JPH0321762Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、ダイスを通して引抜き、仕上げられ
た線材をコイル状に巻き取る線材巻取装置に関す
る。

〈従来技術〉 従来の線材巻取装置は、第５図の如く、横置き
された線材供給装置１と、該線材供給装置１に巻
き付けられた線材２の巻き付け方向を転換して落
下させて巻き取る縦置きされた線材受け装置３と
からなる。

該線材受け装置３は、円錐台状のガイド部４
と、該ガイド部４より小さい外径を有したキヤリ
ア５とからなり、該キヤリア５とガイド部４は一
体に装着されており、基台６に対して回転自在で
取り外し可能となるよう支持されている。

そして、線材供給装置１に巻き付けられる線材
２の滑りを線ガイドロール７で止め、線材２を順
次ガイド部４に沿つて線材受け装置３に落下させ
る。線材２がキヤリア５に巻き取られると、ガイ
ド部４と一体のキヤリア５を取り外して運搬す
る。

また、他の従来例として、第６図の如く、回転
自在に横置きされた線材供給装置１と、縦置きさ
れた線材受け装置３とを線材供給装置１の回転に
対して自在に取付けられたエルボ８で連絡したも
のがある。そして、線材供給装置１の回転によ
り、線材２が送り出され、エルボ８に沿つてずり
落ち、線材受け装置３に巻き取られる。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかし、前者の従来技術では、キヤリア５から
線材２を抜き取るとき、ガイド部４がキヤリア５
よりも大径であるため、ガイド部４に引つ掛か
り、その都度ガイド部４をキヤリア５から取り外
さねばならず、線材の巻き取り作業時の着脱が面
倒であるという問題がある。

また、後者の従来技術では、線材２がエルボ８
に沿つてずり落ちるとき、エルボ８が回転してい
ないから、線材２とエルボ８とが擦れあうため、
線材２にすり傷がつくという問題がある。

本考案は、上記問題点に鑑み、巻き取り中の線
材の品質を確保し、しかも巻き取つた線材の取扱
いが容易となる線材巻取装置のの提供を目的とす
る。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案による問題点解決手段は、第１図〜第４
図の如く、 横軸周りに回転自在に支持された線材供給用回
転ドラム１５と、 該線材供給用回転ドラム１５に巻付られた線材
を巻取るために回転ドラム１５の下方で縦軸周り
に回転自在に支持された線材受け装置３と、 線材を前記回転ドラム１５から線材受け装置３
へ方向を転換して落下案内させる案内装置９とを
備え、 該案内装置９は、 前記回転ドラム１５と一体回転可能に固定され
た傘状の上部ガイド１０と、 該上部ガイド１０に支持装置１２を介して吊支
された傘状の下部ガイド１１とからなり、 前記支持装置１２は、 前記上部ガイド１０の頂部に軸受２６を介して
支持された水平軸２４と、 前記下部ガイド１１の頂部を軸受２７を介して
回転自在に支持する垂直軸２５と、 前記上部ガイド１０および下部ガイド１１の円
錐面が近接対向するよう前記水平軸２４および垂
直軸２５を連結する連結部２３とから構成され、 前記線材受け装置３は、 線材を巻き付けるための線受枠２８と、 線受枠２８の回転軸３３を回転駆動する駆動装
置２９と、 前記下部ガイド１１を線受枠２８と一体で回転
するように係合する係合装置１３とからなり、 該係合装置１３は、 前記回転軸３３に昇降自在に取り付けられた下
部ガイド係合用のピン３１を有し、 該ピン３１を下部ガイド１１に係合させる係合
姿勢Ａと下部ガイド１１から離間させる離間姿勢
Ｂになるよう昇降させる昇降装置１４が設けられ
たものである。

〈作用〉 上記問題点解決手段において、線材供給装置１
に巻き付けられた線材を線材受け装置３に巻き取
るとき、係合装置１３を昇降装置１４により上昇
させ、下部ガイド１１と係合させる。

次に、線材供給装置１を回転させるとともに、
線材受け装置３を回転させると、下部ガイド１１
が線材受け装置３と一体に回転する。

すると、線材は、線材供給装置１から案内装置
９の上部ガイド１０側に先送りされ、上部ガイド
１０に沿つてずり落ちていく。そして、支持装置
１２を通り、下部ガイド１１までずり落ちると、
線材の巻き付け方向が垂直方向に変わり、自重で
下まで落下していきながら、線材受け装置３に巻
き取られる。

