンルーム内において背面より前面へ
指向して流れ、更にクリーンルーム前面上半部の
気流案内板に沿つて流下した気流は前面下半開放
部より外部へ吹き出し、循環駆動室内のエアは流
下してブロアにより再びクリーンルーム背面の送
風室に圧送されるから、クリーンルーム内のエア
の大部分は、クリーンルーム前面下半開放部より
外部へ排出されると共に残部は流下気流によつて
回転棚の最下位置より更に下方に位置するブロア
によつて吸い込まれる結果、回転棚の循環経路内
における粉塵は完全に除去されて、ルーム内のク
リーン度を維持することができるばかりでなく、
クリーンルーム前面下半開放部に設けた物品搬出
入部では、常にクリーンルーム内よりクリーンル
ーム外へ向う吹き出し気流が形成されているの
で、物品の搬出入作業時において外気が該物品搬
出入部よりクリーンルーム内に流入するおそれが
ないばかりでなく、常時開放されていても外気の
流入がないので、物品搬出入の都度、開閉操作す
る扉を設けなくとも、クリーンルーム内の清浄度
を低下させることがないし、更に、クリーンルー
ム内に強制送気された清浄空気は、隔壁に設けた
環状スリツトを通して回転棚循環駆動室に流入
し、ブロアに吸引されて下降気流を形成するの
で、該スリツトでは常にクリーンルームより循環
駆動室内へ流入する吸引気流が形成され、循環駆
動室内の可動部分で発生した粉塵がクリーンルー
ム内に流出するおそれはない。

したがつて、回転棚が循環移動する経路内の空
気は常に清浄度を保持することができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はクリー
ンルーム内を示す側断面図、第２図はクリーンル
ーム及び回転棚循環駆動室内を示す正面断面図で
ある。 ２……回転棚、３……クリーンルーム、４，４
……隔壁、５ａ，５ｂ……回転棚循環駆動室、１
２……気流案内板、１３……物品搬出入部、１４
……ブロア、１６……高性能フイルタ、１７……
送風室、１８……フイルタ底板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下方向に無端循環する複数の回転棚を収納し
   たクリーンルームと、該ルームの背面に高性能フ
   イルタを介して隔設した送風室と、該ルームの両
   側面に設けた隔壁を介して区画した前記回転棚の
   循環駆動室と、該ルームの前面上半部を覆う気流
   案内板と、該ルームの前面下半開放部に設けた物
   品搬出入部と、該ルームの底面に設けたフイルタ
   底板と、前記回転棚の最下位置とフイルタ底板と
   の間に配置して前記送風室に空気を圧送するブロ
   アと、を有し、該ブロアにより圧送された空気は
   クリーンルーム背面の高性能フイルタを透して清
   浄化された空気となつてクリーンルーム内に圧送
   され、前記気流案内板に下向誘導されてクリーン
   ルーム前面下半開放部より吹き出されることを特
   徴とする回転棚を有するクリーンルームの空気清
   浄装置。