JPH03202539A - 繊維強化合成樹脂製コンクリート補強ロッドの定着構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、プレストレストコンクリートの緊張材、コ
ンクリート補強用鉄筋代替材などに用いる繊維強化合成
樹脂（以下ＦＲＰという）製コンクリート補強ロッドの
定着構造に関するものである。

「従来の技術、発明が解決せんとする問題点」近年、プ
レストレストコンクリートの緊張鋼材、コンクリート鉄
筋等に用いる鋼棒の腐蝕性および磁化性の欠点を解消す
るために、ＦＲＰロッドが使用されるケースが多くなり
つつあるが、ＦＲＰロッドの表面が低摩擦性であること
から、その定着端部の定着性を確保するために種々の定
着方式が開発されている。

従来のＦＲＰ製コシコンクリート補強ロッド着方式とし
て、内面にテーパー面を有するスリーブ内に挿通したＦ
ＲＰ製緊張材の周囲のテーパー間隙に複数のくさびを嵌
入することにより定着するくさび定着方式（特開昭６３
−２６８８６２号公報）や、内面に粗い凹凸を有するス
リーブ内に、定着端部に切れ目を入れてくさび状に拡げ
たＦＲＰ製緊張材を挿入すると共に低収縮性グラウトを
充填することにより、固結−磁化するくさびグラウト定
着方式（実開平１−９６９２６号公報）が知られている
が、前者においてはＦＲＰ製緊張材の引張力に対してそ
の平滑な周面とくさび内面との摩擦力で対抗するため、
充分な定着強度が得られない難点があると共に、緊張材
の周囲に凹凸を設けて摩擦力を増大した場合には輸周面
に沿った均一な定着に問題があり、定着効率が非常に低
いという難点があり、また後者においてはスリーブ内の
低収縮性グラウトによっては緊張材が内圧接合されない
ため、これに引抜き力が伝達し、切れ目の二叉交差部で
破断するという難があった。

また、スリーブ内に、定着端部に複数の切れ目を入れて
分割し、各切れ日内にビンを嵌入してくさび状に拡げた
ＦＲＰ製緊張材を挿入すると共に、エポキシ系接着剤を
充填することにより、固結一体化するくさび接着剤定着
方式（特開昭６０−２０３７６２号公報）においては、
エポキシ系接着剤の安定性に問題があり接着力を充分に
得ることが難しかった。

また、スリーブ内に挿通したＦＲＰ製緊張材を内外二重
のくさびで定着する特殊くさび定着方式（特開昭６０−
２５８３７０号公報）ち知られているが、緊張材の緊張
状態において外部くさびをスリーブ内に押し込む特殊な
緊張装置を要すると共に、直接的に緊張材をくさび定着
するため凹凸を有する緊張材に適用するには非常に困難
であった。

さらに、繊維強化合成樹脂緊張材の定着端部に補強繊維
を先太り状に巻回してくさび状としこのくさび状端部を
定着するようにした繊維巻回楔定着方式（特開昭６０−
２０３７６３号公報）も知られているが、工場において
繊維強化合成樹脂材に繊維を巻回する煩雑な加工を要す
る共に、巻回した繊維層自体の強度とその層の緊張材に
対する接着強度に不安があり、大きな緊張力の定着には
信頼性に乏しいという難点があった。

また、間接的な定着として繊維強化合成樹脂緊張材に緩
衝材を被覆してくさびで定着する緩衝材付きくさび定着
方式も知られているが、緩衝材の選定の如何によって、
また油水の存在で定着効率が損なわれるという難点があ
った。

「問題点を解決するための手段」 この発明は前記従来の課題を解決するために内面に増摩
擦表面処理を施した開口端が縮径された定着用スリーブ
と、その内部に挿通された表面に増摩擦処理を施したＦ
ＲＰ緊張材の端部の周面とが、それらの間に充填された
速硬性かつ膨張性を有する水硬性の高強度グラウト材の
膨張硬化により加圧状態で固結された繊維強化合成樹脂
製コンクリート補強ロッドの定着構造を提案するもので
ある。

