JPH0323152Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は飲料等の保温に使用する保温ヒーター
付魔法瓶に関するものである。

従来の技術 従来、この種の保温ヒーター付魔法瓶（以下、
瓶）にあつては、保温時湯温が上昇すると内瓶内
の圧力が上昇するので、この圧力をある一定圧力
に抑えるべく中栓内に管状の通路を設け、この通
路の途中に金属製のボールとスプリングからなる
安全弁を備えたものが市販されている。

考案が解決しようとする問題点 この種の構造のものでは、上記安全弁の出口側
が大気中に面している場合、内瓶内の蒸気は１部
が大気中に蒸発し、残りは結露して安全弁近傍に
滴下する。又、安全弁の出口側が前記口部の湯の
通路部内に面している場合、通路内に噴出した蒸
気はここで結露し、留つていく。従つて、保温が
長時間になると結露水が口部からあふれたり、瓶
を移動する際結露水が滴下する欠点があつた。

問題点を解決するための手段 本考案は上記の欠点を除くためになされたもの
であり、中栓に設けたパツキンと口部の傾斜部と
の圧接部位に設けた断面積１〜２mm²程度の溝を介
して内瓶と大気間を連通させ、長時間保温後でも
結露水が従来の如く口部からあふれたり、又、移
動の際、結露水が滴下することのない瓶を提供す
るにある。

作 用 このようにすることによつて、保温時の結露水
は溝の出口側で結露し、ある量になると内瓶内に
戻るようにするものである。

実施例 以下本考案の一実施例について図面により説明
する。

本実施例の構成は、第１図に示す。第２図は第
１図のＡ部を拡大したものであり本考案の要部断
面図を示すものであり、第３図は第２図中のＢ−
B′断面図を示したものである。

第１図において１は容器で、ステンレス等から
成る金属製の内瓶２と外瓶３とより成り、両瓶
２，３間に空間部を構成するとともに、外瓶３の
底部に一体的に接合したチツプ管５を設けてあ
り、このチツプ管５を介して前記空間部を真空と
なし真空部４を形成したものである。内瓶２と外
瓶３は湯あるいは水（以下、飲料）６を入れる口
部７上部の接合部８で溶着するとともに夫々内瓶
２と外瓶３間の底部中央に中空円筒状の接続部９
を設けてあり、接続部９内側にはめねじを設けて
いる。１０は接合部であり接続部９下部と外瓶３
間とを一体的に溶着した部位である。７′は飲料
６上部の蒸気あるいは空気層である。１１は保温
用のヒーターで、外郭はステンレス等、耐食性の
ある金属により形成されるとともに内部にヒータ
ー（図示せず）が内蔵され、下部からは外周にお
ねじを有する円筒部１２が設けられている。円筒
部１２のおねじは前記接続部９のめねじに螺着さ
れている。１３はリード線で、保温ヒーター１１
内のヒーター（図示せず）へ外部から電力を供給
するものである。１４はパツキンで、保温用のヒ
ーター１１下面と内瓶１内底部間に挟着されるも
のであり、保温用のヒーター１１の円筒部１２の
おねじと接続部９のめねじ螺着時の水密を保つ役
目を果すものである。１５は口部７に設けた中栓
である。中栓１５は第２図に示す如く内瓶２内に
ある飲料６の流出を防止するため口部７の内側へ
の傾斜面１６と中栓１５との間にシール用のパツ
キン１７を装着してある。１８は溝で、口部７の
内側への傾斜面１６に設けられるとともに、内瓶
２内部と口部７末端の注ぎ口部１９を連通する方
向に設けられている。そして溝１８の上面が中栓
１５に設けたパツキン１７でおおわれた時に溝１
８は断面積が１〜２mm²となり、内瓶２内と大気を
連通するようになる。２０は蒸気で、飲料６から
蒸発したものであり、傾斜面１６に設けた溝１８
を通つて注ぎ口１９側へ噴出されるものである。
２１は結露水で、注ぎ口１９と溝１８の間に留つ
たものである。

次に上記構成からなる本実施例の作用について
説明する。

第１，２図において、内瓶２の中へ飲料６を入
れて、中栓１５を口部７に装着する。飲料６の温
度が低下するのを防止するため、内瓶２の底部に
設けられた小電力の保温用のヒーター１１へ通電
をすると飲料６は加熱される。よつて飲料６は蒸
発し、蒸気層７′内の圧力が上昇し、蒸気２０は
溝１８を通つて注ぎ口１９側へ噴出する。ここで
注ぎ口１９の温度はほぼ、室温か外気温程度であ
るため、蒸気は冷却されて結露し溝１８の出口部
と注ぎ口１９の間に留る。次に溝１８を通つてき
た蒸気２０は、結露水２１の中へ送り込まれるた
め、冷却されて容易に結露し、この部分に留る。
この結露水２１の量が増加してある高さＨになる
と、この水頭圧が常に溝１８の出口側にかかわ
る。したがつて蒸気２０の噴出に変動を生じたり
（停止や脈動）して噴出速度が遅くなつた場合、
微量の結露水２１が溝１８を通つて内瓶２内に滴
下する。又蒸気２０が連続的に溝１８より噴出し
ていても、溝１８壁面には境界層があり、この部
分は流れを生じていないため、溝１８の下面等で
は結露水２１が表面張力によつて壁面にそつて侵
入し、微量ではあるが内瓶２の中へ滴下する。高
温雰囲気の内瓶２の中へ低温の結露水２１が滴下
してくると、この結露水２１は再び気化する。こ
のとき回りから気化熱をうばうため蒸気あるいは
蒸気層７′の温度が低下する。よつて、圧力も低
下し、場合によつては負圧となる。したがつて内
瓶２の内部圧力が前記水頭圧より小さくなると溝
１８出口部に留つていた結露水２１は全て内瓶２
の中へ吸い込まれる。この作用が繰返されるため
長時間の保温が行なわれても結露水２１が、注ぎ
口１９の部分から容器１外にあふれ出ることはな
い。

考案の効果 以上本考案によれば、口部の傾斜面部分にパツ
キンを介して圧接する中栓を装着した場合に、内
瓶と大気間を連通する断面積１〜２mm²の溝を設け
ることによつて、内瓶内で発生した蒸気を溝の出
口側で結露させ、留つた結露水も適当量留つた後
には自動的に内瓶内へ戻すようにしたので、容器
の注ぎ口部から外部にあふれたり、移動の際滴下
することのない魔法瓶を提供出来るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す保温ヒーター
付魔法瓶の断面図、第２図は同蒸気口部に係わる
要部断面図、第３図は同第２図のＢ−B′断面図
である。 ２……内瓶、１５……中栓、１６……傾斜面、
１７……パツキン、１８……溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内瓶と外瓶よりなる容器の口部に中栓を装着す
   るとともに、この口部に傾斜面を有し、且つ、前
   記内瓶の底部に保温用のヒーターを有するものに
   おいて、前記中栓１５と傾斜面１６との圧接部位
   にパツキン１７を設けるとともに傾斜面１６に断
   面積ほぼ１〜２mm²の溝１８を設け、この溝１８を
   介して前記内瓶２と大気間を連通したことを特徴
   とする保温ヒーター付魔法瓶。