JPH0317366Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車のフロントグリル部、ヘツド
ランプフード、フエンダーマーカー、エンブレム
又は広告表示等の樹脂成形体を太陽光、街路灯或
は後続車のヘツドランプ光等の外光や自車光によ
つて所定形状又は表示を輝光明示する自動車の表
示又は視認用樹脂レンズに関するものである。

〔従来の技術〕

従来より自動車のフエンダーマーカーやエンブ
レム等の表示板を輝光させるため、該表示板を透
光性合成樹脂によつて構成し、該表示板の裏面に
位置したランプ又はLED素子等の光源を配設し
た構造のものが使用されている。

また、表示板の裏面側に所謂導光板を並設し、
該導光板内に入射した光を該導光体に構成した点
刻等の反射構造によつて面方向へ偏向拡散させ
て、上記表示板を照明するように構成したものも
使用されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記従来の各構成にあつては、光源を
構成するランプ、LED素子又は導光板等を点灯
又は発光させなければ表示板が輝光しないばかり
でなく、該表示板の形状又は該表示板内の表示を
輝光させるためには、輝光部分を残して非透光性
素材で被覆加工しなければならず、構造物にも部
材構成の多い複雑な構造に成る等の問題を有して
いた。

本考案は、上記問題に鑑みて創案されたもので
あり、太陽光、街路灯或は後続車のヘツドランプ
光等の外光又は自車の他光によつて、フロントグ
リル部、ヘツドランプフード、フエンダーマーカ
ー、エンブレム又は広告表示部等の樹脂成形体の
形状若しくは表示を自発輝光させて明示する自動
車の表示又は視認用樹脂レンズを提供することを
目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案に係る自動車の表示又は視認用樹脂レン
ズは、自動車のフロントグリル部、ヘツドランプ
フード、フエンダーマーカー、エンブレム又は広
告表示等の樹脂成形体を集光性樹脂によつて成型
し、該集光性樹脂のエツジ散光効果によつて形状
又は表示を輝光明示することを要旨とするもので
あり、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂又は
その他の合成樹脂等の適宜透明樹脂と、吸収光と
発散光の波長差を有する螢光塗料粒を混合した集
光性樹脂（以下「樹脂レンズ」と称する。」によ
つて成型すると共に、該樹脂レンズの端面を所望
の表示形状に形成し、及び／又は該樹脂レンズの
表面或は裏面の所望位置に所望の表示形状に対応
する溝形状、点刻又は梨地処理等の反射構造を構
成し、上記成形体表面からの吸収光を発散又は拡
散して成形体の端面又は面内の形状或は表示を輝
光明示するように構成したものである。

また、例えば成形体の裏面等からの発散光の拡
散を阻止し、所定部からの発散光を増大する構造
として、上記成形体の非受光面に成形体内部から
の透過光を反射するためのアルミニウム蒸着等の
反射被覆を被設することもある。

〔作用〕

上記樹脂レンズＡは、第１０図に示すように、
ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂又はプラス
チツク樹脂等の適宜透明合成樹脂板Ｂ内に、吸収
光と発散光の波長差を有する螢光染料粒Ｃ，Ｃ，
Ｃ…を混入した構造になるもので、光を集めると
共に伝達する性質を持つた光学的に純度の高い着
色されたポリマーである。該合成樹脂板Ｂの周囲
から進入した直射光又は分散光等の外光Ｆは、螢
光染料粒Ｃに吸収され、それらは螢光として板厚
内でランダムに放射されると共に、受光面に臨界
角度より小角度で放射しようとする放射光の一部
がf2，f3，f4のように全反射されてエツジ部Ｅか
ら放射する輝光ｆを形成する。残りの放射光f1
は、捕捉領域を透過して合成樹脂板Ｂ面から拡散
するように成る。

上記全外光Ｆに対する放射光ｆの割合Ｐは、合
成樹脂板Ｂの持つ屈折率ｎに依存し、下記式で表
される。

Ｐ＝（n²−１）／ｎ（％） したがつて、屈折率が1.45〜1.60の場合、この
比率Ｐは70〜80％に達するため、螢光染料粒Ｃに
再吸収される20〜30％と、最適条件への不適合分
10％を除去すると、略40％が放射光ｆとして得ら
れる。

