JPH0322644Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、コンベクシヨン型調理器に適用され
遠赤外線放射ボードを用いた遠赤外線調理器に関
するものである。

〔従来の技術〕

従来のコンベクシヨン型調理器は、ヒーターに
よつて高温に熱せられた空気がコンベクシヨンフ
アンにより、庫内の調理室に収容された被加熱物
である食品に吹き付けられ、この食品が加熱され
て調理されるものであつた。一方、従来の遠赤外
線調理器は、食品を加熱するための遠赤外線を発
生させる手段として遠赤外線ランプ等が用いられ
ていた。

ところが、上記の構造では、コンベクシヨン型
調理器で食品１を加熱した場合、第６図に示した
ように、先ず食品１に吹き付けられる熱風４によ
り食品外層部２が加熱され、次いで食品外層部２
の熱５が伝導されて食品内層部３が加熱される。
上記のような過程で食品１が加熱されるため、必
然的に食品外層部２と食品内層部３との間に大き
な温度差が生じてしまい、食品１全体として均一
な加熱が行われない。また、上記従来のコンベク
シヨン型調理器に遠赤外線ランプ等を用いて遠赤
外線調理器として使用する場合には、電気配線の
増設その他多くの改造が必要となる等の不都合を
伴うものであつた。

そこで、例えば、実開昭58−91611号公報記載
のオーブン（以下、第１従来例という）において
は、熱気ダクトを通して調理室内に吹き出される
熱風の吹出口に対向する位置に遠赤外線発生プレ
ートを設置し、上記の熱風で加熱された遠赤外線
発生プレートから放射される遠赤外線によつて、
調理物の加熱を行う構成が開示されている。

また、特開昭56−59135号公報記載の熱風循環
式ガスオーブン（以下、第２従来例という）にお
いては、表面に遠赤外線放射物質をコーテイング
した輻射体薄箱を器内の上・中・下に設け、燃焼
排ガスを調理物の直接加熱には使用せずに、上記
の輻射体薄箱を通して流すことでこの輻射薄箱を
加熱し、その表面から放射される遠赤外線にて調
理物を加熱するようになつている。

このように、熱風対流式の調理器内に、さらに
遠赤外線放射体を設置することによつて、遠赤外
線で調理物を加熱する遠赤外線調理器としての機
能を生じるように構成されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記従来の遠赤外線放射体を配
した調理器においては、必ずしも充分な加熱効率
は得られないという問題を有している。つまり、
前記第１従来例の遠赤外線発生プレートは、遠赤
外線の放射面が同時に熱風からの吸熱面ともなつ
ている。この場合、所定の遠赤外線放射特性を有
する特有の材質で上記の遠赤外線発生プレートは
構成されるが、その表面性状は、これに接して流
れる熱風からの吸熱が効率良く行われるような高
い熱伝達係数をも有するものとは必ずしもなつて
いない。一方、前記第２従来例においては、熱風
が内部を流れる輻射薄箱の表面に、遠赤外線放射
物質がコーテイングされた構成であつて、熱風か
らの吸熱面と遠赤外線の放射面とは互いに異なる
ものとなつているが、材質の異なる遠赤外線放射
物質と輻射薄箱との界面において大きな伝熱抵抗
を生じ易く、したがつて、熱風の吸熱面から遠赤
外線の放射面へと至る熱伝導経路中でのエネルギ
損失を生じ易い。このように、従来の遠赤外線発
生プレートや輻射薄箱の構成においては、熱風か
ら遠赤外線への変換に際し必ずしも充分な変換効
率が得られるものとはなつていないのである。

さらに、前記第１従来例においては、調理室内
のほぼ中央領域にこの調理室の広さにわたる形状
の調理物受皿が設けられ、この受皿上のほぼ全領
域に遠赤外線が一様に放射されるように、前記の
遠赤外線発生プレートは平面状に形成されてい
る。しかしながら、通常、調理室内の広さに比べ
て小さな形状の調理物の加熱を行う場合も多々生
じる訳であり、このような場合に、受皿上の小さ
な調理物に直接的に当たる遠赤外線が少なくなつ
て、加熱効率が低下したものとなる。また、前記
第２従来例においても、各輻射体薄箱の遠赤外線
放射面は、調理室内の広さとほぼ同等形状の平面
となつている。これにより、調理室内全体に遠赤
外線がほぼ一様に放射されるようになつており、
したがつて、この場合にも形状の小さな調理物以
外の領域に向かう遠赤外線が多くなつて、加熱効
率が低下したものとなる。