そして、線材が巻き取られると、線材受け装置
３の回転を停止させ、係合装置１３を下降させ、
下部ガイド１１から係合装置１３を離間させる。
この状態で、線材受け装置３を下部ガイド１１か
ら離れるよう移動させて、線材を運搬していく。

したがつて、線材の巻き取り中、上部ガイドお
よび下部ガイド１０，１１が回転しているから、
線材は上部ガイド１０および下部ガイド１１をす
べり落ちていくときに円周方向の滑りが発生しな
く、線材にすり傷等がつかず、品質の向上を図る
ことができる。

また、下部ガイド１１と線材受け装置３とを
別々に離すことができるため、線材巻き取り後の
取扱いを容易に行なうことができる。

〈実施例〉 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。第１図は本考案の一実施例を示す線材巻取
装置の断面図、第２図は同じく線材受け装置の平
面図、第３図は同じくガイドの断面図、第４図は
同じく係合部材の平面図である。

本考案線材巻取装置は、図示の如く、回転自在
に横置された線材供給装置１と、該線材供給装置
１に巻付られた線材を巻取るために縦置きされた
線材受け装置３とを備え、線材を前記線材供給装
置１から線材受け装置３へ方向を転換して落下さ
せる案内装置９が設けられ、該案内装置９は、前
記線材供給装置１に固定された上部ガイド１０
と、前記線材受け装置３に着脱自在に設けられた
下部ガイド１１と、前記上部ガイド１０と下部ガ
イド１１とを互いに回転自在にかつ一体的に連結
する支持装置１２とからなり、前記線材受け装置
３に、前記下部ガイド１１を線材受け装置３と一
体で回転するように係合する係合装置１３と、該
係合装置１３を昇降させて前記下部ガイド１１を
線材受け装置３に係脱自在とする昇降装置１４と
が設けられたものである。

前記線材供給装置１は、ダイスによつて伸線さ
れた線材を貯線するもので、回転ドラム１５は駆
動モーター（図示せず）により回転自在に駆動さ
れ、水平に配されている。そして、回転ドラム１
５に沿つて水平方向に送り出された線材を垂直方
向に転換して線材受け装置３に導く案内装置９
が、前記回転ドラム１５の先端に配されている。

前記案内装置９の上部ガイド１０は、第３図の
如く、円錐台形状をした傘状のもので、表面に硬
質クロームめつきが施されており、その頭部に段
付された穿孔部１６が形成されている。

該穿孔部１６の周囲には、穿孔部１６を補強す
るためのリブ１７が設けられている。そして、該
上部ガイド１０は、前記回転ドラム１５にボルト
により固定される。

前記下部ガイド１１は、前記上部ガイド１０と
同じ構造をしており、開口側に線材受け装置３に
係合されるための係合部材１８がボルトで固定さ
れている。該係合部材１８は、第４図の如く、十
字形をしており、その中心に係合孔１９が設けら
れ、四方に延びた手２０の中央にリブ材２１が取
付けられている。そして、該リブ材２１の回転方
向に対して同一面側に直方体状の補強材２２が取
付けられている。

前記支持装置１２は、直交する二つの円形面と
該二面に挾まれた円形の斜面を有する連結部２３
と、該連結部２３に水平に接続された水平軸２４
と、垂直方向に接続された垂直軸２５とからな
る。そして、前記水平軸２４は上部ガイド１０の
穿孔部１６に、垂直軸２５は下部ガイド１１の穿
孔部１６にそれぞれ挿入されることにより、上部
ガイド１０と下部ガイド１１とが連続的に連結さ
れる。

前記水平軸２４は、連結部２３側が大径で、先
端側が小径に形成されたもので、小径側の軸が前
後一組の軸受２６により上部ガイド１０を回転自
在に支持している。該軸受２６は、半径方向の荷
重を支持するためにラジアル玉軸受またはラジア
ルコロ軸受等が用いられる。

前記垂直軸２５は、前記水平軸２４と同じ構造
をしており、上下一組の軸受２７により下部ガイ
ド１１を回転自在にかつ上部ガイド１０と一体と
なるように支持している。該軸受２７は、回転軸
方向に作用するスラストを支持するためにスラス
ト玉軸受またはスラストコロ軸受等が用いられ
る。

前記線材受け装置３は、線材を巻き着けるため
の線受枠２８と、前記係合装置１３と、前記昇降
装置１４と、線受枠２８および係合装置１３を回
転駆動する駆動装置２９とを備えており、レール
（図示せず）上を移動自在に運搬することができ
る。