「作用」 定着用スリーブ内に充填された速硬性かつ膨張性を有す
る水硬性の高強度グラウト材は、スリーブの開口端が縮
径されているため、スリーブの半径方向に膨張して硬化
し、スリーブ内面およびＦＲＰロッドの周面を高い内圧
をもって均一に圧縮した状態で短時間に高強度で固結−
体化される。

ＦＲＰロッドの定着端部には補強繊維を巻き付けたり、
撚り線を用いる等、表面の付着特性を向上させた増摩擦
処理がなされているため、圧縮状態の高強度固結グラウ
トと完全に一体化され、ＦＲＰロッドに作用する引張力
は固結グラウトを介してスリーブに伝達される。

一方、スリーブの内面にはブラスト処理、研削処理等の
増摩擦表面処理が施されているため圧縮状態の高強度固
結グラウトと一体化され引張力に充分に対抗する均質な
結合力を保持し、高度の定着性能と定着効率に優れた定
着部が得られる。

「実施例」 以下この発明を図面に示す実施例について説明すると、
この発明の定着構造に用いるＦＲＰロッド１は、カーボ
ン、アラミド、ガラス等の繊維を配合した合成樹脂ロッ
ドで、その全周あるいは少なくともその定着端部に、合
成樹脂等の補強糸又はテープを螺旋状、フープ状等に巻
き付けて周面に凹凸を形成したり、周面に無数の小突起
を形成したり、あるいはＦＲＰの撚り線を用いる等、表
面の付着特性を向上させるための増摩擦処理がなされて
いる。

ＦＲＰロッドｌの定着端部を定着するための定着用スリ
ーブ２は、第１〜３図に示すように一端又は両端の開口
３，３′の端部がＦＲＰロッド１を挿入可能な程度に縮
径された筒状に形成され、その内周面には、表面の付着
特性を向上させるためのブラスト処理、研削処理等の増
摩擦表面処理が施されている。

定着用スリーブ２内には、ＦＲＰロッドｌの定着端部が
挿入され、その周囲とスリーブ２内面との間隙に速硬性
かつ膨張性を有する水硬性の高強度グラウト材４が充填
され、その膨張硬化により、スリーブ２内面およびＦＲ
Ｐロッド１の周面を高い内圧をもって均一に圧縮した状
態で高強度で固結されている。

従って、増摩擦処理がなされたＦＲＰロッド１は、スリ
ーブ２内に半径方向に内圧を作用させた圧縮状態の高強
度固結グラウト４と完全に一体化され、また増摩擦表面
処理が施されたスリーブ２は、圧縮状態の高強度固結グ
ラウト４と一体化され、その結果ＦＲＰロッド１の引張
力に充分に対抗できる均質な結合力が保持されている。

第１．２図は、１本のＦＲＰロッドｌを定着した例を示
したもので、第１図の例においては一端に縮径された開
口３を有するスリーブ２を用い、他端の開口３′はスリ
ーブ内径と同径でスリーブ２の外周に形成した緊張装置
連結用ネジ５にねじ込んだキャップ６により閉鎖されて
いる。

また、第２図の例においては両端に縮径された開口３，
３′を設けたものである６ 第３，４図の例においては、複数本のＦＲＰロッドｌを
１個の大径スリーブ２に同時に定着する例を示したもの
で、スリーブ２の一端面には複数の開口３が形成されて
いる。

グラウト材４は、スリーブ２の後端開口３′あるいはス
リーブ周囲の適宜箇所に設けた注入孔から注入すること
が好ましいが、予めスリーブ２内に注入した上でＦＲＰ
ロッドｌを挿入することも可能である。

緊張力の導入方法は、スリーブ２の緊張装置連結用ネジ
５にテンションロッドをねじ結合するか、クサビまたは
チャッキング装置によりテンションロッドを連結し、ジ
ヤツキを用いてＦＲＰロッドｌを緊張する。

第５図は、ＦＲＰロッド１を鉄筋代替コンクノート補強
材として定着する例を示したものでＦＲＰロッドｌを定
着したスリーブ２を定着板７に係止し、打設コンクリー
ト中に一体に埋設する。

