JPH0321733Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 従来、工業用ミシンに於いて、生地にひだを寄
せるシヤーリング押え金は上糸の引きを強くし、
送り歯により生地の送り量と上糸と下糸との引き
の強さの差及び布を送り歯により押え金底空間部
へ送り出す事によりギヤザーを寄せる構造となつ
ており、薄地、中地、中厚地に於いては任意の深
さにひだを寄せる事が可能であるが、極厚地たと
えば厚地のデニム、コール天地等に於いては上糸
の引きを強くしても深く寄せる事はできず、又、
縫製の多様化によりコール天地等の二枚重ね寄
せ、又は厚地にレース地を重ねて寄せる場合等に
使用し得ない欠点があつた。

又、過去にも実公昭36−2171号公報によるミシ
ン襞縫装置もあるが、この装置の場合厚地、極厚
地に於いては本案と同じ様な使用効果があると思
われるが該装置によれば調節ばねの力を何如にゆ
るめたとしてもＬ形片の自重によりその先端部が
たえず針板に形成された隆起面と接触しているた
め中地、薄地においては深くひだが寄りすぎる事
となり浅く寄せる場合使用出来ないのみならず特
に薄地においては縫製し得ない。ここにその理由
を書き述べれば前記工業用シヤーリング押え金は
後部空間部は開放されて何もない形のものであ
り、押え金足底とミシンの送り歯により空間部へ
送り出された布はひだを形成し、順次送り込まれ
てくるひだ布は後部が開放されているため前へ押
し出されるだけでそのひだ布が直接送り歯で送ら
れるわけではないのでその押し出し力は、特に薄
地の場合弱く、少しでも抵抗があると押し出され
がたい。故に、上記襞縫装置の如く空間部後部に
Ｌ形片を軸支して設けた場合その自重が例えば零
ｇとしても押し上げる場合回転摩擦抵抗力が生
じ、該片を押し上げても外へ送り出される前に空
間部内にて二度三度縫われる事により縫製不能と
なる。又該装置は針板面に隆起が形成されている
ためボーア生地等も毛足の長い布においては隆起
内の溝に布が入りやすく布の切損及びコール天地
等の厚地２枚重ね寄せ等の場合布の送り出しの抵
抗になる可能性が生ず。

上記の理由より工業用シヤーリング押え金にお
いては特に極厚地を又、ミシン襞縫装置において
は薄地を共に寄せ縫い出来ないものである。

本案はこの様なそれぞれの欠点に着目して考案
されたものでその構造においてもミシン襞縫装置
の如き複雑な形状を要せず一枚の板ばねをシヤー
リング押え金に取付け使用し該板ばねの先端部は
ミシンの送り歯の作用しない針板前面を調節ねじ
にて調節し縫製布の押圧を任意にする事により薄
地より極厚地まで総ての生地を縫い寄せる事を可
能としたものである。次に各図により順次説明す
れば第１図及び第２図に示す様に、ミシンＭの押
え棒Ａに固着する為の凹部２０を上端に有する略
Ｌ字型の押え金本体３０の平面部底面後部３を凹
欠し、該凹欠部３Ａに後端近傍が下方へ屈曲し、
かつ後端が上方へ弯曲せられて生地押え先端部４
となされた適宜長さの板ばね１を固着せしめ、よ
つて、前記押え棒Ａに固着した状態に於いて、ミ
シンＭの針板５上に位置する送り歯７の後端より
も適宜寸法だけ後方にて板ばね１の後端すなわち
生地押え先端部４が前記針板５と当接することに
より板ばね１底面と針板５間に適宜のしわ寄せ空
間８を存する構造となし更に必要に応じて、板ば
ね１は押え金本体３０適所に設けられた押圧手段
４０により上面から適宜に押圧力を可変して押圧
される構造となしたものである。

よつて板ばね１の生地押え先端部４は針板と当
接し、生地６を軽く押さえているものである。

したがつて、本考案の構造によれば、生地６の
先端が押え先端部４と針板５で軽く押えられてい
るため、下にある送り歯７で押え金底部３及び板
ばね１にて形成された逆凹形の空間部８に送り出
された生地６はその中でしわを生じ、そのしわが
該空間部上部の板ばね１と接触して生じしわをよ
り生じやすくするものである。

普通、シヤーリング押え金は底の空間部に送り
出された生地を上糸の引きの強さのみによりしわ
を寄せるものであるが、本案は生地押え先端部４
で生地を軽く押えているため上記の理由により生
地自身にも強制的にしわを生じせしめ上糸の引き
を少し強くすればその相乗効果により、その寄せ
る力は特に強くなり、そのしわが空間部８に並ん
だ様な状態で一杯になればその生地の押し出され
る力により押え先端部４より順次押し出される。
９はその先端部４の力を調節するためのコイルば
ね付調節ねじであり、１０はミシンの針を示す。
薄地を寄せる場合又は中地を浅く寄せる時等は該
調節ねじ９を全部戻せば押え先端部４が上るため
普通のシヤーリング押え金と同じ状態となる。

本案はこの様な構造であるため、厚地において
も特に堅い生地でなければその押え先端部４が送
り歯７の前の位置を軽く押えている程度でよく、
その力も該板ばね１の弾力に限定されるものでは
なくその先端部４の部分に磁石又はおもりを固定
してもよく、又、この押え金の底部３を押え先端
部４の位置まで延長してその先端にばね等で開閉
自由な先端部４を設けても共に同様の使用効果が
ある。

中厚地においては特に糸調子を強める必要なく
上下の糸の引きが同じであつてもギヤザーを寄せ
る事が出来、特に糸の締りが良いので次の縫製工
程が容易であり、本構造はニツト生地等特に伸び
やすい生地を寄せる場合にも最適である。

厚地のデニム等の特に堅い生地及び生地の二枚
重ね寄せ等においては押え先端部４を強く押える
必要があり、第２図の構造による時は板ばね１を
強めのものと取替えて使用することにより寄せる
事が出来る。

図は縫合せ溝付シヤーリング押え金に本構造を
組合せたものを図示したものであるが本案は他の
形状のシヤーリング押え金においても使用し得る
ものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は外観
斜視図、第２図は使用状態の側面図、第３図はミ
シンの斜視図である。 図中、１は板ばね、２はねじ、３は押え金の底
部、４は生地押え先端部、５は針板、６は生地、
７は送り歯、８は空間部、９は調節ねじ、１０は
針、２０は凹部、３０は押え金本体、４０は押圧
手段、Ｍはミシン、Ａは押え棒を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ミシンの押え棒に固着する為の凹部を上端に
   有する略Ｌ字型の押え金本体の平面部底面後部
   を凹欠し、該凹欠部に後端近傍が下方へ屈曲
   し、かつ後端が上方へ弯曲せられて生地押え先
   端部となされた適宜長さの板ばねを固着せし
   め、よつて、前記押え棒に固着した状態に於い
   て、ミシンの針板上に位置する送り歯の後端よ
   りも適宜寸法だけ後方にて板ばねの後端すなわ
   ち生地押え先端部が前記針板と当接することに
   より板ばね底面と針板間に適宜のしわ寄せ空間
   を存する構造の厚物及びニツト用シヤーリング
   押え金。 (2) 板ばねは押え金本体適所に設けられた押圧手
   段により上面から適宜に押圧力を可変して押圧
   される構造となしたことを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の厚物及びニツト用
   シヤーリング押え金。