前記線受枠２８は、第１，２図の如く、鉤形に
折曲げた四組のパイプを対称に組み合わせたもの
で基台６に固定されている。

前記係合装置１３は、下部ガイド１１の係合部
材１８に係合する係合ピン３０と、下部ガイド１
１を回転させるための２本の回転ピン３１と、係
合ピン３０および回転ピン３１を保持する保持板
３２とからなり、前記線受枠２８の内部に配され
ている。

前記昇降装置１４は、係合装置１３の係合ピン
３０を支持する回転軸３３と、係合装置１３を下
部ガイド１１に係合させる係合姿勢Ａと係合装置
１３を離間させる離間姿勢Ｂとの間を昇降自在と
するシリンダ３４とからなる。

前記保持板３２は、円板の四方に４個の凸部３
２ａが形成されたもので、中心に前記係合ピン３
０が貫通する中央孔３５と、該中央孔３５を挾ん
で対角線上に前記回転ピン３１が貫通するサイド
孔３６とが設けられている。そして、中央孔３５
には、係合ピン３０の偏心を防ぐためのピンガイ
ド３７が取付けられている。凸部３２ａには、線
材が線受枠２８と下部ガイド１１との隙間にはい
り込むのを防ぐための線ガイドスタンド３８が取
付けられており、該スタンド３８は、一端をくの
字形に折曲げた棒３９を２本一組にして添付板４
０に固定したものである。

前記係合ピン３０は、回転軸３３の上部に形成
された挿入孔４１に摺動自在に挿入され、保持板
３２の中央孔３５につば４２を介して締結されて
いる。

前記回転ピン３１は、保持板３２のサイド孔３
６につば４３を介して締結されるとともに、回転
軸３３に対して連結部材４４により回転軸方向へ
の摺動可能となるよう連結され、係合装置１３に
回転力を伝達する。

前記回転軸３３は、基台６に固定されており、
その下部に駆動装置２９の駆動軸４５を介して空
気シリンダ等のシリンダ３４が配されている。そ
して、回転軸３３および駆動軸４５の内部に、シ
リンダ３４と前記挿入孔４１とを連結する圧力伝
達用孔４６が形成されており、昇降装置１４のシ
リンダ３４からの圧力により係合ピン３０が上下
方向に移動し、それに伴なつて係合装置１３が昇
降する。

前記駆動装置２９は、水平軸を有するギアーモ
ーター４７と、水平軸方向の回転を垂直軸方向の
回転に転換するかさ歯車４８と、回転軸３３の回
転を停めるためのブレーキ４９とからなる。

前記ギアーモーター４７は、基台６の下方に設
けられた移動用の台枠５０に固定されており、前
記かさ歯車４８は、駆動軸４５に固定され、基台
６にボルト止めされる。また、駆動軸４５は、軸
受５１によつて台枠５０に支持され、その下部に
ブレーキ４９が配されている。

なお、第１図中、５２は車輪、５３は線材受け
装置３を移動させるための移動用シリンダであ
る。

上記構成において、線材供給装置１に巻き付け
られた線材を線材受け装置３に巻き取るとき、シ
リンダ３４から空気圧が圧力伝達孔４６を通じて
回転軸３３の挿入孔４１に圧送される。すると、
係合ピン３０が上昇するとともに保持板３２が上
昇する。それにつれて、回転ピン３１および線ガ
イドスタンド３８が上昇する。そして、下部ガイ
ド１１の係合部材１８の係合孔１９に係合ピン３
０が、係合部材１８の手２０の対角上の間隙に回
転ピン３１が、係合部材１８の手２０の間隙に線
ガイドスタンド３８がそれぞれ挿入され、係合姿
勢Ａとなる。

次に、線材供給装置１を回転させるとともに、
線材受け装置３のギアーモーター４７を駆動させ
る。ギアーモーター４７の駆動力は、かさ歯車４
８により基台６に伝達され、線受枠２８および回
転軸３３回転する。回転軸３３が回転すると、回
転ピン３１が回転して穿孔部１６の補強材２２に
当接する。それによつて、下部ガイド１１が線材
受け装置３と一体に回転する。このとき、線材が
自然落下できるように線材の巻付力を弱めるた
め、線材供給装置１の回転に比べて線材受け装置
３の回転を遅くする。

そして、回転ドラム１５の回転により線材は上
部ガイド１０側に先送りされ、上部ガイド１０の
円錐面に沿つてずり落ちていく。そのまま、連結
部２３を通り、下部ガイド１１までずり落ちる
と、線材の巻き付き方向が垂直方向に変わり、線
受枠２８に巻き取られながら、自重で下まで落下
していく。下部ガイド１１から線受枠２８に落下
するとき、下部ガイド１１と線受枠２８との隙間
には線ガイドスタンド３８が突出しているため、
この隙間に線材が入り込むことはない。

