JPH031806B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 この発明は、有極リレーの接点開閉などに用い
られる電磁石装置に関する。

〔背景技術〕

従来、有極リレーなどに用いられる電磁石装置
は、バランスアマチユア式であり、上下方向に電
磁石ブロツクと接極子ブロツクとを積み重ね、両
ブロツクの一部分のみが組み合わさつていた。こ
のため、電磁石装置の小型化、薄型化が進まなか
つた。また、有極リレーを構成した場合も、電磁
石装置のスペースに加えて装置の動きしろが必要
になるため、リレーの小型化、薄型化が困難であ
つた。

〔発明の目的〕

この発明は、以上のことに鑑み、小型で薄型の
電磁石装置を提供することを目的とする。

〔発明の開示〕

この発明は、上記の目的を達成するために、コ
字形ヨークの内側に鉄心が設けられ、鉄心の先端
を中央磁極部、コ字形ヨークの両端を対向磁極部
とする電磁石ブロツクと、少なくとも１つの永久
磁石および着磁方向両側から永久磁石を挟む磁性
体片を中央に空間をあけて配置してなる接極子ブ
ロツクとを備え、この接極子ブロツクがコ字形ヨ
ーク内に納められるとともに、鉄心の先端の中央
磁極部が接極子ブロツクの前記中央空間に入り込
み、中央磁極部の外側に接極子ブロツクの永久磁
石および磁性体片が配置されるように両ブロツク
が組み合わされていて、コイルの励磁極性の変化
により、接極子ブロツクがコ字形ヨーク内で正逆
方向に動くようになつている電磁石装置を要旨と
している。以下、この発明の実施例をあらわす図
面とともに詳しく説明する。

第１図ａは、この発明の第１および第２の実施
例に用いる電磁石ブロツク１を示している。な
お、コイル、コイル枠の図示は省略している。こ
の電磁石ブロツク１は、コ字形ヨーク２の内側に
鉄心３が設けられ、コ字形ヨーク２の両端を対向
磁極部２ａ，２ｂ、鉄心３の先端を中央磁極部３
ａとしている。

第１図ｂは、この発明の第１の実施例である。
同図ｂに見るように、この電磁石装置は、電磁石
ブロツク１と接極子ブロツク４とを備えている。
接極子ブロツク４は、２つの磁性体片５ａ，５ｂ
の両端が２つの永久磁石６，６を同じ着磁方向両
側から挟んでロ字形になつている。このロ字形の
接極子ブロツク４の中に鉄心３の先端の中央磁極
部３ａが入り込み、接極子ブロツク４は、中央磁
極部３ａに対して対称になるようにコ字形ヨーク
２内の面一（つらいち）に納められている。な
お、７はコイル、８はコイル枠である。

コイル７に電流を流し、中央磁極部３ａをＮ極
に、対向磁極部２ａ，２ｂをＳ極にそれぞれ励磁
すると、接極子ブロツク４は、同極反発、異極吸
引によりコ字形ヨーク２内で、矢印Ａ方向に移動
し、第１図ｂのように、磁性体片５ａは対向磁極
部２ａに、磁性体片５ｂは中央磁極部３ａにそれ
ぞれ接する。この電磁石装置は、ラツチング型で
あるので、コイル７に流れる電流を０にしても、
その状態を保つている。コイル７に流れる電流を
先と逆にすると、中央磁極部３ａはＳ極に、対向
磁極部２ａ，２ｂはＮ極にそれぞれ励磁され、接
極子ブロツク４は、同極反発、異極吸引により、
先とは逆にコ字形ヨーク２ないで矢印Ｂ方向に移
動し、磁性体片５ａは中央磁極部３ａに、磁性体
片５ｂは対向磁極部２ｂにそれぞれ接する。コイ
ル７の電流を０にしても、この状態を保つてい
る。

