JPH0316256Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案はヒユーズ機能を付与したセラミツクバ
リスタに関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

一般に誘導雷や誘導負荷の開閉などによつて吸
収されるサージから併設機器を保護するため機器
の入力部分にバリスタを接続している。しかして
バリスタは、耐サージ性にすぐれ大半のサージを
吸収し併設機器の保護には極めて効果的な役割を
果たしている。

しかしながら、多重雷の発生や異常に頻度の激
しい誘導負荷の開閉によるサージによつてバリス
タのもつ吸収能力以上の過大サージが印加された
場合過熱劣化または破壊する危険性を有する。す
なわち非直線性は失われ純抵抗体または短絡に近
い状態となり電源経路から供給される電気エネル
ギーはすべてバリスタに吸収されるため併設機器
の機能が停止するとともに異常過熱が生じ、つい
には併設機器が破壊する結果となる。そのため昨
今は例えばバリスタ素体上に形成した電極と引出
端子間にヒユーズを一体化したヒユーズ機能を付
与したバリスタを用い併設機器の破壊を防止する
ようにした試みがなされており併設機器の破壊防
止に大きな効果をあげている。しかしながらバリ
スタとして大形となりコスト高を招く問題を抱え
ることになると同時に一度ヒユーズが機能してし
まうとオープン状態となりバリスタ機能は喪失し
併設機器の動作を停止させてしまう結果となつて
いた。

〔考案の目的〕

本考案は上記の点に鑑みてなされたもので過大
サージが印加されたとしても直ちにバリスタおよ
び併設機器の破壊はなく、バリスタ機能を維持し
併設機器動作をそのまま継続できる過大サージに
対しての耐用性にすぐれたヒユーズ機能を付与し
た新規な構成からなるセラミツクバリスタを提供
することを目的とするものである。

〔考案の概要〕

本考案のセラミツクバリスタは板状に成形焼結
したバリスタ素体一方面の一端部近傍に帯状のガ
ラスコート層を形成し、該ガラスコート層形成面
と同一面に複数の分割部と該分割部と連接し、前
記ガラスコート層上に位置した前記分割部より狭
幅の弱点部を介して、前記分割部それぞれを連接
した供通部とからなる櫛形電極を形成し、前記バ
リスタ素体他方面の前記複数の分割部対向面に角
形の対向電極を形成し、該対向電極部の任意な箇
所および前記櫛形電極共通部の任意な箇所それぞ
れに引出端子を接続したことを特徴とするもので
ある。

〔考案の実施例〕

以下本考案の一実施例につき図面を参照して説
明する。すなわち第１図および第２図に示すよう
に例えば酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、
チタン酸ストロンチウム、酸化鉄などを主成分と
し、他に数種類の金属酸化物を混合したセラミツ
ク粉末を角板状に成形焼結してなるバリスタ素体
１の一端部近傍に帯状のガラスコート層２を形成
し、該ガラスコート層２形成面と同一面に例えば
AgまたはAg−Pdからなる電極材をパターン印刷
し、複数の分割部３と該分割部３と連接し前記ガ
ラスコート層２上に位置した前記分割部３幅ａよ
り狭幅ｂの弱点部４を介して前記分割部３それぞ
れを連接した共通部５とからなる櫛形電極６を形
成し、つぎに前記バリスタ素体１他方面の前記複
数の分割部３対向面に例えばAgまたはAg−Pdか
らなる電極材をパターン印刷し、角形の対向電極
７を形成し、しかる後、該対向電極７の任意な箇
所、および前記櫛形電極６共通部５の任意な箇所
れぞれに引出端子８，９を接続し、例えば樹脂デ
ツプ外装またはケース収納外装を施してなるもの
である。

なお、この場合ｂ寸法すなわち弱点部４の幅を
どのように設定するかは0.1a≦ｂ≦0.9aとの範囲
内で適宜設定すればよい。またバリスタ素体１厚
さをｔとした場合、分割部３間間隔ｄはｄ≧ｔ、
分割部３と共通部５間間隔ｃはｃ≧ｔとすること
が沿面放電防止上肝要である。

