JPH0321464Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、溶融金属の測温及び試料採取を行な
うための装置に関する。更に詳しくは、溶融金属
特に溶鋼中に竪方向に挿入される昇降杆の下端に
取り付けられ、溶鋼の成分分析に用いるための試
料採取と同時に溶鋼温度測定を行なうための、い
わゆるピンサンプラーと呼ばれる装置に関するも
のである。

（従来の技術） 従来の測温及び試料採取装置としては、例えば
第６図に示す実開昭58−96252号公報開示のもの
が公知である。図において５は試料採取管、８は
熱電対であり、筒体２に設けられた空所６ａに一
部分が内設されている。

この装置によつて測温及び試料採取を行なう
と、試料採取管５の導入された溶鋼によつて空所
６ａ内が昇温し、測温誤差を正じるという問題が
あつた。

また、転炉、AOD炉などの精練容器内におい
て、溶鋼界面に浮遊するスラグ層は厚く、硬い性
状を有し、溶鋼は強い撹拌流を付与されている
為、挿入した試料採取装置の先端部がこれらによ
つて折損あるいは破損し、測温指示不良及び健全
な試料採取が阻害される等の問題があつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は、溶融金属の測温及び試料採取を行な
うための装置における前記の問題を解決し、転
炉、AOD炉等における測温及び試料採取を適確
に行なうことのできる装置の提供を目的とする。

（問題点を解決するための手段、作用） 本考案の要旨は、多重の耐熱紙層によつて形成
された筒体の先端部に熱電対と試料採取管とを有
し溶鋼中に竪方向に挿入される昇降杆の下端に取
熱電対を囲繞する該保護筒と、保護筒を覆う保護
キヤツプと、保護キヤツプを覆う円錐状保護キヤ
ツプと、試料採取管と接続され、筒体に設けられ
た空所と、筒体の軸芯孔を貫通して設けられた熱
電対のリード線とを備えたことを特徴とする溶融
金属の測温及び試料採取装置である。

以下、本考案を図面に示す実施例に従つて説明
する。

第３図は本考案に係る装置例の全体図、第１
図、第２図は溶融金属の測温及び試料採取を行な
うためのピンサンプラー１の先端部の詳細を示
す。２は多重（図では四層）に巻き付けられた耐
熱紙層で形成された筒体であり、該筒体２の先端
部には、ガイシ等耐火物材料で形成された外側支
持体３が筒体２に設けられた溝２ａに挿着されて
いる。該外側支持体３には石英パイプからなる２
本の試料採取管５が挿着され、耐火セメント等の
断熱材で固定されている。該試料採取管５は一端
（上端）が外側支持体３から突出しており、他端
（下端）は筒体２に設けられた空所６に接続され
ている。

該外側支持体３の中央部にはガイシ等の耐火物
材料で形成された内側支持体７が挿着され、耐火
セメント等の断熱材で固定されている。温度測定
用の熱電対８が石英チユーブに挿入され（図示の
ものはＵ字管式温度計である）、該内側支持体７
に挿通され、セメント等の断熱材で固定されてい
る。該熱電対８の外周には、石英等の断熱材で形
成された保護筒９が内側支持体７に設けられた溝
７ａにセメント等の断熱材で固定されている。

該保護筒９の外側の内側支持体７には熱電対８
を保護するための金属製の保護キヤツプ１０が抱
合され、耐火セメント等の断熱材で固定されてい
る。

内側支持体７には保護キヤツプ１０が装着さ
れ、外側支持体３には試料採取管５を保護すると
ともにスラグ層への突入を容易にするための円錐
状保護キヤツプ４が抱合され、セメント等の断熱
材で固定されている。

１１は芯管であり、筒体２の軸芯孔２ｂに嵌挿
され、例えばプラスチツクなどによつて形成され
ており、内部を熱電対のリード線８ａが貫通して
いる。第３図の１２は溶鋼中に竪方向に挿入され
る昇降杆である。

第４図は保護筒９からの熱電対８の突出長さを
長くした例を示し、第５図は同突出長さを短かく
した例を示す。第５図の実施例に示す様に熱電対
８を短かくした方が溶鋼撹拌流の影響を緩和で
き、該撹拌流による折損等を確実に防止すること
が可能である。

試料採取管５の長さは内径の約15倍以上とする
ことにより、空洞などのない健全な試料を採取す
ることが可能となる。

次に、本実施例に基づいて本考案の作用を説明
する。

ピンサンプラー１を昇降杆１２に装着した後、
溶融金属に円錐状保護キヤツプ４から浸漬する。
円錐状保護キヤツプ４は溶鋼界面に浮遊するスラ
グ層への突入を容易にし、突入の際の衝撃による
ピンサンプラー１先端部の破壊を防止するととも
に、該円錐状保護キヤツプ４および保護キヤツプ
１０はスラグ層通過時試料採取管５、熱電対８を
保護し、円錐状保護キヤツプ４はスラグ層通過後
に溶解し、保護キヤツプ１０は熱電対８が測定す
べき溶融金属部位に到達後に溶解する。

保護筒９は測温中に於いて溶鋼撹拌流から熱電
対８を保護し、折損を防止する。

試料採取管５は筒体２に設けられた空所６に接
続されている為、該試料採取管５の開口部から溶
融金属が流入し、該管内の空気を空所６に押出
す。該管内に流入した溶融金属は内側支持体７等
により熱を奪われて凝固し、所定時間経過後ピン
サンプラー１を溶融金属中から引き上げて試料を
採取する。

（考案の効果） 本考案による測温及び試料採取装置は以上のよ
うに構成されている為、次の効果を有する。

(1) 内側支持体７には熱電対８を保護する保護キ
ヤツプ１０及び保護筒９を設け、外側支持体３
に該保護キヤツプ１０および試料採取管５を保
護する円錐状保護キヤツプ４を設けている為、
スラグへの突入時及びスラグ層通過中に於ける
ピンサンプラー１の先端部の破壊及び溶鋼撹拌
流による熱電対８の折損を防止することがで
き、溶融金属の測温及び試料採取を適確に行な
える。

(2) 試料採取管５の端部は筒体２に設けられた空
所６に接続され、熱電対８に接続されたリード
線（図示せず）と隔離されている為、試料採取
時の溶鋼流入による高温ガスとリード線との直
接接触を防止でき、測温が精度よく行なえる。
又、該空所は多重巻きされた耐熱紙によつて形
成されている為、容易に形成することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の部分断面斜視図、第２
図は第１図のＡ−Ａ視断面図、第３図は本考案実
施例の全体図、第４図、第５図は第１図、第２図
の熱電対部分の部分拡大図、第６図は従来装置を
示す図である。 １……ピンサンプラー、２……筒体、３……外
側支持体、４……円錐状保護キヤツプ、５……試
料採取管、６……空所、７……内側支持体、８…
…熱電対、９……保護筒、１０……保護キヤツ
プ、１１……芯管、１２……昇降杆。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多重の耐熱紙層によつて形成された筒体２の先
   端部に熱電対８と試料採取管５とを有し溶鋼中に
   竪方向に挿入される昇降杆１２の下端に取付けら
   れた測温及び試料採取装置において、熱電対８を
   囲繞する保護筒９と、保護筒９を覆う保護キヤツ
   プ１０と、保護キヤツプ１０を覆う円錐状保護キ
   ヤツプ４と、試料採取管５と接続され、筒体２に
   設けられた空所６と、筒体２の軸芯孔２ｂを貫通
   して設けられた熱電対のリード線８ａとを備えた
   ことを特徴とする溶融金属の測温及び試料採取装
   置。