本考案は、上記従来の問題点に鑑みなされたも
のであつて、その目的は、コンベクシヨン型調理
器構造において、遠赤外線による加熱機能を容易
に付与し得ると共に、例えば形状等の小さな調理
物に対しても遠赤外線による加熱効率を向上し得
る遠赤外線調理器を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

そこで、本考案の遠赤外線調理器は、調理器内
に装着されたコンベクシヨンフアンの調理室内熱
風送風側に載置されると共に調理室内への出し入
れ自在な遠赤外線放射ボードが設けられ、この遠
赤外線放射ボードは、上記コンベクシヨンフアン
側から収熱板・発熱板・セラミツク板及び遠赤外
線放射板の積層体から成ると共に、上記遠赤外線
放射板の放射面が、上記調理器内の調理物の載置
箇所に向かつて求心状湾曲面形状をなしているこ
とを特徴としている。

〔作用〕

上記の構成によれば、調理室内に遠赤外線放射
ボードを載置することで、コンベクシヨンフアン
によつて送られる熱風により上記の遠赤外線放射
ボードが加熱され、この遠赤外線放射ボードから
遠赤外線が調理物に向けて放射される。すなわ
ち、上記の遠赤外線放射ボードによつて、熱風の
熱エネルギが吸収され、これが遠赤外線に変換さ
れるが、この場合、上記の遠赤外線放射ボード
は、収熱板・発熱板・セラミツク板及び遠赤外線
放射板の積層体から成ることによつて、遠赤外線
放射板は、所定の遠赤外線放射特性を有する材質
で構成する一方、この遠赤外線放射板の構成とは
独立に、収熱板は、上記の熱風からより高い熱エ
ネルギ吸収効率を有するように、熱風との熱伝達
係数の高い材質や表面性状として構成することが
できる。さらに、上記のように互いに異なる観点
で構成した両面の各部材間に熱伝導を生じさせる
に当たつて、エネルギロスの小さな構成となるよ
うに、間の部材を定めて発熱板とセラミツク板と
を設けることによつて、この遠赤外線放射ボード
における熱風から遠赤外線への変換効率をより高
いものとすることができる。

さらに、上記においては、遠赤外線放射板の放
射面が、上記調理器内の調理物の載置箇所に向か
つて求心状湾曲面形状をなしていることから、上
記の放射面から放射される遠赤外線は、調理物の
載置箇所に集中し、したがつて、形状の小さい調
理物を上記の載置箇所に置くことによつて、上記
放射面から放射される遠赤外線の中で加熱に直接
的には寄与しない割合が低減する。

〔実施例〕

本考案の一実施例を第１図ないし第５図に基づ
いて説明すれば、以下の通りである。

第１図に示すように、遠赤外線調理器６の器内
には熱風１０を送風するためのコンベクシヨンフ
アン８が装着されており、このコンベクシヨンフ
アン８の上部及び下部にはヒーター９が設けられ
ている。前記コンベクシヨンフアン８の前方近接
位置にはコンベクシヨンフアン８を保護し調理室
７との仕切りをするためのコンベクシヨンフアン
カバー１１が設けられている。調理室７の底壁上
には調理皿設置台１２が設けられており、その上
には調理皿１３が載置されている。この調理皿１
３上の後部位置にあり且つ上記コンベクシヨンフ
アンカバー１１の前方に当たる位置には、器内へ
の出し入れ自在な遠赤外線放射ボード１５′が載
せられており、この遠赤外線放射ボード１５′は
下端部に台座１４を備えている。この遠赤外線放
射ボード１５′の前方位置に被調理物である食品
１６が載置される。

