JPH03241B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、空気タイヤ及び車輪リム組立体に関
し、特に車輪リムには溝によつて形成され軸線方
向に互いに離間した２本のビード座を有し、軸線
方向に離間したタイヤビードが各ビード座内に入
つて抑止される組立体に関する。

（従来の技術） 従来の空気タイヤ及び車輪リム組立体は、例え
ば第４図（本願出願人の出願に係る英国特許願第
7932159号、特開昭55−44092号（特願昭54−
119177号）に示す如く、タイヤ２のビード１２の
半径方向内側部が、リム部材３４の溝３６に直接
に圧嵌合されてなる。

（発明が解決しようとする課題） 前記の組立体においては、車両走行中にタイヤ
の空気圧が失われると、リムの溝３６に対するタ
イヤビード１２の圧着力が低下し、溝３６とビー
ド１２とが相対的に滑りやすくなる。

本発明の目的は、リムの溝とタイヤビードとの
間のこのような好ましくない滑りが生じにくい、
空気タイヤ及び車輪リム組立体を提供することに
ある。

（課題を解決するための手段） 前記課題を解決するため本発明の組立体は、閉
ループの形状の２個のエラストマーのシール素子
を備え、各シール素子は、タイヤビードと溝の軸
線方向内側部との間の各溝内に、各タイヤビード
を溝の外側部に向かつて軸線方向外側に押圧する
ように圧嵌合されている、弾性変形可能な部分を
有することを特徴とする。

（作用及び効果） 前記の如く構成された組立体においては、タイ
ヤの空気圧に拘わらず、タイヤビードが、シール
素子の弾性変形可能な部分によつて軸線方向外方
向に押圧されてリムの外側部に圧着されるから、
パンクなどでタイヤの空気圧が失われても、タイ
ヤビードとリムの溝との相対的な滑りを防止する
ことができる。また、リムの溝の軸線方向内側部
にシール素子を配設しているので、両タイヤビー
ドの相互間隔が広く保持され、タイヤの横方向の
安定性を保持することができる。

（実施例） 以下、本発明を実施例並びに図面について説明
する。

第１，２図に示す本発明による空気タイヤ及び
車輪リム組立体の第１、第２の実施例は、それぞ
れ複数の弧状の構成部材を溶接にて環状に接合し
てなる車輪リムを具備する。この車輪リムはその
周壁に穴のないいわゆる穴なし車輪リム１であつ
て、その外周にラジアルプライタイヤ２を装着
し、隣接するリム構成部材相互間の接合面はシー
ル手段３にてシールされている。ここで「シール
手段」は、後述するシール素子１５ａ，２４ａ及
びシール部材１３，２２を包括的に含む上位概念
としての用語である。

車輪リム１は、第３図に示す３個の同形のリム
部材４によつて形成され、軸線方向に離間した両
側のビード座５の間に環状のリム部６を形成して
いる。両ビード座は類似した形状をしており、環
状の溝型断面の溝を、底部８及び互いに対向した
側部９，１０によつて形成している。軸線方向内
側の側部９はリム部６に一体になり、軸線方向外
側の側部１０の端縁は、外方に向いた曲面をなす
縁部１１を形成している。軸線方向に離間した補
強タイヤビード１２は、各ビード座５に装入され
ている。各タイヤビード補強部は実質的に非伸長
性であり、その内径は溝の側部９，１０の最大直
径よりも小さい。このため、タイヤビード１２は
それぞれの溝内に抑止され、タイヤが空気圧の一
部又は全部を失つてもビード部が溝から外れるこ
とはない。この形状のビード抑止装置は、従来例
を示す第４図にも記載されている。