本発明の定着効果を達成するためのグラウト材４の所要
の特性は、ＦＲＰロッド１の付着強度、スリーブ２とグ
ラウト材４との結合力、スＪ−ブ２の内径および長さ、
その内面の摩擦係数等の諸要素から決まり、第６図の本
発明の構造原理図に従って力学的見地から次式で表わす
ことができる。

Ｌ　　：ＦＲＰロッドの定着長 ｄ　：　　　〃　　　直径 Ａ　ｐ　：　　　　／／　　　　断面積２ｔ：　　　〃
　　　外周長 ｄＰ、：ｌｌ　　　　引張強度 ｄ、：　　　　／／　　　　付着強度 Ｄ　ニスリーブの直径 β　：　　〃　　内周長 μ　：　　〃　　摩擦係数（内周面） ｄ　、、　ニゲラウド内圧 ｄ、：　〃　　拘束力＝μ・ｃ／　ＩＩ　ｐ上式におい
て、いまＦＲＰロッドの直径ｄを１．０ｃｍ　、その引
張強度ｃｆ　Ｐｕを１６０Ｋｇ／Ｉ１ｍ”とし、スリー
ブ直径が３．０ｃｍ、２．０ｃｍの場合について、それ
ぞれスリーブ内圧及び内面摩擦係数を変化させたときに
、必要な定着長Ｌ　（ｃ■）の値を表−１に示す。

表−１ また、上式において、いまＦＲＰロッドの付着強度ｄＢ
を　１５０Ｋｇ／ｃｍ’程度（実験値）とし、その引張
強度を　１６０Ｋｇ／１１１、直径ｄを　１．０ｃｍと
仮定した場合、上式の右辺の式より定着長りは２６ｃｍ
となる。

そして、定着長りを２６ｃｍとした場合、表−１からス
リーブ内径Ｄ　：＝　３　ｃ＋ｓ、摩擦係数μ＝０．２
５のときのグラウト内圧は２００Ｋｇ／ｃｍ”以上、ま
たスリーブ内径Ｄ　＝　２　ｃｍ、摩擦係数μ＝０．２
５のときのグラウト内圧は３００Ｋｇ／ｃ１以上を設計
上必要とすることが分かる。

また、上記同様に定着長りを２６ｃ■とじた場合スリー
ブ摩擦係数μ＝　０．２５のときのグラウトの膨張圧は
２００Ｋｇ／ｃ■２以上、またスリーブ摩擦係数μ＝０
．５のときのグラウト膨張圧は　１００Ｋｇ７０１１２
以上を設計上必要とすることが分かる。

このときのグラウト強度は、設計上安全率を見込んで上
記内圧の２倍以上とすれば、それぞれ４００Ｋｇ／ｃｍ
”、　６００Ｋｇ／ｃ＋＋＋”以上と設定することがで
きる。

このようにこの発明においては、定着仕様の諸元に応じ
てグラウト材４の内圧、膨張圧並びに強度等を設定し、
それに応じてその配合を調整することにより、必要な定
着効果を容易に達成する定着構造を得ることができるこ
とも特徴の一つである。

上記本発明を達成するために用いるグラウト材４は、ス
リーブ２内に内圧を作用させるために膨張性を有するこ
と、短時間で迅速に定着を完了するために速硬性を有す
ること、高い圧縮力に対して耐力を保持する高強度性を
有することが必要で、ポルトランドセメント、カルシウ
ムアルミネート、石膏、膨張性セメント混和剤凝結遅延
剤、および高性能減水剤とからなるセメントペースト、
またはこのペーストに微粒砂を加えたモルタルなどが用
いられる。

本発明のグラウト材４におけるポルトランドセメントと
は、ＪＩＳＲ５２１０で示されるポルトランドセメント
、ＪＩＳＲ５２１１で示される高炉セメントおよびＪＩ
ＳＲ５２１２で示されるシリカセメント等が用いられる
が、普通ポルトランドセメントを用いた場合より強度発
現が劣るものは好ましくない。