上記の原理によりエツジ効果を奏する樹脂材料
によつて自動車のフロントグリル部、ヘツドラン
プフード、フエンダーマーカー、エンブレム又は
広告表示等の樹脂成形体を構成してあるため、樹
脂成形体の縁部及び表示部等を、太陽光、街路灯
或は後続車のヘツドランプ光等の外光又は自車の
他光によつて、所望形状に輝光させることができ
る。

〔実施例〕

以下、本考案に係る自動車の表示又は視認用樹
脂レンズに係る実施例を図面に従つて説明する。

第１図及び第２図は、車内の操作パネル又は車
外の車種表示用及び装飾用エンブレム等の表示板
の一実施例を示すもので、図面はオーデイオ機器
用操作表示板１である。第１０図について説明し
たように、該操作表示板１は、ポリカーボネート
樹脂、アクリル樹脂又はその他の合成樹脂等の適
宜透明樹脂板Ｂ内に、吸収光と発散光の波長差を
有する螢光染料粒Ｃ，Ｃ，Ｃ，…を混入した樹脂
レンズＡの薄板体によつて構成したものである。
該操作表示板１の文字或は符号等の表示２は、該
表示２に対応して操作表示板１の裏面に点刻又は
梨地処理した反射構造３によつて形成されてお
り、区画枠線４は、操作表示板１の裏面に穿設し
たＶ溝５によつて形成する。また、６は、操作表
示板１の周縁にホツトスタンプ又はアルミニウム
蒸着等によつて固着形成した非透光性且つ良表面
反射特性を有する反射縁であり、該周縁方向の発
散光の放射を阻止する構造に成つている。

上記構成の操作表示板１は、操作部の暗照明に
よつて表示２と区画枠線４を輝光せしめるもの
で、操作表示板１に入射した該照明光は、螢光染
料粒によつて螢光体固有の螢光を発し、該操作表
示板１の板厚内に反射を繰り返して存在すると共
に、反射構造３及びＶ溝５によつて該螢光を操作
表示板１の前面方向に輝光ｆとして反射するよう
に成り、該輝光ｆが表示２と区画枠線４を形成す
る。また、上記操作表示板１を構成している樹脂
レンズは、透明材であるため、例えば該操作表示
板１を速度計及びエンジン回転計等の機器の覆い
部材としても、これらの機器の表示を読み取るこ
とに支障を来たすことはない。

次に、第３図及び第４図は、自動車のヘツドラ
ンプHL，HL間に位置するグリル７の一部を該
樹脂レンズによつて構成した実施例を示すもので
あり、エンジン室への通気孔８，８…を形成した
グリル７の枠体９が、適宜板厚から成る樹脂レン
ズの平板によつて構成されており、前側端縁によ
つて矩形枠形状を構成すると共に、後側端縁にホ
ツトスタンプ又は白色塗装等によつて反射縁６を
構成している。

上記構成では、ヘツドランプHLの側方漏光又
は対向車のヘツドランプ光が、枠体９の面から侵
入し、螢光染料粒によつて螢光を発すると共に、
該枠体９の前側端縁１０から出射され、該輝光ｆ
が光の矩形枠を形成する。

また、第５図乃至第７図は、樹脂レンズによつ
て自動車のグリルＧ部、ヘツドランプHL部及び
クリアランスランプCL部を一体的に被覆する適
宜板厚の輝光カバー１１を構成したものであり、
周縁部１２とグリルＧ部に表示した文字１３を輝
光せしめるものである。該輝光カバー１１の周縁
部１２には前面に対して略水平後方に延びるよう
に周縁１４が構成されており、該周縁１４の端面
に白色塗料又はアルミニウム蒸着等から成る反射
縁６を形成すると共に、文字１３に対応する輝光
カバー１１の裏面には、点刻又は梨地処理した反
射構造３を形成して成る。

したがつて、自動車のヘツドランプHL又はク
リアランスランプCLを点灯すると、該点灯光は、
輝光カバー１１を透過して前方を照明すると共
に、光の一部が輝光カバー１１の板厚内に依存す
るように成り、前記各実施例と同様に周縁部１２
と文字１３を輝光させることができる。

