JPH0319976Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は物品に流体、例えば洗滌液や温水、或
いは冷水等の流体を噴射する噴射ノズルを備えた
物品処理装置に関する。

「従来の技術」 従来、物品を洗滌し、加熱し、或いは冷却する
ための噴射ノズルを備えた物品処理装置として、
物品を搬送する搬送機構と、この搬送機構によつ
て搬送される物品の底面に向けて流体を噴射する
噴射ノズルとを備えたものが知られている。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで上記搬送機構としては、一般にネツト
コンベヤが使用され、噴射ノズルからの流体をそ
のネツトを介して物品の底面に向けて噴射するよ
うにしているが、特に物品処理装置が洗滌装置で
ある場合、物品のネツトコンベヤとの接触部を充
分に洗滌することができず、また物品と一体にネ
ツトコンベヤが移動するため、ネツトコンベヤを
介して洗滌液や熱等が外部に搬出されてしまうと
いう欠点があつた。

そのような欠点を改善するため、上記ネツトコ
ンベヤの代りにローラコンベヤを使用することが
行なわれているが、ローラコンベヤは回転部分が
多く、しかも物品との間にスリツプが生じて摩耗
粉が発生し易いため、高度な洗滌を行なう場合に
は不向きとなる。

「問題点を解決するための手段」 上述した問題点に鑑み、本考案においては、上
記搬送機構を、上記物品の搬送方向と交差する方
向に多数配設されて上記物品の底面を支持する第
１支持部材と、この第１支持部材を上昇させて前
進させるとともに、降下させて後退させる第１駆
動手段と、上記第１支持部材の間にそれと実質的
に平行に配設されて上記物品の底面を支持する多
数の第２支持部材と、上記第１支持部材の作動に
対し位相をずらして、上記第２支持部材を上昇さ
せて前進させるとともに、降下させて後退させる
第２駆動手段とから構成し、さらに、相互に隣接
した上記第１支持部材と第２支持部材とが相互に
最も近接した状態において両者間に所要の間隙を
形成し、かつ上記噴射ノズルを、この噴射ノズル
からの洗滌液が上記間隙を通過して物品の底面に
噴射可能な位置に配設したものである。

「作用」 そのような構成によれば、物品の底面全域に噴
射ノズルからの流体を噴射させることができると
ともに、上記搬送機構の第１支持部材と第２支持
部材とは所要の位置で昇降往復作動して物品を交
互に受渡しつつ前進させるので、第１支持部材と
第２支持部材とによつて洗滌液等の流体や熱が外
部に搬出されることがない。また、物品と第１支
持部材および第２支持部材との間に実質的にスリ
ツプを生じさせないので、摩耗粉の問題が生じる
こともない。

「実施例」 以下本考案を物品の洗滌を行なう物品洗滌装置
に適用した実施例について説明すると、第１図、
第２図において、物品洗滌装置１のケーシング２
内には物品３を連続的に搬送する搬送機構４を設
けてあり、また物品３の搬送方向に沿つて第１洗
滌室５、第２洗滌室６および第３洗滌室７を順次
形成している。

上記各洗滌室５〜７はそれぞれ上記ケーシング
２とこれに設けた仕切壁８とによつて区画形成し
てあり、各仕切壁８には上記搬送機構４によつて
搬送される物品３の通過を許容する開口８ａ（第
５図参照）を形成し、かつ各開口８ａは、各仕切
壁８に設けた昇降自在なシヤツタ９によつてそれ
ぞれ開閉できるようにしている。

上記搬送機構４は、上記ケーシング２内の両端
部位置に、すなわち第１洗滌室５よりも手前の位
置と第３洗滌室７を越えた位置とに配設した２本
の平行な回転軸１０，１１を備えており、両回転
軸１０，１１は、それぞれの末端部に取付けたか
さ歯車１２と、上記物品３の搬送方向に平行に配
設した駆動軸１３に取付けて上記かさ歯車１２の
それぞれに噛合させたかさ歯車１４とを介して相
互に連動し、図示しない駆動モータにより上記駆
動軸１３が回転された際には同期して同一方向に
回転されるようになつている。