本発明のグラウト材４におけるカルシウムアルミネート
とは、石灰質原料、アルミナ質原料あるいはハロゲン化
化合物をキルンにより焼成したり、電気炉により溶融す
ることにより、ＣａＯ（以下Ｃと略す）とＡｆｆｉ、０
．　ｉ以下Ａと略す）との化合物であるＣＡ、Ｃ，Ａ、
Ｃ，２Ａ、や、ハロゲン元素が固溶したＣ、、Ａ、・Ｃ
ａＬで表わされるカルシウムハロアルミネート（ＸはＦ
ｅ、　ＣＩ□等のハロゲン元素）を言い、これらの無定
形物の使用が好ましい。

このカルシウムアルミネートの混合割合は、カルシウム
ハロアルミネートを主成分とするクリンカー粉末１０〜
７０重量部に対してポルトランドセメント３０〜９０重
量部の割合であり、好ましくはクリンカー粉末３０〜５
０重量部に対してポルトランドセメント５０〜７Ｏｆｉ
量部の割合である。

次に、Ｃ、、Ａ　、を主成分とするクリンカー粉末を用
いる場合には、この粉末３〜３０重量部に対してポルト
ランドセメント７０〜９７重量部の割合とする（好まし
くは、タリンカー粉末５〜２０重量部に対してポルトラ
ンドセメント８０〜９５重量部の割合とする） また、これらの他、ＪＩＳ２５１１の耐火物用アルミナ
セメントでち使用可能である。

本発明のグラウト材４における石膏とは、三水・無水・
半水石膏が使用できるが、半水石膏を多量に使用した場
合、本発明のセメント組成物を水と混練すると、混練直
後より偽凝結が発生し、定着作業に支障を来すことがあ
る。

また、後述する膨張性セメント混和剤の製造時に遊離し
た石膏も使用可能である。

本発明のセメント系グラウト材４に対する石膏の使用量
は、ポルトランドセメントとカルシウムアルミネートと
の混合物１００重量部に対して５〜２０重量部である。

本発明のグラウト材４における膨張性セメント混和剤と
は、石灰石、珪石および粘土等の原料を適切に配合し、
キルンにより焼成したり、あるいは電気炉により溶融す
ることにより得られた生石灰結晶や、アリット結晶から
なるクリンカーで、１５μ以上の生石灰結晶を３０〜８
０重量部と石膏を適量混合した組成物や、石灰石、アル
ミナ質原料および石膏等の原料を適切に配合し、キルン
により焼成したり、あるいは電気炉により溶融すること
により得られる鉱物であるＣ、Ａ３・Ｃａ０４を主成分
とする組成物である。

そして、これらの膨張性セメント混和剤は、グラウト材
４の厚みを考慮した上で、定着仕様に応じて、例えば本
発明の高強度グラウト材４の硬化時における圧縮強度が
６００Ｋｇ／ｃｍ”以上でスリーブ２内において内圧４
００Ｋｇ／ａｍ”以上が生ずるように調整して配合する
。

本発明のグラウト材４における凝結遅延剤とは、炭酸カ
ルシウム、クエン酸およびグルコン酸等の一種以上から
なるものを言い、セメント材の凝結時間をＪＩＳＲ５２
０１１ｉ’セメントの物理試験方法１の凝結試験による
終結をｌＯ〜３０分程度にする量を添加する。

本発明のグラウト材４における高性能減水剤とは、ＪＩ
ＳＡ６２０４ｆｆコンクリート用化学混和剤１およびＪ
ＩＳＳＳＴ４０２１ｉ’コンクリ一ト用流動化剤品質基
準１に適合する粉末状、液体状の６のが使用され、その
添加量はセメント系グラウト材に対する水の割合が２５
〜４０重量部になるように、また土木学会基準「膨張コ
ンクリートの設計施工指針（案）」の付録２「膨張材を
用いた充填モルタルの施工要領（案）」に記載されるＪ
、ロート法によりその流下値が３〜ｌＯ秒にする量が好
ましい。