上記の遠赤外線放射ボード１５′は、第２図ａ，
ｂに示すように、収熱板１５a′、発熱板１５b′、
セラミツク板１５c′、及び遠赤外線放射板１５
d′を順次貼着した積層体構造からなり、上記コン
ベクシヨンフアン８の熱風送風側に対して、遠赤
外線放射ボード１５′の後面となる収熱板１５
a′側が対向配置となるように設置されている。そ
して前記収熱板１５a′に熱風１０が吹き付けられ
ると前面の遠赤外線放射板１５d′から遠赤外線１
７′が放射されるような構造となつている。さら
に、上記の遠赤外線放射ボード１５′は、その上
半部を湾曲して形成し遠赤外線放射板１５d′を内
面側とする求心状湾曲形状をなした形状に作製さ
れている。この求心状湾曲形状をなした遠赤外線
放射ボード１５′は第１図に示すように調理室７
の調理皿１３上に載置されるが、食品１６との位
置関係は上記遠赤外線放射ボード１５′の内周面
が形成する円弧の中心となる位置に食品１６の中
心部がほぼ一致するように保たれるのが好まし
い。

上記の構成において、ヒーター９によつて加熱
された空気はコンベクシヨンフアン８により熱風
１０となり、遠赤外線放射ボード１５′の後面に
吹き付けられる。前記熱風１０よつて遠赤外線放
射ボード１５′の後面に与えられた熱は収熱板１
５a′により吸収され発熱板１５b′に伝導される。
この熱により発熱板１５b′が発熱しセラミツク板
１５c′が加熱される。加熱されたセラミツク板１
５c′の熱は遠赤外線放射板１５d′へと順次伝導さ
れて遠赤外線放射ボード１５′前面の遠赤外線放
射板１５d′から遠赤外線１７′が放射される。上
記の過程によつて放射された遠赤外線１７′は、
遠赤外線放射ボード１５′の前方に設置された食
品１６に照射され、この食品１６が調理される。
このとき第３図に示すように、遠赤外線１７′の
特性により、遠赤外線１７′が食品１６の食品内
層部１９に至るまで入り込み食品内層部１９が直
接加熱されるため、食品外層部１８との温度差は
小さくなり、食品１６全体がほぼ均一に加熱され
る。

このような遠赤外線による加熱において、遠赤
外線放射ボード１５′は前述のように求心状湾曲
形状をなしていることにより、遠赤外線１７′が
食品１６に向かつて強く集中的に放射され、その
結果、食品１６が非常に効率よく加熱されて調理
される。

上記のように、遠赤外線放射ボード１５′を調
理皿１３上の後部位置に載置することによつて、
遠赤外線調理器６として機能するようになつてい
る。そして、上記遠赤外線放射ボード１５′は、
調理皿１３上に例えば高さの低い食品１６や形状
の小さな食品１６を置いて加熱する場合に、この
食品１６に向かつて遠赤外線１７′が集中し、効
率の高い加熱が行われる。一方、高さの高い食品
に対しては、食品全体の均一加熱が損なわれるお
それを生じることから、器内への出し入れ自在な
遠赤外線放射ボードとして、第４図に示すよう
に、前記の遠赤外線放射ボード１５′とは形状を
異ならせた第２形態の平面状の遠赤外線放射ボー
ド１５も設けられている。この遠赤外線放射ボー
ド１５も、第５図に示すように、前記の遠赤外線
放射ボード１５′と同様に、収熱板１５ａ、発熱
板１５ｂ、セラミツク板１５ｃ及び遠赤外線放射
板１５ｄを順次貼着した積層体構造からなつてい
る。

この遠赤外線放射ボード１５は、図のように、
器内の底面側から上面側へとほぼ垂直に延びる形
状で作製されているので、遠赤外線１７が底面か
ら上面側まで均一に放射される。これにより、例
えば高さの高い食品を調理皿１３上に置いて調理
する場合に、ほぼ全面にわたつて一様な加熱を行
うことができる。

以上の説明のように、上記実施例においては、
熱風を対流させることにより食品の調理を行なう
コンベクシヨン型調理器の調理室内に出し入れ自
在な遠赤外線放射ボードを載置することによつ
て、電気配線の増設等の改造も必要なく容易に遠
赤外線の照射により食品の調理を行い得る遠赤外
線調理器に変換することができる。また、食品に
照射される遠赤外線は直接食品内層部を加熱する
ため、食品内層部と食品外層部の温度差が小さく
なり食品全体がほぼ均一に加熱され理想的な調理
が行なわれる。