第１図に示す本発明の空気タイヤ及び車輪リム
組立体に装着される閉ループの形状のシール手段
３は、エラストマーシール部材１３を有する。シ
ール部材１３は空気不透過性材料、例えばブチル
ゴム等のゴム製として車輪リム１の形状に成形す
る。シール部材１３は、車輪リム１の両ビード座
間でその半径方向外周面１４を覆つてリム部６の
被覆となる。また溝を覆うシール素子１５は、前
記シール部材１３の両側縁部に一体的に連結して
形成する。各シール素子１５の一部１５ａは厚く
して、溝の軸線方向内側の側部９を覆う。この厚
い部分１５ａは弾性変形可能とし、組立時におい
て溝内へのシール素子１５とタイヤビード１２の
挿入を容易にする。組み立てを完了すれば、ビー
ド１２はそれぞれのシール素子１５の厚い部分１
５ａによつて溝内に弾性圧縮状態で保持される。
従つてタイヤが空気圧を失つても、タイヤビード
１２は車輪リム１に対して滑りを生ずることが防
止される。タイヤビードと溝の軸線方向外側部と
の間の溝内に配設された比較的薄いシール素子の
部分は、本発明の組立体に不可欠のものではない
が、この部分があるとタイヤビードの両側に弾性
変形可能な部分が形成されることになるので、溝
に対する装入がより容易になる。

リム１、タイヤ２、シール部材１３の組み立て
は次の通りである。シール部材１３をタイヤ２に
挿入し、シール部材１３の軸線方向外縁部の溝型
シール素子１５内にビード１２が入るようにす
る。次にリム部材４を順次挿入する。リム部材４
は図示しない車輪デイスクによつて定位置に固定
される。この際、タイヤビード補強部は実質的に
非伸長性であるが、僅かに伸長することによりリ
ム部材４の挿入を許容する。タイヤビード補強部
の伸長量が十分でない場合は、例えば分割された
リム部材をシール素子にあてがいつつタイヤの内
側で組み立てる。タイヤ２とシール部材１３とは
気密の空気室１６を形成し、図示しない通常のバ
ルブを通して空気を圧入してタイヤを所定空気圧
とする。溝の軸線方向内側部のみにシール素子が
配設されシール部材１３が省かれた組立体の場合
は、該シール素子を予め溝の軸線方向内側部に装
入しておき、それからタイヤビードを溝内に嵌合
させればよい。

第２図に示す組立体は、エラストマーシール部
材２０を有する。このシール部材２０は、空気不
透過性材料、例えばブチルゴム等のゴム製の成型
品とする。シール部材２０は車輪リムの半径方向
外周面２１を覆い、中央部分２２は均等な厚さと
し、軸線方向外方部分２３は厚いシール素子２４
に一体的に連結して形成する。中央部分２２はリ
ム部６を覆い、外方部分２３はタイヤビードをシ
ールする。各シール素子２４は類似形であり、第
１、第２のシール部分２４ａ，２４ｂは図示の形
状とする。第１のシール部分２４ａはそれぞれの
溝の軸線方向内側の側部９を覆う。第１のシール
部分２４ａは組み立てを容易にするため弾性変形
可能とされ、組み立て後は第１のシール部分２４
ａによつて各ビード１２が溝内に圧縮下で保持さ
れる。このため、タイヤが空気圧を失つてもタイ
ヤビード１２が車輪リムに対して滑るのが防止さ
れる。第２のシール部分２４ｂは軸線方向及び半
径方向外方にテーパしたフラツプを形成し、タイ
ヤ側壁２５の下部内面を覆う形状とする。

第２図のリム１、タイヤ２、シール手段３の組
み立ては次の通りである。シール部材２０はタイ
ヤ２に挿入し、テーパ付きフラツプ２４ｂがタイ
ヤ側壁内部の下部に接触するようにする。次にリ
ム部材４を順次組合わせて第１のシール部分２４
ａとビード１２とをリムの溝内に入らせる。図示
しない車輪デイスクによつてリム部材４を所定位
置に固着する。この際、タイヤビード補強部は実
質的に非伸長性であるが、僅かに伸長することに
よりリム部材４の挿入を許容する。タイヤビード
補強部の伸長量が十分でない場合は、分割された
リム部材をシール素子にあてがいつつタイヤ２の
内側で組み立てる。タイヤ２とシール部材２０と
は気密の空気室２６を形成し、通常の図示しない
バルブを経て空気をタイヤ内に充填する。タイヤ
内空気圧は、シール部材に作用してフラツプを軸
線方向外方に押圧してタイヤ内部側壁に密着させ
てフラツプ２４ｂのシール効果を大にする。