コイルの励磁極性の変化による、このような接
極子ブロツクの動きは、たとえば、接点駆動部た
るカードを介して接点機構に伝えられ、接点開閉
が行われる。

第２図に、この発明の第２の実施例を示す。同
図に見るように、この電磁石装置の接極子ブロツ
ク９は、１つの磁性体片５ａの両端と他の２つの
磁性体片１０，１１とがそれぞれ２つの永久磁石
６，６を同じ着磁方向両側から挟んでコ字形にな
つている。このコ字形の接極子ブロツク９の中に
鉄心３の先端の中央磁極部３ａが入り込み、接極
子ブロツク９は、コ字形ヨーク２内に面一に納め
られている。コイル７に電流を流し、中央磁極部
３ａおよび対向磁極部２ａ，２ｂを励磁すると、
接極子ブロツク９は、同極反発、異極吸引により
コ字形ヨーク内で矢印Ａ方向に移動し、第２図に
みるように、磁性体片５ａが対向磁極部２ａに接
する。ところが、磁性体片１０と１１の間は磁気
的につながつておらず、磁性体片１０，１１は中
央磁極部３ａにも接していない。このため、磁気
回路が閉磁路になつていないけれども、電磁石の
磁束がある限りは（すなわち、励磁中は）第２図
の状態が維持される。コイル７の電流を０にする
と、接極子ブロツク９は、先とは逆にコ字形ヨー
ク２内で矢印Ｂ方向に移動して、磁性体片１０，
１１がそれぞれ対向磁極部２ｂに接し、磁性体片
５ａが中央磁極部３ａに接する。この場合、磁気
回路は、閉磁路になつており安定なので、無励磁
中はこの状態が維持される。ここに示した電磁石
装置は、シングルステイブル型である。

第３図ａは、この発明の第３および第４の実施
例に用いる電磁石ブロツク１２である。なお、コ
イル、コイル枠の図示は省略している。この電磁
石ブロツク１２は、コ字形ヨーク２の内側に鉄心
３′が設けられ、コ字形ヨーク２の両端を対向磁
極部２ａ，２ｂ、鉄心３′の先端を中央磁極部
３′ａとしている。この鉄心３′は、中央磁極部
３′ａが対向磁極部２ａ，２ｂに沿つて延びてＬ
字形になつている。このため、中央磁極部３′ａ
の磁性体片との対向面積が増しており、吸引、反
撥に好影響を与える。なお、このＬ字形鉄心は、
たとえば、打抜きなどの方法で作製され、かしめ
どめなどの方法でコ字形ヨークの内側に一体化さ
れることがある。

第３図ｂは、この発明の第３の実施例である。
同図ｂに見るように、この電磁石装置の接極子ブ
ロツク１３は、２つの磁性体片５ａ，５ｂの同側
端が１つの永久磁石６を着磁方向両側から挟んで
コ字形になつている。このコ字形の接極子ブロツ
ク１３の中に鉄心３′の先端の中央磁極部３′ａが
入り込み、接極子ブロツク１３は、コ字形ヨーク
２内に面一に納められている。この電磁石装置
は、第１の実施例のものと同様にラツチング型で
あるので、コイル７の励磁極性の変化により、先
と同様に接極子ブロツク１３がコ字形ヨーク内で
矢印Ａ方向、矢印Ｂ方向に正逆移動し、励磁を切
つてもそれぞれその状態を維持している。

第４図は、この発明の第４の実施例である。同
図に見るように、この電磁石装置の接極子ブロツ
ク１３′は、第３の実施例の接極子ブロツク１３
において２つの磁性体片５ａ，５ｂのいずれか一
方（たとえば５ｂ）が他方（たとえば５ａ）より
も短くなつている。このため、磁性体片５ａと磁
極部との対向面積に比べて、短いほうの磁性体片
５′ｂと磁極部との対向面積が減少しており、こ
の電磁石装置は、シングルステイブル型になつて
いる。すなわち、コイル７に電流を流し、中央磁
極部３′ａおよび対向磁極部２ａ，２ｂを励磁す
ると、接極子ブロツク１３′は、同極反発、異極
吸引によりコ字形ヨーク２内で矢印Ｂ方向に移動
し、磁性体片５ａが中央磁極部３′ａに接し、磁
性体片５′ｂが対向磁極部２ｂに接する。励磁中
はこの状態を保つているが、励磁を切ると、接極
子ブロツク１３′は、コ字形ヨーク内で矢印Ａ方
向に移動し、磁性体片５ａが対向磁極部２ａに、
磁性体片５′ｂが中央磁極部３′ａに接する。無励
磁中は、この状態が保たれる。

