JPH0320325Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は橋梁の押出し工法に使用する兼用沓に
関するものである。

橋桁の現場架設工法に押出し工法がある。

この工法は橋桁を一定の長さのブロツクに分割
し、橋台後方の陸上部にその長さに相当する桁ブ
ロツク製作用の設備を仮設し、その場所で桁ブロ
ツクを製作しては橋軸前方空間に向け橋脚上を滑
らせて押出し移動し、更に桁ブロツクを打継ぎ製
作するという繰返し施工をして連続桁を架設する
ものである。

このとき橋脚上には滑り支承を載置し桁ブロツ
クは滑り支承上を移動する。

滑り支承とは、例えばコンクリートや鋼製のブ
ロツク上面にステンレス板を張つたもので、この
表面と桁ブロツク下面との間にテフロン板を挿入
して桁ブロツクを移動する。

橋脚上には桁を橋脚に固定するための本沓が配
置されており、狭い橋脚上のスペースに滑り支承
と本沓の二つを配置することが困難な場合が多
い。

そこで本沓の一部を改造し、押出し作業時の滑
り支承としても兼用できる兼用沓が考案された。

従来の兼用沓は第１，２図にみるように、押出
し作業時には、上沓ａ上に鋼製のライナープレー
トｂを置きその上にステンレス板ｃをはる。

ステンレス板ｃをはるために上沓ａの両端に定
着金具ｄを取付ける。

押出し作業完了後、ジヤツキで桁を少し持上げ
てテフロン板、ステンレス板ｃ、ライナープレー
トｂ、定着金具ｄを撤去し、桁に予めうめこまれ
ているソールプレートｅの凹部ｆに、上沓ａの凸
部ｇをはめこみ上沓ａとソールプレートｅをボル
ト締めする。

上沓ａは下沓ｈを介して橋脚に固定されている
ので桁は橋脚に固定される。

上記した従来の兼用沓にあつては、桁を押出し
てソールプレートｅと上沓ａの固定作業を行うた
めには、これらの部材ｅ、ａの間に介在するライ
ナープレートｂ、スレンレス板ｃ、定着金具ｄを
撤去する必要がある。

ところが一般に橋桁下面と橋脚上面との間が狭
小であり、しかもライナープレートｂが重たく、
撤去作業に多大の時間と労力を必要とする。

本考案は以上の問題点を解決するために成され
たもので、その目的とするところは作業性に優れ
た橋梁の押し出し工法に使用する兼用沓を提供す
ることにある。

次に本考案の兼用沓の構造について図面をもと
に説明する。（第３〜４図） 本考案の兼用沓は、直方体の上沓１と、上沓１
を橋脚に固定している下沓２、桁にあらかじめう
めこまれるソールプレート３、更に上沓１の側面
に嵌合するブロツク４とで構成する。

＜イ＞ 上沓 上沓１は相対向する二つの側面に棚状のフラン
ジ１１を突設した直方体の部材である。

そしてフランジ１１から上を嵌合部１２としそ
の上面にクロムメツキもしくは同等のメツキを施
し、滑り面１３とする。

更に棚状のフランジ１１には、その棚を垂直に
貫く方向に複数のボルト穴１４をあける。

＜ロ＞ 下沓 下沓２は上沓１を橋脚に固定する部材でボルト
等で橋脚に固定されている。

＜ハ＞ ソールプレート ソールプレート３はあらかじめ桁に埋め込まれ
る板状の部材でその大きさは上沓１よりやや大き
い。

そしてうめこまれたソールプレート３の一面は
桁下面と同一面を形成する。

また桁にうめこまれたときに桁下面になる面に
は、上沓１の断面矩形の嵌合部１２と嵌合可能な
矩形の凹部１３を凹設する。

ただし押出し作業中は複数に分割したモルタル
板や鉄板等の詰物３２で凹部３１を埋め、桁下面
と同一面を形成する。（第５図） ＜ニ＞ ブロツク ブロツク４は第３図に示すように桁の押し出し
方向と直交する嵌合部１２の両縁部に設けたフラ
ンジ１１に着脱自在に取り付けられ、その上面が
滑り面１３と面一で、その側面に下向きの曲面部
４１を形成している。

ブロツク４は桁の押し出し時のみボルトを介し
てフランジ１１に固定して使用し、施工が完了し
たら撤去する。

次に本考案の兼用沓の使用方法について説明す
る。

＜イ＞ 押出し作業時（第５図） ソールプレート３の凹部３１内にモルタル板、
または鉄板等の詰物３２をはめこみ、桁下面を平
滑にしておく。

更にブロツク４を上沓１のフランジ１１にボル
ト締めして、上沓１の滑り面１３の両端に下方に
向けて曲面部４１をつくる。

以上の準備完了後、ブロツク４の曲面部４１に
沿わせながら桁下面と上沓１の滑り面１３との間
にテフロン板５を挟みこみつつ桁の押出し作業を
進める。

＜ロ＞ 橋脚への桁固定 押出し作業完了後、ジヤツキで桁を持上げテフ
ロン板５、ソールプレート３の凹部３１内の詰物
３２、およびブロツク４を撤去する。

これらの撤去部材は何れも小形でしかも軽量で
あるから、狭小空間域であつても撤去作業が容易
である。

次に第６図に示すように、ジヤツキを降ろしな
がらソールプレート３の凹部３１を上沓１の嵌合
部１２に嵌込みボルト締めして固定する。

本考案は以上説明した様になるので、次の様な
効果を期待することができる。

＜イ＞ 本考案では従来のような重たいライナー
プレートや定着金具を不要とする。

そのため、構成部品数の低減が図れ、経済的
である。

＜ロ＞ 本考案は上記したように構成部品点数の
低減が図れると共に、特別に重たい追加部品が
ない。

そのため作業の簡略化と高能率化が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１，２図：従来の兼用沓の説明図、第３，４
図：本考案の兼用沓の説明図、第５図：桁押し出
し時における兼用沓の中央横断面図、第６図：桁
を橋脚に固定した時における兼用沓の中央横断面
図。 １……上沓、２……下沓、３……ソールプレー
ト、４……ブロツク、５……テフロン板、１１…
…フランジ、１３…滑り面、３２……詰物、４１
……曲面部、ａ……上沓、ｂ……ライナープレー
ト、ｃ……ステンレス板、ｄ……定着金具、ｅ…
…ソールプレート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 桁下面に埋設したソールプレートと、橋脚上面
   に設置した下沓と、沓を介して橋脚に固定した上
   沓で構成する、橋梁の押し出し工法に使用する兼
   用沓において、 ソールプレートはその下面に桁の押し出し時に
   詰物を面一に詰める矩形の凹部を有し、 上沓が押し出し完了時にソールプレートの凹部
   に嵌合する嵌合部と、この嵌合部の上面に形成し
   たソールプレートとの間にテフロン板を介在して
   摺動する滑り面と、桁の押し出し方向と直交する
   嵌合部の両縁部に設けたフランジと、このフラン
   ジに着脱自在に取り付けられ、上面が滑り面と面
   一で、側面が丸みを有する曲面に形成したブロツ
   クとからなることを特徴とする、 橋梁の押し出し工法に使用する兼用沓。