JPH0319168Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は接着剤を使用せずに小形管球を口金に
取付けた口金付小形管球に関する。

（従来の技術） 例えば自動車用前照灯に使用される光源は、一
端を圧潰封止した石英ガラス製のバルブ内に２本
のフイラメントを配置し、このバルブ内に不活性
ガスおよびハロゲンを封入した、いわゆる小形ハ
ロゲン電球が用いられている。

このような電球は封止端部を口金に固定してこ
の口金と一体化されるが、点灯中の温度が高いの
で有機材料を含んだ接着剤を用いて口金に接着す
ることができない。このため、円筒形の口金本体
の開口部を円板形状の口金キヤツプで閉塞し、こ
の口金キヤツプに上記小形ハロゲン電球を固定す
るようになつている。

この場合、口金キヤツプに例えば方形の開口部
を形成し、この開口部の対向する辺にそれぞれ複
数の係止片を折り曲げて突設し、電球の圧潰封止
部を上記開口部に挿入して上記係止片を押し広
げ、これら係止片が弾性復帰する力で封止面を押
圧することによりこの小形電球を口金キヤツプに
固定している。上記封止部には、封止面に突起ま
たは凹部からなる係着部を形成してあり、上記係
止片が上記係着部に当たることにより電球の差し
込み深さを規制するようになつている。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上記電球は口金を介してリフレクタ
に取着され、この電球から放射される光はリフレ
クタにより反射されて前方に投光される。この場
合、前方照射の配光パターンは規制されるように
なつており、このため上記口金キヤツプに形成さ
れる開口部は、平板形口金キヤツプの中心から偏
位した位置に形成されている。つまり、電球は口
金キヤツプの中心から編位した位置に配置される
ようになつている。

上記電球を偏位させる位置は上記配光パターン
に影響を及ぼすものであるため電球の偏位位置は
高精度に設定される必要がある。

しかしながら、従来の場合、開口部を挟んで左
右の対向する辺に形成された係止片は突出長さお
よび切り起こし角度が互いに同じ寸法に設定して
ある。

このため、これら左右両辺の係止片は理論的に
弾性変形量が同程度になる筈であるが、実際には
加工ばらつき等のために左右の弾性変形量が各口
金キヤツプ毎に変化する。つまり各口金キヤツプ
毎に左右の係止片の弾性変形量がばらつき、ここ
に取付けられる電球の取付け位置精度がばらつく
ため、配光パターンもばらつく場合がある。

本考案はこのような事情にもとづきなされたも
ので、小形電球を口金キヤツプに対して高精度に
位置決めして取付けることができる口金付小形管
球を提供しようとするものである。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 本考案は上記目的を達成するため、口金キヤツ
プの開口部に形成した係止片は、口金キヤツプの
中心から偏位して形成された開口部の該偏位する
方向に向かう向こう側に辺に設けた係止片を、手
前側の辺に設けた係止片に比べて大きな立ち上が
り角度で折り曲げてあることを特徴とする。

（作用） 上記の構成によると、予め立ち上がり角度を大
きくしておいた係止片は弾性変形量が小さいから
この係止片が規制壁となつて電球の取付け位置を
上記開口部の偏位方向に対して規制し、電球の取
付け位置のばらつきを軽減することができる。

（実施例） 以下本考案の一実施例を第１図ないし第４図に
もとづき説明する。

図面は自動車用前照灯として使用される小形ハ
ロゲン電球の場合について示し、１は小形ハロゲ
ン電球、２は口金本体、３は口金キヤツプをそれ
ぞれ示す。

小形ハロゲン電球１は、石英ガラスよりなるＴ
形バルブ１１の一端に圧潰封止部１２が形成され
ており、この封止部１２には中央部を軸方向に貫
通して排気管１３が設けられている。上記封止部
１２には排気管１３の両側に位置して各圧潰面に
軸方向と交差する突起もしくは溝（本実施例では
突起）よりなる係着部１４……が形成されてい
る。バルブ１１内には走行用の主フイラメント１
５とすれ違い用の副フイランメント１６が配置さ
れており、かつ不活性ガスとともにハロゲンが封
入されている。封止部１２からは上記主フイラメ
ント１５および副フイランメント１６に接続され
た外部リード線１７ａ，１７ｂ，１７ｃおよび１
７ｄが導出されており、その１つ１７ｄは他の外
部リード線１７ｃに接続されている。