本発明は上述の両実施例に限定されない。例え
ば、第１図のシール素子は１５は、それぞれの溝
の軸線方向内側部９を覆う厚い部分１５ａに加え
て、溝の軸線方向外側部１０を覆う弾性変形可能
の厚い部分を形成することもできる。シール素子
の一部厚くして弾性変形可能とすることによつ
て、溝内のタイヤビード及びシール素子の位置決
めは容易になる。

シール素子とタイヤビードとがリムの溝内に加
圧されて嵌合され、タイヤビードが軸線方向に圧
縮された状態で保持される限り、シール素子１５
及び２４、タイヤビード１２及びリムの溝の寸法
は、所要に応じて変化させ得る。

単一部品のリムを使用する時は、タイヤを加工
前の円筒状リムの所定位置に位置決めした後、次
工程においてリムの溝を形成する。この構造では
リムの両溝間の部分をシール部材で覆う必要はな
く、シール素子１５，２４は別々の部材とするこ
ともできる。

本発明による組立体は、どんな形のリム又はリ
ム・タイヤ組立体にも適用できる。これによつ
て、タイヤビードとリムの溝とが異なる形状でも
嵌合可能である。図示の例ではタイヤビード１２
はほぼ弧状の端部を有し、溝はほぼ矩形の断面で
ある。

本発明による組立体は、各種のタイヤ、例えば
ラジアル、クロスプライ又はベルト付きバイアス
タイヤと車輪リム組立体に使用でき、穴なしリム
にも穴付きリムにも使用できる。

図示の好適な実施例は、シール手段を所要形状
寸法に成型した環状閉ループ部材として特定のタ
イヤと車輪リムの組立体に適合させたが、シール
部材を、リムの寸法に適合する断面形状を有する
ストリツプとして、例えば押し出し成型にて成型
し、もつて該ストリツプから適当長さ部分を切り
出すことにより、所定のリム寸法に対する閉ルー
プ形状のシール手段を形成するようにしてもよ
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の第１実施例による、シール
部材を組み合わせた空気タイヤ及び車輪リム組立
体の断面図、第２図は、本発明の第２実施例によ
る、シール部材を組み合わせた空気タイヤ及び車
輪リム組立体の断面図、第３図は、第１図及び第
２図に示す車輪リムの分解斜視図、第４図は、従
来の空気タイヤ及び車輪リム組立体の断面図であ
る。 １……車輪リム、２……タイヤ、３……シール
手段、４……リム部材、５……ビード座、６……
リム部、８……溝の底部、９，１０……溝の側
部、１２……タイヤビード、１３，２０……シー
ル部材、１５，２４……シール素子。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 空気タイヤ及び車輪リムの組立体であつて、
   車輪リムには溝によつて形成され軸線方向に互に
   離間した２本のビード座を有し、軸線方向に離間
   したタイヤビードが各ビード座内に入つて抑止さ
   れる前記組立体において、該組立体が閉ループの
   形状の２個のエラストマーのシール素子１５又は
   ２４を備え、各シール素子１５又は２４は、タイ
   ヤビード１２と溝の軸線方向内側部９との間の各
   溝内に、各タイヤビード１２を溝の外側部１０に
   向かつて軸線方向外側に押圧するように圧嵌合さ
   れている、弾性変形可能な部分１５ａ，２４ａを
   有することを特徴とする空気タイヤ及び車輪リム
   組立体。 ２ 前記シール素子１５をほゞ溝形断面とし、該
   シール素子でタイヤビード１２を囲むと共に夫々
   の溝８，９，１０を覆うようにした特許請求の範
   囲第１項記載の組立体。 ３ 前記溝型シール素子の内側断面形はタイヤビ
   ード１２の形状に適合させ、外側断面形はリムの
   溝８，９，１０の形状に適合させた特許請求の範
   囲第２項記載の組立体。 ４ 前記シール素子２４にはタイヤ側壁２５内面
   下部に接触するように軸線方向及び半径方向外方
   にテーパした部分２４ｂを含む特許請求の範囲第
   １項記載の組立体。 ５ リムの両ビード座５間の全巾におけるリムの
   半径方向外周面がシール部材１３，２０で覆わ
   れ、該シール部材の両側縁部が前記シール素子１
   ５，２４に一体的に連結されている特許請求の範
   囲第１項から第４項のいずれかに記載の組立体。