以下本発明を好適な実施例を挙げてさらに詳細に説明す
る。

〈実施例１〉 グラウト材として、表−２に示す配合割合で計量し、練
り混ぜはＪ　Ｉ　５Ｒ５２０１に用いられるミキサーに
よって９Ｄ秒間行った。

前提項目１）流動性試験：Ｊ１４０−ト法２）ブリージ
ング試験：　ＪＩＳＡ１１２３３）凝結試験：　ＪＩＳ
Ｒ５２０１ ４）圧縮強度試験：　ＪＩＳＡ５２０１なお、凝結遅延
剤は、グルコン酸を用い、予め表−２に示す配合につき
、凝結時間１０〜３０分に合わせて試験を行った。

高性能減水剤は、花王■製「マイティ１００　Ｊを使用
し、その添加量は、セメント系グラウトに対して１重量
部の割合で使用した。

表−２ 表−２の結果からいずれも速硬性、膨張性、に優れ、高
い圧縮強度が得られることが分かり特に配合Ｎｏ、　２
　ｉ３よび５によれば、速硬性に優れ、膨張も早期に発
生するため、ＦＲＰ口ッドの定着作業も３〜１２時間程
度で達成することが可能となる。

〈実施例２〉 実施例１と同じグラウト材を用いて、第６図に示す形状
のスリーブ試験体（長さ２００■冒、直径２０■閣、厚
さ３．２■−の鋼管）にて定着し、異形ＦＲＰロッド（
直径２０■）の引張試験（引張荷重１６０Ｋｇ／ｍｍ２
）を行ツタ。

その結果を表−３に示す。

表−３の結果から、短期に２００〜３００Ｋｇ／ｃ＋ｓ
”拘束強度が得られることが分かる。

表−３ 「発明の効果」 以上の通りこの発明によれば、以下のような効果を奏す
る。

１）定着用スリーブ内に充填された速硬性かつ膨張性を
有する水硬性の高強度グラウト材が、開口端が縮径され
たスリーブの半径方向に膨張して硬化し、スリーブ内面
およびＦＲＰロッドの周面を高い内圧を６って均一に圧
縮した状態で、短時間に高強度で固結−磁化することが
できる。

２）ＦＲＰロッドの定着端部には、表面の付着特性を向
上させた増摩擦処理がなされ、またスリーブの内面には
ブラスト処理、研削処理等の増摩擦表面処理が施されて
いるので、それぞれ高い圧縮強度を保持した固結グラウ
トと完全に一体化され、ＦＲＰロッドに作用する引張力
に対して充分に対抗する均質な結合力を保持し、高度の
定着性能と定着効率に優れた定着構造を達成することが
できる。

３）グラウト材の内圧や強度等は、膨張性グラウトの配
合、およびグラウト材の充填厚みにより、定着仕様に応
じて容易に調節することができ、しかもグラウト材は高
強度であるので、高い内圧に耐え、高い圧縮強度が得ら
れる。

４）グラウト材は速硬性を有するので、短時間に大量の
ＦＲＰロンドの定着施工を行うことが可能となる。

５）高い内圧と高い圧縮強度の下に結合されるので、１
個のスリーブをもって複数本のＦＲＰロッドの定着を容
易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図はそれぞれこの発明の定着構造の具体例を示
す縦断側面図、第４図は第３図における横断正面図、第
５図はこの発明の定着構造により鉄筋代替コンクリート
補強材として使用する場合の取付態様を示す縦断側面図
、第６図はこの発明の構造原理図、第７図はこの発明の
実施例２に用いた試験体を示す斜視図である。 ｌ・・ＦＲＰロッド、２・・定着用スリーブ３．３°　
・・開口、４・・グラウト材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １）内面に増摩擦表面処理を施した開口端が縮径された
   定着用スリーブと、その内部に挿通された表面に増摩擦
   処理を施したＦＲＰ緊張材の端部の周面とが、それらの
   間に充填された速硬性かつ膨張性を有する水硬性の高強
   度グラウト材の膨張硬化により加圧状態で固結されてい
   ることを特徴とする繊維強化合成樹脂製コンクリート補
   強ロッドの定着構造。