上記両回転軸１０，１１間には、それぞれの回
転軸１０，１１の両端部に設けた偏心カム機構１
５を介して、物品３の搬送方向に沿つて配設した
それぞれ一対の第１ビーム１６，１６と第２ビー
ム１７，１７とを掛渡し、かつ一対の第１ビーム
１６，１６間に、物品３の搬送方向と直交させて
多数の第１支持部材１８を所定の間隔で水平に架
設するとともに、同様にして一対の第２ビーム１
７，１７間に、上記多数の第１支持部材１８の中
間位置に位置させた多数の第２支持部材１９を水
平に架設している。

上記偏心カム機構１５は、第６図、第７図に示
すように、各回転軸１０，１１の両端部に固定し
た偏心カム部材２５を備えており、各偏心カム部
材２５は回転軸１０，１１の軸心に対して一方向
に偏心した第１カム部２５ａと他方向に偏心した
第２カム部２５ｂとを、すなわち相互に180度位
相のずれた第１カム部２５ａと第２カム部２５ｂ
とを備えている。

そして、上記回転軸１０，１１の一端部外側に
設けた第１カム部２５ａの間と、回転軸１０，１
１の他端部外側に設けた第１カム部２５ａの間と
に、それらの位相を合せて、上記一対の第１ビー
ム１６，１６をホルダ２６および軸受２７を介し
て軸支している。またこれと同様に、上記回転軸
１０，１１の一端部内側に設けた第２カム部２５
ｂの間と、回転軸１０，１１の他端部内側に設け
た第２カム部２５ｂの間とに、それらの位相を合
せて、上記一対の第２ビーム１７，１７をホルダ
２６および軸受２７を介して軸支している。

したがつて、両回転軸１０，１１を回転駆動さ
せた際には、上記偏心カム部材２５における第１
カム部２５ａの回転により、第３ａ図〜第３ｄ図
に示すように、一対の第１ビーム１６およびこれ
に取付けた第１支持部材１８が昇降かつ進退動さ
れるようになり、かつこれと位相をずらして一対
の第２ビーム１７およびこれに取付けた第２支持
部材１９が昇降かつ進退動されるようになる。そ
の結果、搬送機構４上に物品３が供給されると、
その物品３は複数個の第１支持部材１８と複数個
の第２支持部材１９とによつて交互に支持されて
各支持部材１８，１９間でスリツプを生じさせる
ことなく、第１図、第２図に示す左右一対のガイ
ド２０に沿つて前進されるようになる。

なおその作動の際、一対の第１ビーム１６の内
側に位置する第２ビーム１７の上面が第１ビーム
１６に設けた第１支持部材１８の下面に当接しな
いように、第１ビーム１６と各第１支持部材１８
および第２ビーム１７と各第２支持部材１９のそ
れぞれの上下方向の寸法を調整してあり、さらに
相互に隣接する第１支持部材１８と第２支持部材
１９とについても相互に干渉しないような間隔に
配設している。

然して、上記各洗滌室５〜７を区画する仕切壁
８には、第４図、第５図に示すように、前述した
物品３の通過を許容する開口８ａの他に、その開
口８ａの両側に上記第１ビーム１６と第２ビーム
１７とが貫通する開口８ｂを形成してあり、各洗
滌室５〜〜７内はそれら開口８ａ，８ｂのみを介
して外部に開口している。

そして上記開口８ａを開閉するシヤツタ９は逆
Ｕ字形に形成した部材から構成してあり、上記開
口８ａを貫通させて一側部を一方の洗滌室に、他
側部を他方の洗滌室に、例えば第１洗滌室５と第
２洗滌室６とに跨がらせてそれぞれ位置させ、か
つ仕切壁８の壁面に沿つて昇降できるようにして
いる。

また、このシヤツタ９の上端両側には連結金具
２８を設けてあり、上記開口８ａの上方に軸支し
た回転軸２９に、上記連結具２８に連結したチエ
ーン３０と、このチエーン３０を掛渡したスプロ
ケツト３１とを介して連動させ、その回転軸２９
の一端に連結した駆動モータ３２の回転に伴なつ
て昇降させるようにしている。