尚、この実施例は、ヘツドランプHL部及びク
リアランスランプCL部を独立した分割構造に構
成することができるものである。

更に、第８図は、フエンダーマーカーＭを本考
案の樹脂レンズによつて構成した集光導光体１５
によつて輝光する一実施例を示すものである。自
動車のフエンダーマーカーＭは、クリアランスラ
ンプCLの近傍に位置するため、該クリアランス
ランプCLの漏光を集光導光体１５を介してフエ
ンダーマーカーＭに導くものであり、適宜板厚を
有する導光体１５の集光部１６をクリアランスラ
ンプCLの側方に位置すると共に、該集光部の裏
面にアルミニウム蒸着による反射膜１７を形成
し、該集光部から延びる導光部１８の端縁をフエ
ンダーマーカーＭの反射面１９と対向させたもの
である。

即ち、クリアランスランプCLの点灯によつて
得た照射光の一部が集光部１６から侵入して板厚
内に螢光が依存するようになり、導光部１８の端
面から反射面１９に向かつて輝光を照射するた
め、該フエンダーマーカーＭが輝光する。

また、第９図は、集光導光体１５の構成に関す
る他の実施例を示すものであり、クリアランスラ
ンプCLを構成するランプボデイ２０内において、
ランプ２１の周囲に位置しドーナツツ状の集光部
２２を形成すると共に、該集光部２２から延びる
導光部２３をランプボデイ２０の側方から突出さ
せ、その端縁から輝光を照射し得るようにしたも
のである。

即ち、上記構成によればランプ２１の点灯によ
り高輝度の照射光を直接導光部２３へ取り出すこ
とができる。

上記の如く、本考案は、樹脂レンズを種々の形
態に成型することによりその一部を形状に沿つて
又は所望の記号及び文字等に輝光せしめることが
できるものである。

〔考案の効果〕

本考案に係る自動車の表示又は視認用樹脂レン
ズは、以上のように構成したから自動車のフロン
トグリル部、ヘツドランプフード、フエンダーマ
ーカー、エンブレム又は広告表示等の樹脂成形体
を集光性樹脂によつて成型し、該集光性樹脂のエ
ツジ散光効果によつて形状又は表示を輝光明示す
る構造に成るため、太陽光、街路灯或は後続車の
ヘツドランプ光等の外光又は自車の他光を吸収
し、該吸収光により螢光発散して樹脂成形体の形
状又は表示を輝光明示する特徴を有するものであ
り、本考案実施後の実用的効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動車の表示又は視認用
樹脂レンズに係る操作表示板の一実施例を示す正
面図、第２図は第１図における−線断面図、
第３図は第二の実施例を示すグリルの正面図、第
４図は第３図における−線断面図、第５図は
第三の実施例を示す輝光カバーの正面図、第６図
は第５図における−線拡大断面図、第７図は
同じく第５図における−線断面図、第８図は
第四の実施例を示す集光導光体の使用例を説明す
るフエンダーマーカー部の斜視図、第９図は第五
の実施例を示す集光導光体の構成例を説明する縦
断斜視図、第１０図は本考案の原理を示す説明図
である。 １……操作表示板、３……反射構造、５……Ｖ
溝、６……反射縁、７……グリル、９……枠体、
１１……輝光カバー、１５……集光導光体、１９
……反射面、Ａ……樹脂レンズ、Ｂ……透明合成
樹脂、Ｃ……螢光染料粒、HL……ヘツドラン
プ、CL……クリアランスランプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂又はそ
   の他の合成樹脂等の適宜透明樹脂と、吸収光と
   発散光の波長差を有する螢光染料粒を混合した
   集光性樹脂によつて成型し、成型体表面からの
   入射光を吸収すると共に、該吸収光を発散させ
   て輝光する樹脂レンズであつて、 上記樹脂レンズの端面を所望の表示形状に形
   成し、及び／又は該樹脂レンズの表面或は裏面
   の所望位置に所望の表示形状に対応する溝形
   状、点刻又は梨地処理等の反射構造を構成し、
   上記成形体表面からの吸収光を発散又は拡散し
   て成形体の端面又は面内の形状或は表示を輝光
   明示するように構成したことを特徴とする 自動車の表示又は視認用樹脂レンズ。 (2) 前記成形体の非受光面に成形体内部からの透
   過光を反射する反射被覆を被設して成ることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の 自動車の表示又は視認用樹脂レンズ。