口金本体２は筒体２１の底部を絶縁板２２で閉
塞し、この絶縁板２２にレグ端子２３ａ，２３
ｂ，２３ｃを接合して構成してある。この口金本
体２に上記電球１の封止部１２を嵌め込んで前記
外部リード線１７ａ，１７ｂおよび１７ｃをレグ
端子２３ａ，２３ｂ，２３ｃに半田付けするよう
になつている。

口金キヤツプ３は黄銅などの金属板からなり、
上記口金本体２の上端を閉塞すべくフランジ部３
１を有している。この口金キヤツプ３には中心か
ら一側に偏位して方形の開口部３２が設けられて
いる。この開口部３２には、口金キヤツプ３の中
心から一側に偏位する方向に向かつて互いに対向
する辺に位置して、それぞれ係止片３３ａ，３３
ｂ，３３ｃおよび３４ａ，３４ｂ，３４ｃが突設
されている。これら各係止片は第３図に示すごと
く、図示下向きに折曲されており、この場合それ
ぞれ中央に位置する係止片３３ｂ，３４ｂが各両
側に位置して封止部１２の封止面に対向する係止
片３３ａ，３３ｂ，３４ａ，３４ｂよりも下向き
に長大となるように伸びている。上記中央の係止
片３３ｂと両側の係止片３３ａの下向きに突出す
る長さの差ｌは１mm以上あればよく、この差が長
い程好ましいが実際上は２mm位に設定される。

また、これら中央の係止片３３ｂ，３４ｂにお
いては相互に起立角度α，βが異なるようにして
ある。すなわち、中央に位置する係止片３３ｂ，
３４ｂは、口金キヤツプ３１の中心から偏位して
形成された開口部３２の該偏位する方向に（矢印
方向）向かう向こう側の辺に設けた係止片３３ｂ
が、手前側の辺に設けた係止片３４ｂに比べて大
きな立ち上がり角度で折り曲げられている。つま
り、向こう側の辺に設けた係止片３３ｂの起立角
度αが手前側の辺に設けた係止片３４ｂの起立角
度βに比べて大きく（α＞β）設定されている。

なお、これら中央の係止片３３ｂ，３４ｂは封
止部１２の排気管１３の外面の線接触で当接する
ようになつており、このためこれら係止片３３
ｂ，３４ｂの先端面は第２図に示すごとく、排気
管１３の外面形状と合致するように曲面に切欠３
５，３５されている。

第２図において、各係止片を起立折り曲げしな
い状態を想像線で示す。

このような構成の実施例においては、電球１の
封止部１２を第４図に示すように口金キヤツプ３
の開口部３２に差し込むと、各係止片３３ａ，３
３ｂ，３３ｃおよび３４ａ，３４ｂ，３４ｃが封
止部１２の先端に押されて開くように弾性変形す
る。

この場合、中央の係止片３３ｂ，３４ｂは、開
口部３２の偏位する方向に（第３図の矢印方向）
向かう向こう側の辺に設けた係止片３３ｂの起立
角度αが手前側の辺に設けた係止片３４ｂの起立
角度βの比べて大きく（α＞β）設定されている
ので、偏位方向の（矢印方向）向こう側の係止片
３３ｂの弾性変形は少ない。つまり、係止片３３
ｂは３４ｂに比べて抵抗が大きくて変形しなく、
逆に説明すると手前側の係止片３４ｂが大きく変
形して封止部１２の通過を許す。したがつて、電
球１は上記変形抵抗の大きな係止片３３ｂで偏位
方向の（矢印方向）位置が規制され、すなわち係
止片３３ｂが位置決めの規制壁となるから、開口
部３２への取付け位置が高精度に規制される。

