JPH0318945Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は溶銑スラグ中の酸素量測定装置に関し、
更に詳しくは、製鋼工程において、高炉内にて生
成され、脱ケイ素、脱リン、脱硫及び転炉内にお
ける複合吹錬等の精錬工程に至る以前の溶銑上に
浮遊する、或いは、分離されたスラグ層中の酸素
量測定装置に関するものである。

鉄鋼精錬において高炉や転炉内の温度と酸素量
を正確に測定することは工程管理上重要であり転
炉内における測定については、従来多数の先願に
て明らかにされているように正確な測定が可能で
あるも、溶銑スラグ中の酸素量測定に際しては当
該溶銑スラグ中に含まれる直径約２〜５mmの粒鉄
がスラグ側電極に付着して、該スラグ側電極及び
そのリード線が断線し測定不能となつたり、又粒
鉄自体の酸素量を感知測定して測定誤差を生じ、
正確な長時間測定は極めて困難なものであつた。

本案はこのような現状に鑑みて考案したもの
で、その要旨とするところは、スラグ側電極及び
これに連続するリード線を外被する専用の保護管
若しくはプローブ先端外装部材等の外被部材を設
けるとともに、前記外被部材の内径はスラグ側電
極を添設した固体電解質管を密着状態で内装し得
る大きさに設定し、且つスラグ側電極はその全体
を前記外被部材の先端より内方に位置づけること
によつて、スラグ側電極と溶銑スラグとの接触を
阻害することなく、粒鉄がスラグ側電極に付着す
ることを防止し、このことによつて、スラグ側電
極やリード線の損傷を防止するとともにスラグ中
の正しい酸素量測定を可能となし、加えてスラグ
側電極によつて外被部材と固体電解質管との間隙
を事実上封止することにより、プローブ内へのス
ラグの侵入をスラグ側電極の先端側周辺だけに限
定することによりプローブ内の耐火性支持管等の
劣化を防ぎ、長時間測定を可能にすることにあ
る。以下添付の実施図例にて本案を詳説すれば、 プローブ１の先端面には固体電解質管２を突設
し、該固体電解質管２の所定部位外周には、リー
ド線４に連続する白金等の電極用線材を捲回して
スラグ側電極３を構成し、当該スラグ側電極３と
上記固体電解質管２内に構成されたガス或いは固
体標準極７間に生ずる起電力差によつて溶銑スラ
グ中の酸素量を測定し得るようになしており、こ
のスラグ側電極３及びリード線４をスラグ中の粒
鉄から保護する為に外被部材５、例えば高純度の
安定化ジルコニア、マグネシア、アルミナ、鉄等
の耐火物製管状体からなる保護管５ａを、上記し
た固体電解質管２を含む形でスラグ側電極３、リ
ード線４に密接した状態で外被している。そして
スラグ側電極３はその全体を外被部材５の先端
５′よりも内方側に位置づけられている。保護管
５ａの内径をスラグ側電極を添設した固体電解質
管を密着状態で内装できる大きささに設定したこ
とにより、保護管５ａと固体電解質管２間の間隙
はスラグ側電極の厚み分に略一致した大きさとな
る。したがつて、スラグはスラグ側電極３先端部
に接触し得るものの、スラグ中に存在する直径約
２mm〜５mmの粒鉄は、保護管５ａと固体電解質管
２の間隙には侵入することはできないことから、
スラグ側電極３表面に粒鉄が付着することを完全
に防止できるのである。又、スラグ側電極３は保
護管５ａと固体電解質管２との間に位置して、両
者間の間隙を事実上埋めることとなるのでスラグ
がプローブ本体内に深く侵入することもなくな
り、プローブ内の耐火性支持管９等が熱により劣
化することもなくなるのである。

本案の他実施例としては前述の如く保護管５ａ
を別設することなく、第２図に示すようにプロー
ブ１の先端外装部材５ｂを前記保護管５ａと同様
の耐火物にて形成して外被部材５となし、この外
被部材５と固体電解質管２間に位置するスラグ側
電極３を、その外面を外被部材５に接触させた状
態で、外被部材５の先端５′より内方（図中にお
いては上方）に位置させることも可能である。

尚、図中において６はセラミツク材等よりなる
耐火性外管、８は標準極側電極棒を示すものであ
る。

以上のようになる本考案の溶銑スラグ中の酸素
量測定装置によれば、プローブ１の先端に配置し
たスラグ側電極３を巻付け等の手段により添設し
た固体電解質管２を、外被部材５にて密着状態で
外被するとともに、当該スラグ側電極３を外被部
材５の先端５′より内方側に位置づけた構成とし
た。したがつて、高炉内からの銑鉄取付し時にお
いて流動状態の溶銑スラグ中の酸素量を測定する
場合においては、該プローブ先端をスラグ中に位
置づければ、スラグは、外被部材５と固体電解質
管２間に位置するスラグ側電極３に接触してスラ
グ中の酸素量が測定される。又、スラグ側電極３
は外被部材５と固体電解質管２間にそれぞれに対
して接触状態で内装されているから、２mm〜５mm
の粒径を有する粒鉄は外被部材５と固体電解質管
２間には侵入することはなく、この為、流動状態
の粒鉄が引掛かり状態でスラグ側電極３、又はリ
ード線４に付着することを防止できるので、リー
ド線４が断線したりすることを回避できるととも
に、粒鉄自体の酸素量を測定してしまうというこ
ともなく、スラグ中の酸素量の高精度な測定が保
証されるのである。

又、スラグ側電極３は外被部材５と固体電解質
管２間に位置して両者の間隙を事実上埋めている
こと、スラグの侵入をスラグ側電極３の先端側周
辺のみに限定することが可能となり、プローブ内
の耐火性支持管９等を劣化させることもないので
ある。

更に、外被部材５としては専用の保護管５ａを
用いて固体電解質管２を含む形でスラグ側電極３
及びリード線４を密着状態で外被しても、又当該
保護管５ａを用いることなくプローブの先端外装
部材５ｂにてスラグ側電極３及びリード線４を密
着状態で外被することも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の一実施例を示すプローブの断面
図、第２図は同じく他実施例を示す断面図であ
る。 １……プローブ、２……固体電解質管、３……
スラグ側電極、４……リード線、５……外被部
材、５ａ……保護管、５ｂ……プローブ先端外装
部材、６……耐火性外管、７……標準極、８……
標準極側電極棒、９……耐火性支持管。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 標準極を内設した固体電解質管と、該固体電解
   質管外周に添設したスラグ側電極を有する酸素量
   測定装置において、 スラグ側電極及びこれに連続するリード線を外
   被する専用の保護管若しくはプローブ先端外装部
   材等の外被部材を設けるとともに前記外被部材の
   内径はスラグ側電極を添設した固体電解質管を密
   着状態で内装し得る大きさに設定し、且つスラグ
   側電極はその全体を前記外被部材の先端より内方
   に位置づけてなる溶銑スラグ中の酸素量測定装
   置。