JPH0347285Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案はヒユーズ機能を付与したセラミツクバ
リスタに関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 一般に誘導雷や誘導負荷の開閉などによつて吸
収されるサージから併設機器を保護するため機器
の入力部分にバリスタを接続している。しかして
バリスタは、耐サージ性にすぐれ大半のサージを
吸収し併設機器の保護には極めて効果的な役割を
果たしている。

しかしながら、多重雷の発生や異常に頻度の激
しい誘導負荷の開閉によるサージによつてバリス
タのもつ吸収能力以上の過大サージが印加された
場合加熱劣化または破壊する危険性を有する。す
なわち非直線性は失われ純抵抗体または短絡に近
い状態となり電源経路から供給される電気エネル
ギーはすべてバリスタに吸収されるため併設機器
の機能が停止するとともに異常過熱が生じ、つい
には併設機器が破壊する結果となる。そのため昨
今は例えばバリスタ素体上に形成した電極と引出
端子間にヒユーズを一体化したヒユーズ機能を付
与したバリスタを用い併設機器の破壊を防止する
ようにした試みがなされており併設機器の破壊防
止に大きな効果をあげている。しかしながらバリ
スタとして大形となりコスト高を招く問題を抱え
ることになると同時に一度ヒユーズが機能してし
まうとオープン状態となりバリスタ機能は喪失し
併設機器の動作を停止させてしまう結果となつて
いた。

［考案の目的］ 本考案は上記の点に鑑みてなされたもので過大
サージが印加されたとしても直ちにバリスタおよ
び併設機器の破壊はなく、バリスタ機能を維持し
併設機器動作をそのまま継続できる過大サージに
対しての耐用性にすぐれたヒユーズ機能を付与し
た新規な構成からなるセラミツクバリスタを提供
することを目的とするものである。

［考案の概要］ 本考案のセラミツクバリスタは板状に成形焼結
したバリスタ素体の一方面に複数の分割部と該分
割部の一端それぞれを連接した共通部とからなる
櫛形電極を形成し、前記バリスタ素体他方面の前
記複数の分割部の前記共通部との連接近傍部それ
ぞれを除いた対向面に角形の対向電極を形成し、
該対向電極部の任意な箇所および前記櫛形電極共
通部の任意な箇所それぞれに引出端子を接続し、
前記櫛形電極の連接近傍部を除いた全面、または
前記櫛形電極の連接近傍部を除いた全面および前
記対向電極全面にハンダコート層を形成したこと
を特徴とするものである。

［考案の実施例］ 以下本考案の一実施例につき図面を参照して説
明する。すなわち第４図および第５図に示すよう
に例えば酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、
チタン酸ストロンチウム、酸化鉄などを主成分と
し、他に数種類の金属酸化物を混合したセラミツ
ク粉末を角板状に成形焼結してなるバリスタ素体
１の一方面に例えばAgまたはAg−Pdからなる電
極材をパターン印刷し、複数の分割部２と該分割
部２の一端それぞれを連接した共通部３とからな
る櫛形電極４を形成し、つぎに前記バリスタ素体
１他方面の前記複数の分割部２の前記共通部３と
の連接近傍部５それぞれを除いた対向面に例えば
AgまたはAg−Pdからなる電極材をパターン印刷
して角形の対向電極６を形成し、第１図〜第３図
に示すように該対向電極６の任意な箇所、および
前記櫛形電極４の共通部３の任意な箇所それぞれ
に引出端子７，８を当接し、しかる後、前記分割
部２の共通部３との連接近傍部５それぞれの上に
マスクをかぶせてハンダ槽に浸漬−引上げて前記
櫛形電極４の前記連接近傍部５それぞれを除いた
分割部２と共通部３および対向電極６全面にハン
ダコート層９を形成するとともに前記共通部３お
よび対向電極６に引出端子７，８それぞれを接続
し、つぎにマスクを取除き例えば樹脂デツプ外装
またはケース収納外装を施してなるものである。

なお、バリスタ素体１厚さをｔとした場合、ハ
ンダコート層９を被覆した分割部２間間隔ａはａ
≧ｔ，ｂ寸法すなわち、ハンダコート層９を被覆
した分割部２とハンダコート層９を被覆した共通
部３間間隔はｂ≧ｔとすることが沿面放電防止上
肝要である。第６図は第１図〜第３図に示すバリ
スタの等価回路図である。