このことから、電球１の口金キヤツプ３に対す
る取付け位置のばらつきを軽減することができ
る。

上記のようにして開口部３２に挿入された封止
部１２には、各係止片３３ａ，３３ｂ，３３ｃお
よび３４ａ，３４ｂ，３４ｃが弾性復帰して弾接
する。つまり、中央部の係止片３３ｂ，３４ｂは
排気管１３の膨出外面に当接するとともに、両側
の係止片３３ａ，３３ｂ，３４ａ，３４ｂは排気
管１３の両側に位置する封止部の平坦面に当た
る。このためこれら係止片の弾圧力により電球１
は口金キヤツプ３に係着される。

この場合、両側の係止片３３ａ，３３ｂ，３４
ａ，３４ｂが封止部１２に形成した突起形状の係
着部１４……に係止し、これにより電球１が口金
キヤツプ３から抜け出すのを阻止する。

また、中央の係止片３３ｂ，３４ｂと、両側の
係止片３３ａ，３３ｂ，３４ａ，３４ｂの長さが
異なるため、封止部１２に対する軸方向に沿う異
なる位置、つまり、上下に異なる位置を支持す
る。この結果、電球１が口金キヤツプ３に対して
第４図の矢印方向へ傾くことがなくなり、振動や
衝撃が伝えられても揺動する惧れはない。また、
電球１の軸線が口金キヤツプ３に上面に対して確
実な直角度を保つて支持され、電球１の取付け姿
勢が安定する。

なお、中央部の係止片３３ｂ，３４ｂの先端に
曲面の切欠３５，３５を形成したので、これら切
欠３５，３５ｂが排気管１３の外面に長い接触長
で線接触して密着し、よつてこれら係止片３３
ｂ，３４が排気管１３を確実に押さえるから電球
１を安定して支持する。

第５図に示す他の実施例は、排気管１３がバル
ブ１１の頂部に形成された構造の電球１を示し、
この場合は封止部１２に排気管１３が存在しない
から中央部の係止片３３ｂ，３４ｂの先端に曲面
の切欠３５、３５を形成する必要はない。

また、本考案は必ずしも中央の係止片３３
ｂ，３４ｂが両側の係止片３３ａ，３３ｂ，３４
ａ，３４ｂに比べて折曲げ長さ長いことに限定さ
れるものではなく、逆に中央部の係止片に比べて
両側の係止片が長くなるように形成してもよく、
かつ開口部３２の対向する辺相互で係止片の長さ
が線対称であることには限らず、一辺側で長い係
止片と短い係止片を有していてもよく、かつ係止
片退数も一辺側で３個づつには限らない。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によると、口金キヤ
ツプに偏位して設けられた開口部に形成した係止
片は、上記偏位する方向に向かう向こう側の辺に
設けた係止片が手前側の辺に設けた係止片に比べ
て大きな立ち上がり角度で折り曲げてあるので、
この立ち上がり角度を大きくした係止片は弾性変
形量が小さくなり、よつて電球の封止部を上記開
口部に挿入した場合にこの係止片が規制壁となつ
て電球の取付け位置を上記開口部の偏位方向に対
して規制する。このため電球の取付け位置のばら
つきを軽減することができ、電球と口金キヤツプ
の位置決めが高精度になされ、配光パターンにば
らつきを軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案の一実施例を示
し、第１図は口金付小形管球の分解した斜視図、
第２図は口金キヤツプの平面図、第３図は第２図
中−線の断面図、第４図は組立状態の断面
図、第５図は本考案の他の実施例を示す組立状態
の断面図である。 １……電球、２……口金本体、３……口金キヤ
ツプ、１１……バルブ、１２……封止部、１３…
…排気管、１４……係着部、３２……開口部、３
３ａ〜３３ｃ，３４ａ〜３４ｃ……係止片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 口金本体に取り付けられる平板形の口金キヤツ
   プに中心から偏位して開口部を設け、この開口部
   の上記偏位方向に向かつて互いに対向する辺にそ
   れぞれ複数の係止片を折り曲げて突設し、小形管
   球の端部に形成した圧潰封止部を上記開口部に挿
   入し、この封止部を上記係止片で弾圧することに
   よりこの小形管球を口金キヤツプに係着させる口
   金付小形管球において、 上記開口部に形成した係止片は、中心から偏位
   する方向に向かう向かう側の辺に設けた係止片が
   手前側の辺に設けた係止片に比べて大きな立ち上
   がり角度で折り曲げてあることを特徴とする口金
   付小形管球。