第３図は第１図および第２図に示すバリスタの
等価回路図である。

以上のように構成してなるセラミツクバリスタ
によれば、該バリスタに該バリスタの許容値を越
える過大サージが印加された場合バリスタ素体が
劣化する訳であるが、バリスタ電圧はバリスタ素
体のどの部分もまつたく均一であることはないた
めバリスタ電圧の最も低い部分に電流が集中す
る。しかして、集中した電流を受けとめるある箇
所は分割部３幅ａより狭幅ｂからなる弱点部４と
なつており、該弱点部４は分割部３より抵抗が高
いため弱点部４はジユール熱により発熱が大きく
なり弱点部４の電極材が溶断してヒユーズとして
機能する結果電流集中はストツプされ、しかも弱
点部４の下部に形成されたガラスコート層２の存
在によつてこの部分は完全な絶縁性が得られるた
め、溶断された弱点部４を介して共通部５と連接
された分割部３は共通部５との間でリーク放電す
ることなく完全に電気的に切り離され、電極とし
ての機能はなくなるが、櫛形電極６のその他の分
割部３と対向電極７間でバリスタ機能を維持で
き、つぎの過大サージ印加時は残つた部分でバリ
スタ電圧の最も低い部分に電流が集中し前記同様
つぎの弱点部４が溶断する手順を設定分割部３の
数だけ繰返され、分割部３全部が電極として機能
しなくなつたとき、はじめでバリスタ機能は喪失
するもので従来のビユーズ機能を付与したバリス
タと比較し耐用性にすぐれ特に回路交換が容易で
ないところに取組み使用するのに好適である。な
お、上記実施例では電極構成としてAg，Ag−Pd
またはCuからなる電極材をパターン印刷したも
のを例示して説明したが、亜鉛メタリコン電極と
したものにも適用できる。また上記実施例ではバ
リスタ素体形状として角板状のものを例示して説
明したが、円板状のものに適用できることは勿論
である。

つぎに第２図に示すように櫛形電極の分割部数
を７つに設定した本考案(A)と一方の電極と引出端
子間にヒユーズを接続した従来の参考例(B)のサー
ジ耐用性比較について述べる。すなわち、それぞ
れバリスタ電圧220Vに設定した本考案(A)、参考
例(A)の１／40usec−10KVのサージ電圧印加回数
に対する累積故障率を調べた結果、第４図に示す
ようになつた。第４図から明らかなように、参考
例(B)はサージ印加回数300回で全数が故障となつ
たのに対し、本考案(A)はサージ印加回数300回で
故障となつたのはわずか数％で半数以上が380回
以上の印加回数を有し、過大サージに対しての耐
用性の優位性を実証した。なお、本実験で故障と
はヒユーズまたは弱点部全部が溶断しバリスタ機
能を喪失したものであり試験は(A)(B)それぞれ100
個であり、また電極は(A)(B)ともAg電極材をパタ
ーン印刷したものである。

〔考案の効果〕

本考案によれば過大サージ印加に対してすぐれ
た耐用性を有し回路交換が容易でないところに組
込み使用するのに適した実用的価値の高いヒユー
ズ機能を付与したセラミツクバリスタを得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の一実施例に係り、第
１図はセラミツクバリスタを示す平面図、第２図
はセラミツクバリスタを示す正面図、第３図は等
価回路図、第４図はサージ印加回数−累積故障率
特性曲線図である。 １……バリスタ素体、２……ガラスコート層、
３……分割部、４……弱点部、５……共通部、６
……櫛形電極、７……対向電極、８，９……引出
端子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. セラミツク粉末を成形焼結してなる板状のバリ
   スタ素体と、該素体一方面の一端部近傍に形成し
   た帯状のガラスコート層と、該ガラスコート層形
   成面と同一面に形成した複数の分割部と、該分割
   部と連接し前記ガラスコート層上に位置した、前
   記分割部より狭幅の弱点部を介して分割部それぞ
   れを連接した共通部とからなる櫛形電極と、前記
   バリスタ素体他方面の前記複数の分割部対向面に
   形成した対向電極と、該対向電極および櫛形電極
   共通部の任意な箇所それぞれに接続した引出端子
   とを具備したことを特徴とするセラミツクバリス
   タ。