以上のように構成してなるセラミツクバリスタ
によれば、該バリスタに該バリスタの許容値を越
える過大サージが印加された場合バリスタ素体が
劣化する訳であるが、バリスタ電圧はバリスタ素
体のどの部分もまつたく均一であることはないた
めバリスタ電圧の最も低い部分に電流が集中す
る。しかして、集中した電流はハンダコート層９
が形成されていないある箇所の連接近傍部５で受
けとめることにある。すなわち該連接近傍部５は
ハンダコート層９を形成した分割部２および共通
部３より抵抗が高いためジユール熱に対する弱点
部となり発熱が大きくなり連接近傍部５の電極材
は溶断して温度ヒユーズとして機能する結果電流
集中はストツプされ、溶断された連接近傍部５を
介して共通部３と連接された分割部２は共通部３
と電気的に切り離され電極としての機能はなくな
るが、櫛形電極４のその他の分割部２と対向電極
６間でバリスタ機能を維持でき、つぎの過大サー
ジ印加時は残つた部分でバリスタ電圧の最も低い
部分に電流が集中し前記同様つぎの連接近傍部５
が溶断する手順を設定分割部２の数だけ繰返さ
れ、分割部２全部が電極として機能しなくなった
とき、はじめてバリスタ機能は喪失するもので従
来のヒユーズ機能として電極と引出端子間にヒユ
ーズを接続したバリスタと比較し耐用性にすぐれ
特に回路交換が容易でないところに取組み使用す
るのに公的である。また、ヒユーズ機能の設定と
して、ヒユーズ機能となる連接近傍部５を形状的
に特別に設定する必要はなく、ごく一般的な櫛形
電極４を形成し、該櫛形電極４の連接近傍部５そ
れぞれを除く電極部分にハンダコート層９を設
け、該ハンダコート層９を形成しない連接近傍部
５を温度ヒユーズ機能部とするものであるため、
ヒユーズ機能付与が極めて簡単に行うことができ
る。なお、上記実施例では電極構成としてAg、
Ag−PdまたはCuからなる電極材をパターン印刷
したものを例示して説明したが、亜鉛メタリコン
電極としたものにも適用できる。また上記実施例
ではバリスタ素体形状として角板状のものを例示
して説明したが、円板状のものに適用できること
は勿論である。さらに上記実施例ではハンダコー
ト層９を対向電極６上にも形成したものを例示し
て説明したが、対向電極上にはハンダコート層を
形成せず櫛形電極の連接近傍部を除いた全面にの
みハンダコート層を形成した構造としても同効で
ある。

つぎに第１図に示すように櫛形電極の分割部数
を７つに設定した本考案(A)と一方の電極と引出端
子間にヒユーズを接続した従来の参考例(B)のサー
ジ耐用性比較について述べる。すなわち、それぞ
れバリスタ電圧220Vに設定した本考案(A)、参考
例(B)の1/4usec−10KVのサージ電圧印加回数に
対する累積故障率を調べた結果、第７図に示すよ
うになつた。第７図から明らかなように、参考例
(B)はサージ印加回数300回で全数が故障となつた
のに対し、本考案(A)はサージ印加回数300回で故
障となつたのはわずか数％で半数以上が380回以
上の印加回数を有し、過大サージに対しての耐用
性の優位性を実証した。なお、本実験で故障とは
ヒユーズまたは弱点部全部が溶断しバリスタ機能
を喪失したものであり試料は(A)(B)それぞれ100個
であり、また電極は(A)(B)ともAg電極材をパター
ン印刷したものである。

［考案の効果］ 本考案によれば過大サージ印加に対してすぐれ
た耐用性を有し回路交換が容易でないところに組
込み使用するのに適した実用的価値の高いヒユー
ズ機能を付与したセラミツクバリスタを得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第６図は本考案の一実施例に係り、第
１図はセラミツクバリスタを示す平面図、第２図
は第１図イ−イ断面図、第３図は第１図ロ−ロ断
面図、第４図はバリスタ素体に電極を形成した状
態を示す平面図、第５図は第４図の正面図、第６
図は等価回路図、第７図はサージ印加回数−累積
故障率特性曲線図である。 １……バリスタ素体、２……分割部、３……共
通部、４……櫛形電極、５……連接近傍部、６…
…対向電極、７，８……引出端子、９……ハンダ
コート層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) セラミツク粉末を成形焼結してなる板状のバ
   リスタ素体と、該素体の一方面に形成した複数
   の分割部と、該分割部の一端それぞれを連接し
   た共通部とからなる櫛形電極と、前記バリスタ
   素体他方面の前記複数の分割部の前記共通部と
   の連接近傍部それぞれを除いた対向面に形成し
   た対向電極と、該対向電極および櫛形電極共通
   部の任意な箇所それぞれに接続した引出端子と
   前記櫛形電極の連接近傍部を除いた全面に形成
   したハンダコート層とを具備したことを特徴と
   するセラミツクバリスタ。 (2) 対向電極全面にハンダコート層を形成したこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第(1)項
   記載のセラミツクバリスタ。