さらに上記シヤツタ９の幅は、開口８ａを貫通
する上端湾曲部９ａを除いて開口８ａの幅よりも
大きく設定してあり、シヤツタ９を上昇端に位置
させた際には実質的に開口８ａの全域を閉鎖でき
るようにしてあり、かつ第４図に示すように、開
口８ａの上端縁に沿う庇３３を仕切壁８の両面に
取付けて、シヤツタ９と開口８ａとの上部間隙の
液密を確保できるようにしている。

なお上記シヤツタ９は、第３ａ図〜第３ｄ図に
示すように、その上昇端位置において上記搬送機
構４の第１支持部材１８と第２支持部材１９の間
に位置し、かつそれらと干渉することがない位置
に配設していることは勿論である。また、上記第
１ビーム１６と第２ビーム１７とを貫通させた開
口８ｂは、蛇腹状の覆いを設けてそれらビーム１
６，１７の作動を許容しつつその開口８ｂを完全
に密封するようにしてもよいし、さらには各仕切
壁８の前後で各ビーム１６，１７を切断するとと
もに上記開口８ｂを省略し、切断した各ビーム１
６，１７をそれぞれ上記回転軸１０，１１で支持
して各回転軸を相互に同期して回転駆動するよう
にしてもよい。

次に、第１図、第２図に示すように、各洗滌室
５〜７内には、搬送機構４によつて搬送される物
品３の外周面全域を洗滌できるように多数の噴射
ノズル３５を配設してあり、それらの噴射ノズル
３５の内、特に搬送機構４の下方側に配置した噴
射ノズル３５は、上記各第１支持部材１８と第２
支持部材１９とが作動された際に、噴射した洗滌
液がそれら第１支持部材１８と第２支持部材１９
の間に常時形成される間隙を通過し得る位置に配
設している（第３ａ図〜第３ｄ図参照）。

そして、上記各噴射ノズル３５を設けたパイプ
３６は、各洗滌室５〜７毎に独立して、第２図に
示したケーシング２外部のパイプ３７を介してそ
れぞれ駆動モータ３８によつて駆動される供給ポ
ンプ３９に接続し、さらに各供給ポンプ３９は、
各洗滌室５〜７の下方位置に設けた種類の異なる
洗滌液を貯溜する洗滌槽４０，４１，４２にそれ
ぞれ連通させている。また、各洗滌室５〜７内の
底面部にはそれぞれフイルタ４３を取付けてあ
り、各噴射ノズル３５から噴射された洗滌液を各
フイルタ４３で濾過して各洗滌槽４０，４１，４
２内にそれぞれ回収できるようにしている。

以上の構成において、物品３が図示しない適宜
の物品供給手段により上記搬送機構４の一端に供
給されると、第１洗滌室５の入口側のシヤツタ９
が上昇して開口８ａを開放する。これにより上記
物品３は搬送機構４によつて第１洗滌室５内に搬
入され、物品が第１洗滌室５内に搬入されると上
記シヤツタ９が下降して上記開口８ａを閉鎖す
る。

上記第１洗滌室５内に搬入された物品３は搬送
機構４によつて搬送される間に噴射ノズル３５か
ら噴射される洗滌液によつて外周面が洗滌され
る。この際、物品３は搬送機構４の第１支持部材
１８から第２支持部材１９へ交互に受渡されつつ
前進されるので、その底面の一定の部分が常にそ
れを搬送する支持部材１８又は１９と接触してい
ることがなく、しかも搬送機構４の下方側に配置
した噴射ノズル３５は、上述したように噴射した
洗滌液が各支持部材１８と１９との間に常時形成
される間隙を通過し得る位置に配設しているの
で、確実に物品３の底面全域を洗滌することがで
きる。

このようにして第１洗滌室５内において物品３
の洗滌が行なわれ、その物品が第１洗滌室５の末
端まで搬送されると、第１洗滌室５と第２洗滌室
６とを区画するシヤツタ９が上昇して開口８ａを
開放する。これにより物品３は搬送機構４により
開口８ａを介して第２洗滌室６内に搬入され、物
品３が第２洗滌室６内に搬入されると上記シヤツ
タ９が降下して上記開口８ａを閉鎖する。