第５図は、この発明の第５の実施例である。同
図に見るように、この電磁石装置は、第３の実施
例の電磁石装置において、対向磁極部の対向面積
が一方（たとえば２ｂ）は他方（たとえば２ａ）
よりも小さくなつている。すなわち、コ字形ヨー
ク２′の一端を対向磁極部２ａ、他端を切り欠き
が形成されている対向磁極部２′ｂとしている。
コイル７に電流を流し、中央磁極部３′ａ、およ
び対向磁極部２ａ，２′ｂがそれぞれ励磁される
と、接極子ブロツク１３は、同極反発、異極吸引
により、コ字形ヨーク２′内で矢印Ｂ方向に移動
し、磁性体片５ａが中央磁極部３′ａに接し、磁
性体片５ｂが対向磁極部２′ｂに接する。この場
合、永久磁石６の磁束が弱いけれども、電磁石の
磁束がある限り、この状態が保たれる。コイル７
の電流を０にすると、接極子ブロツク１３は、コ
字形ヨーク２′内で矢印Ａ方向に移動して、磁性
体片５ａが対向磁極部２ａに、磁性体片５ｂが中
央磁極部３′ａにそれぞれ接する。この場合、永
久磁石６の磁束が強く安定しているので、無励磁
中はこの状態が保たれる。この電磁石装置も、シ
ングルステイブル型である。

なお、第１図〜第５図中、同じ番号を付したも
のは同じものを指している。

この発明の電磁石装置は、上記の実施例のみに
限定されるわけではなく、種々のものをつくるこ
とができる。以下、他の例をいくつか例示する。
第４の実施例のようにしてシングルステイブル型
を得る場合、接極子ブロツクの２つの磁性体片の
うちいずれか一方が他方よりも短くなつていても
よいし、長さが同じままで、いずれか一方に切り
欠きや穴を設けたりしてもよい。短くした部分、
切り欠きや穴の部分に非磁性体を設けて（たとえ
ば面一に設けて）、形が対称性を持つようにして
もよい。第５の実施例のようにしてシングルステ
イブル型を得る場合は、一方の対向磁極部を切り
欠いて、対向面積を他方よりも小さくしてもよい
し、一方の対向磁極部に穴を設けるなどして、対
向面積を他方よりも小さくすることもできる。切
り欠いたり、穴を設けたりした部分には非磁性体
を設けてもよい。ただし、一方の対向磁極部の対
向面積を他方よりも小さくする場合、一方の対向
磁極部に対向する磁性体片よりも、他方の（すな
わち対向面積の大きいほうの）対向磁極部に対向
する磁性体片のほうが対向面積が大きいことが好
ましい。また、上記の例では、接極子ブロツクが
コ字形ヨーク内に面一になるよう納められていた
が、当然それよりも内側に納められていてもよ
い。鉄心とコ字形ヨークとは、最初から一体に形
成されてもよいし、別々に作製されたのち、かし
めどめなどの方法で一体化されてもよい。鉄心と
磁極部とは、一体に形成されていてもよいし、
別々に形成されたのち一体化されてもよい。

以上に説明したように、この発明では、接極子
ブロツクとして、永久磁石と磁性体片が、ロ字形
やコ字形等、中央に空間ができるような状態で組
み合わせて配置されたものを用い、この接極子ブ
ロツクの中央空間に中央磁極部となる鉄心の先端
が入り込み、中央磁極部の外側に接極子ブロツク
の永久磁石および磁性体片が配置されるようにな
つていれば、永久磁石や磁性体片の形状および組
み合わせ方は、前記各実施例その他の構造に自由
に変更できるのである。

この発明の電磁石装置は、コ字形ヨークの内側
に鉄心が設けられ、かつ、接極子ブロツクもコ字
形ヨーク内に納められており、コ字形ヨーク内で
接極子ブロツクが正逆方向に動くようになつてい
るので、コ字形ヨークの大きさでこの電磁石装置
の大きさがきまる。このため、この発明の電磁石
装置は、非常に小型になる。また、たとえば、接
極子ブロツク移動方向の鉄心の厚みを薄くすれ
ば、薄型にすることができる。この電磁石装置を
用いて有極リレーを構成すれば、非常に小型で、
超薄型のリレーを容易につくることができる。