線材が線材受け装置３に巻き取られると、ギア
ーモーター４７の回転を停止させて、ブレーキ４
９により線受枠２８および回転軸３３を停止させ
る。そして、シリンダ３４を減圧して、係合装置
１３を下降させ、下部ガイド１１から係合装置１
３を離間した離間姿勢Ｂとする。この状態で、線
材受け装置３を下部ガイド１１から離れるよう移
動させて、線材を運搬していく。したがつて、線
材の巻き取り中、線材は上部ガイド１０および下
部ガイド１１の円錐面上に滑らかにすべり落ちて
いくために、線材にすり傷等がつかず、品質の向
上を図ることができる。

また、下部ガイド１１と線材受け装置３とを
別々に離すことができるため、線材巻き取り後の
取扱いを容易に行なうことができる。

なお、本考案は、上記実施例に限定されるもの
ではなく、本考案の範囲内で上記実施例に多くの
修正および変更を加え得ることは勿論である。

例えば、線材受け装置３の線受枠２８は本実施
例のものに限らず、円筒状のものでもよい。ま
た、支持装置１２の軸受として、つば軸受を用い
てもよい。

また、線材供給装置は、線材をダイスから引き
抜くときの引抜装置としての機能を持たせてもよ
い。

〈考案の効果〉 以上の説明から明らかな通り、本考案による
と、線材を線材供給装置から線材受け装置へ方向
を転換して落下させる案内装置が設けられ、該案
内装置は、前記線材供給装置に固定された上部ガ
イドと、前記線材受け装置に着脱自在に設けられ
た下部ガイドと、前記上部ガイドと下部ガイドと
を互いに回転自在にかつ一体的に連結する支持装
置とからなり、前記線材受け装置に、前記下部ガ
イドを線材受け装置と一体で回転するように係合
する係合装置と、該係合装置を昇降させて前記下
部ガイドを線材受け装置に係脱自在とする昇降装
置とが設けられているため、線材の巻き取り中、
線材は上部ガイドおよび下部ガイドをすべり落ち
ていき、線材にすり傷等がつかず、品質の向上を
図ることができる。

また、下部ガイドと線材受け装置とを別々に離
すことができるため、特殊キヤリアを使用する必
要がなく、現在使用しているキヤリアが流用で
き、線材巻き取り作業を容易に行なうことができ
るといつた優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す線材巻取装置
の断面図、第２図は同じく線材受け装置の平面
図、第３図は同じくガイドの断面図、第４図は同
じく係合部材の平面図、第５図は従来の線材巻取
装置の側面図、第６図は他の従来例の線材巻取装
置の側面図である。 １：線材供給装置、３：線材受け装置、９：案
内装置、１０：上部ガイド、１１：下部ガイド、
１２：支持装置、１３：係合装置、１４：昇降装
置、３０：係合ピン、３１：回転ピン、３３：回
転軸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 横軸周りに回転自在に支持された線材供給用回
   転ドラムと、 該線材供給用回転ドラムに巻付られた線材を巻
   取るために回転ドラムの下方で縦軸周りに回転自
   在に支持された線材受け装置と、 線材を前記回転ドラムから線材受け装置へ方向
   を転換して落下案内させる案内装置とを備え、 該案内装置は、 前記回転ドラムと一体回転可能に固定された傘
   状の上部ガイドと、 該上部ガイドに支持装置を介して吊支された傘
   状の下部ガイドとからなり、 前記支持装置は、 前記上部ガイドの頂部に軸受を介して支持され
   た水平軸と、 前記下部ガイドの頂部を軸受を介して回転自在
   に支持する垂直軸と、 前記上部ガイドおよび下部ガイドの円錐面が近
   接対向するよう前記水平軸および垂直軸を連結す
   る連結部とから構成され、 前記線材受け装置は、 線材を巻き付けるための線受枠と、 線受枠の回転軸を回転駆動する駆動装置と、 前記下部ガイドを線受枠と一体で回転するよう
   に係合する係合装置とからなり、 該係合装置は、 前記回転軸に昇降自在に取り付けられた下部ガ
   イド係合用のピンを有し、 該ピンを下部ガイドに係合させる係合姿勢と下
   部ガイドから離間させる離間姿勢になるよう昇降
   させる昇降装置が設けられた ことを特徴とする線材巻取装置。