この際、物品３は搬送機構４の第１支持部材１
８から第２支持部材１９へ交互に受渡されつつ前
進されるが、第１洗滌室５内の各支持部材１８，
１９と第２洗滌室６内の各支持部材１８，１９と
は常にそれぞれの洗滌室５，６内に位置して、第
１洗滌室５から第２洗滌室６へ移動することがな
いので、第１洗滌室５内の各支持部材１８，１９
に付着した洗滌液や熱が第２洗滌室６内に搬入さ
れることがなく、したがつて第１洗滌室５内の洗
滌液と第２洗滌室６内の洗滌液とが混合すること
が可及的に防止される。

次に、上記物品３が第２洗滌室６内に搬入され
ると、上述と同様に噴射ノズル３５から噴射され
る洗滌液によつて外周面が洗滌され、また第１洗
滌室５内に新たに搬入された物品に対しても噴射
ノズル３５から噴射される洗滌液によつて洗滌が
行なわれる。したがつて上記シヤツタ９にはその
両面に洗滌液が付着し、さらにそれぞれの表面に
沿つて流下するようになるが、上記シヤツタ９は
逆Ｕ字形に形成した部材から構成して一側部を第
１洗滌室５内に、他側部を第２洗滌室６内にそれ
ぞれ位置させているので、各表面に沿つて流下す
る洗滌液が異なる洗滌室内に流下することがな
く、したがつてこの点においても洗滌液の混合が
防止されている。

このようにして順次各洗滌室５〜７内で洗滌が
行なわれ、搬送機構４の末端部まで移動された物
品３は、図示しない適宜の搬出機構によりその搬
送機構４の末端部から外部に搬出されるようにな
る。

なお、上記実施例では偏心カム機構１５によつ
て第１支持部材１８と第２支持部材１９とに位相
のずれた上昇前進運動と降下後退運動とを付与し
ているが、その他の駆動手段、例えば昇降方向の
シリンダ装置と水平方向のシリンダ装置とによつ
てもそのような運動を付与できることは明らかで
ある。

「考案の効果」 以上のように、本考案によれば、物品の底面全
域を完全に洗滌することができるようになるとと
もに、搬送機構によつて洗滌液等の流体や熱が外
部に搬出されることがなく、しかも物品と搬送機
構との間にスリツプが生じないので、摩耗粉の問
題も生じないという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図は第１図の−線に沿う断面図、第３ａ図な
いし第３ｄ図は搬送機構４による物品の搬送過程
を示す説明図、第４図はシヤツタ９を示す第１図
の要部の拡大断面図、第５図は第１図の−線
に沿う断面図、第６図は第２図の要部の拡大図、
第７図の−線に沿う断面図である。 １…物品洗滌装置、４…搬送機構、５〜７…洗
滌室、８…仕切壁、９…シヤツタ、１０，１１…
回転軸、１５…偏心カム機構、１８…第１支持部
材、１９…第２支持部材、３５…噴射ノズル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 物品を搬送する搬送機構と、この搬送機構によ
   つて搬送される物品の底面に向けて洗滌液を噴射
   する噴射ノズルとを備えた物品処理装置におい
   て、 上記搬送機構を、上記物品の搬送方向と交差す
   る方向に多数配設されて上記物品の底面を支持す
   る第１支持部材と、この第１支持部材を上昇させ
   て前進させるとともに、降下させて後退させる第
   １駆動手段と、上記第１支持部材の間にそれと実
   質的に平行に多数配設されて上記物品の底面を支
   持する第２支持部材と、上記第１支持部材の作動
   に対し位相をずらして、上記第２支持部材を上昇
   させて前進させるとともに、降下させて後退させ
   る第２駆動手段とから構成し、 さらに、相互に隣接した上記第１支持部材と第
   ２支持部材とが相互に最も近接した状態において
   両者間に所要の間隔を形成し、かつ上記噴射ノズ
   ルを、この噴射ノズルからの洗滌液が上記間隙を
   通過して物品の底面に噴射可能な位置に配設した
   ことを特徴とする噴射ノズルを備えた物品処理装
   置。