JPH0321851Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、超硬ドリルに関するものである。

〔従来の技術〕

この考案の出願人は、超硬ドリルとして、ドリ
ル本体の先端部に超硬合金製の切刃チツプをろう
付け固定するとともに、この切刃チツプの先端部
に、内端縁が回転中心から0.1mmないし1.25mm離
された切刃を形成したものを開発した（特開昭56
−52110）。このドリルにおいては、切刃が超硬合
金によつて構成され、しかもその内端縁が回転中
心から離されているから、高速、高送り穴明け加
工を行うことができるという利点が得られる。

〔考案が解決しようとする問題点〕 ところで、上述した超硬ドリルは、回転中心部
分から切刃が離されているために、切削時に回転
中心部において被削材コアが成長するという特有
の切削作用を示す。そして、かかるコアは、通
常、適当な長さまで成長した後に被削材から分断
されてドリル回転中心部から排出される。

しかしながら、特に高速、高送り穴明け加工を
行つた場合には、上記コアの成長速度が極めて早
くなるために、コアが回転中心部に詰まりがちに
なるという問題があつた。

また、高速、高送り穴明け加工を行つた場合に
は、切刃３から切屑が多量に生成されるため切屑
が詰まるおそれもあつた。そこで、切刃チツプの
すくい面に切刃に沿つてたとえばチツプブレーカ
溝を形成し、穴明け加工を行つたところ、切屑が
細かく分断されて切屑詰まりが防止されるという
効果が認められた。ところが、チツプブレーカ溝
を単に１つ形成したのみでは再研削の都度チツプ
ブレーカ溝を形成し直さなければならないため、
再研削作業の能率が低下するという別の問題点が
生じることとなつた。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、ドリル本体の先端部に超硬合金製
の切刃チツプがろう付け固定され、この切刃チツ
プの先端部に切刃を回転中心から0.1mmないし
1.25mm離して形成してなる超硬ドリルにおいて、
前記切刃チツプのすくい面に、断面円弧状の複数
条のチツプブレーカ溝を、前記切刃と平行にかつ
切刃の内端縁付近位置から外端縁位置まで連続し
てすくい面の先端から後端側へ並設した構成とし
たものである。

〔実施例〕

第１図は、この考案の一実施例を示すもので、
鋼製のドリル本体１の先端部に超硬合金製の切刃
チツプ２，２がろう付け固定されている。この切
刃チツプ２の先端部には、切刃３が形成されてい
る。この切刃３の内端縁３ａは、回転中心Ｏから
0.1mm〜1.25mmの範囲内において離されている。

また、切刃チツプ２のすくい面４には、この考
案の特徴である複数条のチツプブレーカ溝５が、
切刃チツプ２の先端から後端側へ並んで形成され
ている。しかも、各チツプブレーカ溝５は、第１
図Ｃに示すように、断面円弧状に形成されるとと
もに切刃３と平行に、また第１図ＡとＢに示すよ
うに、切刃３の内端縁３ａ付近位置から切刃３の
外端縁位置まで連続して設けられている。そし
て、これらチツプブレーカ溝５の隣接するものど
うしのピツチ間隔は、切刃３の再研削量と等しく
なつている。

このように構成されたこの考案に係る超硬ドリ
ルにおいては、穴明け加工時に切刃３によつて切
削された切屑は、すくい面４に沿つてドリル本体
１の軸方向に移動するが、この際切刃３と平行に
形成された複数のチツプブレーカ溝５を横切り、
強制的に湾曲、および振動させられるため、細か
に分断され、切屑詰まりが防止される。

一方、切刃３が形成されていない回転中心部分
で成長したコア（中心屑）は、切屑の上記湾曲、
及び振動の影響を受けて早い時期に被削材より分
断される。そして、分断されたコアは、チツプブ
レーカ溝５の内端部、つまり切刃３の内端縁３ａ
付近位置に開口している端部に近付いて回転中心
から効率良く排除される。

なお、摩耗した切刃３を再研削する場合には、
チツプブレーカ溝５の溝山を目安にしてチツプブ
レーカ溝５の１ピツチ分研削する。

ここで、複数のチツプブレーカ溝５のピツチ間
隔は、通常の穴明け加工における最大摩耗量と同
等もしくはそれより若干多めに決めるのが良い。

〔考案の効果〕

この考案の超硬ドリルは、ドリル本体の先端部
に超硬合金製の切刃チツプがろう付け固定され、
この切刃チツプの先端部に切刃を回転中心から
0.1mmないし1.25mm離して形成してなる超硬ドリ
ルにおいて、前記切刃チツプのすくい面に、断面
円弧状の複数条のチツプブレーカ溝が、前記切刃
と平行にかつ切刃の内端縁付近位置から外端縁位
置まで連続してすくい面の先端から後端側へ並設
された構成とされているので、ドリルの回転中心
部分に生成される被削材のコアをチツプブレーカ
溝で案内して的確に排除することができる。

しかも、チツプブレーカ溝によつて切屑の高い
分断効果が得られるので切屑詰まりを防止するこ
とができるとともに、切屑がチツプブレーカ溝か
ら受ける湾曲作用及び振動によつて上記コアが被
削材から早期に分断するので、コアの排出を一層
効率良く行うことができる。

さらに、切刃チツプの逃げ面を再研削すると、
当初のチツプブレーカ溝の後方において隣接する
チツプブレーカ溝が再研削後の新たな切刃に並ぶ
ので、再研削時にチツプブレーカ溝を形成し直す
必要がない。これによつて、再研削作業の能率向
上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図のＡ〜Ｃ図は、この考案の超硬ドリルの
一実施例を示すもので、Ａ図はその正面図、Ｂ図
はその一部省略側面図、Ｃ図はＢ図のＸ−Ｘ線に
沿う拡大断面図である。 １……ドリル本体、２……切刃チツプ、３……
切刃、３ａ……内端縁、４……すくい面、５……
チツプブレーカ溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ドリル本体の先端部に超硬合金製の切刃チツプ
   がろう付け固定され、この切刃チツプの先端部に
   切刃を回転中心から0.1mmないし1.25mm離して形
   成してなる超硬ドリルにおいて、前記切刃チツプ
   のすくい面に、断面円弧状の複数条のチツプブレ
   ーカ溝を、前記切刃と平行にかつ切刃の内端縁付
   近位置から外端縁位置まで連続してすくい面の先
   端から後端側へ並設したことを特徴とする超硬ド
   リル。