そして、上記の遠赤外線放射ボードは、収熱
板・発熱板・セラミツク板及び遠赤外線放射板の
積層体から成ることによつて、遠赤外線放射板
を、例えば食品中の水の吸収能に合わせた所定の
遠赤外線放射特性を有する材質で構成する一方、
この遠赤外線放射板の構成とは独立に、収熱板
は、上記の熱風からより高い熱エネルギ吸収効率
を有するように、熱風との熱伝達係数の高い材質
や表面性状として構成することができる。さら
に、上記のように互いに異なる観点で構成した両
面の各部材間に熱伝導を生じさせるに当たつて、
エネルギロスの小さな構成となるように、間の部
材を定めて発熱板とセラミツク板とを設けること
によつて、この遠赤外線放射ボードにおける熱風
から遠赤外線への変換効率がより高いものとして
構成することができる。

また、遠赤外線放射板の放射面が、上記調理器
内の調理物の載置箇所に向かつて求心状湾曲面形
状をなしている遠赤外線放射ボードを用いる場合
には、上記の放射面から放射される遠赤外線は、
例えば形状の小さい調理物や高さの低い調理物が
調理皿上に載置されている場合でも、これらの調
理物に遠赤外線が集中し、これによつて、一層効
率よく調理を行うことができる。

〔考案の効果〕

本考案の遠赤外線調理器は、以上のように、調
理器内に装着されたコンベクシヨンフアンの調理
室内熱風送風側に載置されると共に調理室内への
出し入れ自在な遠赤外線放射ボードが設けられ、
この遠赤外線放射ボードは、上記コンベクシヨン
フアン側から収熱板・発熱板・セラミツク板及び
遠赤外線放射板の積層体から成ると共に、上記遠
赤外線放射板の放射面が、上記調理器内の調理物
の載置箇所に向かつて求心状湾曲面形状をなして
いる構成である。

これにより、コンベクシヨン型調理器構造にお
いて、遠赤外線放射ボードを調理器内に載置する
ことで容易に遠赤外線による加熱機能を付与する
ことができる。そして、上記の遠赤外線ボードで
の遠赤外線への変換効率をより高くなし得ると共
に、この遠赤外線ボードからの遠赤外線を例えば
形状の小さな調理物へ集中させることができるの
で、より高い加熱効率で加熱することができると
いう効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例における遠赤外線調
理器の内部構造を示す断面図である。第２図ａ，
ｂは上記遠赤外線調理器内に載置されている遠赤
外線放射ボードを示す拡大側面説明図と拡大前面
説明図である。第３図は上記遠赤外線調理器で調
理する場合の食品の縦断説明図である。第４図は
第２形態の遠赤外線放射ボードを載置した状態の
調理器の断面図である。第５図は上記第２形態の
遠赤外線放射ボードの拡大説明図である。第６図
は従来の熱風で調理する場合の食品の縦断説明図
である。 ６は遠赤外線調理器、７は調理室、８はコンベ
クシヨンフアン、９はヒーター、１０は熱風、１
５，１５′は遠赤外線放射ボード、１５ａ，１５
a′は収熱板、１５ｂ，１５b′は発熱板、１５ｃ，
１５c′はセラミツク板、１５ｄ，１５d′は遠赤外
線放射板、１６は食品、１７，１７′は遠赤外線、
１８は食品外層部、１９は食品内層部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 調理器内に装着されたコンベクシヨンフアンの
   調理室内熱風送風側に載置されると共に調理室内
   への出し入れ自在な遠赤外線放射ボードが設けら
   れ、この遠赤外線放射ボードは、上記コンベクシ
   ヨンフアン側から収熱板・発熱板・セラミツク板
   及び遠赤外線放射板の積層体から成ると共に、上
   記遠赤外線放射板の放射面が、上記調理器内の調
   理物の載置箇所に向かつて求心状湾曲面形状をな
   していることを特徴とする遠赤外線調理器。