〔発明の効果〕

この発明の電磁石装置は、コ字形ヨークの内側
に鉄心が設けられ、かつ、接極子ブロツクもコ字
形ヨーク内に納められており、コ字形ヨークで接
極子ブロツクが正逆方向に動くようになつている
ので、非常に小型で、薄型になり、装置の外部に
動きしろとなるスペースも必要としない。

特に、コ字形ヨークの内側で鉄心先端の外側に
接極子ブロツクの永久磁石および磁性体片が配置
されており、中央磁極部である鉄心の中心線から
コ字形ヨークの中心線へとつづく電磁石ブロツク
の磁束の中心経路よりも外側に離れて永久磁石が
配置されることになるので、永久磁石と電磁石と
の磁束の干渉による磁束すなわち磁力の減少がな
く、少ない励磁力もしくは小さな電磁石でも大き
な作動力を出せる能率の良い有極電磁石を提供す
ることができる。

また、中央磁極となる鉄心は、単純な棒状もし
くは柱状等でよく、接極子ブロツクも、永久磁石
と磁性体片を中央に空間があくように配置するだ
けでよいので、電磁石ブロツクおよび接極子ブロ
ツクの何れもが単純な形状の部品を組み合わせる
だけで構成され、製造加工や組み立ての手間が掛
からず、コスト的にも非常に安価に製造すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは、この発明の第１、第２の実施例に
用いる電磁石ブロツクの斜視図、第１図ｂは、こ
の発明の第１の実施例の斜視図、第２図は、この
発明の第２の実施例の斜視図、第３図ａは、この
発明の第３、第４の実施例に用いる電磁石ブロツ
クの斜視図、第３図ｂは、この発明の第３の実施
例の斜視図、第４図は、この発明の第４の実施例
の斜視図、第５図は、この発明の第５の実施例の
斜視図である。 １，１２，１２′……電磁石ブロツク、２，
２′……コ字形ヨーク、２ａ，２ｂ，２′ｂ……対
向磁極部、３，３′……鉄心、３ａ，３′ａ……中
央磁極部、４，９，１３，１３′……接極子ブロ
ツク、５ａ，５ｂ，１０，１１，５′ｂ……磁性
体片、６……永久磁石。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コ字形ヨークの内側に鉄心が設けられ、鉄心
   の先端を中央磁極部、コ字形ヨークの両端を対向
   磁極部とする電磁石ブロツクと、少なくとも１つ
   の永久磁石および着磁方向両側から永久磁石を挟
   む磁性体片を中央に空間をあけて配置してなる接
   極子ブロツクとを備え、この接極子ブロツクがコ
   字形ヨーク内に納められるとともに、鉄心の先端
   の中央磁極部が接極子ブロツクの前記中央空間に
   入り込み、中央磁極部の外側に接極子ブロツクの
   永久磁石および磁性体片が配置されるように両ブ
   ロツクが組み合されていて、コイルの励磁極性の
   変化により、接極子ブロツクがコ字形ヨーク内で
   正逆方向に動くようになつている電磁石装置。 ２ 接極子ブロツクは、２つの磁性体片の両端が
   ２つの永久磁石を同じ着磁方向両側から挟んでロ
   字形になつている特許請求の範囲第１項記載の電
   磁石装置。 ３ 接極子ブロツクは、１つの磁性体片の両端と
   他の２つの磁性体片とが２つの永久磁石を同じ着
   磁方向両側から挟んでコ字形になつている特許請
   求の範囲第１項記載の電磁石装置。 ４ 接極子ブロツクは、２つの磁性体片の同側端
   が１つの永久磁石を着磁方向両側から挟んでコ字
   形になつている特許請求の範囲第１項記載の電磁
   石装置。 ５ 鉄心は、中央磁極部が対向磁極部に沿つて延
   びてＬ字形になつている特許請求の範囲第４項記
   載の電磁石装置。 ６ ２つの磁性体片のいずれか一方が他方よりも
   短くなつている特許請求の範囲第４項または第５
   項記載の電磁石装置。 ７ 対向磁極部の対向面積が一方は他方よりも小
   さくなつている特許請求の範囲第１項ないし第６
   項のいずれかに記載の電磁石装置。